藤沢版【9月12日(金)号】
タブレットを使いこなし、顧客情報や勤怠を管理する竹ノ下さん

羽鳥在住竹ノ下さん 87歳の現役生保外交員 人生は「感謝」と「恩返し」

 米寿の誕生日を目前に控えてなお、職場で現役として活躍する女性がいる。羽鳥在住の竹ノ下律子さん(87)は今年、日本生命保険相互会社湘南支社で勤続50年を迎えたベテラン外交員だ。15日(月)の敬老の日に合わせ、顧客に「感謝」と「恩返し」の気持ちで寄り添う竹ノ下さんに、働き続ける理由を聞いた。

 「恩返しだから、やめられない。今の仕事は全く苦じゃない」。明るく語る竹ノ下さんだが、これまで涙する日も多くあったという。

 鹿児島県で生まれ育った。地元で結婚し第4子を出産した翌年、夫の仕事で縁のあった藤沢に家族で移住。そんな折、夫の知人が住宅ローンを抱えたまま亡くなり、家族が路頭に迷うのを目の当たりにした。引っ越してきたばかりで、周囲に頼れる知り合いが少なかった竹ノ下さんは「もし夫に万が一のことがあっても子どもたちを育てられるように備えなければ」と、自らも働きに出ることを決意。先の出来事で保険の重要性も思い知らされ、38歳で日本生命に入社した。

 保育園に空きがなかったため、乳飲み子をおぶって自転車で地域を回り、飛び込み営業をする日々。エリア内の家を一軒一軒訪問営業する中では、心無い対応を受けることもあった。ある時、顧客が勢いよく閉めたドアが子どもに当たり、頭をけがしてしまった。泣きわめく子どもを前に、「ここまでして働かなきゃいけないのか」と心が折れかけたという。

人として向き合う

 しかし、そんな竹ノ下さんに手を差し伸べてくれたのも顧客だった。子連れで働く姿を見て「本当はそのつもりがなかったけれど、あなた頑張っているから契約するよ。その子に鉛筆でも買ってあげなさいね」と声をかけてくれた顧客がいた。「私の原点。お客さまに助けられて仕事していると実感した。いい加減なことはできない」。この顧客はすでに亡くなっているが、竹ノ下さんは今でも墓参りに訪れる。

 顧客と向き合う上で大切にしているのは、「まず人として向き合うこと」。「人の話を聞いてあげられる人でありたいから」と、いきなり契約の話はせず、通って信頼関係を築く。顧客の悩みや家族の相談に親身に耳を傾けることを心掛け、時には嫁姑の仲を取り持ったこともある。

 「いいことはいい、悪いことは悪いとはっきり言うことが大切」。そのかいもあってか、今では「竹ノ下さんじゃないと嫌だ」と子や孫まで含め、何世代にもわたって担当している家庭や、転居後もわざわざ遠方から訪ねてくる顧客もいるそうだ。

 長年勤めてきた中で、仕事に対する捉え方が変わったという竹ノ下さん。以前は泣き虫だったと振り返るが、「人間が生きていく上では、やっぱり人さまに感謝の気持ちを持っておくべき」と話す。お客さまから「ありがとうね」「感謝しているよ」と言われると、うれしくてたまらないのだという。「本当にいい仕事なんですよ、お金では買えない仕事です。これからも健康でいられる限り続けたい、今度は100歳を目指せたらいいね」

 市の調査によると、市内に住む100歳以上の長寿者は20年前と比べ、右肩上がりに推移しているという。

100歳以上20年で3.3倍いきいきシニアが増

 もうすぐ敬老の日。藤沢市内では緩やかに高齢化が進む一方で、長生きしている人など元気な高齢者も増加傾向にある。

 市の調査によると、市内に住む100歳以上の長寿者は267人(8月1日時点)おり、20年前の同時期と比べると、185人、約3・3倍増えている。また75歳以上の後期高齢者は6万6577人で、20年前の2万6389人と比べ、約2・5倍増。長寿者は後期高齢者の増加割合を上回っていることが分かる。

 市の人口に対する65歳以上の高齢化率は24・79%。日本の高齢化率29・3%(昨年10月時点)や近隣の茅ヶ崎市26・66%(一昨年時点)、鎌倉市30・27%(同)と比べると、比較的低い値にある。

 市内13地区をそれぞれ見ると、最も高齢化が進んでいるのが湘南大庭地区の33・72%。大規模団地がある地区で、20年前は11・96%と最も高齢化率の低い地域ではあったものの、建設当初の入居者が高齢者世代となり、急激に増えた結果だ。

