横須賀・三浦版【11月29日(金)号】
米海軍横須賀基地に入港する「ジョージ・ワシントン」(=11月22日午前8時40分ごろ)

原子力空母ジョージ・ワシントン 9年半ぶり再配備 「基地のまち」歓迎と不安交錯

 2008年から15年まで米海軍横須賀基地に配備されていた原子力空母「ジョージ・ワシントン(GW)」が11月22日、同基地に入港し再配備された。今年5月に離日した「ロナルド・レ―ガン」と交代で、9年半ぶり2度目の配備となる。同艦は今後、日本近海での活動を活発化させている中国やミサイル開発を続ける北朝鮮情勢を念頭に周辺海域の警戒任務を行う予定だ。

 GWは1992年に就役し、2008年に横須賀港を事実上の母港として配備された。全長は約333m、満載排水量10万t、軍艦としては世界最大級の大きさを誇る。原子炉2基を搭載し、戦闘機や哨戒機など約70機の航空機を搭載可能だ。

 同日、その姿を一目見ようと全景を眺められる塚山公園や安針台公園などには、カメラを構えて撮影する人々の姿も多く見られた。午前7時ごろから待機していたという市外から訪れた男性は「迫力ある巨艦をカメラに納められた」と満足気な表情を見せた。また横須賀本港の日米艦船観光ツアー「YOKOSUKA軍港めぐり」は計7便が全て満席になるなど、注目度の高さをうかがわせた。

 この日、配備を受け上地克明市長は「現在の複雑な安全保障環境において、米空母の前方展開は、日本のみならず地域の平和と安定に大きく寄与していくもの」とのコメントを発表。米側には「厳しい基準による運用が厳格になされ、その安全性について引き続き万全の対策がなされることを求めた」と説明した。

 同日、市内各所で市民団体による抗議活動も行われ、平和・基地問題に取り組む9団体によるデモ行進には市内外から60人ほどが参加。原子力空母の安全対策に関する情報公開の不透明さ、地震発生時のリスクなどを街行く人に訴えた。「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」共同代表の呉東正彦弁護士は「PFAS流出問題も解決していない。今日を皮切りにさらに活動を加速させていく」と話した。

ライドシェア 市主体で本格導入へ 採算不透明で枠組み継続

 夜間のタクシー不足を解消するため、一般ドライバーが有償で乗客を運ぶ「神奈川版ライドシェア(かなライド@みうら)」が12月17日から本格導入されることが決まった。市はこれまで実施主体を民間業者に移行させたい意向を示していたが、採算性などで折り合いがつかず、引き続き市が実施主体となる。11月22日、県庁で県と市、事業者らによる検討会議が開かれ、方針が了承された。

 この日示された概要によると、本格実施後は現在2社が担う協力事業者は京急三崎タクシー1社になる。ドライバーは三浦市在住在勤の10台程度を見込み、報酬は現行の5割の歩合に加え、新たにシフト手当として1シフト400円を支払う。タクシー会社には運行管理費として日当たり5千円を支給する。

 午後7時から翌日午前1時までの運行時間やアプリで事前決済する仕組みは踏襲する。

 年間550万円とする収入の想定は従前と変わらず、新たに支出を設けることで収支は年間約120万円の不足を見込む。不足分については三浦市が負担する。

「ニーズ応える」

 実証実験は4月17日に始まり、期間は12月16日まで。県によると1日平均5回の利用目標に対し、11月10日までに3・7回の利用実績があった。こうした経過を踏まえ、県などはライドシェアは「タクシー不足問題に対して有効な手段」として実験終了後、切れ目のない本格導入への移行を目指していた。

 ただ、採算性を踏まえた実施主体や、現状委託となっているドライバーとの契約形態が課題に。三浦市と県は10月23日にタクシー事業者が実施したいとなった場合の規制緩和を求める要望書を国に提出したが、国はこれを認めないと回答。現行の仕組みで移行し、タクシー会社がドライバーを雇用すると採算が合わないため、市が引き続き実施主体を受け入れた。

