多摩区・麻生区版【10月17日(金)号】
自宅の部屋で手製ロボットを持つ入江さん

麻生区在住入江大輝さん 自作ロボットで世界へ 自動制御の技術 全国3位

 麻生区はるひ野在住の入江大輝さん(芝浦工業大学附属中学校3年)が、8月23日と24日に東京都で開かれたプログラミングロボット競技会「WRO」(World Robot Olympiad)の日本決勝大会ジュニア(中学生)部門で3位になった。この結果、入江さんは11月下旬にシンガポールで開催される国際大会に参加する権利を獲得。チームメイトの大畑奏さん(中2)=大阪府堺市在住=と共に世界の上位を狙う。

 WROは、自律型ロボットによる国際的なコンテスト。小学生から高校生までの世界中の子どもたちがロボットを製作し、プログラムにより自動制御する技術を競う。

 入江さんは、はるひ野小6年の時、級友と参加した小学生部門で全国2位に輝き、ドイツで行われた国際大会に出場した経験を持つ。その時は上位入賞はならなかったが「世界大会に出られただけでうれしかった。シンプルに楽しんだ」と振り返る。今回、チームメイトとして共に世界の舞台に挑む相棒の大畑さんとは、その3年前の全国大会に別のチームで出場して、競い合った間柄だ。大会の会場で隣に座っていた大畑さんに入江さんが声をかけて意気投合。今では月に1、2度は顔を合わせ、SNSやオンラインでもアイデアを出し合っているという。

 国内では、32カ所で行われる地区予選会を経て決勝大会へ進み、そこで優秀な成績をおさめたチームが日本を代表して国際大会へ出場する。入江さんらは東京予選会で約50チーム中2位、決勝大会では約40チームの中で3位に入り、上位3チームが進出する国際大会への切符を掴んだ。

 今回ジュニア部門では火星の探査を模した課題が課せられた。ロボットにプログラムを組み込み、障害物を避ける、荷物を指定場所へ移すといった課題を2分以内に成功させ、その正確さを競った。加えて大会当日に「サプライズルール」も発表され、的確な判断と迅速な対応も求められた。決勝大会では入江さんもこのルールに苦戦。「最後まで結果がわからなかった。スクリーンに自分たちの名前が表示されて、とてもうれしかった」と振り返る。

 11月の国際大会では「入賞を狙う」と意気込む。決勝大会が終わり、もう一度ロボットを組み直しているという。「これから、もっと詰めていく」と意欲は十分だ。

全て独学で

 小学4年の頃、知人が持つロボットの姿に憧れて誕生日にキットを買ってもらうと、教材を読み込んでプログラミングを全て独学で身につけた。「思い通りにコントロールできるところが面白い。うまく動かないこともあるが、それもまた楽しい」と魅力を語る。将来の夢は「特にない」と言うが、「ロボット関係の仕事に就ければ、とぼんやり考えている」。高校へ進学してもWROへの挑戦は続けるつもり。「毎年新しい取り組みにチャレンジしてきた。来年も何かに挑戦したい」と目を輝かせた。

川崎市 持続可能な部活動へ 生徒の代表者会議も開催

 部員減で学校の部活動が存続できない地域があることから、国は地方自治体に対して部活動の「外部化」などの対策を講じるよう求めている。川崎市でも、将来的に少子化に転じる可能性があるとして準備を進めている。

 今年8月、部活動の当事者である生徒たちの意見を集めるため、川崎市教育委員会が「部活動生徒代表者会議」を開催した。市内52校の中学2年生ら計95人が市役所の本庁舎(川崎区)に集合。「将来の後輩たちに向けて」という前提で「持続可能な部活動にするために必要な工夫」をテーマに議論し、生徒からは「部への参加スタイルを自分で決める」「自分たちでメニューを決める」といった意見やアイデアが出た。市教委ではこれを受けて2018年策定の「川崎市立学校の部活動に係る方針」を今年度内に改定する予定だ。

