中区・西区・南区版【6月5日(木)号】
整備された防災広場

南区八幡町 市有地が一時避難場所に 消防団の活動にも

 南区八幡町の市の未利用地がこのほど、「八幡町防災広場」=八幡町91の6=として整備された。管理は横浜市が行い、地震や火災の発災時に住民の一時避難場所として活用される。1年後には消防団の器具置き場が設置される予定で、消防団の活動拠点にもなる。

 八幡町を含む唐沢・平楽地区は、以前から狭あい道路や老朽化した建物が多くあり、防災面の課題があった。特に八幡町は個々の住宅が密集しており、地震火災で延焼する危険性が高い地域。横浜市は八幡町を「燃えにくいまち、燃え広がらないまち」を目指す「まちの不燃化事業」の重点対策地域に指定している。

 2003年に唐沢・平楽・八幡町の住民らは、防災まちづくり協議会を組織。市と狭あい道路の拡幅整備など、地域の防災力向上に向けて町をあげて取り組んできた。

住民の声から

 建物が密集している八幡町は、中村小学校が地域防災拠点となっているが、坂道が多く道幅も狭いことから、地震や火災が起こった際の一時的な避難場所の確保が長年課題となっていた。そこで同協議会が市に相談。23年から話し合いを重ね、町内にある市の未利用地を活用することで、今回の「八幡町防災広場」の整備につながった。

 防災広場は、地震や火災などの発災時に、延焼を防ぐ空地の機能を果たすほか、一時避難場所として活用される。地下には防火水槽も入っており、大規模災害で消火栓が使えない際の備えとなる。八幡町第二睦会の伊藤静枝会長は「長年避難場所がないことが不安だったので、整備されて嬉しい」と話す。

 市によると、1年後に消防団の器具置き場が広場に設置される予定だ。今まで町内に器具を置くスペースがなく、消防団の訓練も、隣の分団の担当区域内にある阪東橋公園で実施してきた。

 今後は、消火用ホースを用いた訓練や消防器具の点検など消防団の活動を行う拠点ができる。南消防団第2分団の宮本洋子分団長は「一時避難場所と担当区域内に消防団の訓練できる場所ができ、安心した。地域の防災力を高めていきたい」と意気込みを話した。

安全な広場の利用を

 広場の管理は、横浜市消防局が行うが、ラジオ体操や夏祭りなど町内会や子ども会の地域活動にも活用される。しかし発災時や地域の活動がない時には、空き地となってしまい、治安の悪化なども懸念される。

 市はシェアサイクルポートを設置し人目につきやすくするほか、町内会と情報共有をしながら管理することで、防犯上の対策を行う。伊藤会長は「交通の便があまりよくない地域のため、若者がよくシェアサイクルを使っているのを見かける。安全な広場の使い方を住民に周知していきたい」と述べた。

ディレクターの小川さん(左)と展覧会を企画した秋葉大介さん

MM線新高島町駅 新たな芸術拠点が誕生 「人がつながるハブに」

 みなとみらい線新高島駅構内地下1階に6月1日、新たな芸術複合施設「Art Center NEW」が誕生した。グランドオープンを記念し、7月20日(日)まで「新しい日々」をテーマにした展覧会「NEW Days」が開催されている。

 昨年度まで同施設の場所にはアーティストの創作・滞在・発表の場となるオルタナティブスペース「BankArt Station」があった。昨年、市はこの場所をさらにまちに開かれた先進的な現代アートと交流の拠点にしたいと運営事業者を公募。(一社)Ongoingを選定した。

 ディレクターの小川希さん(49)は「周辺住民や企業、学校を巻き込み人と人がつながるハブにしたい」と話す。同法人は2009年に設立した。東京吉祥寺のアートスペースを拠点に、現代アートにまつわる展覧会やアートイベントを企画・開催。中区黄金町のアートフェスティバルにも関わってきた。アーティストとのネットワークやこれまで培ってきた運営のノウハウを生かす。

 コンセプトに掲げるのは「NEW」。「情報が溢れる今の時代だからこそ、自分の肉体で触れる体験が大事。新たな発見や自分の中の変化に気づくきっかけになれば」と小川さん。新たなアーティストや表現を紹介する展覧会や海外作家の招聘、子どもから大人まで受講できるアートスクールやワークショップを企画する。

