中区・西区・南区版【2月13日(木)号】
深作祐衣市議から花束を受け取る熊本氏(左)

南区補選 国民民主党新人・熊本千尋氏が初当選 野党4党の混戦制す

 南区の横浜市会議員補欠選挙が2月9日に投開票され、国民民主党の新人で介護士の熊本千尋氏(30)が1万5250票を獲得し初当選した。政権与党の候補者が不在の中、野党4党が激突。昨年の衆院選で勢力を拡大した国民民主党が存在感を見せつけた。投票率は23・80%。

 今回の補欠選挙は昨年12月、遊佐大輔氏(自民)が辞職したことに伴うもの。熊本氏のほか、共産党元職の荒木由美子氏(65)、立憲民主党新人の佐藤啓治氏(42)、日本維新の会新人の小西大貴氏(31)が立候補した。遊佐氏の突然の辞職に批判が多かったこともあり、自民党は候補者を擁立しなかった。

 熊本氏は元東京メトロ職員で、車掌や運転手を務めた経験から、指をさして「出発進行」と言うのが決め台詞。期間中は玉木雄一郎衆議院や榛葉賀津也幹事長らが応援に駆け付け、党関係者が「国政選挙並み」と評するほどの布陣で挑んだ。熊本氏は当確の報を受け、「ここが終点ではない。この後すぐに発車準備をして、皆さんの声や思いを市会に運んでいく」と挨拶した。 

 国民民主党の市会会派・「民主フォーラム」は、5人となり交渉会派に。市会での代表質問権が得られるなど、発信の場面が増える。同党神奈川県連代表で民主フォーラム団長の小粥康弘市議は「非常に意義のある議席」と評価した。

 翌日から始動

 投開票日の翌10日は南区役所で南区選挙管理委員会から当選証書が付与された。熊本氏は「南区の皆さんの信頼をいただいて議席を預かることになった。市民の声を聞き、それを自分事と捉えて、議員として客観的に判断し、皆さまに寄り添った誠実な政治ができればと思う」と抱負を話した。

「セーフスペースを作りたい」と倉戸さん、藤原さん、仲谷さん(右から)

横浜YWCA 10代女性の居場所開設 「生きていっていい」社会へ

 (公財)横浜YWCA=中区山下町=は、2025年4月、家族と暮らすことが困難な15歳から20歳までの女性の自立援助ホーム「カルーナよこはま」を南区に開設する。同ホームの生活環境を整えるため、クラウドファンディングで支援を呼びかけている。

 自立援助ホームとは、児童福祉法を根拠に、義務教育終了後に児童養護施設などを出たり、虐待などさまざまな事情で家庭で暮らせなくなった青少年に、自立援助や生活指導を行う場のこと。原則として、児童相談所を通して入居が決まる。

 開設する「カルーナよこはま」は、3階建ての一軒家で、居室6部屋と共有のリビングとキッチンを併設する。入居者はそこで食事などの支援を受けながら学校や仕事に通う。一人で暮らしていくための練習の場だ。施設長の倉戸ミカさんは、「ただ寝る場所ではなく、『ここにいて、生きていっていい』と思える場にしたい」と話す。

 運営する横浜YWCAは設立されて今年で112年を迎える国際NGO。開港後に横浜で働き始めた若い女性のために「ご飯が食べられて相談もできる安全な居場所を」と活動を始めた。現在は、生きづらさ、働きづらさを感じる女性の就労支援の場「Yカフェ パーショ」などを運営している。

 理事の仲谷利理さんは「日本社会は家族を前提とした法制度など、『こうあるべき』という考えから外れると生きていくのが難しい」と現場から見える課題を口にする。

クラファンで安心の環境

 現在、クラウドファンディングで寄付を集めている。目標金額は150万円。支援金で居室のベッドや照明、共有スペースの家具や家電を購入し生活環境を整える。

 寄付者には「Yカフェ パーショ」のドリンクやランチ券が贈られる。

 職員の藤原聖帆さんは「個人の努力が足りないのではなく、環境により普通の生活ができない人がいるという理解がもっと広がってほしい」と話した。

共同検針用の水道スマートメーター(防水型)

