横須賀・三浦版【9月12日(金)号】
巣箱からミツバチの巣を取り出す生徒(同校提供)

三浦初声高校 あま〜い蜂蜜いかが 生徒が養蜂成功、商品化へ

 神奈川県立三浦初声高等学校入江キャンパスの部活動「地域・国際交流部」の生徒らが、自校で日本ミツバチの養蜂を行っている。地域貢献活動の一環として、採取した蜂蜜は近隣のパン屋「充麦」と協力し、今後販売する予定だという。顧問の古屋唯生教諭は「普通科の生徒が養蜂を行うのは県内でも珍しい。蜂蜜の販路開拓を通してマーケティング手法なども学んでもらい、自分自身を高めてほしい」と話している。

 同部は昨年5月頃から活動を開始。当初はボランティア活動などを行う名目だったが、「生徒のためになにか面白いことを、自分たちの活動が地域の人に喜んでもらえる感動を伝えたい」と古屋教諭が前任校で学んだという養蜂をスタートさせた。はじめのうちは数人の生徒だけだったが、真剣に養蜂に取り組む姿に感化されたのか、次第に部員は増加。現在は14人と同校では大所帯の部活動となった。

商品開発ぞくぞく

 ニホンミツバチは古くから日本に存在する在来種。環境の変化や刺激に敏感なため飼育が困難で、近年では養蜂家は減少傾向にあるとされる。

 同部では春頃に新しい巣を作る場所を探して飛び立つミツバチの習性に合わせて、巣となる「重箱式巣箱」を自作し、校内に6基設置。最初はうまく住みつかなかったが、捕獲したり、ミツバチを誘引する植物「キンリョウヘン」を咲かせたりするなどの工夫を重ね、2つの群れの養蜂に成功。1基に約8千から1万匹ほどが入っている。

 今夏は約3リットルの採蜜に成功したといい、部員の塚谷愛佳さん(3年)は「養蜂に成功して嬉しかった。最初は虫が苦手だったけど、ミツバチに触れあってからはかわいらしいと思うようになった」と笑顔で振り返る。

 採取された蜂蜜をふんだんに塗ったオリジナルのパンは同校の近隣にあるパン屋「充麦」の協力のもと開発。豊かな香りと芳醇な甘みが特徴だといい、校内で販売後、同店でも売り出す予定だ。収益は部費や地域貢献のほか、生徒たちの発案で、ユニセフなどの国際貢献活動にも充てる。

 ハチミツだけでなく、その副産物である蜜ろうを活用した商品開発にも挑戦している。米油やオリーブ油などを混ぜて作った蜜ろうハンドクリームの試作品がこのほど完成した。今後は、効果を検証し、商品化を目指していくという。

 古屋教諭は「生徒たちには、自分たちの活動が人々に喜んでもらえるということを実感してほしい」と希望を込める。
新港町にある横須賀市救急医療センター

横須賀市救急医療センター 県内上位の受入が評価 救急医療功労者表彰を受賞

 救急医療の発展に努め、他の模範となる医療機関や個人を表彰する「神奈川県救急医療功労者表彰」が発表され、横須賀市救急医療センター(新港町1の11)が受賞した。9月3日には神奈川県庁で表彰式が行われた。

 同賞は1982年に9月9日が「救急の日」に制定されたのをきっかけに設けられ、今年で43回目を数える。今年度は4団体・8個人が受賞している。

 年間平均受診者数約3万9千人を数える同センターは77年、田戸台に開設された。その後三春町に移転され、2005年には「一般社団法人横須賀市医師会」が指定管理者となり運営を開始。14年に現在の新港町に移った。主に休日や夜間に、入院の必要がない比較的軽症の急病やケガの患者に応急処置を行う「一次救急」の役割を担ってきた。

救急車受入1千台

 今回受賞にいたったのは、開設から長年にわたり地域の救急医療に貢献してきた点や、救急車の年間受け入れ数が県内他施設と比較して10倍程度あったことなどに加え、診療報酬のみで運営している全国でも有数な施設であることなどが評価対象となった。また、救急車で搬送される患者の9割を処置し、病院への患者の転送を減らしたことも功績として認められた。

