高津区版【6月6日(金)号】
パレードのルートマップ

高津区民祭 念願「フルスペック開催」へ 7月13日の開催、決まる

 地域における最大規模の催しとして知られる「高津区民祭」が、7月13日(日)に開催されることが発表された。昨年は、急遽決まった衆院選の余波を受け中止となったこのイベント。関係者は「パレードの規模などは(コロナ禍以前の)6年前を目指す」などと話し「フルスペック」での開催に向けて意気込みをみせている。

 高津区民祭は1974年から始まり、来場者数20万人(警察発表)を数える市内でも最大規模のイベント。しかしコロナ禍の影響で2019年の開催を最後に中止を余儀なくされ、ようやく2023年に目玉となる「パレード」の規模や内容を縮小しながら4年ぶりに再開。さらに昨年は初めて秋の開催日程を組み、規模やプログラムをかつてのスペックに近い形にまで拡充することを目指し準備を進めていた。

 だが当時、開催約2週間前に急遽、衆議院選挙が公示され、パレードの出発地点となる「高津スポーツセンター」(二子)が、投票所になることなどからあえなく区民祭自体が中止に。苦渋の決断となった実行委員会は、既に募っていた協賛金について、準備費用を除いた金額を次年度へ繰り越すことなどを確認。コロナ禍以前となる6年ぶりの「フルスペック」での開催に向けて、早くから協議を重ねていた。

コロナ禍以前の規模に

 この程、発表された実施要項によれば、開催日は7月13日(日)(※荒天中止)。主要プログラムの「パレード」(午後3時30分から午後8時)は、コロナ禍前の規模での実施を予定しており、高津スポーツセンター前から大山街道に出て栄橋交差点までの約1・5Kmを神輿やお囃子、マーチングバンドなどが練り歩き、催しに彩りを添える。

区民一丸となり準備

 川崎市内の区民祭は、大半の地域で行政が主体となり行われるのに対し、高津区民祭は町内会、自治会、各種団体等が行政と実行委員会を組織して主催するのが特徴のひとつ。特に「フルスペック」での開催は関係者にとっては「念願」ともいわれており現在、区民が一丸となり準備に取り掛かっている。

実証実験のため先行導入されたキーボックス(写真右)

市立小中学校など 施設貸出に新システム 利便性向上や負担軽減へ

 川崎市は今春、市立小・中・特別支援学校167校で新たな予約システムと無人のキーボックスを連動させた「川崎市学校施設利用システム」の運用を開始した。特別教室などを含めた施設の予約システムや、位置情報を確認できるキーホルダーを導入するのは、全国の自治体で初めて。市の関係者は利用者の利便性向上や学校職員の負担軽減などに期待を寄せている。

 これまで学校施設の鍵は、職員が利用者に直接受け渡しをしていた。学校の受付時間外に貸出対応をするケースもあるなど、紛失のリスクや、教職員への負担が懸念されていたという。

 市は、これを改善し、施設を使いやすくするための取り組みとして、同システムの運用を開始。学校施設開放を実施している市内167校の通用門付近にキーボックスを設置した。

 利用者間で日程などを調整した上で、オンラインで各自が申請。予約が確定すると、キーボックスを開けるための暗証番号が送られてくる。この番号を利用日にボックスに打ち込むことで箱が開き、中に入っている鍵が受け取れる。このシステムを用いて、体育館に限らず、校庭や武道場、特別教室(特別活動室や音楽室など)の予約ができるのは、全国の自治体で初めてだという。

運用1カ月、成果も

 先行で実証実験を行った結果、市民にとっての利便性向上に加え、書類記入や管理、集計、報告作業、利用者からの問い合わせがなくなったことによる教職員の負担軽減の成果が見られた。運用から1カ月ほど経った菅中学校(多摩区)でも、その効果を実感しているという。同校の山本新教頭は「教職員の負担軽減は如実に感じている。働き方改革の面から見てもありがたい」と話す。

