鶴見区版【6月19日(木)号】
短時間預かりのイメージ

横浜市 全国初、短時間預かり始動 子育て支援でモデル事業

 横浜市は2025年度、全国初の「短時間預かり」の新設に向けたモデル事業を開始する。急な用事やリフレッシュ時に短時間子どもを預けられる制度で、既存の一時預かりでは対応しきれなかったニーズに応え、「預けやすさ」と「安心」の両立を目指す。

 横浜型短時間預かりは、既存の一時預かりの予約枠が就労など定期的な利用で埋まり、急な用事やリフレッシュといった非定期の利用がしにくいという課題に対応するもの。また、子どもを預けることへの抵抗感や不安感から利用をためらう声も多く、こうした状況を踏まえ、商業・集客施設等での短時間預かりや、イベント時の短時間預かり実施補助など、自治体では初となる事業を通じて「預けやすさ」と「安心」を両立し、多くの人が希望する時に活用できる一時預かりの充実を図る。

 モデル事業となる今年度は、大規模な商業・集客施設、イベント会場、地区センター(5カ所程度)、市庁舎アトリウムなど、利用しやすさに配慮した場所での実施が予定されている。利用料金や利用時間、対象年齢などの詳細は現在検討・調整が進められており、確定次第、子育て応援アプリ「パマトコ」などで周知される予定だ。

 同時に、事業に伴う「横浜型短時間預かり認証制度」も新設される。事業が飲食の提供や午睡を伴わない短時間(2〜3時間程度)の預かりという、これまでにない形態となるため、市が設ける独自の基準を満たした施設や事業者を認証することで、安心して利用できる環境を整備する。

来年度本格実施に向け

 モデル実施を通じて、利用実績や保護者、子どもへのアンケートなどを分析・検証し、26年度の本格実施に向けた認証基準の策定など、事業の制度設計につなげていく方針だ。市こども青少年局企画調整課の霧生浩司課長は、身近な場所に「安全・安心」で「使いやすい」預かりの環境を整え、子どもにとっても楽しめるプログラムを用意していくとし、「子育ての中で、必要なときに『預ける』ということも、ぜひ選択肢のひとつとして考えてみてほしい」と呼びかける。

支援ステーションとなるテント

東寺尾北部町内会 在宅避難支援で初訓練 町会独自の取組みで備え

 東寺尾北部町内会が6月1日、災害時の対策として独自の「在宅避難者支援ステーション」訓練を初めて実施した。防災拠点ではなく在宅避難を選択した住民の被害状況などの情報収集、救援物資の配布等を目的とする。同町内会の松本真治会長は「地域で準備を進めながら、在宅避難のための備蓄の大切さを今後も呼びかけていきたい」と話している。

 約1200世帯が暮らす同町内会が独自に準備を進める「在宅避難者支援ステーション」は、災害発生時に町内会内の5カ所に簡易テントやテーブルを設置し、在宅避難者の被害状況やニーズの確認、救援物資の配布のほか、停電時の携帯充電用の電源の提供や情報提供などを行う。

 同所設置を進める背景には、同町内会の地域防災拠点である東台小学校の収容人数が限られていること、また学校まで少し距離もあることから、災害時に在宅避難を選択せざるを得ない住民が多数にのぼることが想定されるため。町内会では日頃から住民に在宅避難に備えた飲料水や非常食、トイレパック等の備蓄を呼びかけているが、不足することも予想して5カ所ある防災倉庫に分散して飲料水などを保管している。

 そして、更なる支援として区の補助金を活用した同所の設置を昨年4月から検討。簡易テントやテーブル、のぼり旗を購入し、今年5月にもポータブル電源などを追加して防災倉庫に配備した。また、長期の停電も想定し、町内会館に太陽光パネルと蓄電池を設置し、給電を可能としている。