市水道の自動検針 全戸導入に向け技術検証 市民生活の利便性向上も

 横浜市はこのほど、自動で使用水量を把握できる水道スマートメーターの技術検証を今年10月から実施する計画を打ち出した。独居高齢者の見守りや減災対策にもつながる事業で、2028年度からの順次導入を目指す。

 スマートメーターは無線端末を用いて、自動的に使用水量データを取得するもの。現在は検針員約400人が平均して月約2500戸のメーターを目視で調べている。

 市水道局によると、導入後は利用者(市民)が1時間ごとの使用量を確認できるようになる。漏水やトイレの故障などの早期発見、水の不使用などの異変をいち早く察知することにより、独居高齢者の見守りにもつながる。加えて、将来予想される検針員不足への対応、震災時の断水エリアの早期特定や円滑な復旧作業が可能になるなどメリットが多いという。

 スマートメーターの技術検証は、19年度に始まった緑区(約460戸)に続いて2回目。緑区では携帯の通信回線を利用しているのに対して、10月からの検証は東京電力パワーグリッド(株)との連携によって、既に整備されている電力通信ネットワークを活用。3区(保土ケ谷・西・中)の約1000戸で自動検針を行い、さまざまな環境下における通信の安定性を調べるほか、通信コスト低減を模索する。

コスト低減が課題

 導入への課題が高コストだ。現行タイプは、設置や使用期間中(8年)の検針委託費を含めて1戸あたり約1万1000円。スマートメーターは現段階で、専用機器や通信コストによって現行の3倍ほどかかるという。

 市は19年度に導入に向けた連携協定を東京都と大阪市と結んでおり、仕様の共通化などを推進することで、コストを低減したい考え。市職員は「3都市で連携しながら、最短での全戸導入を目指したい」と話す。

 全国ではスマートメーターを住民の見守りに活用している事例もある。高知県仁淀川町では高齢化が進む地区で、水道利用の異常を検知した際に登録アドレスに通知する実証を行っている。

 市職員は見守りの仕組みについて、「個人情報の取り扱いなど課題もあるが、将来的に検討できれば」と説明する。

「なでしこブランド」の認定商品「楽ベジペースト」を開発した 根本 早苗さん 中区在住 60歳

「野菜を楽に楽しんで」

 ○…「野菜を楽に楽しく、毎食食べてほしい」との願いを伝えるため、料理教室や講演会、執筆活動、レシピ開発など多方面で活躍する。なでしこブランドの認定商品「楽ベジペースト」や「楽ベジサラダ」では、そんな思いを具現化した。昨年11月には、野菜ソムリエアワードで金賞を受賞。全国約6万人の野菜ソムリエの頂点にたった。

 ○…料理が不得意な両親に代わり、中学生の頃から「食べてみたいな」と思ったものを作ってきた。「料理本はすり減るくらい見ていた」と振り返る。結婚後、息子の影響で肉中心の食卓だったが、夫が太り出したことを機に野菜ソムリエの資格を取得。さらに野菜のビタミンを損なわず保存と活用に便利な冷凍野菜にはまり、冷凍生活アドバイザーに。その発信が大手食品会社の目にとまり、記事執筆の依頼が舞い込んだ。「冷凍していない野菜はないくらい、没頭して実験した」

 ○…東京から横浜に居を移したのは、コロナ禍真っただ中。「料理教室もあったし、最初は離れがたかった」。だが、はまふぅどコンシェルジュになり勉強会やイベントに参加したことで、仲間が増え活動の幅が一気に広がった。「新しく入りやすい環境だった。すべてのきっかけは横浜に引っ越してきたこと」とにっこり。横浜が大好きになった今、「離れることは考えられない」

 ○…料理教室の生徒は、商品開発時にも様々な意見をくれた大切な仲間。自分一人では、野菜の価値を伝える活動に限界があるとして、「今後は私の思いに賛同してくれる講師育成に軸足をおきたい」と話す。最終的な目標は、街に一つ、料理教室をつくること。「自分の能力を生かし社会に貢献していきたい」と話した。