 最も高齢化率が低いのは湘南台地区の19・59%。13地区の中で唯一20%を切っている。20年前と比べ、65歳以上の人口は倍増しているものの、若い世帯の流入もあって大幅な上昇には至っていない。

 市は、2050年には人口の36・3%が高齢者になると推計しており、今後の人口構造の変化で社会保障関係経費増も見込まれる。市高齢者支援課は「年齢を重ねても住み慣れた地域で、本人の尊厳が守られ、自分らしく安心して暮らせるよう、地域包括ケアシステムをさらに深化、推進したい」とコメントした。

市長が長寿者訪問

 市では毎年、100歳以上の長寿者宅を鈴木恒夫市長が訪ね、花束の贈呈などを行っている。今年度は17人のもとを訪問(9月10日時点)。9月から来年3月までに107人が100歳となる予定で、そのうち希望者に対し訪問が行われる。

辻堂のダンス教室「Studio HANA!」で世界大会優勝を支えた 深澤 彩里さん 辻堂在住 35歳

「教え子は我が子」

 ○…辻堂で30年以上の歴史を持つダンス教室「Studio HANA!」のトップコーチとして、子どもたちに愛と厳しさを込めた指導を続けている。先月には、世界大会に出場するジュニアチームに帯同し、チームの優勝を支えた。「金メダルという結果もうれしいけれど、子どもたちが頑張った時間がなによりかけがえのないもの」と誇らしげに語る。

 ○…ダンスをはじめたのは病気の弟を心配し、ふさぎがちだった自身のために、母がダンスサークルを立ち上げたのがきっかけだった。幼少期には湘南育ちらしく、サーフィンなども楽しんだが、次第にストリートダンスが生活の中心に。「J―POPやヒップホップ、ジャズといった幅広いジャンルの音楽で踊れる。女性らしいターンやかっこいいステップでさまざまな自分を表現できるのも楽しい」と魅力を語る。「ステージを作る仲間にも出会わせてくれた。ダンスには感謝しかない」

 ○…指導理念は、ダンスを通じて「人間を育てる」こと。単に技術を教えるだけでなく、あいさつや時間厳守、協調性など社会性を重んじる。「プロの世界では、同じ技術を持つ人がいたら人間性で選ばれる」。自身も肌で感じてきたことを子どもたちに伝えている。「スタジオの子たちは我が子のような存在。将来、どんな道を選んだとしても胸を張って生きられるような人間力を育みたい」と深い愛情をにじませる。

 ○…現在は、母が立ち上げたスタジオの輪を次世代へとつなぐため、後進の指導者育成にも情熱を注ぐ。「子どもたちの成長を見守れるかけがえのない場所として、今後も地域に存在し続けられたら」。これからも、愛ある指導で地域の子どもたちを導いていく。

以前の同地区の彼岸花(遠藤彼岸花の会提供)

彼岸花まつり 27日 小出川沿い

 市北部の小出川沿いで9月27日(土)に「小出川彼岸花まつり」が開催される。午前10時から午後3時。

 主催は小出川彼岸花団体協議(宮治孝雄会長)。会場は大黒橋(遠藤)から寒川町青少年広場までの3キロメートルに及ぶ。彼岸花が咲く中、地元野菜や焼きいもなどの模擬店が出店する。また午前9時から、寒川のおおぞう会場から大黒橋付近の遠藤会場までの4カ所でスタンプラリーを開催。全て集めた先着600人には景品が与えられる。彼岸花の写真展も開催される。

 少雨決行。問い合わせは遠藤市民センター【電話】0466・87・3009まで。

世界初優勝をつかんだ「MONSOON!」のメンバーたち

StudioHANA! ジュニアが世界3連覇 MONSOON!昨年の雪辱晴らす

 ヒップホップダンスの世界大会「WORLD HIPHOP CHAMPIONSHIP」が7月26日から8月4日まで米国で開かれ、辻堂神台のダンス教室「Studio HANA!」がジュニア部門(7〜13歳)に出場し、3年連続の優勝に輝いた。優勝したのはジュニアチーム「MONSOON!」(10〜13歳)。チームとしては初の優勝を果たした。

 「ヒップホップの五輪」とも呼ばれ、約50カ国が参加する世界大会。MONSOON!は昨年7位という結果に終わり、優勝には手が届かなかった。4人が継続メンバーとなり、悔しさをバネに「最初から最後までやりきる」ことを意識しながら、ヒップホップやハウス、ロックといったジャンルを混ぜた1分30秒ほどのパフォーマンスを披露。厳しい採点基準をもとに合計得点を競い合う予選を3位で通過した後、より高得点を狙うため、作品構成を変更。現地での調整を重ねながら決勝に臨んだ。