"1・5次救急"確立へ地域完結型の救急医療の要

 市民の健康を守る重要な拠点であり、稀有な運営体制と地域医療への貢献が評価され、横須賀市救急医療センターが神奈川県救急医療功労者表彰を受賞した。同センターの指定管理者である横須賀市医師会の高宮光会長に具体的な取り組みや功績について聞いた。

-受賞に至った主な理由は。

 「県内の1次救急施設で最多となる年間約3万9000人の突出した患者数と年間約1200台の救急車の受入台数、そして税金に頼らない安定した運営が挙げられます。また、搬入患者の94%が、センター内で対応を完了しており、2次・3次施設への患者の転送を少なくしています」

 

-補助金なしの運営と経営努力について。

 「診療報酬だけで運営するため、人件費や医療機器の購入費、薬などを効率的に管理しています。また、医療機器のリース見直しなども行っています。例えば、レセプト(診療報酬明細書)を細かくチェックし、病名の漏れがないかを確認することで収益のロスを防いでいます。また、2005年に医師会運営になってから、エコーや血球計算機といった医療機器を導入したり、レントゲン設備を最新のものにしたりと、設備投資も積極的に行っています」

 

-新興感染症への対応は。

 「過去のインフルエンザへの対応などで蓄積したノウハウを生かし、新型コロナ発生時には、県内に先駆けて迅速にPCRセンターを開設しました。ドライブスルー方式の発熱外来も設置するなどで4万件以上の検査実績があり、こうした迅速な経営判断ができるのは、補助金に頼らず医師会で運営していることの大きなメリットです」

-災害拠点としての役割は。

 「横須賀は海が近く、津波や高潮のリスクがあるため、災害への備えは欠かせません。当センターは災害拠点となっており、1階が浸水した場合に備えて、診察や救護活動の機能をすべて2階に移動させる訓練などを毎年行っています。過去の災害から得た教訓を活かし、緊急時に即座に対応できる体制を整えています」

 

-今後の展望は。

 「当センターの役割である1次救急を超えた"1・5次救急"の提供と、地域完結型の医療体制を維持していくことが重要です。安定した運営を続けることで、新興感染症や、災害にも備えていきたいと考えています」

三浦市発のアーティストプロジェクト「MiU─La」をプロデュースする 下里 真里さん 三浦市三崎町諸磯在住 39歳

”逆東京”への起爆剤

 ○…三浦市発の9人組ご当地グループを主宰する。全員が三浦・横須賀を地元に持つ中学生以下の個性豊かなメンバーだ。掲げるは「三浦市民に愛されるアーティスト」。市民約4万人の”推し”を目指し、SNSやYouTube、イベント出演などで市の魅力を発信する。ゆくゆくは三浦から全国へ、そして熱視線を三浦へ集めていく。そうすることで「まち全体の魅力向上にもつなげたい」。

 ○…長年カリブ海の音楽「ソカ」のプロデュースや著名なアーティストのイベント企画などに従事してきた。華々しい業界に身を投じる中、2021年に三浦市に移住すると転機が。長女が小児がんの一種「髄芽腫(ずいがしゅ)」に臥した。仕事や次女の育児をしながら自宅と病院を往復する日々。心身ともに負担が大きくのしかかったが、ひとたび支援を呼び掛けると国内外から寄付や激励が寄せられた。「感謝を忘れず人との間に壁はつくらない」。もらった多くの善意は人生のモットーに。経験をまとめた絵本を全国の小児病棟に寄付する計画も構想している。

 ○…プロジェクトの活動はユニークな一面も。メンバーは地域貢献や自らの興味のある分野を軸に「探究型学習」を実践。子どもたちに挑戦できる場を提供し、「地元に夢や誇りを持ってほしい」。当分はダンスや歌のレッスンを受けながら来夏の楽曲リリースをめざす。

 ○…地域の協力を得ながら、人と人との繋がりを大切にし、故郷を愛するアーティストを育てる。そして三浦のブランド力を高めていく。多くの地方が都内へ才能や若者を送り出す構図とは反対に、三浦市を文化・芸能の中心地として確立する”逆東京”を信条にプロジェクトを推し進める。