「一番搾り」で献酒を行う佐藤支社長(左)と勝俣さん

キリンビール 「ビール産業の祖」に献酒 横浜外国人墓地で

 「日本ビール産業の祖」と称されるウィリアム・コープランドの命日である2月11日、キリンビール(株)横浜支社と同横浜工場が、同氏をしのぶ墓前祭を中区山手町の横浜外国人墓地で行った。

 コープランドはノルウェー出身のアメリカ人技師で、明治期の1870年に横浜にビール醸造所「スプリングバレー・ブルワリー」を開設。日本で初めて産業として継続的にビールを製造した人物だ。その跡地に同社の前身である「ジャパンブルワリー」が設立され、1888年に「キリンビール」が発売された。現在跡地のキリン園公園=中区千代崎町=には、同社発祥の地の記念碑が建てられている。

ノルウェー駐日大使らが参列

 123年忌となる今年は、キリンビールの社員や関係者、ノルウェーとの国交樹立120周年を記念してクリスティン・イグルム駐日ノルウェー大使が訪れるなど、約60人が参列。コープランドの墓前で献花やビールによる献酒が行われた。

 キリンビール横浜支社の佐藤俊雄支社長は、コープランドの功績にふれ「ビールの美味しさ、楽しさをこれからも継承していきたい」とあいさつ。イグルム大使は「日本とノルウェーの120年の歴史はコープランド氏の存在で強固になっている。末永く両国の友好関係に貢献されると信じている」と述べた。

 コープランドの妻ウメの弟(英学者の勝俣銓吉郎)の孫、勝俣力さん(68)=東京都立川市=は「当時外国人と結婚し、横浜の地で事業を立ち上げるには周囲の協力も大きかったと思う」と当時をしのび、「コープランドが始めた事業。これからも発展していってほしい」と話した。

 

取材に応じてくれたビストロ「Ami」の佐久間シェフ。店内にある熟成庫の前でシカ肉を手に

「ジビエ」食べるきっかけに 2月15日、吉田町で話題のフェス

 中区の吉田町本通りで2月15日(土)、「横浜ジビエフェスタ」が開催される。狩猟で得た野生鳥獣の食肉を意味する「ジビエ」。同イベントは、その美味しさやニホンジカを管理捕獲している現状を知ってもらい、地域活用につなげることを目的に2022年からスタート。1年目から想定を大きく上回る人が訪れ、1時間で商品が完売したことも話題になった。

 主催の吉田町名店街会の専務理事で、同イベント実行委員長を務める倉本淳哉さんは「来場者からも好評で、吉田町の認知度をあげるイベントに育ってきている」と話す。今年は春節に絡めたイベントや防災フェスタ、骨董品やレトロ雑貨などが並ぶ裏道マーケットも同時開催され、会場一帯を盛りあげる。

過去最多22店が参加

 3回目となる今年は、吉田町のほか市内の飲食店を中心に、過去最多の22店舗が参加。屋台形式で、シカやイノシシ、クマなどを使ったメニューを提供。歩行者天国の屋外スペースで、アルコールやライブを楽しみながら味わえる。

 参加店の一つで、ジビエを中心に扱うビストロ「Ami」=中区野毛町=では、当日シカ肉のハンバーガーやジビエスープなどを提供。同店のシェフで自身も狩猟をする佐久間貫(とおる)シェフは、ジビエの魅力を「力強い味わい」と語り、「ジビエの言葉は分かるが、食べたことがないという人が多い。味や提供しているお店を知ってもらうきっかけになれば」と期待する。また、これまで秋開催だったが、今年は11月中旬から2月中旬までの狩猟時期にあわせて実施。食材が豊富に揃い、特にジビエがおいしいシーズンだという。

情報発信の場に

 国内ではシカやイノシシなどによる農作物の被害が深刻化し、農業離れや、植生劣化による土壌流出、森に住む生物の生存危機にもつながっている。神奈川県内の昨年度の農作物の鳥獣被害額は約1億5千万円。県では環境保全のため丹沢山地を中心に03年からシカの管理捕獲を行い年間約3千頭を捕獲しているが、食用としての流通は確立されていないという。