 市が「方針」の改定を進める背景には国の意向がある。文化庁とスポーツ庁は22年12月、少子化の影響で部活動が存続できないケースが増えているため、生徒がスポーツや文化・芸術活動に継続的に親しめる環境整備を目指す「総合的なガイドライン」を策定し、地方自治体に通知。23年度から25年度までを部活動に関する「改革推進期間」に指定し、状況に応じた取り組みを求めている。

部活動に充足感

 川崎市内の市立中学校の部活動の状況としては(24年5月時点)、52校で計749の部活動があり、内訳は運動部が520、文化部は229。全生徒2万9922人のうち約82%にあたる2万4659人が部活動に参加しており、市教委によれば、これまでのところ人員減で部を廃止したケースはないという。

 生徒にとっての部活の位置づけは、23年11月〜12月に実施した「中学校の部活動に関するアンケート」で、生徒が学校生活で「充実している」と感じる時間のトップは「休み時間」だったが、「部活動」が2位にランクインした。一方で部活動に関連した心配事や悩みを尋ねる設問では(複数回答可)、生徒の50・3%が「勉強との両立」、51・4%の保護者が「部活動と学業の両立」と回答。教員に負担感を尋ねた設問では「感じる」と「どちらかと言えば感じる」が合計で8割近かった。市の担当者は、「市も将来的に少子化となり、部活動の機能を地域で担う必要が生じるかもしれない。将来的な課題として準備を進めていく」と話している。

新百合丘一輪車クラブに所属しシルク・ドゥ・ソレイユの米国公演に出演する 渡邊 風花さん 麻生区東百合丘在住 21歳

一途に歩み新たな世界へ

 ○…突然舞い込んだ夢の舞台への切符。シルク・ドゥ・ソレイユのメンバーとしてフロリダのショーへの出演が決まった。オーディション合格のメールが届いたのは明け方4時で「寝ぼけたかな、と思った」。新百合丘一輪車クラブの先輩が出ていたことから、1年前、世界大会後に観客として見たステージ。「競技ではなく、お客さんに見せるショーとして参加できるのが楽しみ」と目を輝かせる。

 ○…一輪車を始めたのは小学3年の時。中学生になり同クラブの演技に魅せられて移籍して以来、今も週5〜6日練習に通う。当時、メンバーである大学生のお姉さんたちに「一からどころか、ゼロがどこにあるのか教えてもらった」。一輪車の概念が変わり、のめり込むように。ソロ、ペア、グループと部門はあるが「自分と向き合う競技。思い描く演技ができたときはうれしい」と魅力を語る。皆で一つのものを作り上げるグループ演技が「一番好き」と笑顔を見せる。

 ○…現在、大学4年生。毎年大会に出る生活の中、食物学科で栄養を学び「勉強したことを試したり」、食事や睡眠にも気を遣う。中高、大学の友人と遊びに行くのが貴重な息抜きだ。クラブで中学生が持ってきたというシール交換が最近の流行り。ぷっくり立体的なシールが「レートが高いんですよ」とにっこり。音楽も好きでいろいろ聞くが、「歌詞がないものや洋楽が演技に合う」と、気が付くと一輪車に結び付けている。

 ○…練習への送迎や衣装作りなどいつもサポートしてくれる母が合格を「一番喜んでくれた」。休学し渡米する娘の背中を「いい経験になる」と押してくれた。「支えてくれてありがとうと伝えたい」。感謝を胸に夢への一歩を進める。

全国学力・学習状況調査 全教科で平均を上回る 自己肯定感も上昇

 川崎市総合教育センターはこのほど、今年4月に国が実施した今年度の全国学力・学習状況調査に関する市内分の分析結果をまとめ、公式ウェブサイトで公表した。小中学校とも、全教科で全国平均を上回った。