仕入れも接客もすべてこなす。なじみ客が立ち寄って声をかけていく

「商い」こそ元気の素

 9月15日は敬老の日。「人生100年時代」とも言われる昨今、年齢に関係なく社会で活躍する人が増加している。横須賀市内で現役で商売を続ける二人を取材した。

下町商店街の最古参山口屋商店 山口勤さん(91)

 戦後の横須賀中央、下町商店街の歴史とともに歩んできた山口勤さんは、履物店「山口屋商店」の4代目。今も毎日店に立ち、訪れる買い物客に元気を与えている。

 かつての商店街の盟友たちはとっくに現役を退いているが、商人魂は今も健在。その理由はただ一つ「商売が好きだから」。物を販売するだけでなく、人との触れ合いから日々の活力を得ているのだという。

 健康の秘訣は「日々の地道な習慣」だと山口さん。平坂を上った先にある自宅まで坂道を歩いて通勤。片道7〜10分の道のりが、足腰を鍛えるトレーニングになっている。大病の経験もなく、目や耳、歯も健康そのもの。年齢を感じさせない若々しさは多くの人を驚かせている。

 店休日には妻を連れ立って食べ歩きを楽しむ。好物はステーキ。人気店を見つける情報収集に余念がない。

 商都だった横須賀中央の街並みは今、変化の只中にある。移ろう時代の中にあって、受け継がれてきた暖簾を守り続けてきた。「商売の原点は対話」だと山口さん。その姿は古き良き昭和の温かさを感じさせてくれる。

5年目のパティシエチーズケーキ店 熊木美千代さん(85)

 傘寿で一念発起して始めた佐原のチーズケーキ店が5周年を迎えた。開業当初はテレビ番組などで紹介されて大きな話題となったが、今もなお毎月訪れる常連や、「ずっと食べてみたかった」と旅行のついでに立ち寄る人など、さっぱりとした味は根強い人気を誇る。

 店を始め、人との出会いも増えた。「家族の誕生日なので」「こっちは自分用で、こっちは贈答用なの」など、客とのひとときの交流が楽しい。

 仕事を通じて顔なじみになった業者や近隣の飲食店への差し入れは、「自分で毎日食べても全然飽きない」という自慢のチーズケーキ。「これ、おいしいんだよね」とニコニコ顔で喜んでくれることが励みだ。

 出不精で、外出は徒歩15分のスーパーへ月に数回行く程度。毎日夕方の閉店後からチーズケーキを作り始め、就寝は午前2時。食事は惣菜で簡単に済ませ、野菜はあまり食べない。健康的とは言い難い生活だが、「健康診断では何も問題ない」と屈託なく笑う。

 「うじうじ悩んでいたら、うっかりチーズケーキの材料を入れ忘れちゃうでしょ。だから面倒くさいことは考えないの。一日一日、今日という日を生きることだけ」。それこそが、長寿の秘訣なのかもしれない。

衣笠商店街 のど自慢大会参加者募集

 衣笠商店街では、10月12日(日)に開催する「第3回のど自慢大会」の出場者を募っている。演歌歌手の千葉山貴公さんらが審査員を務め、優勝者には同商店街の商品券3万円分が贈られる。

 出場希望者は申込書に加盟店のレシート2千円分を貼付し、サービスセンターへ提出する。詳細は商店街事務局【電話】046・851・2310。

三崎合唱会演奏会 山田茂雄さん最後のタクト

 合唱グループ「三崎合唱会」が9月13日(土)、三浦市民ホールで演奏会を開催する。午後2時開演。入場無料。

 創立80周年を迎えたことに加え、1965年から指揮者として指導してきた山田茂雄さんの勇退に合わせて企画されたもの。小網代出身の山田さんは横須賀高校合唱部で音楽と出会い、小中学校で教鞭をとったほか、初代校長を務めた野比東小学校では校歌を作詞した経歴をもつ。演奏会では唱歌や讃美歌などのほか、山田さんが作詞を手掛けた「岬の四季」より「だいこん・スイカ・まぐろ」も披露する。

人手不足解消にスキマバイト 三浦商議所とタイミー連携

 三浦商工会議所は9月3日、スキマバイトサービスの「タイミー」と包括連携協定を締結した=写真。市内事業者の人手不足解消と社会ニーズに合った多様な働き方の推進を図る。