 同イベントでは、こうした現状や猟師などの情報発信の場にも活用していく。同イベントに協力する(一社)里山共生会代表理事の達知剛志さんは、「ジビエや狩猟について若い人にも知ってほしい」と話している。

 正午〜午後5時。雨天時は翌日に順延(防災フェスタとマーケットは雨天中止)。(問)【電話】045・261・1120。

作家の磯崎さん(右)と富山さん=写真上=、絵を熱心に見る来場者=同下

市内在住の作家2人が描く 鉛筆画の世界 本牧絵画館で16日まで

 中区本牧元町の横浜本牧絵画館で、鉛筆画をテーマにした「Drawing-その先へ- 磯崎式子・富山恵美子二人展」が2月16日(日)まで開催されている。この展示は「作家や研究者に発表の場を提供し、活動を続けるための支援をしよう」と同館が2018年から行っている作家・研究者支援プログラムで、第6回目。照明を抑えた館内に、鉛筆の濃淡のみで表現された作品計23点がライティングされ浮かび上がる。

 磯崎さんと富山さんは共に女子美術大学卒で横浜市内在住のベテラン作家だ。富山さんは支援プログラムに選ばれたことを「すごく誇りに思うし、嬉しかった」と話す。長年スペインで研鑽を積み、硬軟の鉛筆を使い分け異世界の空間を生み出す。地元大鳥中学校で美術の非常勤講師をしていたことも。「根をつめると精神的におかしくなるので、約3カ月で仕上げることを目指している」と笑みを見せる。

 磯崎さんは、陰影が印象的なオブジェと花などをモチーフとする。ドローイングの良さを「鉛筆以外の道具がいらず、準備や後片付けをしなくていいこと」と話す。2Bの鉛筆から描き出す漆黒の宇宙は圧巻だ。

 観覧料は一般500円。問い合わせは【電話】045・629・1150。

楽ベジペーストと根本さん

「楽ベジペースト」シリーズ なでしこブランド 中区から新規認定

 女性が開発に貢献した優れた商品やアイデアを認定する「神奈川なでしこブランド2025」の認定商品に、「楽ベジstyle」=中区=の「楽ベジペースト」シリーズが選ばれた。

 同ブランド認定は2013年度から女性活躍推進を目的に県が実施してきた。今回は100件の応募があり、10件が認定された。これまで累計172件の商品が認定されたが、「企業の女性活躍推進の機運醸成という役割は終えた」として、今回で最後となる。

「毎食野菜」を習慣に

 楽ベジペースト(各1200円)は、保存料を使用せずに6カ月の長期保存を実現した野菜ペーストシリーズ。県内産の規格外野菜を活用しており、「かぼちゃと小豆」「ほうれん草とアーモンド」「トマトとくるみ」の3種類ある。代表を務める、根本早苗さん=人物風土記で紹介=は、野菜ソムリエプロやはまふぅどコンシェルジュ、冷凍生活アドバイザーなど様々な肩書の持ち主。「サプリメントに頼りすぎず、野菜を毎食一口でも食べる習慣を広めたかった」と商品化を目指した思いを話す。

 バケットやクラッカーに塗ってそのまま食べるだけでなく、ソースやパスタ、デザートなどへの活用も。ホームページのほか、毎週木曜15時〜19時に開催される夕方マルシェ(関内駅北口そば「エビスダイニング」前)でも購入可能。(問)【メール】psana47@gmail.com

各区の特徴が盛り込まれた「御庁舎印」(表)

役所で「御庁舎印」巡り 市の若手職員が初企画

 横浜市は市役所と全18区役所で、各庁舎をモチーフとした御朱印の庁舎版「御庁舎印」の初の販売を2月10日から始めた。市の若手職員が区局横断で新規事業の立ち上げなどにチャレンジする仕組み「横浜創造100人隊」による取り組みの一つ。

 市民や観光客が「御庁舎印」収集のため各庁舎を巡ることで、まちの新たな魅力発見につなげる目的で企画されたもの。通常はがきサイズの紙製で、表面には庁舎や区の木・花、名所など、裏面には庁舎やまちに関する情報が掲載されている。