 会場内では個人が発行する出版物やアートグッズの販売も行う。カフェは展示鑑賞者だけでなく駅の利用者など一般客も利用可能。一角には小上がりや座って休憩できるスペースも設けた。小川さんは「風通しの良い空間を目指した。無料で入れるエリアもあるので、ふらっと気軽に来てもらえたら」と話す。

空間に新たな可能性

 オープン記念展覧会「NEW Days」では、キャリアも性別も様々なアーティスト8人が参加する。絵画、映像、写真、パフォーマンスなど多種多様な表現が披露される。約1000平米の駅の中の大空間を使った新しい可能性を提示する。会期中に展示が少しずつ変化していく試みも行われる。

 観覧料は一般1000円、大学生800円、高校生以下無料。開館時間は正午から午後8時まで。水・木定休。

絵本学会の理事を務め、横浜大会の成功に向けて準備を進める 穴澤 秀隆さん 西区東ケ丘在住 69歳

絵本の本質『考える』面白さ

 ○…絵本専門の学会として1997年に日本で、そして世界で初めて設立された絵本学会。昨年から理事を務め、横浜大会の成功に向け奔走する。「夢のある場所で絵本の大会をやってみたかった」と、会場に選んだのは横浜市開港記念会館。『魔女の宅急便』の「ほうきに乗り慣れない主人公がぶつかりそうになる時計台のイメージ」と目を輝かせる。

 ○…大学卒業から約35年、美術教育専門誌『美育文化』の編集者として図工・美術教育の発展に努めた。著名な絵本作家への取材も多かった。デジタルメディアにはないモノとしての存在感、社会問題を取り上げるなどテーマの多様性さに「絵本に表現としての新しさを感じた」。編集者時代に親しくしていた仲間に誘われ、2015年ごろに学会に加入した。

 ○…中区元町出身。幼少期には、明るくおしゃれな雰囲気の商店街、そのすぐそばで営まれる水上生活、山手の外国人が暮らす住宅地など、人々の様々な生活を間近で見てきた。「おしゃれなものに触れていたいと思う一方、社会問題にも目を向けなければと思うのは、原風景にあるアンビバレンスさが影響しているのかも」と内省する。暮らしの匂いが感じられるものに惹かれ、「ランタンが灯り始める夏の夕方の中華街は郷愁を誘う」と話す。

 ○…余暇には友人アーティストの展覧会や制作風景を見に出かける。「美術とは何か『考える』ことが楽しい」と声を弾ませる。それは絵本にも通じること。子どもが大喜びする『だるまさん』シリーズを絵本だからできる表現と評し、「子どもにとってこの本の何が面白いのかを考えることが面白い」と語る。「絵本の世界は例えるなら『深い森』」。その冒険に終わりはない。

ダンゴにタネを付ける参加者

たねダンゴで笑顔咲く 市老連主催の講座で

 「たねダンゴ」作りが5月30日、南センターで行われた。横浜市老人クラブ連合会が主催する横浜シニア大学の講座の1つとして、南区老人クラブ連合会の会員を中心に約25人が参加した。

 たねダンゴは、花のたねや肥料土壌改良剤を入れた土のダンゴを植え付けて花を咲かせる新しい緑化手法。講座では、参加者同士で交流を深めながら、1人10個ほど作成。一部はセンター内のプランターに植えた。

 参加した81歳の女性は「皆さんと一緒に、童心に帰って楽しめました」、78歳の男性は「花は奥さんが育てていて、たまに触るくらい。持って帰って、自分で育てたい」と笑顔をみせた。

 市老連の職員は「花を育てることで生活に潤いが生まれる。2年後の国際園芸博覧会を身近に感じてほしいという思いもある」と企画の趣旨を話した。

横浜市庁舎跡地の行方vol.1 横浜の魅力つなぐ拠点に

 JR関内駅前の横浜市庁舎跡地に来春グランドオープン予定の「BASEGATE横浜関内」。今回から数回にわたり概要やプロジェクトのキーマンを紹介する。

 2020年6月に移転した横浜市庁舎。その跡地周辺の開発が進む中、関内駅前でも新たな街づくりが始動している。

 BASEGATE横浜関内は、三井不動産(株)を代表企業に8社で開発を進める。同社の関内プロジェクト推進準備室・梅澤幸平さんは「関内は中華街やみなとみらいなど観光地の中心にある。街の魅力をつなぐ拠点(BASE)、新たな感動や出会いの入り口(GATE)にしたい」と名称に込めた思いを語る。

