足柄版【10月11日(土)号】
お峰入りの入場

山北のお峰入り 63年ぶり民俗芸能関東へ 都県推薦の7団体が出場

 山北町共和地区に古くから伝わる民俗芸能「山北のお峰入り」が、「第67回関東ブロック民俗芸能大会」(10月12日・東京都)に第4回大会以来、63年ぶりに出場する。大会では棒踊りを披露する予定。

 大会は、静岡と関東地域の各都県から推薦された民俗芸能団体の中から7団体が出場し、各地で伝承されてきた演舞を披露するもの。お峰入りの出場は2回目だ。

 大会で披露する棒踊りは、6人が四尺三寸の棒を持ち、笛や太鼓に合わせてリズミカルに踊る演目。演者は30代を中心としたメンバーで、月1回の全体練習や個人練習などで準備を進めてきた。

 演者の一人、角原清志さん(38)は移住者で、2023年の公演会で初めて踊りを披露。「口伝えだけで継承されていて、この時代にその文化が残っていることに衝撃を受けた。指導もすごく細かく、しっかり継承されているのがわかる」と語る。本番に向けて、「お峰入りを発信できる場をいただけてありがたい。県代表として、今出せる最大限の踊りを見せたい」と意気込む。

修験道の儀礼

 「お峰入り」は、山中で修行を行うことを意味し、修験道の儀礼が芸能化したものとされる。演舞は8種類11演目あり、天狗や獅子、おかめ、山伏、太鼓、笛などの役を約80人の男性が演じる。

 現在のお峰入りは、1934年に40年ぶりに復活させたもので、それ以来、歌や踊りはすべて口伝えで伝承されてきた。

 22年にはお峰入りを含む41の民俗芸能が「風流踊」としてユネスコ無形文化遺産にも登録されている。

町内外に発信

 これまでは共和地区の住民を中心に活動や公演会を行ってきたお峰入りだが、ユネスコ無形文化遺産への登録を機に、町内外へ広く伝える取り組みを昨年から始めている。保存会の杉本君雄会長(76)によると、地域イベントへの参加や川村小学校での体験会など、周知の機会を広げている。杉本会長は「もっと知ってもらい、公演会などに足を運んでもらいたい」と話す。久しぶりの関東大会を「お峰入りを知ってもらういい機会。出演者たちにはしっかり踊ってもらいたい」とエールを送った。
岡本幼稚園

南足柄市立幼稚園 休園2園で利活用進む 福祉団体らが拠点に

 4月から休園中の南足柄市立北幼稚園と岡本幼稚園が、今夏からそれぞれ美術展などを開く「あしがらアートの森」と児童発達支援事業を手掛ける「こはるび学園」の2団体に利用されている。

 市は、市立幼稚園の入園希望者数が減少傾向にある中で、同園を含む4つの幼稚園を休園にし、現在は南足柄幼稚園のみで教育を行っている。

 北幼稚園は7月から、県西地域の子どもや家族に向けた芸術活動に取り組むNPO法人「あしがらアートの森」が利用している。月1回を基本とし、11月にはアートイベントも行う。

 岡本幼稚園は8月から、NPO法人子どもの広場が運営する児童発達支援事業「こはるび学園」の拠点となっている。小田原市内のマンション2室で事業を展開していたが、利用者増に伴う拡大の中で話があったという。

 市は休園中施設の利活用先を募集しているわけではないが、各団体からの打診を受けて貸与を決定した。契約は1年ごとの更新とし、今年度の市の賃料収入は225万8千円。ほか2園についても、市は問い合わせがあれば相談の上で貸し出す可能性があるとしている。

 市は7月に2028年度以降の運営について対象児童の保護者アンケートを実施。入園希望者を通園指定区域ごとに整理した場合、休園中の各園では1人から3人規模の学級になってしまうことがわかった。そのため、市は28年3月までとしていた休園を28年4月以降も当面の間延長することを決めた。今後の運営方針については、「出生数などの動向を踏まえて検討する」と話した。