 夜間の移動手段が確保されることで利便性が向上し、地元経済への好影響が期待される一方、市の財政負担が伴う形となった。市の矢尾板昌克政策部長は「現状で実施主体の移行は困難。ライドシェアは一定程度のニーズがあり、市として応える必要があると判断した」と説明した。

秋の褒章で教育や福祉など公益に尽くした人に贈られる「藍綬褒章」を受章した 高梨 和吉さん 三浦市初声町下宮田在住 75歳

今日明日、実らずとも

 ○…停車した乗用車の窓に、ダイコンが外からぬっと差し入れられる。怪訝そうな表情のドライバーも説明を聞くと「そういうことか」と相好を崩す。12月の交通事故防止運動期間に実施される恒例のキャンペーン。「交通事故”大根”絶」にちなんだダイコンの配布は三浦で始まり、今や全国で同様の取り組みが行われるようになった。

 ○…20年近く三浦市交通安全協会の会長を務め、地道な活動を重ねてきた。2019年に警察庁長官から警察協力章を贈られて以来の受章だが、今回は受けても良いものか悩んだ。協会費の減少により事務員の人件費が賄えず、昨年7月に窓口業務を終了。事務所も閉鎖し、活動を縮小してきた経緯があったからだ。それでも周囲から「実績があるのだから」と勧められ、謹んで受け取ることにした。

 ○…「今日やって明日結果は出ない」。長年交通安全の活動にかけてきた信条が言葉の端ににじむ。ダイコンを配ってもすぐに結果は出まい。でも、地道な取り組みの積み重ねが運転者の心に響き、10年、20年先の交通安全につながるかもしれない。その象徴が、18年の「交通安全子供自転車大会」だ。会員が指導した名向小学校の児童ら4人が、三浦勢としては初めて県大会を制した。うれしさの余り涙を流して喜ぶ子どもたちの表情が忘れられない。「『継続は力なり』ですよ」と朗らかに微笑む。

 ○…人口減と高齢化が進む三浦にあって、協会の存続は喫緊の課題だ。20数人いる役員全員が60歳以上で、組織の若返りは急務。地元ボランティア団体や小中学校への働きかけを念頭に「何とか50代の人たちに参加してもらいたい」と模索する。まちの交通安全を守り、後進にたすきをつなぐことが使命と心得る。

上地市長と記念撮影する吉川さん(左)

池上在住吉川さん ジムカーナ優勝市長に報告 新設の女子部門で

 大学自動車部の日本一を決めるモータースポーツ「フォーミュラジムカーナ」の女子クラスで優勝した池上在住の吉川萌衣(めい)さん(23)が11月22日、横須賀市役所を訪れ、上地克明市長に結果を報告した。

 大会は昨年に続き2度目。一般的なレースとは異なり、主催者や協賛企業が用意した車両やタイヤなど同じ条件でタイムなどを競う。

 吉川さんは今年新設され、各予選会で3位までに入賞した9人が出場した女子クラスに参戦。設定された基準タイムに近いタイムを求められるトライアル形式で、1分30秒の基準タイムに対し、1分29秒763の好タイムで初代王者に輝いた。

 大会を振り返り、「マイナー競技だが、地元横須賀でも競技の魅力を伝えていきたい」と吉川さん。上地市長は「これからもぜひがんばってほしい。できることは協力する」と応じた。

新年の風物詩として親しまれる花火(市提供)

よこすかカウントダウン 年越し花火 中止一転開催へ 市が予算措置 イベント踏襲

 新年の訪れを打ち上げ花火とともに祝う「よこすかカウントダウン2025」が中止から一転、開催されることになった。長年イベントを運営してきた市民から成る実行委員会が開催断念を発表していたが、市が主催者として踏襲する。11月22日、市が発表した。