 街区内には、日本最大級のライブビューイングアリーナ、楽しみながら学ぶ体験ができるエデュテイメント施設、ホテル、飲食ゾーン、オフィス、新産業創造拠点などが入る。周辺地域と街区をつなぐモビリティサービスも提供する。「イベント連携などでエリア全体の回遊性向上を図る。地域団体とも一緒にできることを探していく」と話す。

 旧横浜市庁舎行政棟は横浜開港100周年記念事業で村野藤吾氏が設計、1959年に竣工した。梅澤さんは「機能面をデザイン的に見せており、建築的価値が高い」と評する。ホテルや商業施設はその外観的特徴を保存・活用する。新たに建設する建物のデザインにも取り入れている。

横浜市営バス 25年度春は減便回避 運転手の採用拡大が奏功

 運転手の不足が主因で、2024年度に大規模な減便を余儀なくされた横浜市営バス。対策として打ち出した給与アップや住居手当の増額が後押しとなり、100人近く採用できたことなどから25年度春の減便は免れた。

 法改正による時間外労働の規制が昨年4月に始まったことや、退職者が相次いだことなどから運転手が不足し、市営バスは24年度に大幅減便となった。1年間の減便数は677便に上った。

 市交通局人事課によると、採用拡大のため全国の幅広い年代からの応募を促す対策を展開。月額1万9600円の住居手当を5万円に増額し、5年間支給する計画を打ち出した。大型二種免許所持者の年齢制限も49歳を60歳まで引き上げ、女性枠も新設。また、過去最大級という平均7・72%の給与ベースアップを実施した。

 24年度は一連の対策が功を奏し、同免許の養成コースから正規職員になった19人を含めて合計99人を採用。前年度から60人増えており、12年度以降で最多だった。住居手当が応募の決め手になった人がおり、北海道や沖縄からもエントリーがあったという。

 春の減便を回避し、現在の市営バスは8543便で運行されている。その一方で、年度内の見通しについて同局路線計画課の職員は、運転手の確保などの面から、「引き続き予断を許さない状況」と説明する。

半数が50歳以上今後更に不足か

 将来的な運行維持には課題も多い。特に大きいのが年齢構成で、約1000人の運転手の半数は50歳以上(24年度末)。現在の公務員の定年は62歳で、今後10年で多くの人が退職を迎えるため、人事課の職員は「人手不足が今の比では無くなる」と危機感を募らせる。

 再任用制度や65歳までの段階的な定年引き上げが計画されているものの、「視力低下など体調面の理由で、定年前に辞める人もいる」と話す。

 人事課では24年度、若年層の応募を促すため、同免許の資格要件を緩和する「受験資格特例教習」の受講費用を助成する制度も立ち上げた。今後も若い世代の採用を強化していく方針だ。

通行者に啓発グッズを配布

南消防署 「早めから熱中症対策を」 区内2カ所で啓発運動

 南消防署(柴田尚正署長)は5月28日と29日、南区内の2カ所で熱中症予防を呼びかけるキャンペーンを行った。

 横浜橋通商店街で実施したキャンペーンでは、同署をはじめ、南消防団や南区役所の職員など約30人が参加。商店街の一角にブースを設け、熱中症予防を記載したチラシやウェットティッシュなどの啓発グッズを通行者に手渡した。

 南区は、外国籍を持つ人の割合が区内人口の5・7%と市内で2番目に高い(2023年時点)。同商店街も多くの外国人が利用することから、南消防団の外国人防災指導チームも参加。同商店街の協力で中国語、韓国語、日本語の3カ国語で熱中症予防を呼びかける放送を行った。

 柴田署長は「気づかないうちに発症していることがある。こまめな水分補給をしてほしい」と呼びかけた。29日は、ビエラ蒔田でも行われた。

テーブルを囲んで談笑する参加者たち。今後は地域の店舗や人材を活用した体験イベントなども予定している

関内エリア シニアの「居場所」に 認知症カフェを初開催

 関内の地域交流拠点・泰生ポーチフロント=中区相生町=を会場に「認知症カフェ」が5月16日、初めて開かれた。

 認知症カフェとは、当事者や家族を支えるため、認知症の相談や情報交換を行う場のこと。地域の民生委員や自治会、老人クラブら有志による「関内シニアカフェ」が企画した。当日参加者たちは、和やかな雰囲気の中、コーヒーを飲みながら会話を楽しんでいた。参加した80代の女性は「関内は高齢者が気軽に集える場所がない。話ができるだけでも楽しい」と話していた。