 鍵には、管理者が位置情報を確認できる機能が搭載されたキーホルダーが付けられた。これも全国の自治体で初めての試みで、市教育委員会の担当者は「何時に誰が施設を開け、どこに鍵があるのかを全て管理できるため、強い安心を感じている」と力を込める。

 加えて、今までは利用統計などを書類で管理していたが、今回、オンライン管理が可能になり、大幅な紙資源の削減にもつながったという。市担当者は「今後、開放されていない特別教室などのうち、市民利用に対応可能な場所を順次開放し、さらなる学校施設の有効活用を進めていきたい」と展望を語った。

相互協力を

 川崎市では1964年度から、学校施設を市民に開放している。校庭や体育館と比べ、特別教室などの利用頻度が低いことから、施設の有効活用を図るため、22年に市民アンケートを実施した。

 この結果などを踏まえ、24年2月に「学校施設の更なる有効活用に向けた実施方針」を策定。【1】もっと使ってもらう、【2】使いやすくする、【3】みんなで使う、の3つを基本コンセプトとして掲げた。

 今回、オンラインシステムの導入により、利用方法の簡易化などが図られたが今後も引き続き、地域内での「顔の見える関係構築」には注力する方針。市担当者は「日程などを調整する上で、利用者同士が譲り合いながら運営してもらうのが基本的な考え。相互協力のもと学校施設を活用してほしい」と話した。

二子新地エリアを中心に開かれた「黒猫台湾祭り」の発起人を務めた 見吉 勇治さん 瀬田在住 49歳

台湾への情熱を形に

 ○…「台湾の魅力と二子新地という場所を多くの人に知ってもらいたい」――。そんな情熱とともに、地域の仲間たちと始めた「黒猫台湾まつり」。3回目を迎えた今年も、各種企画の提案・実行や出展者、出演者との出演交渉に取り組み、イベントを成功させるために尽力した。催しを無事に終えられたことに安堵しつつも「来年はもっと地域のお店を巻き込み、より多くの人に愛されるイベントにしたい」と、今後の目標を語る。

 ○…前職では、半導体装置の開発・製造を担うエンジニアとして働いており、顧客対応のために1年のほとんどを台湾で過ごしていた。激務の中、口にしたスイーツ「豆花(トウファ)」に魅了され、「この味を日本に伝えたい」という思いを抱く。仕事をしながら現地の職人に弟子入りし、1年かけて技術を習得。会社を退職した翌年に、自身の店舗「黒猫豆花」を二子で開業した。2周年を迎えた際に、台湾の魅力を広めるイベントを開こうとしたことが「黒猫台湾まつり」の原案となった。

 ○…自身の人生を語る上で欠かせないのが、「人との縁」だという。「人生のターニングポイントでは、必ず良い人との巡り合いがありました」と振り帰る。さまざまな出会いが自身を次のステップへと導いてくれたため「今の自分があるのも、これまで支えてくれた人たちのおかげ」と感謝を口にする。

 ○…催しが各メディアに取り上げられ、開催地の二子新地も注目され始めていることに喜ぶ一方、「試みはまだ始まったばかり」として、さらなる発展の可能性を探っている。目標は、二子新地が「リトル台湾」と呼ばれ、日本にいながら異文化を体感できる町として親しまれること。その実現に向け、これからも邁進していく。

優勝に喜びを見せるメンバーら=区少年野球連盟主提供写真

区少年野球連盟会長杯争奪大会 久本ブルーエンジェルスが優勝 気合のプレーで頂点へ

 「第24回 高津区少年野球連盟会長杯争奪大会兼 ジェー・エヌ・エス杯争奪大会」が5月に瀬田球場と諏訪第一球場で開かれ、「久本ブルーエンジェルス」が優勝を果たした。