 イベントは1997年にスタート。ヴェルニー公園を会場に艦船のライトアップや年越しとともに花火が打ち上がる新年の風物詩で、長年市民に親しまれてきた。

 有志が市の補助金や企業の協賛を得て手作りで開催してきたが、物価高騰に伴う資金繰りや人員不足が重荷に。9月、「苦渋の決断」として今年度以降の開催断念を発表していた。

 市観光課によると発表以降、開催を熱望する声が多数寄せられていたといい、上地克明市長も代替イベントの開催に意欲をみせていた。費用の不足分は、市が別事業の余剰金などを活用し充当。当初の補助金に加え、テント設営や警備費などを加えた200万円程度の支出を想定する。

 イベントは12月31日(火)午後6時開始。午前0時、約500発の打ち上げ花火と船の汽笛で横須賀ならではの新年を演出する。

小網代湾に浮かべたいかだでカキ籠を手入れする出口さん

小網代湾のカキ養殖 来季の出荷へ本格始動 1・5万個の稚貝を「初入れ」

 小網代湾で昨年から実証実験が行われていたカキの養殖事業が本格始動した。11月20日に稚貝1万5千個を海中に沈める作業を実施。来年5月から6月にみうら漁協へ出荷される。

 養殖事業を行うのは、みうら漁業協同組合と三浦市、油壷観光企業組合の3者から成る「みうら小網代オイスター共同体」。同湾の海上に浮かべたいかだに、徳島県産マガキの稚貝300個をいれた籠を50個吊るして半年間育てていく。

 稚貝の大きさは約2cm。メンバーの出口浩さんは最終的なサイズを5〜6cmほどとしており、「小さいサイズで身がぷっくりと詰まった、濃い味を楽しめる個体が理想」と話す。

海洋教育に活用

 同事業は海洋教育の一環として、「日本さかな専門学校」(三崎)と連携。生徒による漁業体験も実施する。

 籠内でカキが1点に集まるほか、網に海草などが詰まると栄養が十分に行き渡らないため、10日に一度籠の掃除と稚貝を均等に配置する作業が必要となる。この作業の一部を同校の生徒が手伝う。

閑散期の収入源

 漁の閑散期となる冬場はワカメ養殖を生業としていた同湾の漁業。近年はアイゴなどの食害による収穫量減少に悩まされていた。一方、真珠を育てるためのアコヤガイ養殖は好調なため、県の協力のもとカキ養殖の試験を実施。500個の個体が順調に育ち、貝毒検査で無毒が確認されたため、新たな収入源確保のため事業を本格化した。

 単独で事業化するには費用面での懸念があったが、今年度県が「かながわ海業モデル創出事業」として採択。事業費として約600万円が交付された。

 カキの餌となる動物性プランクトンが豊富とされる小網代湾。出口さんは「地元の新名物として定着させたい」と力を込める。

高橋常務理事(左)と田中副市長

救援物資の集積拠点に よこすか葉山農協が市と協定

 よこすか葉山農業協同組合(JA)と横須賀市は11月25日、地震や風水害など、災害時の救援物資の集積に関する連携協定を市消防庁舎で締結した=写真。

 協定内容は災害時に同組合の4出荷所を救援物資の集積拠点として使用するほか、フォークリフトの提供などを定めたもの。同組合の高橋順一常務理事は「我々の施設が地域の役に立つことをうれしく思う」と話した。

 予想できない災害に備え「今できる対策として協力を仰いだ」と田中茂副市長。現在計画が進む大矢部弾薬庫の跡地も、同様の物資集積拠点として整備を行う構えだ。

以前開発した菜花を使用したコラボレシピ

おにぎりと巡る横須賀 よこすか野菜で市PR

 よこすか野菜を使ったおにぎりで横須賀の風景を巡るプロジェクト「よこすか野菜おにぎりプロジェクト」がノリ加工品などを手掛ける株式会社白子(東京都)と横須賀市によって始まっている。同社の看板商品「おにぎりのり」にちなみ、白子のりとよこすか野菜を使用したオリジナルのおにぎりレシピを開発、市や同社SNSで発信していく。