 チームリーダーとしてメンバーをまとめた江原莉央さん(12)は「皆で動きをそろえることを意識した。初の優勝でうれしい」と大舞台を振り返る。コーチの深澤彩里さん=人物風土記で紹介=は「子どもたちが努力したことが一番の財産。その過程に金メダルという結果がついてきた」と喜びを露わにした。

 チームは来年の4連覇を目指し、今後も練習を重ねていく。

地域活動で輝くシニア 20日に見本市

 市民団体の活動を紹介する「地域活動見本市」が20日(土)、藤沢市役所本庁舎1階で開かれる。市とNPO法人湘南ふじさわシニアネットの主催。

 「元気で知識や経験に富んだシニア」に地域活動を紹介し、それを始めるきっかけづくりを目的に、22回目を数える催し。科学や歴史、料理といった幅広い分野の20団体が出展する。そのうちマジックや落語、吹矢、視覚障害者の誘導の他、モーショントレーニング「TANO」を使ったフレイル予防など8団体の活動を体験できる。また、キッチンカーの出店や野菜販売もある。

 午前10時〜午後3時。入場無料。問い合わせは市高齢者支援課【電話】0466・50・3571。

「放課後の時間について意見を聞かせて」などの題で掲示板が開かれている

若者の声を市政に オンラインで意見箱

 藤沢市は、子どもや若者の声を市政に生かすため、オンラインプラットフォーム「かわせみボイス」を9月2日に立ち上げた。これは、市が策定した「藤沢市子ども・若者共育計画」に基づき、子ども・若者でも気軽に意見を表明できる仕組みとして導入されたもの。

 プラットフォームは、スマートフォンやパソコンから利用でき、市の施策に対する意見を匿名で投稿できる掲示板形式を採用。他の利用者の意見を見たり、引用したりしながら、対話を通じて意見を深めることができる。利用対象は市内に在住・在勤・在学の小学生から概ね22歳までの子ども・若者。

 「かわせみボイス」という名称は、今年6月に発足した「ふじさわ子ども・若者委員会」が命名。「市の鳥」であるカワセミを学生らに見立て、「光る未来を川面からつかみ取る」というイメージが込められている。運営する子ども総務課は今後、市内の小中高で告知するなどして、子どもたちに活用を求めていくという。

Aoki果樹園の青木さん(上)、安田果樹園の安田さん

市内果樹品評会 優等賞に青木さんと安田さん

 市内の果樹園が梨とぶどうの品質を競い合う果樹持寄品評会が先月19日、イトーヨーカドー湘南台店で開催された。梨では高倉の「Aoki果樹園」、ぶどうでは長後の「安田果樹園」が優等賞に輝いた。

 Aoki果樹園は「幸水」を出品した。幸水は甘みが強く、歯ごたえのある食感が特徴の品種だ。「果実は気温が高く、雨量が少ないほど甘さが強まる。今年の幸水は例年より少し甘い」と同園の青木拓磨さん(37)は話す。

 ただし水分量が少なければ大きくは実らず食感も悪化する他、来年の実りにも影響を及ぼしてしまう。近くの農業用水路から消防用ホースで100トン以上の水を用いた。「形が丸く、色が均一に黄色くなったのも評価されたのでは」と青木さん。同園は前年のぶどうに引き続き優等賞となり「次は梨で取りたいと思っていたので良かった」と語った。

 安田果樹園は、藤沢発祥の「藤稔」を出品した。大粒で甘みや香りに優れた同品種は、種がないものも多いが「今回はあえて種のあるものを出品した」と同園の安田悟さん(38)は話す。種なしぶどうは「ジベレリン」と呼ばれる植物ホルモンをぶどうの房に2回用いることで作るが、「1回にすることでなるべく濃い味を出せる」と安田さん。色と味の濃い藤稔を作ることに成功した。

 今回の受賞に「周りにも上手い農家さんがたくさんいる中で選ばれてうれしい」と話した。

 現在、今年の同園の各品種は出荷・出店ともに終了している。
かつての湘南ライフタウン(湘南大庭市民センター提供)

大庭の古写真 募集中 25日まで 市民センターで

 湘南大庭市民センター(大庭5406の1)では現在、10月25日(土)と26日(日)に開催される「第40回湘南大庭ふるさとまつり」に合わせ、湘南大庭地区や湘南ライフタウンの過去の写真を9月25日(木)まで募集している。同センター開設40周年を記念する取り組みの一環で、湘南大庭市民図書館との共催で行われる。集まった写真は同イベントで展示される予定。