 国の「全国学力・学習状況調査」は、教育施策の成果と課題を検証することを目的に、毎年春に全国の小学6年生と中学3年生を対象に実施している。川崎市では小学校115校と特別支援学校1校(小学部)の6年生1万1387人、中学校52校と特別支援学校1校(中学部)の3年生8962人が対象となった。

 7月末の速報値を市教委が分析した結果、小学生、中学生とも国語・算数(数学)・理科のいずれの教科でも全国平均を上回った。また、国語の「読むこと」「書くこと」などの学習指導要領の内容に基づく設問の正答率も、いずれの教科でも全国を上回った。

塾など学習時間長め

 生活習慣などを尋ねた「児童生徒質問調査」では、「自分にはよいところがあると思う」と答えた小学児童は88・4%(全国86・9%)、中学生徒は85・7%(同86・2%)。10年前の調査と比べると小学児童が11ポイント、中学生徒が18・1ポイント高くなっており、市内の児童生徒の自己肯定感が確実に上がったことが分かる。

 また学習習慣を尋ねる設問では、校外での勉強時間が「2時間以上」の小学児童は37・6%(24・9%)、中学生徒が43・6%(30・8%)で、塾などの学習時間が長い傾向にあった。

 センター担当者は「川崎の子どもたちが頑張って勉強している結果が出ている」と評価した。

狛江市に向かって川を渡る昨年の渡し船のようす

「登戸の渡し」後世に伝える 10月18日 宿河原で祭り

 対岸に渡る手段として、かつて多摩川に多くあった渡し場の一つ「登戸の渡し」の歴史を伝承する「登戸の渡しまつり」が10月18日(土)、二ヶ領せせらぎ館前広場(多摩区宿河原1の5の1)で開催される。午前10時から午後3時。

 昨年は市制100周年を記念して約70年ぶりに一日限定で復活。河岸ではイベントが行われるなど盛り上がりを見せた。今年も市民団体が主体となってさまざま企画が実施される。

 小学生以上を対象にしたミニボート体験は、川崎側河岸にある「登戸の渡しの碑」から多摩川をぐるりと回り、登戸の渡しを無料で体感できる。当日、せせらぎ館前で申込みを受け付け。午前・午後各5隻で10人ずつ。午前分は9時30分から45分まで抽選券を配布、10時に抽選・発表。午後分は11時30分から45分までに抽選券を配布、正午に抽選・発表。

 このほか同館周辺の生き物探索(午前・午後各先着10人)や楽器演奏、歌、パフォーマンスなどのステージ、飲食物販売や似顔絵コーナー、ワークショップ、登戸の渡し写真展などが楽しめる。雨荒天増水時は26日(日)に延期。詳しくは同館ウェブサイト。(問)事務局【電話】044・900・8386

<PR>
麻生区から キャリア教育を推進 NPO法人Unlimitedが中学校で「職業講話」 社会人講師が多様な「キャリア」を講義
麻生区から キャリア教育を推進 NPO法人Unlimitedが中学校で「職業講話」 社会人講師が多様な「キャリア」を講義
一人一人の個性や社会性を育み、自立した人間として将来を設計する力を養う「キャリア教育」。現代社会の急速な変化、多様化する働き方への対応力などを養う上で、近年その... (続きを読む)
トンネルの奥へと進む来場者

雨にも負けず柿まつり トンネル会場も活況

 柿生中央商店会主催の第27回「禅寺丸柿まつり」が10月11日に開かれた。今年は例年会場となる柿生駅南口とん鈴前広場に加え、市からの提案により尻手黒川線トンネル工事現場が第2会場に。両会場で禅寺丸柿即売会や商店賞抽選会などが行われ、屋台やステージも祭りを盛り上げた。

 町田市から訪れた30代男性は「娘の絵がトンネル内に飾られると聞いて来た。トンネル開放と言うと社会見学っぽくなりがちだが、祭りと一緒なのでにぎやかで斬新だった」と述べた。同商店会の青山暁子会長は「雨の中、多くの人が来てくれた。未来へつながるトンネルを祭りで盛り上げられてうれしい。完成すれば柿生も活性化する。楽しみ」と話していた。