 今回の訓練は消火訓練と一緒に行われ、地域住民ら32人が参加。町会役員がテントを設置し、参加者らに同所の役割や備蓄の大切さなどを説明した。参加者からは「防災備蓄を考えるきっかけになった」「自宅の近くでこのような活動があると、とても安心する」などの声が聞かれた。

 同町内会の松本会長は「災害が起きたら『とりあえず防災拠点に』との考えの人が多いが、収容人数は限られているので在宅避難が重要になる。在宅避難でも隣近所で助け合い、情報交換していく大切さを今後もみんなで考えていきたい」と話した。

横浜産野菜などの地産地消イベント「生麦大収穫祭」を企画した 香取 深雪さん 岸谷在住 43歳

「地域団らん」が活力の源

 ○…地産地消の案内人とも呼ばれる「はまふぅどコンシェルジュ」を務め、横浜産野菜などに親しんでもらう機会にと「生麦大収穫祭」を企画。日頃は鶴見区内を中心におむすびの移動販売を行う「まんてん おむすび屋」を営む。「生麦のマルシェに出店させていただいている繋がりで皆さんに相談し、背中を押してもらった。地域の方々に横浜産食材の良さを知ってもらう機会になれば」と笑顔で話す。

 ○…静岡県の浜松生まれで、中学生の頃に鶴見へ。昔から1つのことに集中するのが好きで学生時代はテニス一筋。「今も右腕の筋肉だけすごいです」と笑う。高校卒業後に就職を志すも、当時はいわゆる就職氷河期。「なかなか働き先が見つからず、知人の紹介でアパレルで働き始めました」。人生の大きな転機となったのは、2人の子どもを抱える中で起きた東日本大震災。子どもたちのために近所で働くべきと考えて、鶴見に戻り弁当屋のスタッフに。そこで出会ったおむすびの味に感動して、この道で行くことを決意。作り方を伝授してもらい、実家に厨房を改修して「おむすび屋」を目指した。

 ○…移動販売などの活動を始めたのは3年前から。試行錯誤を重ねながらマルシェにも出店するようになり、今では毎週末の各地のイベントへの出店予定がびっしり。「寝不足で大変な時もありますが、ラーメン屋を巡ってエネルギーを摂取しています」と笑う。

 ○…各地での出店を通じて様々な人との交流が増え、今では小学校の総合学習や子ども食堂にも協力するなど活躍する。「鶴見は濃い人が多くて人と関わることがとても楽しくなった。家族団らんに憧れて生活してきましたが、今では『地域団らん』で活動できることが何より楽しいです」

電子図書館を紹介する高木さん

市立東高校 市立高初の電子図書館導入 小説や参考書など70冊

 市立東高校で6月3日、学校の図書をパソコンなどで閲覧できる「電子図書館」が、横浜市内の市立高校で初めて導入された。

 まずは小説や参考書など70冊のほか、オーディオブックなども導入。生徒は用意されたIDを入力することで利用でき、すでに多くの生徒が活用しているという。同校司書の高木好花さんは「東高校は図書視聴覚室が5階にあり、生徒たちから『行くのが大変』などの意見があった。パソコンなどで気軽に読めることで、生徒たちが本に触れる機会を増やすきっかけになれば」と話す。

 生徒からは「借りるのも手軽で、自動で返却してくれるので便利」と好評で、今後さらに蔵書を増やしていく。高木さんは「電子図書館から本に興味を持ち、図書室まで足を運んでくれたら嬉しい」と話している。

在宅避難の備え学ぶ 7月12日に無料講習会

 ペット防災などの普及啓発に取り組む団体「鶴見レスキューパウズ」主催の講習会「一緒に学ぼう 意外と知らない在宅避難の備え」が7月12日、鶴見駅前ホール=豊岡町3の28=で行われる。

 講師は認定NPO法人かながわ311ネットワーク専務理事の谷本恵子さん。「備蓄はちゃんとしたけれど…」「停電になったら」などの不安に対し、大切な家族や自分を守るための在宅避難で必要な備えを学ぶ。