 6区ずつ3期に分けての実施で、2月21日(金)までは神奈川、南、金沢、中、港南、栄、25日(火)から3月7日(金)までは鶴見、保土ケ谷、戸塚、西、旭、瀬谷、3月10日(月)から21日(金)までは磯子、緑、都筑、港北、青葉、泉の各区役所で、売店及び庁舎内の自動販売機で平日のみ販売する。時間帯は各区庁舎により異なる。市役所では市庁舎の印を3月21日まで毎日販売している。

 一枚300円(税込)で、10種類購入した人は集めた印を収納できる「御庁舎印帳」が市庁舎でもらえる(数量限定)。企画の担当者は「足を運んだことのない区庁舎を訪れ、楽しみながらまちへの理解を深めてほしい」と語った。問い合わせは市総務局行政マネジメント課【電話】045・671・4774。

発表する新本牧地区の鈴木聖一さん(左)と埋地地区の藤平保之さん

中区 地域の「縁」つなぐ 住民が活動事例を発表

 中区の地域福祉保健計画「中なかいいネ!」の活動発表会が2月6日、関内ホールで行われた。

 同計画は、現在第4期目(2021〜25年度)で、「えん結び(地域の困りごと解決)」と「元気いっぱい(心と体の健康増進)」を活動の2本の柱としている。

 当日は2地区が事例を発表した。新本牧地区では、自治会がない集合住宅のコミュニティ形成を目的に、集会所を使った交流カフェを開設。防災講座や縁日など多世代が集まる催しを企画した。外国籍の住民が多い埋地地区では、子どもを通じ大人の地域参加を促すため、コマなどの昔遊びの場を提供。地域の様々な団体や若者と連携していく意義も説明した。

 同推進会議の委員長を務める川上富雄さんは、「地域で顔の見える関係を構築することで共感性が生まれ、日頃の支え合いや災害時の助け合いにつながる」と話した。

被災後のお金とくらし 中区で地震防災講演会

 地震防災講演会「生活再建のための知識の備え被災したあなたを助けるお金とくらしの話」が2月23日(日)、上台集会所=中区本郷町=で行われる。午後2時から4時30分まで(予定)。住みよいまち・本郷町3丁目地区協議会の主催。

 地震被災後のお金がテーマ。ローンがある人、借地の人、債務整理や罹災証明書のこと、もらえる・借りられるお金などを、法に基づき、最前線で活動する岡本正弁護士が説明する。参加無料で事前申込制。

家庭系可燃ごみ 有料化導入は21% 県内自治体アンケート

 家庭系可燃ごみの有料収集(※1)を行う神奈川県内の自治体は2024年11月14日現在、6市1町あり、県内33自治体に占める割合は21%であることが、タウンニュース社のアンケート調査で分かった。国は有料化を推進しており、22年時点で全国の実施率は62%(※2)。

 アンケート調査は、11月1日から11月14日までの期間で実施。家庭系可燃ごみの有料収集の実施状況や開始時期などを問い、全ての自治体から回答を得た。

 全33自治体のうち、有料回収しているのは11月14日現在で7自治体で、全体の21%だった。

「排出量減少した」

 県内で最も早く有料化に踏み切ったのは、二宮町で1997年。2006年以降は有料化を始める自治体が増え、近年では、茅ヶ崎市が22年に有料収集を開始した。7自治体はいずれも指定のごみ袋を使い、有料化で得られた収入を指定ごみ袋の製造や処理施設の運営費などに活用している。

 また、今回のアンケート調査では有料化導入後のごみ排出量は、全自治体が「減少した」と回答した。

「予定ない」48%

 有料化していない26自治体のうち、10自治体が「有料化を検討中」と回答。検討理由について「ごみの減量化・資源化を進めるための効果的な施策の1つ」(相模原市)、「ごみ減量が想定通りに進まない場合の対応策の1つ」(松田町)などが上がった。

 一方、「導入予定はない」と回答したのは16自治体で、全体のほぼ半数の48%だった。「ごみの排出量が計画どおり、減少しているため」(厚木市)、「ごみ減量対策の最終手段と捉えているため」(綾瀬市)などを主な理由としている。