令和7年度行政相談委員総務大臣表彰を受賞した 杉本 成行さん 南足柄市中沼在住 76歳

市民の声、受け止めつなぐ

 ○…総務省から委嘱されるボランティアで行政に関する苦情や意見、要望を受け付ける行政相談委員を務めて13年目。長年の活動が評価され、9月に総務大臣表彰を受賞した。「まさか自分が選ばれるとは思わなかった」と驚きつつ、積み重ねてきた日々の活動を噛み締める。

 ○…南足柄で生まれ育った。大学卒業後は印刷会社を経て、1972年に南足柄市役所へ入庁した。ケースワーカーとして福祉の現場に従事し、特に障害者の支援に長く携わっていた。定年退職後は、障害者の生活や就労を支える社会福祉法人の監事を務めていた。当時は、行事に足を運ぶとケースワーカーとして関わった人たちと再会することも。「名前を呼ばれると、久々に会った友達の感覚でハイタッチしたものです」と懐かしむ。

 ○…中沼自治会長を務めた後に市役所の職員から勧められ、2013年から行政相談員に。寄せられる相談は年金制度の不安や道路工事の苦情など多岐にわたる。「問題の解決はできないけれど、市民の話を聞くことがすべてですからね」。市民からの要望を必要な部署へ迅速に橋渡しし、解決への道筋を整えてきた。制度上の上限により27年3月までの現任期で区切りをつけるが、「最後まで気持ちよく相談できる場にしたい」と静かに語る。

 ○…ボランティア活動はほかにも、狩川の土手に続く春木径の桜並木の手入れや、寺の世話人としての務めも40年続ける。趣味のゴルフは20代から。仲間内で月1回行われる大会では年に一度の優勝を目標に据え、打ちっ放しに定期的に通い球筋を確かめている。「最近調子悪いんですよ。でも大丈夫、これから、これから」と口元を緩めた。

松田サミット 学術的企画多数

 「松田」のルーツをたどりながら参加者同士の交流と町のPRにつなげるイベント「全国松田サミット」が10月26日(日)に松田町生涯学習センターで開かれる。午後1時から、入場無料。

 当日はダンスやチアリーディングのほか、「松田氏入門」、松田氏子孫紹介、特別講座、記念講演といった企画がある。講座は、長野県千曲市の武水別神社神官松田邸学芸係長で学芸員の中島丈晴氏による「信濃松田氏と松田家館」。講演は、学習院大学の家永遵嗣教授による「伊勢宗瑞(北条早雲)が小田原に来た頃の西相模―明応9年の大震災と松田氏・大森氏との関係―」。イベントに関する詳細は町ホームページ。

新松田駅〜寄行の路線バス

松田町 寄の夜間バス増便を検証 開始2カ月の状況は

 松田町は8月から、富士急モビリティが運行する新松田駅〜寄行きのバス路線の夜間増便の実証運行を行っている。

 町によると、開始から2カ月の合計利用人数は新松田駅発〜寄行きが59人で1便平均1・4人、寄〜新松田駅行きは8人で平均0・2人にとどまっている。町は現在の利用データについて「想定してた利用人数とおおよそ近い」と説明する。また、バス利用者とグラウンド利用者を直接結びつけるデータは取っていないというが、「寄〜新松田駅の利用者が主にグラウンド利用者に当たる」と分析する。

 実証運行は国交省の交通空白解消緊急対策事業補助金(250万円)を活用。町の目的は減便が続く同バス路線の夜間の利用実態の把握と、今年1月に人工芝化された寄みやまグラウンドの夜間の利用促進に資するかどうかの検証だ。増便は土日祝限定で、新松田駅発午後7時55分、8時45分と、寄発8時25分、9時15分の4便。

路線の減便進む

 現在、同路線は減便が進み、便数は10年前の約半分になっている。直近では2020年に土日の最終便、24年に平日の最終便が減便となり、現在も平日や土日の夕方帯で、さらなる見直しが検討されているという。

 町は「実証運行を通して、需要の有無を確認していき、地域のニーズに沿った運行体制を検討していきたい」と話している。検証は来年1月まで行われる。

開設されたウェブサイト

「神奈川で起業」後押し 県が支援情報サイト

 神奈川県は9月30日、スタートアップ・ベンチャーの支援情報をまとめたウェブサイト「KANAGAWASTARTUPS」(https://startups.pref.kanagawa.jp/)を新たに開設した。