 午後2時から4時まで。参加無料。定員先着35人。対象は区内在住・在勤者。申込は7月5日までに同団体の安岡さん【携帯電話】090・4220・3536に連絡、または左記二次元コードの申込みフォームから。

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7月1日火曜日は「ミューザの日 」。開館記念日コンサートや1日親子で楽しめるイベントが盛りだくさん
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ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市幸区)では開館記念日となる7月1日(火)に、地域交流イベントとして多彩な催しが今年も開催される。オーケストラに触れてみ... (続きを読む)

戦争体験者による座談会 歴史の会による終戦80年企画

 太平洋戦争の終戦から今年で80年。区内在住の戦争体験者たちによる座談会「いま語り合う 私の戦争体験」が7月5日、鶴見中央コミュニティハウスで開かれる。鶴見歴史の会の主催。現在、参加者を募集中。

 当日は、戦争を体験した4人をパネリストに迎え、体験談のほか、改めて平和の大切さや有難さを語り合う。

 会場は同館レクリエーションホール。午後2時から4時ごろまで。参加費300円。申込み不要、直接会場へ。

 問合せは同会・東海林さん【電話】045・581・0372もしくは平石さん【電話】045・581・1280。

参加を呼び掛ける香取さん

地元食材で地産地消楽しむ 生麦駅西口で22日にイベント

 横浜産野菜の詰め放題など、地産地消を家族で楽しめるイベント「生麦大収穫祭」が6月22日、京急生麦駅西口で開かれる。岸谷商栄会の主催。

 この企画は横浜の食と農をつなぎ、地産地消を広める活動を行う「はまふぅどコンシェルジュ」の資格を持つ香取深雪さん=中面「人物風土記」で紹介=が企画。今回で2回目の開催。

 初回は2年前に実施。香取さんも参加する「生麦de日曜マルシェ」のメンバーに「地産地消を推進するイベントを行いたい」と香取さんが相談し、同マルシェのメンバーと協力したコラボレーション企画として実現した。

 今回の目玉は横浜産野菜の詰め放題(1回500円・なくなり次第終了)。品目は当日の仕入れによって変わるが、旬のジャガイモやにんじんなどが並ぶ予定だ。

 そのほかにも、市内産の卵を使用した焼き菓子や横浜小麦を使ったパン、市内産穴子を使った押し寿司などがずらり。玉ねぎの皮や紫キャベツでハンカチなどの染め物を作ったり、レンコンやピーマンの断面でスタンプを作るワークショップなども開かれる。香取さんは「親子でも楽しめるように様々な企画を用意しました。ぜひ気軽に足を運んでもらえたら」と呼び掛けている。

 午前11時から午後4時まで。小雨決行・荒天中止。(問)香取さん【携帯電話】070・3982・1245

ベトナムの今と伝統学ぶ 参加者を募集中

 現代のベトナムと伝統的なテト(旧正月)などを学ぶ国際理解講座が7月20日、鶴見区福祉保健活動拠点で開かれる。NPO法人こんにちは・国際交流の会の主催。

 当日は同会の日本語教室に通うチンさんが、同国の文化や社会の変化、IT技術などを語る。

 午後1時30分から3時30分まで。先着40人。参加無料。

 申込は、はがきに氏名、住所、連絡先、メールアドレスを明記し、〒230-0051鶴見区鶴見中央4の37の37リオベルデ鶴声2F鶴見区福祉保健活動拠点内NPO法人こんにちは・国際交流の会まで。

犯人役を取り押さえる警察官たち

JR鶴見駅でテロ対応訓練 警察や消防、駅員らが連携

 JR鶴見駅で6月11日、3者合同テロ対応訓練が行われた。

 これは、8月に横浜で開催される第9回アフリカ開発会議に備え、JR東日本川崎統括センターと鶴見警察署、鶴見消防署の3者合同で実施し、連携強化と対応力向上を目的としたもの。