 市は今年の1月ごろから同社と連携して旬のよこすか野菜と白子のり商品を使ったレシピの開発を手掛けてきた。今回はその次の展開として、「オリジナルおにぎりを持って横須賀の様々な景色を楽しんでほしい」という思いで、市内のピクニックやツーリングに最適なおすすめスポットを紹介していく仕立て。

 そのほかによこすか野菜の生産風景なども発信していく。市担当者は「横須賀の名所だけでなく、実は身近な横須賀の農業を発信していけたら」と話している。

 2025年6月ごろまでの期間で1〜2カ月に1回ずつ公開予定。詳細は市農水産業振興課公式インスタグラムへ。

賞状を手にするメンバーら

湘南学院生徒有志 ボランティア賞を受賞

 湘南学院高校の生徒有志が、このほど開かれたソロプチミスト日本財団の年次贈呈式で学生ボランティア賞を受賞した。

 有志から成る「湘南学院Night Flowers」は昨年9月、横浜市金沢区にある重度の病気を抱える子どもや保護者を支える「子どもホスピス」で打ち上げ花火を企画。子どもたちに笑顔を届けようと、クラウドファンディング(CF)で必要経費約80万円を集めた。団体代表の佐藤結茉(ゆま)さん(3年)は、「自分たちの思いがこんなに広がるなんて。在学中にもう一度花火を上げて、子どもたちの笑顔が見たい」と話した。

 表彰は同財団が年に一度実施。同賞へは全国から約30件の応募があり、横須賀の団体の受賞は初という。

開局時から番組制作に携わるアナウンサーの石川さん

FMブルー湘南 地域密着、災害時に力 12月3日に開局30周年

 地域に密着したローカル情報を発信するコミュニティー放送局「FMブルー湘南」(78・5MHz)が12月3日(火)、開局30周年を迎える。

 コミュニティー放送は、地域の独自性を発揮するメディアとして1992年の電波法改正で誕生。全国各地で認可申請が相次ぐ中、ブルー湘南も93年に全国で11番目、県内では3番目のコミュニティー放送局としてスタートした。聴取可能なエリアは限定される反面、災害時の情報発信で効力を発揮することから横須賀市も資本参加しており、2011年の東日本大震災の時は避難情報だけでなく、支援物資や義援金の届け先を積極的に伝えるなどして大きな役割を果たした。このほかに普段の放送でも、警察官や消防職員が番組出演して防犯や災害啓発の呼び掛けを行っている。

 日中の時間帯は5人の女性アナウンサーが生番組を担当しており、地域で活躍する人をゲストに迎えてトークを繰り広げるなど身近な話題を届けている。時代の要請に合わせて12年にインターネット配信を開始。13年にはスマートフォンでの聴取も可能とし、「地域密着度をより高めながら多メディア時代の役割と存在意義を模索している」と富岡浩司社長。

 開局当時から番組を担当しているアナウンサーの石川和美さんは、「クイズへの生出演を希望して小学生が母と祖母を連れてスタジオに突撃してきたことや西城秀樹さんの曲を毎日1曲掛けるコーナーをインターネットで聞いている佐賀県のリスナーが番組愛が高じて横須賀を訪れるまでに発展したケースもあった」と振り返る。情報入手の手段が多様化する昨今、「ラジオの前のあなたに語り掛ける気持ちを大事にして声を届けていく」と思いを話した。

 12月3日の開局記念放送では、午前8時から午後1時の放送枠の中で開局当時のヒット曲を流しながら番組へのメッセージを読み上げる。午後2時からはパーソナリティーの灯織(ひおり)さんがスタジオを飛び出して道行く人に30周年の記念の言葉をもらうほか、初期の頃から出演している音楽ライターの人見欣幸氏と新旧のソウルとR&Bに造詣の深い高田さゆりさんのトーク番組を届ける。

登録シミュレーション。スマホで運営システムを読み込む

災害時ボランティアセンター 「いざ」に備え 設置訓練

 地震や風水害などの大規模災害が発生した際、総合福祉会館(横須賀市本町2の1)に設置される「災害時ボランティアセンター」(SVC)を有効に機能させるための運営訓練が11月24日、横須賀市社会福祉協議会ほかの主催で開かれた。