 県内最大の自治体である横浜市は「家庭ごみの有料化については、ごみの発生抑制、市民負担の公平化や財源確保に伴う施策の充実などの観点から、有効な施策であると考えている。一方で、本市では、市民の皆さまの多大な協力により、大幅なごみ量減を達成し、現在も減少傾向は続いている。このため、有料化の導入にあたっては、現時点で予定していないが、実施による効果や社会情勢の変化などを見極めながら、継続的に検討を進めていく」とした。

 ごみ問題に詳しい東洋大学の山谷修作名誉教授(経済学)は神奈川県内の状況を「総排出量が減っている模範的な例」とした。その上で有料収集については「近年開始した自治体も多いが、導入前の審議や調整に壁を感じている場合もあるのでは」と分析している。

(※1)ごみの有料収集とは、自治体へ処理手数料を支払っていることを指す。単に自治体がごみ袋を指定している場合とは異なる。

(※2)全国の家庭系可燃ごみの有料収集率は「一部有料」としている自治体を除く。

【アンケート調査の詳細は次のURLからご確認ください】

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1gd4m5mdaf-S6BLZP49HHxgtiRkhd_ZCi74mhenRhBK8/edit?gid=516651857#gid=516651857

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石田さん(左)と新井さん

ラインアップ発表会 横浜MMホール 石田さんらが登壇

 横浜みなとみらいホールで2月6日、2025年度自主事業ラインアップが発表された。新井鷗子館長や4月から第3代レジデンス・プロデューサーに就任する石田泰尚さんらが登壇した。

 石田さんは川崎市出身のバイオリニスト。神奈川フィルハーモニー管弦楽団の首席ソロ・コンサートマスターや自身が率いる弦楽アンサンブル「石田組」として、数多く、同ホールの舞台に立ってきた。次年度からはプロデューサーの立場で企画制作からホールと連携し、事業を行っていく。「2年間とにかくちゃんとやっていく。自分の企画で盛り上げていきたい」と意気込む。難しいと思われがちな室内楽の魅力を石田組のメンバーが発信するコンサートや、市内の弦楽合奏部に直接指導に行く応援プロジェクトなどを企画している。

 新井館長は、中学生が企画から当日の運営まで携わる次世代育成のコンサートや、世代や障害の有無に関わらず、音楽を通した社会参加を促進する事業などに力を入れるとし、「地元の皆様に愛され、社会の今とつながるコンサートホールを志す」と話した。

小遊三師匠(左)とたい平師匠

プレゼント 『笑点』の2人が登場 3月20日、関内ホールで

 3月20日(木・祝)に関内ホール(JR関内駅北口6分)で開催される「関内寄席 三遊亭小遊三・林家たい平 二人会」の観覧券を、抽選でタウンニュース読者5組10人にプレゼント。

 人気テレビ番組『笑点』でお馴染みの2人が今年も関内寄席で競演。底抜けに楽しい、両師匠の高座をお見逃しなく。

 午後2時開演。全席指定で4500円(前売4千円)、未就学児不可。チケット購入は【電話】045・662・8411。

 プレゼントの応募はハガキに〒住所、氏名、年齢、本紙感想を明記の上、〒231―0033中区長者町2の5の14タウンニュース「関内寄席二人会」係へ。3月3日(月)必着。

平和の大切さを説く知花校長

「いくさやならんどー」 沖縄の中学校長が特別講演

 継続して平和学習に取り組む南中学校=南区六ッ川=に1月30日、沖縄県東村(ひがしそん)立東小中学校の知花(ちばな)淳次校長が訪れ、2年生約160人に「いくさやならんどー(戦争はダメだよ)」をテーマに特別講義を行った。

 2校は3年前から現地やオンラインで交流を続けてきた。昨年11月の沖縄県北部豪雨災害で、南中生徒が支援金と応援メッセージを東村に贈ったことを受け、知花校長がお礼に訪れたという。