 近年マンションが急増している関内エリア。便利な立地から、戸建てから移り住む高齢者世帯も多いという。しかし、地域の福祉拠点である地域ケアプラザは中学校区に一つと決まっており、既存の不老町地域ケアプラザまでは距離があるのが課題になっていた。

 そのため関内シニアカフェでは、高齢者が安心して過ごせる居場所づくりを目的に、2023年4月から泰生ポーチで月2回の健康麻雀を開始。自然なつながりが生まれてきたこの場所で、認知症カフェの開設に至った。代表の一宮均さんは「認知症の有無に関わらず、地域交流の場として気軽な感じで立ち寄ってもらえたら」と参加を呼びかけている。次回は6月6日(金)の15時〜18時。参加費300円。毎月第1・3金曜に開催。

県議会 所属委員会決まる 中区・西区・南区選出議員

 神奈川県議会は5月26日の本会議等で、今年度の常任・特別などの委員会の構成を決めた。中区と西区、南区選出の議員の所属は以下(敬称略、氏名の後は会派名)。

■中区▽原聡祐(自民党)=議会運営委員会(委員長)、防災警察常任委員会、共生社会特別委員会、予算委員会▽作山友祐(かながわ未来)=文化スポーツ観光常任委員会(副委員長)■西区▽加藤元弥(自民党)=防災警察常任委員会■南区▽新堀史明(自民党)=産業労働常任委員会(委員長)、予算委員会▽岸部都(かながわ未来)=文教常任委員会、共生社会特別委員会、予算委員会

 県議会は7月11日まで第2回定例会を開く。

演奏とトークを行う賢作さん

絵本の可能性考える 谷川俊太郎さん追悼企画も

 絵本学会横浜大会「絵本の窓から世界を見る」が6月21日(土)と22日(日)に横浜市開港記念会館=中区本町=で開催される。

 21日の午後12時10分からは、昨年逝去した谷川俊太郎さんの追悼企画を行う。共に制作活動をしてきた息子の谷川賢作さんと絵本の企画展を手掛けたキュレーターの林綾野さんが、谷川俊太郎さんや絵本の魅力について語る。2時40分からは、絵本作家の荒井良二さんのスペシャルトークとサイン会が行われる。

 22日は大学教授らによる研究発表と作品発表などが企画される。

 美術表現と言語表現を融合し、子どもと大人の架け橋となる文化として発展する絵本。作品のテーマもあらゆる分野に広がっている。同大会の事務局長を務める穴澤秀隆さん=人物風土記で紹介=は、「一般市民の方々にも絵本を知り、楽しんでいただける機会にしたい」と話す。

 参加費は1日一般1800円。2日間通しは3500円。フォームから申し込みを。締め切りは15日(日)の午後10時まで。(問)【メール】anazawa@kokugakuintochigi.ac.jp(穴澤さん)

参加者の質問にこたえる杉島さん=右端=とスコギンズさん=右から二番目

体験者と学者が対談 国籍超え、平和考える

 80年前の1945年5月29日、横浜市内の多くが焼失し推計で8千〜1万の人が命を落としたといわれる横浜大空襲。空襲を体験した杉島和三郎さん(97)と歴史学者のスコギンズ・グレンさんが5月25日、7アーツカフェ=中区末吉町=で企画対談を行った。

 まず紹介されたのは、スコギンズさんが教え子から集めた戦争体験者の証言だ。山手町のサンモール・インターナショナル・スクールの教師だったスコギンズさんは、1984年から2020年まで、高校2年生に戦争体験者の聞き取りを課してきた。26年間の調査で集まったのは300人以上の証言。うち200人以上が横浜に住んでいた人で、日本人を始め、中国人や韓国人、米国人など様々な国籍の人がいた。

 今回は、横浜大空襲を体験した11人の話を紹介。スコギンズさんが英語で伝えた後に、日本語に翻訳して朗読された。『多くの人が川に逃げましたが、P-51の戦闘機が川の中の人を撃ちました。私は墓地に隠れていました』『私は妊娠中で〜中略〜爆撃のショックで赤ちゃんは予定より早く生まれましたが、食べ物も電気もなく、私は赤ちゃんを殺そうとしました』など生々しい記録が淡々と話された。