 湘南ライフタウン開発時や40年前ごろに撮影された当時の生活が分かるものや入学式、運動会といった写真を受けつけている。

 募集は同センターに写真を持参するか、メール(fj-snooba-k@city.fujisawa.lg.jp)で。持参の場合は職員が写真をコピーし、現物は返却。メールの場合はへ、件名に「思い出の写真募集」とつけ、氏名、電話番号、撮影した年、場所、写真に関するコメントを送信する。

 問い合わせは同センター【電話】0466・87・1111。

紙芝居に夢中になる子どもたち

紙芝居の図書室オープン 普及目指すNPOが設置

 日本の伝統文化としての紙芝居の普及を目指して活動しているNPO法人紙芝居プロジェクト(島田博之理事長)は6日、紙芝居400冊を集めた湘南ちびっこ図書室を開設した。場所は島田理事長が運営する市内朝日町にあるちびっこ保育園内。「豊かな紙芝居の世界をぜひ知ってほしい」と話す。

 同施設には昔ながらの作品からオリジナルまで幅広い蔵書を集めた。利用は無料で閲覧できることに加え、木製の「舞台」を使い口演もできる。会員登録(年2000円)で無料で借りることも可能。今後制作イベントも考えている。

 6日はグランドオープンとして同保育園の卒園児や保護者らおよそ80人を招き記念口演が行われた。手遊びを交えた参加者を巻き込む口演に子どもたちから大きな歓声があがっていた。

 同施設の開室は毎月第一土曜午前10時から午後1時。問い合わせは島田さんメール(info@kamipro.info)。

湘南藤沢地方卸売市場に設置されている公衆電話

なぜ残ってる? 公衆電話に思い馳せ

 9月11日は「公衆電話の日」。1900年のこの日、東京の新橋駅と上野駅の構内に日本初の自動公衆電話が設置されたことに由来する。かつては外出時の必需品だった公衆電話だが、携帯電話の普及に伴い、まちから激減。しかし役割を変えながら、今も重要な使命を担っている。

   ◇ ◇ ◇

 国内の公衆電話の設置台数は年々減少を続けている。2000年に約71万台あった公衆電話は、21年には約14万台と約81%減少した。利用時間も同時期に約98%激減している。こうした状況は、スマートフォンや携帯電話の個人保有率が20年時点で83%に達し、SNSなどが普及したことが影響したと考えられる。もともと公衆電話は「社会生活上の安全及び戸外における最低限の通信手段」として設置されてきた。しかし利用実態に鑑み、22年4月には第一種公衆電話の設置基準が緩和。旧基準では市街地で概ね500メートル四方に1台の設置が求められていたが、新基準では概ね1Km四方に1台へと見直された。

 市内でも公衆電話の台数は減少傾向にある。23年度時点で247台が設置されているが、NTT東日本は今後も新たな基準に応じた必要な台数を維持していく方針だ。

 また同社では災害時における通信手段確保のため、「災害時用公衆電話」の設置を進めているという。これは災害発生時に避難所などに設置され、無料で利用できるもので、日本全国で電話サービスを公平に受けられるようにするユニバーサルサービスに22年4月から位置付けられた。21年度末までに、全国の約4・6万カ所に8・8万台が設置されており、同社は「自治体からの要望などを踏まえ、今後も有事の通信確保に努めていく」としている。

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ハチの巣撤去が復活 市議会で陳情、趣旨了承

 藤沢市議会は5日、厚生環境常任委員会を開き、「スズメバチの巣撤去業務の復活を求める陳情」を趣旨了承とした。

 市は今年度から、市内の住宅の敷地にできたスズメバチの巣の撤去事業を廃止した。1986年から始まった事業で、市民からの撤去依頼を市が受けつけて外部の事業者に委託。費用を全額負担するという仕組みだ。昨年度は387件、569万円を負担した。

 事業廃止は、市の支出額が過去最大となった今年度の財政状況を鑑み、支出削減の目的で決めた。担当の環境保全課は「行政の責任領域ではない」と話していた。

 先の陳情を提出した市民は「民有地にハチが巣づくりをする原因は、所有者にあるとは言えない」「スズメバチ被害は命にかかわる重大リスク」などと訴え、それを市議会は賛成多数で趣旨了承とした。