 訓練には約100人が参加。通勤時間を過ぎた頃、鶴見線の鶴見駅到着直前に刃物を用いた傷害事件が発生したという想定。犯人は2人組で、車内で1人が刃物を振り回しながら大声で叫び、逃げる乗客を切りつける状況で、駅員が乗客を避難誘導しながら、さすまたでけん制した。

 そして、駆け付けた警察官が犯人を取り押さえ、消防救護班が負傷者の治療や搬出を行った。

 また、液体らしきものの入った容器が危険物の可能性があるとして、神奈川県警のNBCテロ対応専門部隊も出動して、容器を慎重に処理した。

 訓練後に鶴見警察署の中西実署長は講評で、「駅のような人が多く集まる所はテロの対象になりうる。今回の合同訓練は貴重な経験で、今後も連携を強化していく」と話し、鶴見駅の折笠晃大駅長は「お客様の足として、電車を安心して利用いただくためにも今回の訓練が対応力の向上や、3者の顔の見える関係もできて良い経験となった」と語った。

三ツ池で下草刈り体験 里山の再生をめざして

 県立三ツ池公園で7月13日、「雑木林の下草刈り体験」が行われる。

 「よみがえれ里山」をテーマに、園内丘の上の広場周辺の下草を刈って林庄植生の多様化を目指す。「三ツ池公園の環境保護の活動にぜひご協力ください」と同園。

 午前9時から11時。先着20人(小学生以下は保護者同伴)。軍手、タオル等持参を。参加無料。雨天中止(暑さ指数が高い場合も同様)。

 7月12日申込み締切。問合せは同園パークセンター【電話】045・581・0287。

涼しげな寄せ植え作り 末吉地区センターで講座

 末吉地区センターで7月3日、講座「涼しげな夏の寄せ植え」が開かれる。白や青の花を基調に「涼」を感じる寄せ植えを作る。

 午前10時から正午。成人対象で定員12人。参加費2200円。申込は窓口と電話で受付中。(問)同館【電話】045・572・4300

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あいさつする中村会長

「安心して過ごせるまちに」 区防犯協会が総会

 鶴見区防犯協会(中村壽晴会長)は6月4日、鶴見公会堂大ホールで総会を開いた。

 防犯パトロールや年末年始の特別警戒のほか、区民への安全意識の普及啓発、暴力排除活動、少年非行防止活動の推進など、様々な活動で安全・安心のまちづくりに寄与する同協会。

 総会には警察関係者のほか、鶴見消防署の阿部英弥署長らも来賓で参加。昨年度の事業報告や決算・監査報告のほか、今年度の事業計画案などが決議された。

 あいさつに立った中村会長は「区民が安心して過ごせるように、各連合会の防犯指導員が中心となってまちの安全を確保することができたら」と語り、「防犯力向上のため、それぞれの地域での集まりの際に防犯情報を積極的に共有するようお願いします」と参加者らに呼び掛けた。

あいさつする赤川顧問

「協力し、苦境乗り越える」 鶴見遊技場組合が総会

 鶴見遊技場組合(松本相基組合長)の総会祝賀会が6月13日、萬珍樓本店=中区=で行われた。

 区内のパチンコ・パチスロホール店舗が加盟する同組合。当日は会員のほか、神奈川県遊技場協同組合の伊坂重憲理事長など多くの来賓や関係者らが参加した。

 総会では、次年度の活動方針や社会貢献活動の内容などについて確認した。

 祝賀会であいさつに立った赤川順一顧問は「業界は厳しい状況にあり、苦しい時代を迎えている。県内で一番歴史のある遊技場組合として、責任を持ちながら組合員同士で協力していきましょう」と呼び掛けた。