 県や市町村、民間の支援機関などの情報を集約し、企業の分野・エリア・成長ステージ・ニーズに合わせて情報を分類している。また、活躍する起業家たちのインタビューを掲載し、県内での起業の魅力を発信している。

 このほか、県内で行われる交流会や勉強会、イベントやセミナーといった情報をカレンダーで一覧化して分かりやすくまとめた。最新情報やイベント等の様子はSNS「X」でも発信中。

インフル県内流行始まる 昨年より1カ月程度早め

 神奈川県は10月2日、県内でインフルエンザの流行が始まったと発表した。第39週(9月22日から28日)の定点医療機関からの報告数が1・24となり、流行開始の目安である1・0を超えたもの。

 同期間中の保健所単位の地域別定点当たり報告数は鎌倉が最も高く1・67、これに横浜市の1・64、厚木の1・54が続いた。一方、足柄上は0、小田原は0・60だった。

 県によると、昨年の流行開始は第44週(10月28日から11月3日)で定点報告数は1・11だった。その後、第50週(12月9日から15日)で19・98となり注意報、第51週(12月16から22日)には48・56となり警報が発令されるなど、急速に流行が拡大している。

 県は感染拡大防止のため、手洗い、咳エチケットの徹底ともにワクチン接種の検討を呼び掛けている。

会見する坂田氏=10月3日

松田町長選 町選管 異議申し立て棄却 坂田純氏「納得できない」

 9月7日に投開票された松田町長選挙に関し町選挙管理委員会は10月7日、落選した新人の坂田純氏(59)から提出されていた異議申し立てを棄却した。

 坂田氏は10月3日に町役場で口頭意見陳述。その後に開いた会見では「選挙無効や手続きの違法性確認、再点検・再集計などの措置を求めた」などと話した。

 同町長選の投票は、期日前は候補者名を書き込む自書式で、投票日は記号式が用いられた。坂田氏は、記号式の用紙で投票した町民から「投票用紙に違和感があった」「誤って別の候補者にスタンプを押しそうになった」などの声が寄せられたとして、「記号式投票に関する規程」を確認したところ、定められた様式とは異なる投票用紙が使われていたとして異議申し立てに至った。

 坂田氏によると、規程の様式は横長で注意書きがあり、候補者名と記号欄の間に区別線を入れるなど、ずれ防止の配慮がされているが、問題視している用紙は縦長でずれ防止の配慮も見当たらず、候補者名と丸印を付ける欄を誤って押印する恐れがあったという。

「根拠が不明」

 町選管は決定書で、選挙で使用した投票用紙は規程で定められた様式であったとし、「根拠が不明であり、主張には何ら理由を認められない」と指摘。また、憲法15条4項などで保障する投票の秘密の観点から、選挙の執行にも影響を及ぼすとして投票用紙の開示も行わないとした。

 町選管の決定に不服がある場合、決定書の交付を受けた日から21日以内に、県選挙管理委員会に審査を申し立てることができる。

 異議申し立ての棄却を受けて坂田氏は「到底納得できるものではない。意見陳述後も、多くの方から投票用紙が違ったと聞いている」と話し、県選管への申し立てを検討している。

(10月8日起稿)

県内小中体育館の空調設置率 全国平均を下回る 本紙調査 今年度末に2割超へ

 近年の猛暑日の増加による児童、生徒の活動環境の悪化、災害時の避難場所の機能強化の観点から急務となっている公立小中学校の体育館等の空調設置。本紙は設置状況について県内の各自治体にアンケート調査を実施した。これによれば、今年度末を基準とした設置率は21・9%の見込みで、全国平均を下回ることが分かった。