 同まつりは、日本最古の甘柿として知られ、「柿生」の地名の由来とされる禅寺丸柿に親しんでもらおうと、収穫の時期に毎年行われている。

ヤマユリ植え替え学ぶ 麻生区 参加者募集

 麻生区の花・ヤマユリの植え替え講習会が11月27日(木)に麻生区役所4階第1会議室で行われる。午後1時〜3時。参加者を募集中。参加無料。

 植え替えから管理方法まで学ぶ。定員30人。麻生区内在住・在勤・在学者優先。応募多数の場合抽選。申込みの締切は11月5日(水)。応募方法など詳細・問い合わせは麻生区役所地域振興課【電話】044・965・5370。

コーラスすみれ 30周年記念コンサート 11月14日 多摩市民館

 混声合唱団「コーラスすみれ」の設立30周年記念コンサートが11月14日(金)、多摩市民館大ホールで開催される。

 同合唱団は、多摩老人福祉センターのコーラス講座の終了生により30年前に設立された。シニア世代を中心に活動を続け、指揮・吉竹淑子さん、ピアノ・木谷充子さんの指導の下、精力的に練習に励んでいる。今年度も6月のミューザ川崎市民合唱祭や10月の多摩区民祭「コーラスの集い」に参加(予定)するなど、地域に根ざした音楽活動を展開している。

 記念コンサートではオープニング曲の「幸せコーラス」を皮切りに、「美しい秋」や「モルダウの流れ」「ふるさとの山に向いて」「四季の歌」「平和の鐘」などの曲目を披露。加えて、女声合唱団ドレミが友情出演し、周年に華を添える。

 入場無料。午後1時30分開場、2時開演。

 問い合わせは代表の山縣さん【携帯電話】090・2425・1701。

永嶋所長(左)と竹内署長

ヤマト運輸多摩宿河原営業所 団結力で逮捕に貢献 多摩警察署が感謝状

 車上狙いの犯人逮捕に貢献したとして、多摩警察署(竹内洋一署長)は10月1日、ヤマト運輸(株)多摩宿河原営業所(永嶋一史所長)に感謝状を贈呈した。

 同署によると、今年7月頃から管内の久地駅周辺で配送業者の車両を狙った窃盗事件が頻発。こうした中で同営業所の所員が被害に遭い、同署は所員と共にドライブレコーダーを確認。被疑者と思われる人物を認めたため、営業所との協力体制を構築した。所員がドライバーらに被疑者の特徴を詳細に共有していたところ、8月13日に複数のドライバーから被疑者に似た人物の目撃情報を受けた。自身も現場で確認後、同署に通報。職務質問の結果、自供があり緊急逮捕に至った。その後の捜査では、18件の余罪が明らかになった。

 永嶋所長は「お客さまの荷物でなかったことが不幸中の幸い。現場の仲間の被害を、所員たちが自分事として受け止めて協力したことを誇りに思う」と話した。

百合丘を楽しむ一日に 10月26日 ふるさとまつり

 百合丘ふるさとまつりが、10月26日(日)に麻生区の百合丘第2公園で開催される。リリィヒルファン、百合丘駅前商店会、百合丘中央商店会主催。

 百合丘の「名店」による飲食ブースや500円均一の「味めぐりショップ」、射的やヨーヨー釣りが楽しめる子ども縁日(200円)などさまざまな出店がずらり。会場を巡るハロウィンスタンプラリーやワークショップ、獅子舞が登場するステージイベントではくじ引き大会も。詳細はインスタグラム。午前10時から午後3時まで。荒天中止。(問)隠れ家たまり【電話】044・951・1603