 続いて元町で生まれ育った杉島さんが登場し、自身の空襲体験を披露。スコギンズさんが「どうやって逃げたのか」「住んでいた元町はどんなだったか」などを質問しながら進行した。

 知り合いに誘われ参加したという24歳の女性は、「体験者の話を直接聞いたのは初めて。今後、難しくなってくると思うので、貴重な体験だと思った」と話した。

歴史記憶し繰り返さないために

 このイベントを企画したのは、7アーツカフェの代表、ジョセフ・アマトさん。日本語と英語の両方で行った意図を、「空襲体験者の日本語の記録はあるけど、英語のものはない。海外にも発信し、後世に伝えることができたら意義があるのではと思った」と話す。

 スコギンズさんは、アメリカの哲学者・ジョージ・サンタヤナの「歴史を記憶しない者は、同じ過ちを繰り返す」という言葉を引用し、歴史を記録することの重要性を説く。「同じ人間に、敵・味方はない。あえて言うなら、人類の敵は戦争そのもの」と熱を込めた。同イベントの動画は、7アーツカフェのホームページから閲覧できる。

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横浜市長選 自民が独自候補擁立を断念へ

 任期満了に伴う横浜市長選(7月20日告示、8月3日投開票)で自民党が独自候補の擁立を断念する方針であることが6月3日に分かった。同日に中区で自民党横浜市連大会が行われ、大会終了後に市連会長の佐藤茂市議が記者団の取材に対して明らかにしたもの。

 市長選に向けて、自民党市連は昨年から検討チームを作って候補擁立を模索していた。佐藤氏は断念の理由を「時間がなかったことと適任者がいなかったため」と説明。「選挙に勝てるような候補者でなければ出すことはできない」とも述べた。

 自民党の一部市議は5月25日に山中竹春市長と面会している。山中氏は市長選への態度を公表していないものの、市会定例会最終日の6月5日に再選出馬を表明するものとみられている。

 佐藤氏は山中氏について「出馬宣言をすれば、有力な候補者となる」とし、山中氏から支援要請があった場合には「検討する」とした。しかし、党内には山中氏に批判的な市議がいることから「きちんと議論して、合意形成を図っていく」と語り、前回の市長選で市議団が2人の候補をめぐって分裂した反省を踏まえ、「一枚岩」で臨むことを強調した。また、前回選では共産党が自主的に山中氏を支援していたが、仮に今回も支援する場合は「同じ支援体制に入ることはあり得ない」とした。

 佐藤氏は、市連大会のあいさつでは市長選について、「現在も協議の真っ最中」と述べ、独自候補擁立断念には触れていなかった。佐藤氏の記者団への発言について、大会に参加していた市議は「断念というのは、踏み込み過ぎでは」と驚いていた。

10歳以下の部に出場した選手ら=提供

横浜寿ライオンズクラブ 少年少女のサッカー大会開催 友情や協力の大切さ伝える

 南区を拠点に活動する横浜寿ライオンズクラブ(福井康朝会長)は、5月18日、少年少女サッカー大会を川崎市で開催した。同クラブは、地域の子どもたちにスポーツ通じて友情や協力の大切さを学んでもらいたいと、2022年から大会を主催している。

 今年は10歳以下と12歳以下の2つの部にそれぞれ8チームが参加した。10歳以下の部は烏森SC=東京都=が、12歳以下の部は高津FC=川崎市=が優勝した。

 福井会長は「晴れわたる青空の下、横浜・川崎・東京から集まった元気いっぱいの選手たちが、最後まで全力でボールを追う姿にたくさんの感動をいただいた。この大会が、皆さんの素敵な思い出の一つになっていれば嬉しい」と話した。

ハナショウブを鑑賞する来園者(5月29日撮影)

三溪園で「花しょうぶ展」 6月5日から8日まで

 国指定名勝「三溪園」=中区本牧三之谷=の外苑中央広場で「花しょうぶ展」が、6月5日(木)から8日(日)まで開かれる。日本花菖蒲協会が共催。午前10時(初日は午後1時)から午後4時まで、費用は無料(入園料は大人900円)となる。

 ハナショウブは、江戸時代から品種改良が続けられ、現在は5千種類もあるといわれている。会期中は、同協会が育てた約120鉢のハナショウブを鉢植えや切り花などにして毎日入れ替え展示を行う。鉢植えの販売(無くなり次第終了)もあるほか、手入れ方法や疾病対策など栽培に関する相談も無料で受ける。