 陳情結果を踏まえ、同課は「一定の判断を受けたばかり。業務再開は今後決めていく」とした。

市消防局 溺者搬送・救助で全国入賞 技術底上げし海の安全守る

 全国の消防隊員が日頃の訓練の成果を生かして、救助活動を披露し合う「全国消防救助技術大会」の水上の部が先月30日、兵庫県で開かれ、藤沢市消防局の水難救助隊員が3位と4位に入賞した。出場した隊員らは今月9日、市長を訪問し入賞を報告。3つの海水浴場があり、高度な救助技術を誇る同局の隊員たちはうれしさをにじませながら湘南の海の安全安心に向けて、さらなる活躍を誓った。

 「消防レスキューの甲子園」と呼ばれる大会。今年で53回目を数える。5月に湘南地区大会があり、その後県大会、関東大会と勝ち上がり、藤沢市消防局からは個人1人、団体2チームで計4人が出場した。石井俊生さんが出場した水中行方不明者の捜索を想定し、スノーケリングで障害物を突破しながら個人技能を競う「複合検索」は入賞を逃した。

 しかし、要救助者を含む2人1組で、救助者が入水後、要救助者を注視しながら近づき、顎を確保した後、髪をつかんで運び救助する「溺者搬送」で入賞。16チームが出場し標準所要時間が42秒の中、27・6秒で4位の結果に。救助者を含む3人1組で、補助者2人が浮環にロープを結び、補助者1人が投下した浮環に救助者を捕まらせ、もう1人がロープを手繰り寄せ救助する「溺者救助」の部は14チームが出場し、標準所要時間43秒のところを28・9秒の好タイムで3位入賞した。

 溺者搬送と救助いずれにも出場した南消防署警備二課水難救助隊の小日向勇二さんは今回で3回目の全国出場。小日向さんは高校まで競泳をしており、その泳力で3年前には同大会の「基本泳法」で1位も獲得している。「日々の業務の傍ら、4月から訓練を行ってきた。成果が出てうれしい」と喜びを語った。

 同隊の安藤薫隊長は「藤沢市は全国的にも有名な海水浴場がある。今後も市民や観光客の安全安心を守れるよう努めていきたい」とさらなる技術力の向上に取り組む構えを示している。

認知症を自分事に 市内各地で啓発イベント

 9月の認知症月間に合わせて、藤沢市では1人でも多くの人に認知症を自分事として捉えてもらう機会として「おれんじキャンペーン2025」を開催する。市内各地で認知症の啓発を目的とした関連イベントを用意。市高齢者支援課の担当者は「『認知症になっても安心して暮らせるまち ふじさわ』の実現に向けて、一緒に理解を深めましょう」と参加を呼びかけている。

 啓発イベントは次の通り。

 ▽「おれんじフェスin湘南台」/湘南台駅地下アートスクエアで14日(日)午前10時〜午後3時/ステージでは、かながわオレンジ大使(認知症本人大使)によるコンサート、湘南慶育病院物忘れ外来医師の堀込俊郎さんを講師に迎え「認知症の基礎知識〜自分、家族のこれからを考えてみよう」と銘打った講演などが行われる。体験ブースでは脳体力測定®やeスポーツ、野菜摂取量(推定)測定、毛細血管観察、また出張認知症カフェ「ウィステリアカフェ(湘南慶育病院)」ではもの忘れや認知症、介護、健康などについての情報交換や相談ができる。

 ▽認知症カフェ「みんなでゆっくりCAFE in藤沢センター」/パルシステム神奈川藤沢センター(用田)で16日(火)午後1時30分〜3時、参加無料。問い合わせは同センター【フリーダイヤル】0120・581・886(午前9時〜午後5時)。

 ▽パネル展「認知症の基礎知識」/市役所本庁舎1階市民ラウンジで〜18日(木)、長後市民センターで20日(土)〜25日(木)。

 ▽「認知症ブックフェア」/湘南大庭市民図書館で〜10月5日(日)。

 ▽「江の島シーキャンドルのライトアップ」/19日(金)〜21日(日)の日没〜午後10時/認知症支援のシンボルカラーのオレンジ色にライトアップする。

 その他市では、認知症や看護、健康など高齢者に関するさまざまな相談窓口「いきいきサポートセンター(地域包括支援センター)」を市内19カ所に設置している。

 それぞれ取り組みの詳細は、市ホームページ内にある同課のページへ。

 問い合わせは同課【電話】0466・50・3523へ。

堂々した立ち振る舞いで刀を交える櫻井さん(右)

湘南S.C 櫻井一雄さん スポチャン全日本で3位

 湘南台や六会を練習拠点とするスポーツチャンバラ教室「DREAM WAY湘南S.C」に所属する櫻井一雄さん(45・寒川町在住)が、先月31日に横浜武道館で行われた第50回全日本選手権大会に出場し、2種目で銅メダルを獲得した。