人生の輝き感じて アートセンターで写真展

 80歳以上の麻生区民をモデルにした「ここで生きる写真展」が、川崎市アートセンター3階で開催されている=写真。会場には区内出身の写真家、原田京子さんが撮影した11人のポートレートが並ぶ。「ここに生きる人々の姿から、人生の可能性と輝きを感じてもらえたら」と主催者。

 10月19日(日)まで、時間は午前10時から午後4時(最終日3時)、入場無料。(問)スリーコード【電話】044・952・5921

<PR>
【LINE読者限定プレゼント】
【LINE読者限定プレゼント】
毎月15名様に抽選で『Amazonギフト券1,000円分』をプレゼント!ギフト券以外のプレゼントもあるかも!是非チェックしてみてください。 (続きを読む)
全日本一輪車競技大会で演技する渡邊さん

麻生区在住・渡邊さん 人物風土記関連 一輪車で夢の舞台へ シルク・ドゥ・ソレイユ出演

 麻生区在住で新百合丘一輪車クラブに所属する渡邊風花さん(21)=人物風土記で紹介=が、世界各国で公演を行うパフォーマンス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の米国公演に出演する。

 渡邊さんが出演するのは、フロリダ州の「ディズニー・スプリングス」にある劇場で行われているショー「Drawn to Life」。同クラブからはすでに2人がこのショーに出演した経験がある。現在も出演中のメンバーもいることが縁で声がかかりオーディションに参加。ビデオ審査を経て、9月に合格が告げられた。ビザの準備が整い次第、今月末にも渡米する予定だ。渡邊さんは「1カ月前には想像もしなかった夢の舞台。お客さんの心に届くような演技をしたい」と話した。

自著を持つ楠さん

刺繍への思い 一冊に 多摩区の楠さんが作品集

 多摩区登戸在住の楠静子さん(82)がこのほど、趣味で続けてきた刺繍の作品を写真に収め、『私と刺繍』と題して一冊にまとめた。

 静岡県清水市出身の楠さんは、結婚を機に登戸へ移り住み、2児を育てて子ども会やPTAなどで要職を歴任。現在は多摩区老人クラブ連合会で会長、登戸地区社会福祉協議会で副会長を務めるほか、赤十字ボランティアやナープ関東の活動など活発な毎日を送る。

 そんな中、15年前から続けているのが刺繍だ。色彩の美しさに魅入られ「戸塚刺しゅう」に入門。多忙な日々の中、「自分と向き合うことができる」と、「静の趣味」の中で一番のものとなった。多摩区老連の作品展にも毎年出品している。

 「自分の歴史を振り返る一冊として残しておきたかった」と作品集への思いを語る楠さん。32頁の本の中に、丹精を込めて表現してきた約60点の足跡が詰まっている。

特別仕様の「クリーンかわさき号」の正面

唯一の廃棄物専用列車 「クリーンかわさき号」30年

 国内で唯一の廃棄物専用列車「クリーンかわさき号」が、運行開始から30周年を迎えた。当初は「ごみ運搬列車」として誕生したが、時代とともに積み荷が変わり、今ではリサイクル資源を運ぶ正真正銘の「クリーン列車」だ。川崎市は今後1年間に渡り、記念イベントを開催する。

 午後6時01分、JR貨物梶ヶ谷ターミナル駅(宮前区)から貨物列車「クリーンかわさき号」が出発する。最大16両編成の列車上のコンテナには、市内のごみ処理施設から集まる焼却灰やプラスチック資源が満載だ。JR川崎貨物駅を経由し、神奈川臨海鉄道末広町駅までの約23Kmを運行。コンテナを浮島処理センター(川崎区)に向かうトラックに引き渡し、翌朝にはカラのコンテナと共に復路を走る。