 また、同組合が長年支援している(公社)神奈川被害者支援センターと鶴見警察署少年補導員連絡会から感謝状の授与が行われ、松本組合長に対して感謝の言葉も送られた。

KINGカズ、三ツ沢凱旋 公式戦では4年ぶり

 ニッパツ三ツ沢球技場で6月15日に行われたサッカーJFL第12節YSCC横浜対アトレチコ鈴鹿で、鈴鹿所属のカズこと三浦知良選手が後半37分から途中出場=写真。JFLの最年長出場記録を58歳109日に更新した。

 横浜FCから同クラブに期限付き移籍中の三浦選手。公式戦の三ツ沢でのプレーは2021年5月5日以来約4年ぶり。

 三浦選手は得点こそなかったが、短いプレー時間の中でボールを追いかけるなど積極的にプレー。出場時間以外でもチームメイトを盛り上げるなど、2対1での勝利に貢献した。

昨年制作した壁画と服部委員長

小野町 アーティストや壁面を募集 10月のアートプロジェクトに向け

 JR鶴見線の鶴見小野駅周辺で、アートによるまちのにぎわい創出を目指すフェス「鶴見パブリックアートプロジェクト」が今年も10月に開催されることが決まった。実行委では現在、まちの中で壁画を描いてくれるアーティストや壁面を提供してくれる人を募集している。

 同プロジェクトは、アーティストとの作品づくりや交流を通して、住民主体の持続可能なまちづくりに取り組むもの。小野町通り共栄会や住民有志で実行委員会を作り、2021年からイベントを実施してきた。そして、さらに取組みを広げるために昨年から地域の壁面やフェンス、シャッターなどにアーティストが壁画を描き、まちの景観に変化を起こす企画を実施してきた。

 今年は、地域内で10カ所程度の壁画制作を予定。アーティストにはペンキなど材料を提供。制作費はなし。9月に壁面提供者とのマッチング会を行い、場所などを決める。壁面提供は可能な限り無期限、長期での提供を希望(原状回復応相談)。無償提供。

 実行委の服部宏昭委員長は「家の壁やお店のシャッターなどに絵を描いてほしい人、描きたい人を募集しています。ぜひご協力ください」と呼び掛けている。8月31日締切。詳細問合せは服部委員長【電話】045・521・7580。

福山敦士氏

横浜市長選 会社経営・福山氏 出馬へ 36歳、ビジネス教育訴える

 任期満了に伴う横浜市長選(7月20日告示、8月3日投開票)に会社経営者の福山敦士氏(36)が無所属で出馬することを6月12日に表明した。

 福山氏は緑区(現在の青葉区)出身。慶応高時代は野球部で、2005年の選抜大会に出場。11年に大手IT企業へ入社し、その後に独立してマーケティング会社などを経営。

 現在はプロ野球独立リーグの「香川オリーブガイナーズ」のオーナーを務める。

 12日の記者会見で、「子どもたちのために、学ぶことと食べることを行政のサポートでやりたい」と語り、市立校でのビジネス教育実践や自校調理方式の中学校給食の段階的導入のほか、「横浜証券取引所」の設立などを政策として掲げた。

 今回の市長選への出馬表明は福山氏で5人目。

当時の状況を語る黒岩知事、阿南さん、堀岡さん(左から)

コロナの「最前線」描く 横浜港舞台の映画公開

 映画「フロントライン」が6月13日から全国公開された。物語の舞台は2020年2月3日に横浜港に入港し、その後日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船・ダイヤモンド・プリンセス号。未知のウイルスに最前線で挑んだ人々の姿を事実に基づき描く。

 後援する神奈川県医師会は5月29日、キノシネマ横浜みなとみらいで試写会と座談会を行った。神奈川県立病院機構の理事長で映画製作の総監修を務めた阿南英明さんや黒岩祐治神奈川県知事らが登壇した。

 集団感染の発生時、阿南さんは災害派遣医療チーム「DMAT」の統括として対策本部で指揮を執った。映画では小栗旬さんが演じる。「その後の3、4年にわたるコロナの幕開けのストーリー。当時はとんでもない状況で、どんなに苦しくても乗員乗客約3700人全員が下船すれば終わりだと考えるしかなかった」と振り返った。