 高津区少年野球連盟主催、(株)ジェー・エヌ・エスが後援した同大会。地域から12チームが参加し、優勝を目指して競い合った。

 初戦から順調に勝利を重ねた久本ブルーエンジェルスは、決勝戦で昨年の争奪大会覇者の「新作第二少年野球部」と相まみえることになった。

 強敵との対戦に気合いが入った選手たちは、攻守でチーム力を発揮し勝利。表彰台の頂点へ駆け上がった。

 大会の結果は以下の通り。▽優勝/久本ブルーエンジェルス▽準優勝/新作第二少年野球部▽第3位/久地第三レッズ

全力プレーで県大会へ

 久本ブルーエンジェルスの主将・奥田智也さん(6年生)は「昨年は準優勝だったので、優勝を目指して頑張ってきた。結果を残すことができてよかった」とコメント。また「今は、県大会での優勝を目指して練習している。大会では最後まで諦めない気持ちでプレーし、勝利を重ねていきたい」と目標を語った。

川崎高津RCが創立40周年 ホテルARU KSPで記念式典を挙行

 高津区内を中心に奉仕活動を行っている「川崎高津ロータリークラブ」(小山泰介会長)が創立40周年を迎え、5月22日にホテルARU KSP(坂戸)で記念例会を行いました。福田紀彦市長も駆けつけた会場は、クラブのメンバーや関係者の笑顔が溢れ、祝賀ムード一色といった様相。そんな中、挨拶に立った小山会長は、これまでの活動を支え続けてきた各位の協力に感謝の意を述べると共に、今後さらなる組織の発展を誓い、大きな拍手が送られていました。

神奈川県議会 所属委員会決まる

 神奈川県議会で、議案等を専門的かつ詳細に審査する常任委員会、特別委員会の構成がこのほど決まった。

 高津区選出の小川久仁子県議は産業、労働、そのほか産業労働局などの仕事について審査する「産業労働常任委員会」に所属する。また障がい福祉や高齢者支援、人権男女共同参画社会の推進などについて調査する「共生社会特別委員会」にも名を連ねている。

 斉藤尊巳県議は県行政の総合的企画や政策局、総務局、会計局等の仕事などについて審査する「総務政策常任委員会」に所属。また環境の保全に関して、基本的事項の調査審議を行う「神奈川県環境審議会」の委員にも就いた。

 日浦和明県議は議会運営、会議規則や委員会条例に関する事などを協議・審査する「議会運営委員会」に所属。さらに前出「総務政策常任委員会」と、屋外広告物の掲出等について調査審議を行う「屋外広告物審議会」の委員にも就いた。

過去に開催された際の様子=提供写真

子ども対象 お金の大切さ学ぶフェス 高津市民館で6月22日に

 高津区PTA協議会は6月22日(日)、楽しみながらお金について学べる「キッズマネーフェス」を高津区市民会館(溝口1の4の1)の大会議室で開催する。午前10時から午後3時。

 みずほ銀行武蔵小杉支店などが協賛するイベント。電子マネーやコード決済が普及する現代、子どもたちにお金の大切さやビジネスの面白さを体験してもらおうと企画された。

 当日は、紙幣や銀行、証券の仕事について楽しく学べる講座が開かれる。また、ボードゲームを通して会社経営を体験できる講座(要予約)も用意されている。

 担当者は「楽しみながらお金について理解を深めてもらえれば」と参加を呼びかけている。

 参加費無料。会社経営講座の予約は6月11日(水)まで。イベントへの問合せは、担当者r2takatsu2020@gmail.com。

マンホールトイレの構造=市提供

川崎市 マンホールトイレを整備 市内156カ所に

 川崎市は4月末、マンホールトイレの整備などを軸とした「新たな災害時のトイレ対策の考え方」を示した。能登半島地震などの教訓を踏まえ従来の対策から転換。今後トイレの正しい使い方の認知強化に注力する。