 スポーツチャンバラは空気が入った柔軟性のある刀で行う競技。「基本動作(型)」と「打突競技(試合)」の2部門に分かれる。長刀や小太刀、槍など刀にはさまざまな種類があり、盾を持つ種目も。

 同大会では全国の1200人が段級別で競い合った。櫻井さんは相手の体のどこかに1発でも当てると勝利となる打突競技にエントリー。「2段以上・短刀」と「2段以上・小太刀」で入賞した。

 競技歴は20年以上で、以前は剣道に打ち込んでいたという櫻井さん。「剣道よりも手軽に取り組めるし、種目も複数あって色々体験できると思い、競技を始めた」と振り返る。同教室は現在、10〜50代の8人で活動している。櫻井さんと共に講師を務める代表の風魔忍さんは「当たっても痛みが少ないから比較的始めやすい。護身の意味合いを持ちつつ、ストレス発散にもなる」と競技の魅力を語る。

 先の試合について「あまり満足していない。次に活かす試合だと感じている」と、ストイックな剣士の風格を漂わせ、前を向いた。

颯田本真尼(同寺提供)

鵠沼・夢想山 本真寺 全国6万戸を救った尼僧 颯田本真尼の実像とは

 全国各地で防災の取り組みが行われる9月。明治から大正にかけて、全国の被災地でボランティア活動を行った人物がいた。現在の鵠沼・本真寺の前身となる地で過ごした浄土宗の尼僧・颯田本真尼(さったほんしんに)(1845〜1928)がその人だ。被災者救済に尽力した本真尼とは何者か。同寺を訪ねた。

 颯田本真尼は三河国(現在の愛知県)の生まれ。12歳で得度して以来、信仰に生涯を捧げた。18歳の頃、同県吉田町に徳雲寺の前身となる草庵を建立し住職となり、3年間一度も横にならない「不臥(ふが)」を行うなど、厳しい修行に励んだ。廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の時代にも村人に親しまれ、多くの弟子の入門を受けたことが、伝記『颯田本真尼の生涯』(藤吉慈海著・春秋社)に記されている。

 転機となったのは46歳の頃、三河地方が津波により多大な被害を受けた際に救済活動を行った。以来、翌年の濃尾地震や、1896年の明治三陸地震など大規模災害を含むさまざまな被災地に大量の衣類や布団を運んだ。その活動範囲は北海道から鹿児島の桜島にまで及び、34年間で約150町村、約6万戸に施しを行ったとされる。

 仏教では「布施行(ふせぎょう)」と呼ばれる施しの方法があり、出家信者は仏の教えを説く「法施(ほうせ)」をするのが一般的だが、本真尼は物を施す「財施(ざいせ)」にも力を注いだ。だが、救援物資や災害情報など、本真尼一人の力で得ることは難しい。「鵠沼を語る会」の調べによると、細川侯爵家やカレーで知られる新宿中村屋の他、大隈重信夫人・綾子などが発起人となった慈善団体など、政財界の要人からの支援があったという。

 鵠沼に来たのは、本真寺の前身となる説教所「慈教庵(じきょうあん)」を開設した支援者の一人に招かれたからだ。山号の「夢想山(むそうざん)」は、本真尼が同庵を訪れる10年ほど前に見た夢の光景と、鵠沼の光景が似ていたからだという。

 自身は自他に倹約・自給自足を徹底して行った。同寺の現住職・斎藤良典さん(62)は「修行生活に妥協のない厳しい方だったと聞いている」と話す。当時同庵は修行の場であり、尼僧たちを指導する立場だった。「食べ物は全て畑で採り、寄付いただいた物は全て蓄えていた」と斎藤住職。その行いが功を奏したのは関東大震災の時、ヒエ・アワなど備蓄していた物資により災後をしのぐことができたとされる。「自分も精一杯暮らしを行い、民衆や弱者に寄り添うことを忘れなかった」

 斎藤住職は「救済活動はあくまでお念仏の教えに則り行われたもの」とするが「本当に困ったときは、お念仏だけではない、物資の提供が必要。本真尼が生涯貫いた『自分のできることをする』という考えは、防災・減災をする上で非常に重要なのでは」と話した。

