中原区 人物風土記
公開日:2025.10.03
10月5日に中原平和公園で行う「街ナカアート2025秋」でパフォーマンスを披露する
藤川 誠さん
上丸子山王町在住 55歳
タップで人生を切り開く
○…子どもの頃のヒーローは、ジャッキー・チェン。中学のとき、千葉真一のジャパンアクションクラブに入りたくて、腕を磨いたのがタップダンスだった。「隠し芸番組で芸人が踊る姿を見て、自分もできるんじゃないかって」。ダンス教室に通い、学校でも練習した。「上履きの底に画びょうを刺してステップを踏むんです」。中3でオーディションに受かるが、同期は200人。得意のダンスだけは負けたくなかった。
○…高校卒業後に独立し、タップダンスの指導者としての道を探りながらジャズダンスやヒップホップなど自身のダンスの幅も広げていった。新丸子駅近くで時計店を営んでいた父には「25歳までにダンスで食べられなかったら跡を継ぐ」と宣言。アルバイトで食いつなぎ、「自分の手で道を切り開く」という思いを原動力に、ダンス教室を主宰するまでになった。
○…実は、小さいころから怖がりで運動嫌い。「野球に誘われても、キャッチボールすらできない子だった」と笑う。一方、手先が器用で物づくりは得意。「独特のリズムや流れなどタップダンスの構成を組み立てるのも、物づくりに近いかも」。好きなアクション映画を見ているときも、パンチやキックを繰り出す格闘シーンでは知らない間にリズムを刻んでいるほど、頭の中にはいつも音楽が流れている。
○…地元川崎でタップダンスを盛り上げようと主催するフェスティバルをはじめ、ダンサーたちが活躍する舞台づくりに力を入れる。踊ってみたいと言われれば、車いす利用者にも教える。「見せ方は十人十色、正解はない」と言い切る。「死ぬまで踊り続けていると思う。いつか引退したら、誰もいない山の中で自分の思うままにステップを踏めたら最高だね」
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