 マンホールトイレは、マンホールの上に簡易な便座やパネルを設け、下水道管に接続して利用できる災害時用のトイレ。これまでは汲み取り式の仮設トイレを設置する方針で進めてきたが、マンホールトイレは、汲み取り不要で発災当初からの使用ができ、持続的に使用できる利点などを踏まえ、方針転換を行った。

 整備するのは、市内小中学校などの指定避難所151カ所と川崎区・宮前区を除く5区役所。今年度に基礎調査やパブリックコメントを実施し、2026年度から30年度にかけて整備が完了する予定。

 市危機管理本部は「災害時のトイレ環境の確保は市民の生命、財産を守る上で最重要事項の一つ」と説明する。

既存インフラと連動

 市が方針転換したきっかけは、昨年1月の能登半島地震。発災時の状況に鑑み、道路状況やバキュームカーの台数などを踏まえ、従来の対策で衛生的な環境を保つのは困難と判断した。

 また、マンホールトイレは、下水管の耐震化や応急給水拠点との親和性もあるという。

 市では避難所や重要な医療機関などと水処理センターを結ぶ下水管の耐震化を、26年度の工事完了を目指し実施していた。加えて、学校にある水飲み場など、災害時に誰でも自由に給水ができる「開設不要型応急給水拠点」の整備も進行中。し尿を流すために必要な水源が確保できる状態となっている。市担当者は、「他の都市では水源として学校プールの貯水を使うことが多い。市内にはプールがない学校もある中、開設不要型応急給水拠点の整備が進んでいることは川崎市の大きな特徴」と話す。

 今後は、専用の下水管を新たに地中に埋め、現在耐震化を進めている本管に接続する形で整備を行う。本管が被害を受けていても一定期間使用可能な「貯留型」を中心に採用していくという。市担当者は「避難生活が長期間続く可能性を考えると、ごみが出ず、継続的に使用できるマンホールトイレは優位性が高い」と期待を寄せる。

「宝の持ち腐れ」防ぐ

 今回の方針には、既存の仮設トイレを公園に配備するなど、避難所以外の場所でも災害時に使うことができるトイレ環境の整備を進めていくことも盛り込まれた。

 使用が容易で発災からすぐに使用できる携帯トイレについては指定避難所、市立学校、児童関連施設で、これまでのストックに加えて、新たに2日分の備蓄を確保する。

 さらに、自助・共助への働きかけも強める構えだ。備えることの重要性の発信や使い方などの周知も進めていく。市担当者は「普段のトイレを使えるのが一番良いが、災害時に使えるか否かを判断するには知識が必要。また、市で整備を進めても、実際の使い方を知らないと『宝の持ち腐れ』になってしまう。周知に力を入れていきたい」と話した。

平野選手(左)と福田市長

卓球Tリーグ 平野選手らが優勝報告 木下アビエル神奈川

 川崎区を拠点に活動する、卓球Tリーグ所属の女子プロチーム、木下アビエル神奈川が5月28日、福田紀彦市長を表敬訪問し、2024─25シーズンのリーグ優勝を報告した。

 同クラブは18年の設立で、優勝は今回で2度目。24─25シーズンは19勝6敗の成績でリーグ2位となり、プレーオフトーナメントに進出。決勝で日本ペイントマレッツに競り勝ち、優勝を果たした。

 当日はキャプテンの平野美宇選手、来シーズンから指揮を執る王子嘉樹監督、木下テーブルテニスクラブの河西智典社長らが出席。平野選手は「市民の応援が力になっている。今後も試合に足を運んでほしい」と話した。福田市長は「次はディフェンディングチャンピオンとして、活躍に期待したい」と話した。

國谷涼太氏

今秋の川崎市長選 國谷氏が出馬表明

 任期満了に伴い10月26日に投開票される川崎市長選挙に、國谷(くにや)涼太(りょうた)氏(25)=麻生区片平在住=が無所属で立候補する考えを、5月23日の記者会見で明らかにした。

 國谷氏は大阪府和泉市生まれ。小学生の時に麻生区へ転居し、麻生小学校、麻生中学校、県立多摩高校、早稲田大学社会科学部を卒業。現在は東京都内のコンサルティング会社に勤務している。