 スキマバイトとは、自分の働きたい時間帯に短時間、単発の仕事をする新しい労働形態。履歴書の提出や面接の必要がなく、スマートフォンアプリで事業者と働き手のマッチングを図る。少子高齢化に伴う、労働力不足への対応として注目を集めている。

 同商議所では会員企業に導入を呼び掛け、同社が活用例や業務の切り出し方などをアドバイスする。奥山浩司会頭は「季節ごとに人手の需要が変動する一次産業や繁忙期のある観光業などに活用できるのではないか」と期待を述べた。9月16日(火)に事業者を対象に、サービスの仕組みや導入事例を紹介する説明会を同商議所で開く。

 横須賀商工会議所も3月に同様の連携協定を締結している。

横須賀YRP 先端技術と未来に触れる 牧島衆院議員の講演など

 産業集積拠点の横須賀リサーチパーク(YRP)は10月3日(金)・4日(土)の両日、最先端技術を紹介する「オープンイノベーションデー」を開催する。3日は政治・AI技術・安全保障の分野の専門家を招いて、最新事情を届ける。講師と講演テーマは以下の通り。参加無料で事前申し込み制(各回定員100人)。

 「政治の現場からひも解くデジタル政策」(衆議院議員 牧島かれん氏/午前11時から45分間)。「私たちの生活と仕事を変える生成AI」(東京大学大学院情報学環 教授 越塚登氏/午後2時15分から45分間)。「我が国におけるサイバーセキュリティ政策の動向について」(内閣官房国家サイバー統括室 統括官 木村公彦氏/午後3時30分から60分間)。

 4日はYRP進出企業による展示のほか、最新サッカーゲーム「EA SPORTS FC」のチーム戦体験などがある。NTT横須賀研究開発センターの一般公開も。

 申し込み・詳細はホームぺージ(https://yrp.co.jp/)を確認。

芝生の上で運動しよう 初心者向け講座

 夏島町の横須賀スタジアムを会場に、運動に親しむ初心者向け講座「スタジアムdeリフレッシュ」が開催される。スタジアムの芝生の上で体を動かし、心身ともにリラックスしようという企画。種目ごとに3講座が行われる。

 10月10日(金)はボクシング・エクササイズ、17日(金)はハワイアン体操、24日(金)はZUMBA(R)で、いずれも午前10時から11時30分。希望の講座を選んで参加できる。講座終了後には、スタジアムの施設見学もある。参加費は保険料として1講座につき50円。

 希望者は講座名、住所、氏名(ふりがな)、年齢、電話番号を記入のうえ、メール、往復はがきで郵送、または田浦コミュニティセンター窓口で直接申し込む(返信用はがき持参のこと)。定員は各回抽選で30人。申込先は、メールアドレスがtaph-bes@city.yokosuka.kanagwa.jp、郵送先の住所は〒237-0076横須賀市船越町6の77。9月25日(木)必着。

 問い合わせは田浦コミセン【電話】046・861・9007。

横須賀市自然・人文博物館 史料からたどる特攻 横須賀出身の隊員の事例紹介

 横須賀市自然・人文博物館(深田台95)は9月21日(日)、現在開催中の特別展示「横須賀の歩んだ昭和」の関連企画として、戦時下の横須賀をテーマとした特別講演を行う。

 太平洋戦争末期に不利な戦局の挽回策として投入された特攻について、横須賀出身の隊員に焦点を当てて、戦争の悲惨な実態を学ぶ。

 兵士が爆弾を積んだ航空機ごと敵艦に体当たりする神風特攻兄弟と本土決戦に備えて考案された伏龍特攻隊員を取り上げる。特攻という無謀な戦術が出現した背景だけでなく、敗戦後の国のあり方についても解説する。元神奈川大学特任教授の坂井久能氏が講師を務める。