 SVCは、被災地支援を目的に全国から集まるボランティア活動希望者と支援を必要とする被災者をつなぐ役割を担う。1995年に多くの犠牲者を出した「阪神淡路大震災」で全国からボランティアが駆け付けたが、マッチングが上手くいかず被災地に混乱を生じさせた経験から全国の自治体で設置が広がった。

 この日の訓練には約50人が参加。センターの設置者とボランティア役に分かれて運営シミュレーションが行われ、ボランティアの受付登録や支援ニーズの調整、活動場所への移動などの流れを確認した。

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古谷田大和市長と即興劇を行う横田さん(写真上・左)「よっしゃ‼」の稽古場を中継でつないだ(写真下)

演じることが元気の源 未病サミットに横田さん

 健康と病気の間を意味する「未病」について専門家らが議論する国際シンポジウム「ME―BYOサミット神奈川2024」が11月7日・8日の2日間、箱根町で開催され、横須賀を拠点に活動するシニア劇団「よっしゃ‼」を率いる劇作家の横田和弘さんが登壇した。

 「未病とエンタメの可能性」について議論するセッションにおけるスピーカーの一人として登場した横田さんは、シニア劇団について「みんなのポジティブな表情と笑顔を見てください」と話し、稽古風景などをまとめた映像を流した。

 「まだ伸びしろしかありません。(劇団員のメンバーが)歳をとるごとに元気になっている不思議な現象を目にしています」と話す横田さん。シニア劇団の稽古場を中継でつなぎ、劇団員による歌と踊りも披露された。

 最高齢の劇団員である小林悦子さん(91)は、この日の進行役を務めた黒岩祐治知事から今後の目標を聞かれ「新しいことに常に挑戦し続けたい。次は妖精の役をやりたい」と話すと、会場は大きな拍手で包まれた。

市民講座 骨と関節の働き知る

 横須賀市医師会(三屋公紀会長)は12月8日(日)、骨や関節の働きや大切さについて学ぶ市民公開講座を開催する。同医師会館(新港町1の11)で午後1時30分から2時50分。参加無料。

 10月8日の「骨と関節の日」にちなんだ企画。「知っておきたい!骨粗鬆症と手指の不調」と題し、昭和大学横浜市北部病院副院長で整形外科教授の川崎恵吉氏が登壇。骨密度が低下し、骨折の原因となる骨粗しょう症や関連する手指の不調などについて語る。

 申し込み不要。問い合わせは同会【電話】046・822・0542。

不登校児童の交流空間を提案した福澤さん

横須賀商議所とドワンゴ学園 高校生が起業プラン披露 課題解消や活性化アイデア

 高校生の起業意識を育てる応援プログラム「よこすかビジネスプランラボ」を展開している横須賀商工会議所は11月19日、生徒が練り上げた起業プランを披露する発表会を開いた。

 日本最大の通信制高校「N高・S高」を運営する学校法人角川ドワンゴと提携して取り組んでいるもので、若者の起業を後押しする都市イメージを発信していく狙い。横須賀が抱える課題を新しい発想で解決していくことも期待する。

 9月にスタートしたプログラムには7人の生徒が参加。起業に必要な知識を習得する講義や横須賀の地域特性を理解するためのフィールドワークを行い、ビジネスアイデアを膨らませた。

 全国的に高いとされる不登校の出現率に着目した福澤優喜さん(2年)は、学校に行きたくない児童と不安を抱える親を対象としたコミュニティ空間の創出を提案。キャンプなどの体験交流を通じて好きなものや夢中になれるものを見つけ出してもらう機会を提供していくビジネスプランを発表した。自身も不登校経験者であり、「こうした場所があったらよかったという視点を盛り込んだ。お金を払ってもらうビジネスとして実施することで参加者の『本気度』にも火をつけたい」と締めくくった。