 また、当時は厚生労働省医政局の立場で阿南さんらと対応にあたった堀岡伸彦さんは「映画でフィーチャーされている人以外にも、逃げなかった多くの人がいたと知ってほしい」と話した。

 県はその後、ダイヤモンド・プリンセス号での医療的経験を生かし、全国に先駆けて医療提供体制「神奈川モデル」を作成した。黒岩知事は「人のネットワークとコミュニケーションが危機を乗り越えるパワーになった。次に同じようなことがあってもみんなで立ち向かっていくという思い」と語った。

 企画・脚本・プロデュースの増本淳さんから阿南さんに取材の依頼があったのは20年の春。そこから取材を進め、メモは300枚にも及んだという。阿南さんは「5年経った今だからこそ表現できることも。次世代へのメッセージを残していけたら」と話す。

6〜8月号の表紙

文化芸術情報を一冊に 県内イベントを紹介

 神奈川県は、県内の魅力的な文化芸術イベント情報をまとめた冊子、「イベントカレンダー」の6月〜8月号をこのほど発行した。

 文化芸術の魅力で人を引き付け、地域のにぎわいをつくり出すマグネット・カルチャー(マグカル)の取組みを推進している県が発行する冊子で、毎号、県内文化施設の公演や展示情報などがカレンダー形式で紹介されている。今号の特集は鬼太鼓座の和太鼓奏者、木下直人さんのインタビューや、藤沢市内でアートめぐりが楽しめる冊子「ふじさわパブリックアート散歩」を紹介。チケットが当たるプレゼントも実施している。

 冊子は県内各文化施設や一部の商業施設、自治体等で無料で受け取ることができる。

完成した「横浜ティンバーワーフ」(横浜市提供)

臨港パークに新複合施設 2025年10月オープン

 西区みなとみらいにある臨港パーク内にカフェ・レクリエーション施設「横浜ティンバーワーフ」が2025年10月に開業する。新施設は、同パーク北側の潮入りの池付近にあり、施設は完成している。

 この施設は、地域のにぎわいづくりを目的に作られたもの。横浜市港湾施設条例に基づき、民間事業者が港湾緑地に便益施設などの設置を可能とする設置等許可制度を受けて整備された。

 全3階建てで、延床面積が1568・66平方メートル。施設周辺の緑との調和を意識し、外観を木であしらった建物となっている。株式会社ドラフトの代表で建築家・デザイナーの山下泰樹氏が建築デザインを手掛けた。運営は、同社が代表企業を務める臨港パークプロジェクトチームが行う。

 1階は、キッチンを有するベーカリーカフェ、2・3階はレストランやウエディング施設が出店。ランナーなど同パークでアクティビティを楽しむ利用者に対し、手荷物の預け入れや着替えの場所を提供する。

 また、同施設を拠点に、緑地を活用した健康増進やにぎわいづくりの多彩なイベントが年間を通じて開催される予定。

感謝状を受け取る関係者ら

横浜市、脱炭素化へ 協力事業者28者に感謝状

 横浜市は6月6日、2050年の脱炭素社会の実現に向けて2024年度に実施した横浜市の再エネ推進事業などに協力した28事業者に感謝状を贈呈する式典を行った。

 市は東北、北関東の自治体と連携協定を連結し、市内事業者がそれら市町村の再生可能エネルギー資源を活用する取り組みを実施。そのほか、神奈川県と連携し、市内事業者が再エネに切り替えるきっかけを提供するなどしている。

 式典では、再エネ電気への切り替えや横浜市風力発電所(ハマウィング)=神奈川区=を支援する事業者を表彰。平原敏英副市長は、出席した事業者に感謝状を手渡した。横浜市の担当者は「環境保全を優先していただいている皆さまには、感謝の気持ちでいっぱい。今後も地球温暖化対策などの取り組みを広げていければ」と話す。