 29日に本紙の取材に応じた國谷氏は、「今の川崎は強みを生かせていない。ポテンシャルを引き出し、もっと成長するまちにしていきたい」と出馬理由に言及。子育て世代の定着、規制緩和などによる企業進出、シニアの活躍などを促進する考えを示し、具体的な政策は国の動向を見極め、参院選後に明らかにするとした。「若すぎる、無謀だという意見があるかもしれないが、私には川崎の未来をもっと良くしたいという圧倒的な熱意と覚悟がある」と述べた。

 市長選への出馬意向の正式な表明は國谷氏が初めて。(6月3日起稿)

(写真右)福田市長と篠山選手(写真下)左から篠山選手、北GM、川崎社長

川崎ブレイブサンダース 「来季は上位」意気込み 篠山選手ら市長表敬訪問

 男子プロバスケットボールのBリーグ2024-2025シーズン終了に伴い、「川崎ブレイブサンダース」の川崎渉社長と北卓也GM、篠山竜青選手の3人が6月2日、福田紀彦川崎市長を表敬訪問した。

 長らくチームの要だったニック・ファジーカス選手が昨年引退し、ヘッドコーチが交代して首脳陣が外国人になるなど、今季は大きな変化が続いた。そのため18勝42敗で中地区8位と厳しい成績だったが、5月30日のBリーグ年間表彰式では、各部門の優秀選手として篠山選手が「B1ベストFT成功率賞」を受賞し、チームのキャラクター「ロウル」が、マスコットオブザイヤーに輝くなど、最終盤に明るい話題も聞かれた。

 川崎社長は「シーズン後半に若い選手が加わり、目指すバスケが形になった。敗戦が多くてもポジティブに取り組めたことは来年につながる収穫だった」と前向きに総括し、北GMは「来シーズンは上位を狙いたい」と宣言。主将としてチームを率いた篠山選手は「来シーズンは新体制2年目なので、結果を出さなくては。すでにオフを返上してトレーニングを始めた選手もたくさんいる。引き続きご声援をお願いしたい」と意気込みを語った。

 福田市長はBリーグの「オールスター」に密着したテレビ番組での篠山選手の「活躍」にも触れ、「リーグ戦で強いことも大事だが、ブレイブサンダースの存在が川崎を元気にしてくれる。若い世代のバスケ教室など地域での取り組みもありがたい。来季も色々な意味で活躍をお願いしたい」と感謝を伝えた。

 訪問後の取材では来季の課題について、篠山選手は「強いチームと比べると細かいプレーの質の部分が欠けていた。強くなるために、そこを突き詰めてやっていく」と語り、ファンサービスについても、「川崎の皆さんにもっともっとブレイブサンダースを応援していただけるよう、まだまだやります」と断言した。

<PR>
【LINE読者限定プレゼント】
【LINE読者限定プレゼント】
毎月15名様に抽選で『Amazonギフト券1,000円分』をプレゼント!ギフト券以外のプレゼントもあるかも!是非チェックしてみてください。 (続きを読む)
(上)パプアニューギニアの武具など国内外の仮面や神像を展示する企画展会場(下)岡本が国内外で撮影した写真

岡本太郎美術館企画展 「太陽の塔」地下展示とは 民族学との出合い解説

 1970年の大阪万博のレガシーとして知られる岡本太郎の代表作「太陽の塔」について、文化庁の文化審議会が5月16日、重要文化財への指定を答申した。これに先立ち川崎市岡本太郎美術館(多摩区)で開催中の企画展「岡本太郎と太陽の塔-万国博に賭けたもの」では、「太陽の塔」の足元の地下展示に焦点を当て、民族学的な観点から岡本が「塔」に込めたメッセージをひもといている。