 会場は同館1階講座室。時間は午後1時30分から3時。定員60人で先着順。参加無料。問い合わせは同館【電話】046・824・3688。

山肌に不規則に並べられたソーラーパネル。異様な光景が広がり、住民から土砂災害などを不安視する声も

田浦メガソーラ施設 上地市長「景色に違和感」 9月議会 ふじその議員の質問

 横須賀市議会9月定例会で、再生可能エネルギーの導入と自然・景観保全を巡る議論が繰り広げられた。

 舞台は同市田浦地区で2024年12月に稼働した「湘南田浦メガソーラー」。一般質問に立った日本共産党のふじそのあき議員が「事業者が森林を伐採して設置したソーラーパネルの異様な光景に地元住民の戸惑いが広がっている」と発言した。SNSでも「森が消滅してパネルになった」といった批判的な声が上がっており、現状の姿を問題視。ゼロカーボンシティを掲げる横須賀市の施策と景観保全の整合性について上地克明市長に質し、「市独自の設置ルールを設ける必要がある」と主張した。

 これに対し、上地市長は「私も違和感を持っている」と述べ、パネルの不規則な並びについて、景観の悪化を認めた。だが、事業者は国の法令に基づいて事業を進めており、規制することの難しさを伝えた。森林伐採による土砂崩れの懸念が市民の間で高まっていることについては、「今回の件を教訓に全国の事例も参考にしながら、景観や土地利用を規制する条例を検討していきたい」と答弁した。再エネ促進の行動計画である「ゼロカーボンシティ横須賀2050アクションプラン」が規制を目的としていなかったことに対しても、今後見直していく可能性を示唆した。

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実証実験の場となる北下浦漁港(上宮田地区)

三浦市 北下浦漁港で海産物販売へ 今秋以降に海業検証

 三浦市は上宮田地区の北下浦漁港で海業の新たな可能性を見出す試験的な検証を開始する。三和漁業協同組合上宮田支所の有する資源などを活用し、市から委託を受けた三崎観光株式会社が試験的に海業を展開していく。今秋以降に、物販やイベントを実施し、集客性や課題を探る。

 三浦海岸駅からのアクセスの良さや、港内に砂浜を含むこと、漁業者の減少で使用頻度の低い土地があることなどから、新しい海業を展開する場として同漁港に白羽の矢が立った。

 対象用地は漁港施設用地と砂浜を含む約5千平方メートル。事業費の約500万円は国の交付金を充てる。事業の実施は今秋以降から開始する見通しで、終了は2026年1月末。事業の詳細は、水揚げされた海産物の販売や浜焼き、物販、ビーチスポーツやイベントなどを三崎観光・三和漁協・市の3者で内容をすり合わせ実施していく。

 市担当課は「集客性や収益性などを調査し、それを元に来年度以降は他の漁港などでも活用できたら」と展望を話す。

キックオフミーティングで横須賀市が抱える課題を共有

横須賀市「はたらく課」 高校生と若手職員タッグ 挑むは関係人口倍増

 横須賀市は9月6日、まちづくりをテーマに市内の高校生と市役所職員が連携して政策提案を行うプロジェクトチーム「はたらく課」を発足させた。高校生17人と入庁10年未満の若手職員12人が参加。今年度は、「観光人口」と「定住人口」の間に位置する「関係人口」の倍増をミッションに、実現に向けたプランづくりに挑む。若者ならではの斬新な発想や同世代への発信に期待するほか、これまでにない枠組みを用意することで職員のモチベーション向上にもつなげる。

 市は高校生に対して必要なデータを提供するほか、市職員と高校生がアイデアの生み出し方やビジネスプランの組み立て方などを一緒に学ぶ講義を実施する。

 初日となったこの日は、国内で少子高齢化が加速している状況や世界における日本の経済競争力が低下している状況を確認。自治体として人口問題や新規課題に取り組む必要性を共有した。今後は月に1回程度、対面やメタバース空間での交流によるグループワークを実施し、2026年2月に成果発表を行う。

いきいき市民塾 健康を呼ぶ口腔ケア

 市民活動に取り組む人から始めたきっかけやノウハウを学ぶ「いきいき市民塾」が9月27日(土)、横須賀市本町の市民活動サポートセンターで開かれる。参加無料。

 21回目を数える今回のゲストスピーカーは、歯科衛生士の新しい働き方を支援する「DH未来プロジェクト」を立ち上げた原田真紀さん。原田さんは4児の母で現役の歯科衛生士。子育ての中で感じた気づきや葛藤を原動力に「もっと自由に、自分らしく働ける歯科衛生士を増やしたい」との思いで同プロジェクトを立ち上げた。そのほか親子で口腔発達を学ぶ「こども未来サポート」も始動している。