 

対象施設を示すロゴマーク

横浜市民の涼み場所を開設 熱中症対策に

 横浜市は熱中症予防の一環として、市民が外出時に一時的に暑さをしのぐ場所「クールシェアスポット」を開設した。

 クールシェアは、東日本大震災後の電力不足への取り組みとして2011年に始まった考え方。環境保全の観点から、各家庭で冷房を使用するのではなく、施設などに集まり涼しさを共有することで節電につなげる取り組み。政府は熱中症対策として各自治体に誰もが涼める場所の設置を呼び掛け、横浜市でも取り組みが進められている。

 健康管理や適切な室内温度調節、気温が著しく高い状況で外出を控えるなどの熱中症対策が基本だが、市は市民が外出せざるを得ない状況があることを考慮。公共施設などを開放し、気軽に休めて涼しさを共有できるクールシェアスポットの設置に取り組んでいる。

 今年は5月30日時点で528カ所が取り組みに協力。10月22日(水)まで、一時休憩場所として市民らを受け入れる。協力施設は、横浜市のウェブサイトにあるグーグルマップで確認。

福山敦士氏

横浜市長選 会社経営の福山敦士氏が出馬表明 36歳、ビジネス教育訴える

 任期満了に伴う横浜市長選(7月20日告示、8月3日投開票)に会社経営者の福山敦士氏(36)が無所属で出馬することを6月12日に表明した。

 福山氏は緑区(現在の青葉区)出身。慶応高時代は野球部で、2005年の選抜大会に出場。11年に大手IT企業へ入社し、その後に独立して、マーケティング会社などを経営。現在はプロ野球独立リーグの「香川オリーブガイナーズ」のオーナーを務める。

 12日の記者会見で、「子どもたちのために、学ぶことと食べることを行政のサポートでやりたい」と語り、市立校でのビジネス教育実践や自校調理方式の中学校給食の段階的導入のほか、「横浜証券取引所」の設立などを政策として掲げた。

 今回の市長選への出馬表明は福山氏で5人目。

6月2日に横浜港に入港した「飛鳥III」(横浜市提供)

「飛鳥III」 6月28日に船内見学会 横浜市が参加者募集

 横浜市は、横浜港を船籍港とする郵船クルーズ株式会社の新造客船「飛鳥III」の今夏就航を記念し、横浜市民を対象にした船内見学会を6月28日(土)に開催する。18日(水)まで参加希望者を募っている。

 飛鳥IIIは全長230m、客室数は381室。ドイツの造船所から引き渡され、2日に横浜港に入港した。見学会は、7月のデビュークルーズを前に、クルーズや港を身近に感じてもらうことを目的に行う。

 見学会は参加無料。一般枠(高校生以上)とこども・保護者枠(中学生までと18歳以上の保護者)があり、それぞれ100人を招待。見学時間は一般枠が午前11時から正午、こども・保護者枠は午後1時から2時の予定。見学当日に有効な顔写真付き本人確認書類(中学生までは健康保険証や学生証も可)が必要。船内でのカメラ、スマホなどの撮影は不可。

 応募は市電子申請システムから行う。市港湾局市民見学会のサイト(https://www.city.yokohama.lg.jp/kanko-bunka/minato/kyakusen/kengaku/asuka3.html)から応募できる。18日(水)午後3時まで。抽選結果は23日(月)に申込者へメールで通知される。

 飛鳥IIIは7月20日(日)にデビュークルーズを迎える。7月11日(金)は「飛鳥II」が世界一周クルーズから帰港し、午前9時から午後2時までは「II」と「III」が初めて大さん橋に並ぶ。