 岡本太郎の「太陽の塔」は、55年前に大阪府吹田市で開かれた大阪万博のテーマ館として建設された高さ約70m、基底部の直径約20mの構造物。大阪万博で「テーマ展示プロデューサー」を任された岡本は、工業化・近代化を礼賛する従来の万博に否定的な立場から、「塔」を中心とするテーマ展示を構想した。

 岡本太郎美術館では大阪市で開催中の関西万博にあわせ、「太陽の塔」の足元の地下展示に焦点を当てた企画展を開催中だ。2000年に開かれた「太陽の塔からのメッセージ展」では展示できなかった地下展示に焦点をあてている。

なまなましい実感

 岡本は地下展示を考えるうえで、「過去-根源の世界」をテーマに据えた。その狙いを自著でこう述べている。「人間が(略)どのような手ごたえで生をたしかめてきたか、そのなまなましい実感をつきつけたい」

 イメージを具体化するため、東京大学や京都大学の学生約20人を47の国や地域に派遣し、神像や仮面、生活用具などの民族資料約2600点を収集。それらを「塔」の足元の地下空間に配置し、生活の知恵や神聖なものへの祈りを表現した。

 今回の美術館の企画展では、当時の地下展示のイメージを基に国内外の仮面や神像を展示しつつ、パリ時代の民族学との出合いや、国内外の習俗を知るための取材旅行で撮影した写真や論考を展示。「塔」の構想スケッチや制作現場の記録映像なども見られる。日本工業大学(埼玉県宮代町)のプロジェクトチームが7年がかりで制作した、「塔」を追体験できるVR作品「甦(よみがえ)るVR太陽の塔」の上映もある。

 担当学芸員の喜多春月さんは「岡本は従来の万国博とは異なるものを目指したが、その背景となったのが民族学との出合い。パリでの学びや国内外でのフィールドワークが、どのように『塔』につながるかをご紹介している」と話す。企画展は7月6日(日)まで。

高津市民館で開かれた金賞受賞者らの表彰式の様子。前列中央は応援サポーターで俳優の風間トオルさん

健幸福寿プロジェクト 計459人の要介護度が改善 10期の参加者募集中

 川崎市独自の介護施策である「かわさき健幸福寿プロジェクト」が今夏で10期目を迎える。第8期までに2千以上の事業所と3千人以上の高齢者がプロジェクトに参加して状態の改善に挑み、459人の要介護度が改善した。

 「かわさき健幸福寿プロジェクト」は、要介護度の改善と維持に積極的に取り組んだ市内の指定介護保険事業所(介護サービス事業所)を応援するため、市が報奨金などで支援する制度。要介護認定で1から5の状態にある利用者(高齢者)が、事業所と共に一定の取り組みを続け、要介護度が改善した場合に利用者本人を表彰し、事業所に報奨金を贈る仕組みだ。

 プロジェクトが本格スタートした2016年から、集計が完了した第8期までの参加業所数は延べ2355カ所で、参加した高齢者数は市内の介護サービス事業所を利用する3393人だった。

 第8期の参加者551人のうち要介護度が改善したのは85人で、高齢者の身体機能を測る指標「日常生活動作」(ADL)が改善した人は6人だった。改善した利用者を支える各事業所が対象となる報奨金は、延べ219事業所に贈られた。

杖なしで歩きたい

 第8期に要介護度が改善して「金賞」を受賞した黒木則行さん(77)のケースでは、脳出血の影響で左手足に麻痺や感覚障害が残ったため2022年1月に「要介護4」と認定されたが、本人が「杖なしで歩きたい」と強く希望した。介護支援専門員や福祉用具専門相談員、理学療法士などがチームケア体制を整えて黒木さんのリハビリをサポートした結果、杖は欠かせないものの毎日1時間ほどの歩行が可能になった。