北部の人口増で誕生

 「クリーンかわさき号」は1995年10月に国内初の廃棄物専用列車として運行を開始した。発端は90年代初めの川崎市北部の人口急増だった。ごみ処理が追い付かず、市はJR貨物の路線を活用し、北部地域で発生した廃棄物を浮島処理センターへ運ぶ運用を開始。普通ごみや粗大ごみ、空き缶や空き瓶など、時代と共に積み荷が増えたが、市内のごみ処理施設の整備が進むと共に積み荷の種類が減り、今では焼却灰とプラスチック資源のみに。

 加えて、温室効果ガスを抑制する効果もある。市の推計によると、2023年度に排出した二酸化炭素の量は2万4600kgで、同じ輸送量をトラックで運んだ場合(25万3400kg)の10分の1以下だった。その名の通り、「クリーン列車」へと変化を遂げた。

 市では独自の知見を生かして、さまざまな災害被災地にコンテナを貸与し、災害廃棄物の受け入れ処理をしている。95年の阪神・淡路大震災では約1万9000t、2016年の熊本地震では約1000tの廃棄物を受け入れ、現在も能登半島地震の被災地から受け入れ処理している。

 30周年を記念し、市は鉄道写真やイラストを募集している。詳細は市の公式サイトへ。

<PR>
神奈川の企業Web集客に タウンニュースのネット版「タイアップ広告」でPR強化
神奈川の企業Web集客に タウンニュースのネット版「タイアップ広告」でPR強化
1人1台のスマホ時代。企業広告・商品サービスPRにおいて「デジタル化」は避けては通れないテーマといわれている。「日本の広告費」(電通調べ)によると、2024年の... (続きを読む)
書籍を紹介する大矢さん=市提供

日本画家・大矢紀さん 日本美術院百年史を寄贈

 麻生区上麻生在住で川崎市市民文化大使の日本画家・大矢紀さん(89)が10月1日、公益財団法人日本美術院が刊行した『日本美術院百年史』全15巻19冊を、市立中原図書館に寄贈した。これを受けて同日、福田紀彦市長から大矢さんへ感謝状が贈られた。

 百年史は、1898年に結成された同院の100周年を記念して編さんされた公式記録集。所属作家の代表作や展覧会の記録、論文など多岐にわたる記事が収録されており、近代美術の流れがわかる内容になっている。同院の同人(運営する構成員)を務める大矢さんは、美術史の貴重な資料として、市に寄贈した。「近代の日本画の中枢、(日本美術院の創設者である)岡倉天心の流れを汲む横山大観や平山郁夫といった画家たちのことが全て書かれている本。ぜひ市民の皆さまに見てもらい、川崎の文化醸成に役立ててほしい」と大矢さんは思いを語った。

 寄贈品は中原図書館で市民の閲覧用として活用されるという。

 大矢さんは紺綬褒章を7回受章するなど数多くの受賞歴を持つ。長年暮らす川崎市に多数の作品を贈り、千代ヶ丘小敷地内にある椿を描いた屏風も寄贈している。

落合教育長に提言を渡す高木さん

子ども委員の高校3年生 「意味ある子ども参加を」 教育長らに政策提言

 川崎市の課題を子どもたち自身が話し合う「川崎市子ども会議」の委員を務める高校3年生の高木萌伽さん(17)が市に対して「子どもの権利」に関する政策提言を行い、10月8日に市役所(川崎区)で落合隆教育長らと対面した。提言を受けた教育長は「大切な提言をいただいた」と感謝を述べた。

 高木さんは中学1年から子ども会議の委員だ。18歳になると委員の資格を失うため、今年を「子ども最後の年」と位置づけ、春には子ども会議の活動で感じたことを市に伝えようと心に決め、今年7月に提言書を川崎市あてに提出した。

 タイトルは「意味ある子ども参加が推進される川崎市を目指して」で、2点について提言した。

 1点目は「学校で子どもの権利学習の質を向上させ、授業数を増やすこと」。今春に市が公表した「子どもの権利」に関する意識調査で、「子どもの権利条例」を「名前も内容も知っている」と答えた子どもが11・4%と、2003年の45・2%から減少した点を踏まえ、「子どもの権利が定着していない」と指摘した。