優勝し、ガッツポーズで笑顔を見せる藤沢クラブのメンバーたち

藤沢クラブ 優勝飾る U14バレー関東大会

 厚木市萩野運動公園体育館で先月30日に開催された「第9回関東U─14クラブバレーボール大会」で、藤沢クラブが男子普及部門を制した。

 同大会は関東1都6県を中心とした各都県の予選を勝ち抜いた1位チームの競技部門と、2位チームが競い合う普及部門の、2部門制で試合が行われた。普及部門には開催地の神奈川県からは2チームが出場。計8チームで頂点を目指した。

 藤沢クラブは1回戦で千葉県のRealizeバレーボールクラブを25対19、25対23で打ち倒すと、続く2回戦で東京都のDrop JYVCに25対22、25対23で勝利。決勝戦では、同じく神奈川県選出のALBIREO神奈川と対峙。第1セットを22対25で落とすも、第2セットでは挽回し25対20で取り返す。そして最終セットを15対8で勝利し、優勝した。

 藤沢クラブの茂田直宏監督は「苦しい部分もあったが、コミュニケーションを取りながら修正できていた。子どもたちの成長を見ることができた」と話した。また同クラブ代表の荒井勝男さんは「子どもたちは夏休み中練習をがんばっていたので、成果が出て良かった」と、選手たちの努力を称えた。

社会福祉チャリティー 「新日」が平塚で大会 10月4日、読者20人を招待

 「新日本プロレス 平塚市社会福祉チャリティー平塚大会」が10月4日(土)午後5時から、トッケイセキュリティ平塚総合体育館で開催される。主催は(株)創。

 来年1月に引退する棚橋弘至選手の平塚ラストマッチとなる同大会。読者20人に招待券をプレゼント。チケットは1人1枚。希望者はハガキに平塚大会観覧希望・住所・名前・年齢・職業を明記し、〒250-0034神奈川県小田原市板橋881の26(株)創 TN平塚大会読者プレゼント係へ。締切は9月20日(土)(当日消印有効)。(問)同社【電話】0465・23・0905

個性あふれる小冊子 名店ビルで展示販売

 アーティスト個人や少人数のグループなどが自主制作した小冊子「ZINE」の展示販売イベント「アートの本屋 メイテン」が13日(土)から15日(月)までの期間限定で、藤沢駅前にあるフジサワ名店ビル3階で開かれる。 

 出品者は絵画や彫刻、写真、イラスト、音楽といった表現分野で活動する約60人のアーティストたち。『石のドローイング』や『藤沢三十三観音-BOOK-』と銘打った個性あふれる作品がずらりと並ぶ。

 彫刻家の石川直也さん、作家のさまたさんの2人が企画した。会場となる名店ビルは再開発に伴い、2027年度に営業終了予定。「名店が集うビル」の意思を引き継ぎ、多様なジャンルの作品を集めたという。

 イベントで店長も務めるさまたさんは「作家たちの思いが詰まった一冊一冊を楽しんで」と来場を呼びかけている。

 時間は各日午前11時から午後7時(最終日は6時まで)。入場無料。問い合わせはメイテン公式インスタグラムから。

自殺予防週間 講演会の動画配信

 自殺予防週間(9月10日〜16日)に合わせて藤沢市では現在、自殺対策講演会「若者の自傷行為とオーバードーズ〜自分を傷つけざるを得ない背景を知る〜」の動画を限定配信中だ。参加無料。

 警察庁の統計によると日本の自殺者数は2009年の3万2845人から減り続け、19年には統計開始以来最小の2万169人に。その後、コロナ禍の影響を受けて20年に増加に転じたものの、24年は減少し2万320人となった。しかし小中高生の自殺者数は24年に前年16人増の529人となり、統計のある1980年から数えて最多を記録した。

 かぜ薬やせき止め薬などを、症状を抑える以外の目的で適正な用法用量を超えて大量に服用するオーバードーズが若者を中心に広がりつつある。講演会では、大妻女子大学人間関係学部、学科助教の小野聡士氏が講師を務め、「やめたくてもやめれない」というオーバードーズや自傷行為を繰り返す若者の背景を紹介。具体的な対応法などを知る。参加無料で、市ホームページ電子申請(e―kanagawa)から申し込む。配信期間は30日(火)まで。

 また13日(土)と14日(日)には、江の島シーキャンドルを「信頼の芽生え」や「生きる力の回復」などを表す県の自殺対策テーマカラーであるグリーンにライトアップする。日没から午後10時まで。

 問い合わせは市保健予防課【電話】0466・50・3593。

 

腕自慢が話芸披露 27日、素人落語フェス

 アマチュア落語家が話芸を競う「第5回 藤沢宿・全日本素人落語フェスティバル」が27日(土)、藤沢市民会館(鵠沼東8の1)小ホールで開かれる。今回は全国から62人の応募があり、事前審査を通過した腕自慢20人が高座にあがる。