 23年10月には「要介護2」と2段階の改善がみられ、金賞受賞後も「同窓会に参加する」などの目標を設定し、チームケア体制でリハビリに励んでいるという。

 市では今年7月から来年6月までの第10期の参加者を募集中だ。介護サービス事業所が利用者の希望と意志を確認のうえ、オンラインまたは書面で市に申し込む。市の担当者は「介護の現場を応援するプロジェクト。多くの事業所に参加してほしい」と話している。

 問い合わせは市高齢者事業推進課【電話】044・200・2454。

水道管の更新工事=川崎市提供

京都の冠水事故受け 川崎市 水道管調査「異常なし」

 川崎市は4月に京都市で発生した水道管の漏水事故を受け、老朽化した水道管の緊急調査を実施した結果、異常は確認されなかったと発表した。

 今年4月30日、京都市の中心地で地中に埋設された鋳鉄管(ちゅうてつかん)(水道管)から漏水し、大規模な冠水事故が起きた。この事故は66年前に埋設された水道管が破損し、穴が空いていたことが漏水の原因とみられることから、国土交通省は5月7日、「緊急輸送道路下に埋設されている鋳鉄管の緊急調査」の実施を全国自治体に要請した。鋳鉄管は、昭和30年代までに採用されていた水道管で、現在の「ダクタイル鋳鉄管」に比べ、素材が衝撃に弱いという。

 市はこれを受けて5月13日から21日までの間、緊急輸送道路の下に埋設されている鋳鉄管を対象に、地表への漏水や路面の段差などの異常の有無を、目視で確認。その結果、異常は確認されなかったという。

 市では地震時に破損などの被害が想定される鋳鉄管を「老朽管」と位置づけ、優先的に更新工事を進めてきたという。市内の水道管総延長約2500Kmのうち、2023年度末の時点で約10Kmの「老朽管」が残っており、今回はこのうちの計4Kmを緊急調査の対象とした。

綱引きのイメージ

生田緑地で国際フェス 「言葉超えた多文化交流」 グローバル運動会など

 スポーツやワークショップを通して異文化交流するイベント「生田緑地国際スポーツ&カルチャーフェスティバル ウィズTAROマルシェ」(スポカルフェス)が6月8日(日)、生田緑地(多摩区)で初めて開催される。川崎市の外国人市民代表者会議で委員長を務めたスリランカ人男性と、英会話教室を営む日本人男性がタッグを組み、川崎の「新しい祭り」を目指している。

 「スポカルフェス」は、5万人以上の外国人が暮らす川崎で、スポーツや文化、「食」を通じた異文化交流の場を創出する試み。多国籍編成のチームで綱引きや玉入れを競う「グローバル運動会」と、さまざまな国の文化体験ができるワークショップ、子どもたちのダンスや外国のパフォーマンスが見られるステージなどがある「カルチャーフェスティバル」の二部構成で、諸国の食が楽しめるキッチンカーも出店する。

 多摩区内で英会話教室を営む高部真生さんと、高津区在住のペレーラ・ラヒルサンケータさんが企画。「リアルな異文化交流の場を作りたい」と考えた高部さんが、知人を介してペレーラさんと知り合い、今年1月から2人で準備を進めてきた。

 「言葉の壁を超えて楽しむ場にしたい」と高部さん。ペレーラさんも「大いに盛り上げて川崎の新しいお祭りにしていきたい」と意気込む。

 会場は生田緑地内の岡本太郎美術館に隣接する広場。運動会は午前10時〜11時半、カルチャーフェスは午前11時〜午後5時。問い合わせは運営チーム【電話】080・9007・0309。

GO!GO!!フロンターレ

スポーツ教室で楽しく体を動かそう!