 2点目は「子どもに意見を聞いたときは、その後どうなったのか、検討の経緯と実現の可否の理由を分かりやすく教えること」を求めた。子ども会議から市長への提言である「報告書」や会議の拡大版「カワサキ☆U18」の議論が、行政に生かされたのかが分からず、「きちんとフィードバックして欲しい」と感じていたという。

意見は尊重される

 市の子どもの権利条例では、15条「参加する権利」の中で「自分の意見を表明し、その意見が尊重されること」を権利として保障している。

 今年7月下旬に高木さんからの提言が届き、市側は対応について関係部署間で検討。子ども会議の運営担当である市教育委員会の地域教育推進課を中心に、「書面での回答ではなく、高木さんが子ども会議で考え続けた思いを尊重する形」を考えたという。

 8日は落合教育長のほか教育政策室の人権教育担当室長、こども未来局青少年支援室長らも同席。教育長は「この提言はとても大切。よりよい川崎に向けて共に頑張りたい」と謝意を伝え、市の現在の取り組みなどを説明。地域教育推進課の二瓶裕児課長は「フィードバックの方法を含めて取り組みを振り返り、しっかりお伝えしていきたい」と伝えた。

 高木さんは「ご対応いただけたことに成果を感じられた。子どもの意見に対し、市が動いてくれていることも確認できた。挑戦してよかった」と話していた。

とどろきアリーナ

ブレイブサンダース主催 中原区で採用合同説明会 スポンサー企業4社

 男子プロバスケットボールのBリーグ1部「川崎ブレイブサンダース」は11月16日(日)、ホームゲームの会場となる東急ドレッセとどろきアリーナ(中原区)で、スポンサー企業による採用合同説明会を開催する。参加者はこの日の試合を無料で観戦できる。

 川崎ブレイブサンダース主催の採用合同説明会は2回目。今回は(株)ホンダクリオ共立(本社・宮前区)、日本ダスト(株)(川崎区)、(株)セレモニア(同)、高和電氣工業(株)(多摩区)の4社が説明会を実施する。

 川崎ブレイブサンダースの広報担当者は「全国的な人手不足の中、日ごろクラブを支えてくださるスポンサー企業のみなさんからも『採用が厳しい』との声が聞かれ、クラブとしても協力できることをしたいと考えた。まず説明を聞いてみたいという人もぜひ参加を」と呼びかける。

 説明会はとどろきアリーナのラウンジで、午後1時30分〜2時45分。終了後、午後3時5分開始の茨城ロボッツ戦を観戦できる。

 希望者は10月31日(金)までに、クラブの公式ウェブサイト上の申込フォームから事前受付が必要。定員は30人で、応募多数の場合は抽選の上、当選者に11月7日(金)までにメールで通知が届く。

本堂で落語を楽しむ 10月25日 登戸・長念寺

 「登戸長念寺落語会」が10月25日(土)、浄土真宗本願寺派寺院・永池山長念寺(多摩区登戸1416)本堂で開かれる。午後2時開演、4時45分終演予定。

 「地域に開けたお寺にしたい」と企画され、25回目を迎える。登戸台和町会とグループ噺道楽が協力する。

 当日は五明樓玉の輔、ロケット団、春風亭柳枝、柳家小はぜ、隅田川わたしが出演する。

 前売り2千円、当日2500円。予約・問い合わせは同寺【電話】044・911・2549。

桂天吾さんが高座に 10月18日 リリオスで

 桂天吾さんによる落語会「新百合ヶ丘 天吾の会」が、10月18日(土)にしんゆり交流空間リリオス(麻生区万福寺2の1の22)で開かれる。

 桂さんは神戸市出身の29歳。2019年に桂南天氏に弟子入りし、22年度NHK新人落語大賞の本選に進出。昨年は独演会を開催するなど注目を集める。午後2時開演(開場1時40分)。全席自由、入場料1500円(現金のみ)。小学生まで無料。予約・問い合わせはリリオス【電話】︎044・281・5036(平日午前9時〜午後5時)。

