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公開日:2025.06.05

体験者と学者が対談
国籍超え、平和考える

  • 参加者の質問にこたえる杉島さん=右端=とスコギンズさん=右から二番目

 80年前の1945年5月29日、横浜市内の多くが焼失し推計で8千〜1万の人が命を落としたといわれる横浜大空襲。空襲を体験した杉島和三郎さん(97)と歴史学者のスコギンズ・グレンさんが5月25日、7アーツカフェ=中区末吉町=で企画対談を行った。

 まず紹介されたのは、スコギンズさんが教え子から集めた戦争体験者の証言だ。山手町のサンモール・インターナショナル・スクールの教師だったスコギンズさんは、1984年から2020年まで、高校2年生に戦争体験者の聞き取りを課してきた。26年間の調査で集まったのは300人以上の証言。うち200人以上が横浜に住んでいた人で、日本人を始め、中国人や韓国人、米国人など様々な国籍の人がいた。

 今回は、横浜大空襲を体験した11人の話を紹介。スコギンズさんが英語で伝えた後に、日本語に翻訳して朗読された。『多くの人が川に逃げましたが、P-51の戦闘機が川の中の人を撃ちました。私は墓地に隠れていました』『私は妊娠中で〜中略〜爆撃のショックで赤ちゃんは予定より早く生まれましたが、食べ物も電気もなく、私は赤ちゃんを殺そうとしました』など生々しい記録が淡々と話された。

 続いて元町で生まれ育った杉島さんが登場し、自身の空襲体験を披露。スコギンズさんが「どうやって逃げたのか」「住んでいた元町はどんなだったか」などを質問しながら進行した。

 知り合いに誘われ参加したという24歳の女性は、「体験者の話を直接聞いたのは初めて。今後、難しくなってくると思うので、貴重な体験だと思った」と話した。

歴史記憶し繰り返さないために

 このイベントを企画したのは、7アーツカフェの代表、ジョセフ・アマトさん。日本語と英語の両方で行った意図を、「空襲体験者の日本語の記録はあるけど、英語のものはない。海外にも発信し、後世に伝えることができたら意義があるのではと思った」と話す。

 スコギンズさんは、アメリカの哲学者・ジョージ・サンタヤナの「歴史を記憶しない者は、同じ過ちを繰り返す」という言葉を引用し、歴史を記録することの重要性を説く。「同じ人間に、敵・味方はない。あえて言うなら、人類の敵は戦争そのもの」と熱を込めた。同イベントの動画は、7アーツカフェのホームページから閲覧できる。

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