映画「フロントライン」が6月13日から全国公開された。物語の舞台は2020年2月3日に横浜港に入港し、その後日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船・ダイヤモンド・プリンセス号。未知のウイルスに最前線で挑んだ人々の姿を事実に基づき描く。
後援する神奈川県医師会は5月29日、キノシネマ横浜みなとみらいで試写会と座談会を行った。神奈川県立病院機構の理事長で映画製作の総監修を務めた阿南英明さんや黒岩祐治神奈川県知事らが登壇した。
集団感染の発生時、阿南さんは災害派遣医療チーム「DMAT」の統括として対策本部で指揮を執った。映画では小栗旬さんが演じる。「その後の3、4年にわたるコロナの幕開けのストーリー。当時はとんでもない状況で、どんなに苦しくても乗員乗客約3700人全員が下船すれば終わりだと考えるしかなかった」と振り返った。
また、当時は厚生労働省医政局の立場で阿南さんらと対応にあたった堀岡伸彦さんは「映画でフィーチャーされている人以外にも、逃げなかった多くの人がいたと知ってほしい」と話した。
県はその後、ダイヤモンド・プリンセス号での医療的経験を生かし、全国に先駆けて医療提供体制「神奈川モデル」を作成した。黒岩知事は「人のネットワークとコミュニケーションが危機を乗り越えるパワーになった。次に同じようなことがあってもみんなで立ち向かっていくという思い」と語った。
企画・脚本・プロデュースの増本淳さんから阿南さんに取材の依頼があったのは20年の春。そこから取材を進め、メモは300枚にも及んだという。阿南さんは「5年経った今だからこそ表現できることも。次世代へのメッセージを残していけたら」と話す。
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