 園内を彩るハナショウブは、5月29日時点で満開まであと少し。同展の会期中に見頃を迎えそうだ。ベンチに腰掛け鑑賞していた来園者は、「きれいな紫で立派に咲いていますね」と楽しんでいた。

 問い合わせは、(公財)三溪園保勝会【電話】045・621・0635(午前8時30分〜午後5時15分)。

 

 

筒香選手のポスター

ベイスターズ 筒香選手ら環境行動呼びかけ 市内1100カ所にポスター

 横浜市は6月の環境月間に合わせ、プロ野球横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智選手らが市民に環境行動を訴えるポスターを市内約1100カ所に掲出する取り組みを6月から行う。

 ポスターには、筒香選手と竹田祐選手、桑原将志選手が登場。それぞれ、環境行動を呼びかけるメッセージが記されており、筒香選手は「常に考えている。地球のために、自分にできること。」と、日々の行動を推奨している。

 これらのポスターは市内の公共施設や学校内に9月末まで掲示されるほか、地下鉄関内駅の1番出口付近には6月2日から8日まで大型ポスターが登場する。

 3選手のサイン入り色紙とボールが計6人に当たる市内在住者対象の環境に関するアンケートを6月1日から30日まで実施。回答は電子申請システムを通して行う。

 市は「ポスターが多くの人の環境行動につながるきっかけになれば」と期待している。

神大横浜キャンパスで中村さんの報告を聞く参加者

「山下ふ頭再開発に市民の意見を」 シンポジウムで市民団体訴え

 山下ふ頭の再開発について考えるシンポジウムが5月31日に神奈川大学横浜キャンパス=神奈川区=などで行われた。

 再開発をめぐっては、林文子市長時代にIR(カジノを含む統合型リゾート)誘致を計画していたが、2021年の市長選で当選した山中竹春市長が計画を撤回。市はその後、再開発に関する市民意見募集を実施し、23年8月から都市計画の専門家らによる検討委員会が議論を始めた。24年12月に緑化空間の創出や経済活性化を目的にした施設の導入などを盛り込んだ答申をまとめて市長に提出。市は今後、事業計画案を策定する。

 シンポジウムは神奈川大学法学研究所が主催し、約30人が集まった横浜キャンパスのほか、登壇者をオンラインで結ぶ形で行われた。

 横浜キャンパスでは、市民団体「市民による市民のための山下ふ頭を求める会(準備会)」の代表を務める中村寛三さんが報告を行った。同会は、市民が声を上げたことでIR撤回を掲げた山中市長が誕生した経緯を踏まえ、山下ふ頭再開発でも市民意見を尊重すべきとの姿勢で活動している。

 中村さんは検討委員会の答申を「短期的な商業的開発と中長期的な市民生活の豊かさを追求するまちづくりという両立しない方向性を無理矢理まとめたもの」と批判。市が事業計画案を策定する際は市民参画を保証する委員会を設置すべきと主張した。8月の市長選後に計画案が出るとの見方を示し、それまでに世論を喚起したいとした。今後、市長選立候補予定者に再開発に関する質問を行うことも検討しているという。

 シンポジウムではほかにも、まちづくりの専門家らが土地利用のあり方や港湾機能の活用などの観点から意見を述べた。

会見で市長選について語る山中市長

山中市長、再選出馬は「適切な時期に判断」 自民市議との面会は認める

 横浜市の山中竹春市長は5月30日の定例会見の中で、次期市長選(7月20日告示、8月3日投開票)について、「出処進退は適切な時期に判断したい」と述べた。

 市長選をめぐっては、山中氏が25日に市会最大会派の自民党市議団の一部議員と面会し、再選出馬の意向を伝えたとする報道が26日以降に相次いでいた。28日の市会本会議では、議員から報道に関する質問があり、「報道は事実」と答え、面会は自民党側からの要望だったとしていた。

 定例会見では記者から報道について問われ、山中氏は「会ったことは事実」と答えたものの、出馬意向の伝達は、「相手のあることだから回答は差し控える」と面会時の内容は明らかにしなかった。その上で市長選への立候補は「適切な時期に判断したい」とした。また、自民党との面会以降、他党とは会っていないとした。