 このほかに、世界のカレーを味わえる飲食店の開業や古民家などを活用した「本が読める」ホテルの開設、留学の敷居を下げる支援サービスなどのプラン発表があった。 

 同商議所では、同事業を来年度以降も継続して実施していくという。

障害物を安全に飛び越えるトレーニング

パルクール子ども教室 「安全な移動術」を習得

 若者に人気のアーバンスポーツの一つとして注目を集めている「パルクール」の子ども向け体験教室が11月24日、くりはま花の国プール内のスタジオで開かれた。地域の文化・スポーツ振興を支援するシティサポートよこすかの主催。同競技の日本代表である鈴木智也選手と関慎太郎選手が講師を務めた。

 パルクールは、走る・跳ぶ・登るといった「移動」を安全かつスピーディに行うことを目的に開発された運動方法。空中での回転技や障害物を超えるための派手なアクションに目を奪われがちだが、正しい歩き方や転倒防止などの技術の習得が重要となるという。今回の教室では、初心者が覚えておきたい基本動作を中心としたトレーニングメニューを体験した。来年1月からは同スタジオで定期教室の実施が予定されている。

 パルクールは、自転車のBMXやストリートダンスとともに横須賀市が普及・振興に取り組んでいる。

郷土史講座 長浜佐一郎の生涯

 郷土史研究グループ、三浦半島の文化を考える会は12月7日(土)、「鎮守府の生き字引」と呼ばれた長浜佐一郎の生涯に焦点を当てた講演を行う。横須賀の文化遺産を考える会代表で子孫の長浜つぐお氏が講師を務める。

 長浜は横須賀鎮守府に勤務し、退官後に土木建設業を創業。東京湾第三海堡や帝国ホテルなどの工事に参入した。

 会場は横須賀市日の出町のヴェルクよこすか第1会議室で午後1時30分から3時30分。定員70人で参加費500円。

 希望者は往復はがきに【1】郵便番号【2】住所【3】氏名【4】電話番号【5】講座名「長浜佐一郎の生涯」と記して、〒238-0035 横須賀市池上2の1の5

久保木実方へ申し込みを行う。

鹿児島・桜島

OGURIをあるく 〜小栗上野介をめぐる旅〜第26回 江戸編【4】文・写真 藤野浩章

 薩摩の島津久光が軍勢を率いて江戸に上り、幕府に改革を迫ったことも異例中の異例なら、その帰り道、東海道の鶴見で彼の大名行列に出くわしたイギリス人を斬る事態まで発生。これらの事件は、単に幕府と薩摩の関係にとどまらず、この後の歴史を大きく変えることになる。

 イギリス人の登場は不意の出来事とはいえ、実はこの時、久光の示唆(しさ)があったという説もある。

 そもそも、薩摩などのいわゆる「雄藩(ゆうはん)」が幕府にここまで揺さぶりをかけているのは、家康以来ずっと続いている徳川家による貿易独占への不満が大きかったのだという。そう、「攘夷(じょうい)」どころか、堂々と貿易ができればとりあえずは良かったのである。

 それだけ、貿易による利益が大きいことを彼らは十分に知っていた。事実、薩摩は琉球との密貿易で莫大な利益を上げていたのはもはや公然の事実だったのだ。

 しかし、そんな薩摩の意図をはるかに超えて、今度は朝廷に火がついてしまった。外国とのすべての条約を破棄せよ、との命令(勅旨(ちょくし))が下されたのだ。京は、あっという間に「攘夷」の嵐がさらに加速することになってしまったのである。

 これらの事態を受けて、生麦事件によって巨額な賠償金を要求してきたイギリスへの対処をどうすればいいか、幕府の議論は紛糾していた。本書では軍艦奉行並に抜擢されていた勝海舟と小栗の応酬を描いているが、この時、下手をすれば外国との戦争で幕府はもちろん朝廷もろとも崩壊しかねない危機に直面していたのだ。

 そんな中、薩摩をイギリス艦隊が攻撃する事態が発生する。