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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2024.11.29

秋の褒章で教育や福祉など公益に尽くした人に贈られる「藍綬褒章」を受章した
高梨 和吉さん
三浦市初声町下宮田在住 75歳

今日明日、実らずとも

 ○…停車した乗用車の窓に、ダイコンが外からぬっと差し入れられる。怪訝そうな表情のドライバーも説明を聞くと「そういうことか」と相好を崩す。12月の交通事故防止運動期間に実施される恒例のキャンペーン。「交通事故”大根”絶」にちなんだダイコンの配布は三浦で始まり、今や全国で同様の取り組みが行われるようになった。

 ○…20年近く三浦市交通安全協会の会長を務め、地道な活動を重ねてきた。2019年に警察庁長官から警察協力章を贈られて以来の受章だが、今回は受けても良いものか悩んだ。協会費の減少により事務員の人件費が賄えず、昨年7月に窓口業務を終了。事務所も閉鎖し、活動を縮小してきた経緯があったからだ。それでも周囲から「実績があるのだから」と勧められ、謹んで受け取ることにした。

 ○…「今日やって明日結果は出ない」。長年交通安全の活動にかけてきた信条が言葉の端ににじむ。ダイコンを配ってもすぐに結果は出まい。でも、地道な取り組みの積み重ねが運転者の心に響き、10年、20年先の交通安全につながるかもしれない。その象徴が、18年の「交通安全子供自転車大会」だ。会員が指導した名向小学校の児童ら4人が、三浦勢としては初めて県大会を制した。うれしさの余り涙を流して喜ぶ子どもたちの表情が忘れられない。「『継続は力なり』ですよ」と朗らかに微笑む。

 ○…人口減と高齢化が進む三浦にあって、協会の存続は喫緊の課題だ。20数人いる役員全員が60歳以上で、組織の若返りは急務。地元ボランティア団体や小中学校への働きかけを念頭に「何とか50代の人たちに参加してもらいたい」と模索する。まちの交通安全を守り、後進にたすきをつなぐことが使命と心得る。

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