 一連の報道を受け、4年前の市長選で山中氏を支援した立憲民主党のある市議は「市長が先に自民党に話をするのは順番が違うのでは」と語り、市会で自民党と歩調を合わせることが多い公明党の市議も「事前に自民党から何も聞いていない」と述べ、ともに山中氏や自民党がどう動くかを読み切れないとしていた。

若者が参加した「YOXO FESTIVAL」でのトークセッション=提供

中区尾上町の「YOXO BOX」が次世代起業家を育成する場に 地域ぐるみで事業を展開

 中区尾上町にあるベンチャー企業成長支援拠点「YOXO(よくぞ)BOX」が、今年度から「横浜市次世代起業人材育成拠点」として新たに生まれ変わった。

地元企業含む3者で

 代表企業の三菱地所(株)をはじめ、(株)ウィルパートナーズ=中区尾上町、(株)plan-A=同太田町=の三者が、市から同拠点の運営と次世代起業人材育成事業を受託。「次世代人材育成拠点運営事業共同企業体」として事業を進めている。

 「YOXO BOX」は、市が2019年に開設。スタートアップやベンチャー企業の成長支援を中心に事業を展開してきた。これからは次世代に光をあて、地域や生活などについて新たな視点で課題解決を目指す若手起業家や、起業に関心を持つ中高生などの若年層が対象の事業を行う。

 plan-Aの相澤毅代表取締役社長は、同拠点の開設当時から運営に携わっており「YOXO FES inさくら通りOPEN!」などのイベントを地域で活動する事業者らと開催してきた。その経験から「起業に関心を持つ若者に対し、応援が受けられる環境の素地ができている」と多様なネットワークを生かしたプログラムを予定する。

横浜で原体験を

 中高生も対象としたことに相澤社長は「いきなり事業計画を作るのは難しいが、身近な課題をテーマにプログラムを展開していきたい」と話す。今後は、中高生が設定した課題に対して地域ぐるみで支援しながら、解決に向けてチャレンジできる環境を整えていく。「中高生のうちに横浜で起業・創業の原体験を経験することで、将来横浜で起業し、地域経済を担う人材が生まれることを期待している」と先を見据える。

贈呈式に出席した関係者

若手経営者団体が横浜市社会福祉基金に寄付

 横浜エリアの若手経営者らによる団体「横浜スマイル」が5月22日、チャリティーゴルフコンペで集めた25万5200円を横浜市社会福祉基金に寄付した。寄付金は市内のこども食堂の運営支援などに活用される。

 同基金は2010年度に創設。市が行う社会福祉や青少年の育成に関する事業の向上などを目的としている。

 横浜スマイルの村松佑樹さん、錦織大さん、永島友樹さんの3人は、22日に横浜市庁舎を訪問。平原敏英横浜副市長から感謝状が贈呈された。村松さんは「地域の架け橋になるような活動を続けていきたい。今回の寄付をゴールにするのではなく、これからも誰かの力になれる取り組みを広げていければ」と今後の展望を語った。

現役で活躍するプロのオペラ歌手らが直接指導

クオーレ・ド・オペラこどもオペラ団が始動 小1〜中3を対象に参加者を募集中

 横浜を拠点に活動する(一社)クオーレ・ド・オペラは、このたび若年層へのオペラ普及活動の一環として、「こどもオペラ団YOKOHAMA」を立ち上げた。音楽、演劇、美術、身体表現--あらゆる芸術が融合したオペラで、子どもの豊かな感性や教養、想像力を育むことを目的に掲げている。「”本物に触れながら学ぶ”体験は、子どもたちの心に強く残り、人生において大きな影響を与えてくれるはず」と主催者。プロのオペラ歌手や指導者のもと、歌や演技の基本を学びながら、みんなで楽しく来年3月の「こどもオペラ」の公演を目指す。

 練習は6月から、緑区民文化センター=緑区=と関内ホール=中区=でスタート。各所で月2回(各90分)、行われる。対象は小学1年生から中学3年生までで、歌や演技、ダンスに興味がある人(未経験歓迎)。月謝は3300円。団員は随時受け付ける。参加希望者はEメールに氏名、年齢、電話番号、住所、メールアドレスを明記し、件名「こどもオペラ団YOKOHAMA 団員募集」でopera@cuoredopera.comに送信を。問い合わせは事務局【電話】080・9561・7451。