 見学会の問い合わせは市港湾局客船事業推進課【電話】045-671-7272。

「土木事業者・吉田寅松」61 鶴見の歴史よもやま話 鶴見出身・東洋のレセップス!? 文 鶴見歴史の会 齋藤美枝 ※文中敬称略

ハイカラ紳士のベスト3

 その後、後輪チェーン駆動、空気入りタイヤなど、乗り心地の良い安全な自転車に改良されると、華族、政財界人、高級軍人など、上流階級の間で自転車の一大ブームが巻き起こり、自転車は、猟銃、写真機と並んで「ハイカラ紳士の趣味ベストスリー」にランキングされた。

 吉田寅松の三人の息子のような資産家の子息たちが自転車を愛用するようになった。彼らは「自転車乗り」と呼ばれるようになり、二十キロぐらいを集団で走る「遠乗り会」や、広場や原っぱで速さを競う「競走会」を楽しんだ。珍しい自転車を見ようと沿道や広場には見物人があつまった。

 福沢諭吉の次男で父親が創設した時事新報の社長・福沢捨次郎も高名な自転車乗りだった。捨次郎は、イギリスから輸入した安全自転車ジェノーを百二十円で買って、時事新報の記者や社員たちにも安全自転車をすすめ、自転車乗りたちと自転車倶楽部をつくり遠乗り会を楽しんだ。三菱の岩崎久弥、三井の朝吹英次、福沢桃介など慶應義塾出身者を中心に、東大自転車会などからも合流し会員数十名の「日本輪友会」が生まれた。

 商店主七、八十人で結成した「帝国輪友会」、明治座の長老河原崎権之助を会長に、二代目左団次(当時は市川筵升)などの役者・裏方・ひいき客など、会員百名は明治座のやぐら紋にちなんだ「桜輪会」を結成するなど、関東だけでも二十以上の倶楽部が次々に結成され、遠乗り会や専用コースでの競争会を開催するようになった。二六新報社長の秋山定輔が華族に呼びかけて創設した「大日本双輪倶楽部」には、有名な自転車乗り五、六十人が参加した。

 森村開作の父、森村市太郎が二人の息子のために横浜の外国商館からだるま車を二台買おうとしたが、「注文は一ダース(十二台)にまとめてくれ」と言われ、真太郎ら自転車乗りの仲間たちもだるま車を購入し、遠乗りや自転車競走を楽しんでいた。

 吉田寅松の三男鶴田勝三は、大日本双輪倶楽部に所属する花形の自転車乗りだった。

輸入自転車販売業

 長男の真太郎が二十歳になったとき、寅松は、三人の息子たちに、「お前たちに数万円ずつの資金をやる。世の役に立つことなら何に使ってもよいぞ」といって、好きな事業をはじめることをすすめた。

 銈次郎は、「ぼくは、二男なので土木事業ではなく自転車の仕事をしてみたい」といった。

 真太郎と銈次郎は自転車乗りの仲間たちと相談し、横浜の外国商館まで見本車を見に行き、価格も安いアメリカ製の安全自転車、深紅色の一台二十円のデートン号を一ダース発注した。十二台は新し物好きの慶應の自転車乗り仲間たちの間で売切れた。明治三十年、自転車は売れると見込んだ三兄弟は父の資金提供を受け、銀座で自転車輸入販売業をはじめた。

 寅松の息子たちが自転車の輸入販売業をはじめた明治三十年頃は、土木建築請負業者吉田寅松の絶頂期だった。

 当時、吉田寅松は、日本有数の土木会社「吉田組」を一代で築きあげ、全国各地の土木事業を手がけ隆盛を極めていた。

還暦を迎えた寅松は矍鑠(かくしゃく)として元気はつらつ、新たな大事業への意欲は満々だった。妻の芳子と長女鶴子が家政を切り盛りし、長男真太郎は商業学校卒業後、二男の銈次郎と慶應大学に入学したが、二人とも二年で退学し、三男の鶴田勝三と兄弟三人で吉田組の支店として、木挽町に輸入自転車販売店「双輪商会」を開業した。