 中学生以下を対象としたスポーツ教室イベントが6月8日(日)、Anker フロンタウン生田で開催される。

 「Anker フロンタウン生田 キッズスポーツフェスタ2025 supported by SOMPOひまわり生命」と銘打ち、今年も20種類以上のブースを開設。子どもたちに多種多様なスポーツを体験できる機会を提供する。

 SPARTAN KIDSブースでは、走りながら障害物をクリアするスパルタンレースを体験できる。実際のレースに出場している講師とともに、体を動かそう。ラクロス体験では、川崎ファルコンズの選手とパスやシュートに挑戦できる。

 ほかにも、ストリートテニス体験や、足や腕に切断障がいのある人がプレーする、アンプティサッカー体験等、ブースが盛りだくさん。

 時間は午前10時〜午後1時。参加無料。雨天時は内容変更の可能性あり。詳細・問い合わせは同所【電話】044・328・5771。

不定期連載 市民健康の森だより 第187回 「土の利用方法」レクチャーしました!

 2週間前に当欄で紹介した「三菱プロジェクト」で計画していた「土利用教室」、5月25日日曜日に1回目を開催しました。当日は前日夜から雨が降り、予報も芳しくなかったのですが何とか9時頃には雨は上がり開催出来ました。小学校3年から6年生を区役所地域振興課に区報を使って募集して頂き、19名の応募がありました。受け入れ人数は10名でしたのでやむなく抽選しました。募集要項には子供だけでの参加も可、但し申込みは保護者から、としていました。当日は小学生8名が来てくれましたが保護者付き添いも6組ありました。小学3,4年生だと単独参加は保護者も心配になるのでしょう。保護者が付き添ってくれるのは受入れ側としても歓迎です。

サツマイモや花の苗の植え付け作業を教室形式で伝授

 当日の講師を務める当会副会長の司会によって地域振興課担当者が開校挨拶、当会会長の挨拶後、講師が準備したパンフレットを基に土利用教室全体の説明、当日の内容が説明されました。講師は現役時代、小学校の先生を長年務めましたので小学生向けの説明はお手の物です。作業はサツマイモの苗植えから手入れ、収穫までを体験してもらう予定です。当日の苗植え後、7月27日にサツマイモの「つる返し」をメインに2回目、10月中旬に最終回として「親子サツマイモ堀体験」に参加してもらう予定です。

 春日台へは初めて来たという子も多く、最初に春日台を紹介がてら案内しました。都会の中に残る自然とグラウンドなどが融合した春日台を見てもらいました。

 当日の作業はサツマイモが育つ過程を説明した後、苗の植え方を指導、見本を見せてから2人1組で1畝分の苗を植えてもらいました。最後の作業はこの教室向けに作った花壇への花苗植えです。サツマイモ畑の上、グラウンド寄りの場所の花壇に花苗を植えてもらいました。サツマイモの苗植えと花苗植え、子供達には十分に「土を利用して」もらえました。

不定期連載コーナー SELFフレンドシップ(船)へようこそ! Vol.29 「諏訪自転車同好会」について

 今回は、「諏訪自転車同好会」さんをご紹介いたします。

 高津区諏訪を拠点に活動する諏訪自転車同好会は、会長の鈴木昭徳さんが以前、東高津小学校PTA会長を務めたのですが、会長退任して手持ち無沙汰の時、

当時のPTA役員仲間で北見方在住のトライアスリート富永充昭さんに自転車に誘われたのがきっかけ。

 8年前に半信半疑でロードバイクを買いましたが、思いのほか、のめり込み、即幼なじみの佐保田隆さんを巻き込んで、諏訪自転車同好会を創設。自転車の魅力を仲間に伝え、今では諏訪の枠を超え、メンバー総勢18人に!みんなでワイワイ、たまにレースやイベントにも参加している同好会にSELFも仲間に入れてもらいながら、栄養・トレーニングの助言などメンバー達のトレーナーとしても関わらせてもらっています!

 SELFは、これからも楽しい仲間達のケアもしながら、有意義な時間を共に過ごしていきたいと思います。これからもよろしくお願いします!

【追伸】

同会では現在、会員を募集中!「体を動かした後の美味しいご飯とお酒は格別ですよ」と、参加を呼び掛けています。興味のある方は、SELF事務局(【電話】044-833-2555)までお気軽にご連絡ください。