 当日は活動内容や思い、「健康とキレイは”お口”から」と題して、親子でもシニア世代でも楽しみながら学べる健康トレーニングも実施する。

 午前10時30分から正午。希望者は9月26日(金)までに同センター【電話】046・828・3130に申し込む。手鏡を持参する。

横須賀市長井地区 新旧エンタメに釘付け 郷土芸能にドローンショー

 横須賀市の西地区に伝承される郷土芸能などを一堂に集めて披露する文化イベント「西地区地域芸能と秋の盆踊り」が9月13日(土)、長井海の手公園ソレイユの丘 のんびりはらっぱで開かれる。大楠・武山・長井連合町内会・長井地域運営協議会の主催。

 地元保存会が「長井井尻木遣り」「長井飴屋踊り」「佐島舟唄」を演じる。盆踊りも楽しめる。

 クライマックスは、ドローンが初秋の夜空を彩るドローンショー=写真はイメージ。300もの機体による編隊飛行で様々なデザインを描き出していく。

 午後1時開始(ドローンショーは午後7時30分から15分間)。雨天時は14日(日)に順延。

 問い合わせは横須賀市西行政センター【電話】046・856・3157。

伝統の音色、横須賀に響く 明大マンドリン10月に公演

 創部103年を数える明治大学マンドリン倶楽部による「第64回明治大学マンドリンコンサート」が10月11日(土)、横須賀市本町のヨコスカ・ベイサイド・ポケットで開かれる。主催は明治大学校友会横須賀地域支部。

 今年度は、台湾での2公演を含む国内外約40のステージを予定。部員数も42人に増え、伝統の音色に新たな活気が加わった。市内の横須賀大津高校と横須賀総合高校出身の部員2人も在籍しており、地元での凱旋公演に向け、練習にも一層熱が入っている。

 当日は、同倶楽部の魅力であるジャンルにとらわれない多彩なレパートリーを奏でる。懐かしの古賀メロディーやクラシックの名曲、映画音楽、情熱的なラテンから現代の和洋ポップスまで、世代を問わず楽しめる内容となっている。

 午後2時開演。鑑賞券は全席指定3500円、バルコニー席2500円。

 販売は横須賀芸術劇場電話予約センター【電話】046・823・9999。

浦賀番所跡から望む浦賀湾口

三郎助を追う〜もうひとりのラストサムライ〜 第11回文・写真 藤野浩章

 ペリー来航の7年前に浦賀にやって来たビッドル艦隊。コロンバス号とヴィンセンス号の2艘の軍艦で浦賀沖に現れたが、これに対して幕府は史上最大とも言える非常警戒体制をとる。

 というのも、その戦闘力の高さに驚愕したのだ。たった2艘ではあったが、後のペリー艦隊と比べて兵員は約1・8倍、大砲等の火力は約1・7倍。一方で、江戸湾周辺に配置した幕府の大砲は全部足してもコロンバス号1艘にも満たなかった。

 その火力差を、三郎助はほぼ正確に掴んでいた。当時25歳で与力見習いだったが、それまでにいくつかの流派で「砲術」の免許皆伝になるほど、若くして武器のスペシャリストになっていたのだ。

 その彼が後に義兄に宛てた私信には「五貫目以上之大筒(おおづつ)八十三挺(ちょう)」などと詳細を記載している。実際にコロンバス号に搭載されていた大砲は五貫目を超える42ポンドで口径約176ミリ相当だという。この時期各国で流行したカロネード砲で、圧倒的な火力から「粉砕者」というあだ名が付いていたとか。いずれにしても、江戸湾の台場にある一貫目前後の砲とは比べ物にならなかったのだ。

 この砲が火を噴いたらどうなるか。三郎助は前述の手紙に「少しも眠ることができなかった」「討死(うちじに)を覚悟した」と書いてあり、その衝撃の大きさがよく分かる。

 一方ビッドルとの交渉は与力である父・清司(きよし)らが担当した。彼こそ船と軍備を熟知した人物。三郎助の分析には、清司が間近で見た情報も加味されていたに違いない。

 こうして親子で立ち向かった危機は、意外な形で幕を閉じる。