 アマチュア落語家の活躍の場を作ろうと、実行委員会(山田研一実行委員長)が2021年からスタートした。演目は古典、新作、自作・創作を問わず自由で、プロの落語家が審査員を務め、最優秀賞、優秀賞、審査員特別賞を決定する。今回の審査委員長は桂歌助さんだ。

 午前10時開場、10時30分開演。入場料は当日券1千円、前売券700円で全席自由。チケットは現在、藤沢市みらい創造財団芸術文化事業課(藤沢市民会館内/【電話】0466・28・1135)ほかで販売されている。

 同フェスに関する問い合わせは、山田実行委員長【携帯電話】090・1858・2934。

天然芝上でサッカーを 23日 引地川親水公園

 子ども向けサッカーイベント「Enjoy Soccer Day in引地川親水公園」が23日(火)、同公園で開かれる。サッカーが未経験の子どもから日常的に楽しみたい子どもまで、誰でも気軽に希少な天然芝上でのサッカーを体験できる。

 イベント区分は4つ。【1】「女子サッカーなでしこひろば」は小学生女子が対象で、午前9時30分から11時。【2】「キッズパーク」は幼児(年中児から年長児)が対象で、午前9時30分から11時。【3】「女子中学生サッカークリニックA」は中学1年生が対象で、正午から午後1時30分。【4】「女子中学生サッカークリニックB」は中学2・3年生が対象で、午後1時30分から3時。JFA指導者ライセンスを持つコーチが指導する。

 定員は各区分先着30人。参加無料。雨天中止。

 参加希望区分名、氏名、学年、電話番号を、主催の(公財)藤沢市まちづくり協会に電話かFAX、メールのいずれかで伝え、申し込む。

 (問)同協会【電話】0466・46・7788

火災現場(藤沢市提供)

リサイクルプラザで火災 持ち込みごみ受け入れ一時中止に

 リサイクルプラザ藤沢(桐原町23の1)で4日未明、火災が発生し、廃棄物処理棟に置いてあった布団や木材などが全焼した。市によると、鎮火まで約5時間半を要したが、けが人など人的被害は確認されていないという 。

 同日午前2時45分に白煙が確認され、機械警備が作動して消防が出動。しかし、施設内の電源が遮断されていたため建物のシャッターが開かず、消防隊がシャッターを切断して工場内へ入った。消火活動が始まったのは6時19分からで、8時16分に鎮火した。

  出火場所は、廃棄物処理棟の大型可燃ごみ破砕機ヤード。出火原因については5日から、消防による調査が行われる予定だったが、台風15号の影響で翌日以降に延期された。

 この火災により、施設へのごみの市民持ち込みは一時中止となった。また施設の電源が喪失したため、普段一般公開されている環境啓発棟が休館となった他、併設されているEV急速充電器も利用停止に。ビンや缶、不燃ごみ、大型ごみの収集は通常通り実施されている。

 廃棄物処理棟の復旧までは時間を要する見込みで、市環境施設課は「調査が行われるまで判断できないが、数日での復旧は難しいのでは。ひと月ほどかかる可能性もある」とした。

 

男性被害者向け DV防止啓発講座

 「男性DV被害の実態〜男性だからといって我慢していませんか〜」と題したDV防止啓発講座が10月21日(火)午後6時30分から8時30分まで、オンライン(Zoom)で開かれる。かなテラス(県立かながわ男女共同参画センター)の主催。

 内閣府男女共同参画局の調査によると、配偶者からの暴力(DV)に悩んだ経験のある男性は5人に1人にのぼるとされる。しかし、DVに該当すると気づかなかったり、「男らしさ」の呪縛にとらわれ我慢したりして、相談に至らない男性被害者も少なくない。

 講座では男性相談の第一人者で、内閣府の相談窓口「DV相談+(プラス)」調査研究事業検討会委員でもある京都橘大学総合心理学部准教授の濱田智崇氏が講師を務める。DV被害者は女性だけではないことや男性被害者の現状、男性ゆえのつらさ、前に進むためのヒントを紹介する。

 対象は県内在住、在勤、在学の男性、または男性DV被害者の支援に携わる人(県外可、性別不問)。定員50人で先着順。受講無料。

 参加希望者は、県ホームページ同講座ページ内の専用フォームに入り、氏名(フリガナ)、電話番号、メールアドレス、受講対象の種別を明記のうえ、申し込む。10月6日(月)締め切り。

 問い合わせは、かなテラス相談課【電話】0466・27・2111(内線330)。