医療リテラシーの向上を図る職員

横浜市 「あんしん救急教室」が6月始動 児童に救急車の適正利用など発信

 横浜市消防局は6月から、小学生を対象とした「あんしん救急教室」を市立小学校で順次開催する。児童や保護者に救急車の適正利用などを呼び掛けることが目的。

 同局によると、横浜市内の救急出場件数は2022年に24万4086件、23年に25万4636件、24年に25万6481件を記録し、3年連続で過去最多を更新。24年は2分3秒に1回の頻度で救急車が出場し、市民15人に1人が救急車を利用したことになった。

 同局は出場件数の抑制のため、救急を要する事態の予防や119番通報の適正利用を呼び掛ける機会を模索。「子どもに情報伝達することで、保護者も医療リテラシーなどについて考えるきっかけになる」と考え、市立小学校を対象とした「あんしん救急教室」を企画する運びとなった。

 市内334校(24年度時点)での開催に向けて今年2月、横浜市民防災センター=神奈川区=で試験実施。消防職員が横浜市の救急隊の数や出場件数について冊子やクイズを交えて紹介し、医療資源の効率的な利用促進を訴え掛けた。また、病気やけがを未然に防ぐことで救急車の出場数を減らし、本当に必要としている現場に出場できることを説明した。

 そのほか、意識障害や呼吸困難、大量の出血を伴うけがや広範囲のやけどなどの症状が表れた際は、迷わずにすぐに救急車を呼ぶように伝えた。

 同局の担当者は「救急車は限りある資源。子どもたちの『どんな状況でも呼べば来てくれる』という固定観念を払拭し、呼ぶべき時とそうではない時をはっきりとさせたい。学校教育ではあまり触れられない救急に関する話について発信していければ」と話す。

 

堀川圭輔氏

参院選 NHK党 堀川氏擁立へ 受信料制度見直し訴える

 参院選神奈川選挙区(改選定数4)に政治団体「NHK党」が会社員の堀川圭輔氏(51)を擁立することを決めた。

 堀川氏は2022年の参院選静岡選挙区、23年の豊島区議選に同党から立候補して落選している。5月29日の会見で「NHKの受信料制度は今の時代に合っていない」と述べ、受信料を支払った人だけが視聴できる制度の導入を訴えた。

トップインタビュー 「地域に根ざす施設を設計し50年」 株式会社コア建築設計工房 須永 信一 代表取締役会長

 -今年5月に創立50周年を迎えました。

 「34歳で創業してから、あっという間の月日でした。経営が軌道に乗るまで苦労しましたが、社員をはじめ、多くの方に支えられて50周年を迎えられましたので、とても感謝しています」

 ―建築設計会社を設立した経緯は。

 「周りの友人が独立して設計事務所を立ち上げている姿を見て、自分で会社を経営したいと夢を持ちました。東京都内での創業も考えましたが、子どもの頃から地縁のある横浜で挑戦しようと決めました。会社員とは違い、採算を立てて経営していくのは本当に大変でした。正月の三が日以外は休まず、必死で働いたのを思い出します」

 ―保育園や幼稚園の園舎の設計が多いですね。

 「戸建てや事務所など幅広く設計しようと営業活動をしていましたが、なかなか軌道に乗らず悩んでいました。そんな時に、中学校の友人から横浜市の職員を紹介してもらったことで、保育園の園舎を設計する仕事に巡り会えました。2000年以降は、横浜市の保育園や幼稚園、小学校を設計することが主要事業となりました。中区の立野小学校も当社が設計したんですよ。きっかけをくれた友人には感謝しています。横浜で創業を決めて、よかったです」

 ―事業を進める上で大変だったことは。

 「保育園や幼稚園を新たに建てるとなると、地域住民の理解を得るのが難しく事業を進めるのが大変でした。何度も市の職員と足を運び、納得いただけるよう根気強く説明を繰り返しました。最終的には、納得いただいたのですが、その経験を通じて何事も誠実に対応する大切さを学びました。今でも社員には、誠実な人であることの大切さを伝えています」

 ―今は小学校の建て替え事業に参加していると聞きました。

 「老朽化などで建て替える学校施設が増えています。当社も鶴見区の小学校の設計監理を担っています。8年がかりのプロジェクトですが、未来の子どもたちが育つ環境を整える大切な役目ですので、社員全員で力を合わせて、良い設計ができればと思っています」

 ―今後の展望は。

 「これからも同じように保育園や幼稚園の新築や建替えの設計を展開できるかわかりません。高齢化社会を迎えていますので、高齢者向けの施設の設計工事監理も目指していきたいです」