左から宮部氏、國谷氏、山田氏、福田氏、関口氏、野末氏

川崎市長選 立候補予定者が持論披露 川崎JC公開討論会

 10月12日告示、26日に投開票される川崎市長選挙の立候補予定者6人が10月7日、ラゾーナ川崎プラザソル(幸区堀川町)で開催された公開討論会に出席した。主催は20歳から40歳までの経営者らで組織するまちづくり団体、(一社)川崎青年会議所(川崎JC)。

 参加したのは、立候補の表明順に会社員の國谷涼太氏(25)、現職の福田紀彦氏(53)、社会福祉法人理事の野末明美氏(60)、出版社CEOの宮部龍彦氏(46)、前市議会議員の山田瑛理氏(42)、清掃員の関口実氏(67)の6人。関係者を含め約80人の聴衆が討論会を見守った。

5つのテーマで討論

 討論のテーマは、まちづくり計画、教育、出産育児の3つのほか、参加者から事前に募った質問の中から、20〜30代の若者へのスタートアップ支援策、20〜40代の社会参加を加えた5つ。6人は各テーマ3分の持ち時間の中でそれぞれの主張を述べた。その後は1人5分の持ち時間で、政策アピールを行った。

 公開討論会の様子は川崎JCのユーチューブチャンネルで、選挙当日の26日まで配信されている。

(10月10日起稿)

サッカー教室の風景(昨年)

GO!GO!!フロンターレ

麻生グラウンドでサッカー教室

 川崎フロンターレのコーチ陣が直接指導する「こどもサッカー教室」が12月6日(土)、麻生グラウンドで開催される。社会を明るくする運動麻生区推進委員会主催。荒天中止。

 法務省が主唱する「社会を明るくする運動」の一環として行われる取り組み。フロンターレのスタッフと地元の子どもたちがふれあうことを通じて、明るい地域コミュニティーづくりを目指す。当日はサッカー教室のほか、トップチームの選手が普段使用しているクラブハウスの見学も予定。

 対象は麻生区内の小学校に通う1・2年生で、定員は50人(応募多数の場合は抽選)。参加費は無料で、18歳以上の保護者の同伴が必要となる。午前9時から11時30分。車での来場不可。

 申し込みは麻生区役所ウェブサイト内専用フォーム。10月24日から11月10日まで受付。問い合わせは、麻生区地域ケア推進課【電話】044・965・5156。

画像はいずれも川崎フロンターレ

往時の巨大な姿(根元に人がたたずむ)

区民記者が走る! vol.51 2025年 October エッ!こんなに大きな松があったの

 麻生区百合丘の弘法(こうぼうの)松(まつ)公園には、かつて弘法松と呼ばれる黒松の巨木が凛としてそびえていた。推定樹齢は数百年または千年を超え、高さは30mで10階建てのビルに相当し、根回りは11mであった。その松は、弘法大師が植えたという説と、松の根元の湧水で松を煎じたものを飲ませたら眼病が直ったので、村人が大切に育てたという説がある。

 その巨木は大きいだけでなく、見事な枝っぷりであったが、残念ながら1956年(昭和31年)に消失してしまい、ほどなく伐採された。原因は落雷という説と、たき火の不始末という説がある。

 松が生えていた公園の丘陵の南西端には、「弘法松跡」と刻んだ石柱と、往時の姿をしのばせる写真を貼り、解説を添えた掲示板が立っている。また、麻生警察署の玄関の左側には松の姿を描いた銅板製のレリーフがある。

あさお区民記者とは?

地域活動が盛んな麻生区で活動する団体にスポットライトをあてるために、麻生市民交流館やまゆりを運営する認定NPO法人あさお市民活動サポートセンターが中心となって、文章を書くことが好きな区民で活動しています。