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横須賀・三浦 社会

公開日:2025.09.12

「商い」こそ元気の素

  • 仕入れも接客もすべてこなす。なじみ客が立ち寄って声をかけていく

  • 寝ても覚めても頭の中はチーズケーキのことばかり

 9月15日は敬老の日。「人生100年時代」とも言われる昨今、年齢に関係なく社会で活躍する人が増加している。横須賀市内で現役で商売を続ける二人を取材した。

下町商店街の最古参山口屋商店 山口勤さん(91)

 戦後の横須賀中央、下町商店街の歴史とともに歩んできた山口勤さんは、履物店「山口屋商店」の4代目。今も毎日店に立ち、訪れる買い物客に元気を与えている。

 かつての商店街の盟友たちはとっくに現役を退いているが、商人魂は今も健在。その理由はただ一つ「商売が好きだから」。物を販売するだけでなく、人との触れ合いから日々の活力を得ているのだという。

 健康の秘訣は「日々の地道な習慣」だと山口さん。平坂を上った先にある自宅まで坂道を歩いて通勤。片道7〜10分の道のりが、足腰を鍛えるトレーニングになっている。大病の経験もなく、目や耳、歯も健康そのもの。年齢を感じさせない若々しさは多くの人を驚かせている。

 店休日には妻を連れ立って食べ歩きを楽しむ。好物はステーキ。人気店を見つける情報収集に余念がない。

 商都だった横須賀中央の街並みは今、変化の只中にある。移ろう時代の中にあって、受け継がれてきた暖簾を守り続けてきた。「商売の原点は対話」だと山口さん。その姿は古き良き昭和の温かさを感じさせてくれる。

5年目のパティシエチーズケーキ店 熊木美千代さん(85)

 傘寿で一念発起して始めた佐原のチーズケーキ店が5周年を迎えた。開業当初はテレビ番組などで紹介されて大きな話題となったが、今もなお毎月訪れる常連や、「ずっと食べてみたかった」と旅行のついでに立ち寄る人など、さっぱりとした味は根強い人気を誇る。

 店を始め、人との出会いも増えた。「家族の誕生日なので」「こっちは自分用で、こっちは贈答用なの」など、客とのひとときの交流が楽しい。

 仕事を通じて顔なじみになった業者や近隣の飲食店への差し入れは、「自分で毎日食べても全然飽きない」という自慢のチーズケーキ。「これ、おいしいんだよね」とニコニコ顔で喜んでくれることが励みだ。

 出不精で、外出は徒歩15分のスーパーへ月に数回行く程度。毎日夕方の閉店後からチーズケーキを作り始め、就寝は午前2時。食事は惣菜で簡単に済ませ、野菜はあまり食べない。健康的とは言い難い生活だが、「健康診断では何も問題ない」と屈託なく笑う。

 「うじうじ悩んでいたら、うっかりチーズケーキの材料を入れ忘れちゃうでしょ。だから面倒くさいことは考えないの。一日一日、今日という日を生きることだけ」。それこそが、長寿の秘訣なのかもしれない。

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