* * * *

 文科省では学校体育館の空調設置に対し、国の支援制度を周知するなど導入を推進している。

 アンケートは9月に神奈川県を含む県内34の自治体に送付。文科省の資料を示した上で、「今年度、来年度以降の空調設備の設置予定」などについて聞いた。

 県内小中学校の普通教室の設置率が99・9%に対し、文科省が今年6月に発表した「公立学校の体育館等(小学校は体育館、中学校は体育館・武道場)における空調(冷房)設備の設置状況調査」(2025年5月1日現在)では、神奈川県の体育館等の設置率は14・6%で、全国平均の22・7%を下回っている。自治体別では設置率100%は綾瀬市、寒川町、大磯町、大井町。0%も17自治体あり、全体では約8割の自治体が設置率で50%を下回っていた。

 アンケートによると、今年度中に空調設備の設置を行う(もしくは行った)と回答したのは12自治体で、来年度以降に設置を予定していると答えたのは16自治体。「今のところ設置の予定はない」と答えた自治体でも、おおむね設置に向けて「検討している」と回答した。このほか「気化式冷風機を導入して空調対策を行っている」と回答した自治体もあった。

 今年度末までに設置率が100%となるのは神奈川県、茅ヶ崎市、海老名市の見込み。

足柄上地域は―

 足柄上地域の1市5町では昨年度までに設置率100%は大井町のみ。南足柄市、中井町、開成町は0%だった。今年度は開成町立文命中学校ですでに空調機が設置され、松田町立松田小学校も今年度中に設置される。さらに、来年度以降は足柄上地域の17校で設置が予定されている。

 今回のアンケートからは、自治体によって設置状況に大きな差が見られた。学校のため工事期間中の対応や、予算等、さまざまな要因が考えられるが、災害の激甚化や頻発化が著しい中、各自治体には対応が望まれるだろう。

県のたよりで写真募集 テーマ「私の好きな神奈川」

 神奈川県は2026年5月号から27年4月号の広報紙「県のたより」に掲載する写真を募集している。

 応募資格は県内在住・在勤・在学者。テーマは「私の好きな神奈川」で、自然の風景や建造物、祭り・文化など、県の魅力や表情をアピールするもの。応募は電子申請または郵送で、1人5点まで。

 26年1月15日(木)締切。作品は県が審査し掲載する12点を決定。結果は26年3月頃に対象者に通知するとともに県ホームページで発表する。

 応募に関する詳細は県ホームページ。

山北町 座談会「町長と語ろう」

 山北町と広報委員会(連合自治会、自治会、婦人会)は山北町と各地区の将来の姿について考える座談会「町長と語ろうまちづくり」を行う。日程等は次の通り。

▼岸/10月17日(金)高齢者いきいきセンター

▼山北/10月21日(火)生涯学習センター

▼共和/10月24日(金)共和トレーニングセンター

▼向原/10月25日(土)向原児童館

▼三保/10月27日(月)三保支所

▼清水/11月14日(金)清水ふれあいセンター

 時間はいずれも午後7時から、申込不要。希望者は当日直接会場へ。

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イベントの案内チラシ

駅周辺、にぎわう山北 10月13日 イベント二本立て

 鉄道の町・山北をPRするイベント「山北D52フェスティバル」が10月13日、山北鉄道公園周辺で開かれる。午前10時から午後3時。

 会場ではD52の運行やぬり絵・缶バッジづくり体験、D52のふわふわ、手漕ぎトロッコ、スタンプラリーなど企画が盛りだくさん。飲食や物販の出店も多数。鉄道遺産巡りツアーもある。

 このほか、山北駅北側の駅前通りでは「縁joyやまきた」と題し、巨大ボウリング・ライブ・ボッチャ・ガラガラ抽選会などからなるイベントが同時開催。D52運行時間ほか、イベント詳細は町ホームページ。

南足柄市運動公園でマルシェ

 南足柄市運動公園(怒田1734)のトリム広場で10月13日(月)、「南足柄ぱーくマルシェ」が開催される。午前10時から午後3時まで。雨天中止。

 地域を盛り上げ笑顔の輪を広げることを目的にしたイベント。会場では、キーホルダーやアクセサリー作りなどのワークショップや地元キッチンカーのグルメ、スイーツの出店が盛りだくさん。当日使えるサービス券やプレゼントが当たる抽選会も行われる。

 問い合わせは同実行委員会手塚さん【電話】090・8058・8855。

 

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