 知花校長の出身は米軍の沖縄本島上陸の地となった読谷村(よみたんそん)。太平洋戦争末期、当時5歳だった知花校長の父親は、約千人の村民と一緒に近くのガマ(自然の洞穴)に避難した。そのガマでは、米兵の投降を呼びかけに応じ、村民は生き延びた。だが、同じ地区にある別のガマでは、避難した約140人のうち83人が集団自決に追い込まれたという。また、当時6歳だった母親は、北部に逃げ何週間も森の中をさまよったとも。「父と母が亡くなっていれば、自分はここにいない」と語った。また、戦後も米軍基地があり、影響がいまだ続いていることも述べた。「戦争をすると人が人でなくなってしまうことを伝えたかった」と話した。

 生徒は熱心にメモをとりながら、話に聞き入っていた。丹内(たんない)バゴーシ利央さんは2004年の米軍ヘリ墜落に触れ、「80年も前のことなのに、まだ影響が残っていることに驚いた」と話した。田宮琉貴さんは5月に修学旅行で沖縄を訪れることに触れ、「もっと学習して、現地で実際に見ることで学びにつなげたい。修学旅行はゴールではなく、次につないでいかないと」と話した。

感謝状を手に宮原会長(中央右)とキンバリ理事長(同左)

ウエインズ 「ファシリティドッグ知って」 活動支援に350万円寄付

 ウエインズトヨタ神奈川(株)では「ファシリティドッグ」の活動支援のため、昨年12月にレクサスオーナーを対象としたコンサートで支援金を募った。集まった約350万円を認定NPO法⼈シャイン・オン・キッズ=東京都=に全額寄付した。

 ファシリティドッグとは、医療チームの一員として病院に常勤する専門的な訓練を受けた犬のこと。小児がんなど重い病気の子どもと家族に寄り添い、心身のケアに携わっている。現在神奈川県立こども医療センターなど、全国4施設の小児病院で4頭が活躍する。

 1月29日にレクサス山下公園ショールームで行われた感謝状贈呈式で、同NPOのキンバリ・フォーサイス理事長は、感謝を述べ「ファシリティドッグがいれば、辛い検査や治療も頑張れるという子どもたちがいる」と説明。同社の宮原郁生会長は「この活動を多くの方に知ってもらえたら」と話した。

米沢市の近藤市長

横浜と米沢「桜」で交流 大通り公園で11回目

 伊勢佐木警察署前の大通り公園に植えられている「啓翁桜(けいおうざくら)」の前で、横浜市と山形県米沢市の交流式が2月1日に行われた。同桜は山形の名産品で、ライオンズクラブ(LC)国際協会330―B地区1リジョン1ゾーン(横浜、横浜山手、横浜梅櫻、横浜金港、横浜中、横浜東)のメンバーにより、2012年に植樹されたもの。

 11回目となる式典にはLCメンバーをはじめ、米沢市の近藤洋介市長や米沢観光コンベンション協会の小嶋彌左衛門会長、中区の小林英二区長ら約50人が参加した。

 近藤市長は「150年前に教師・チャールス・ヘンリー・ダラスが赴任先の米沢市から牛一頭を土産に横浜に持ち帰って仲間に振舞い、美味しいと評判になったことから米沢牛ブランドが広まった」と説明。「横浜との大きな縁を感じる。今後も交流を一層深めていけたら」と話した。

話を聞く参加者

広報紙の写真注意点を学ぶ 南区地区社協が研修

 南区内の地区社会福祉協議会が広報紙を作成する際に気を付ける点を学ぶ研修会がこのほど行われた。最近、地区社協から広報紙に掲載する人物写真や著作権に関する問い合わせが区社協に多いことから企画された。

 地区社協の広報担当者など約30人が参加。タウンニュースの記者から個人情報の観点から見た写真撮影の注意点を聞いた。記者は「撮影前に相手へ使用目的やネット掲載の有無を伝えることが大切」とアドバイス。参加者は「今後、事前確認を今までより丁寧に行いたい」と述べていた。

祝賀会での鏡開き

横浜南間税会が60周年 会員や来賓集い祝う

 横浜南間税会(山岸幹夫会長)は2月5日、ナビオス横浜=中区=で創立60周年記念式典・祝賀会を開催した。

 同会は1965年、横浜南物品税協議会として発足。93年に現在の名称となり、現在は金沢・磯子・南・港南の4区から約250人の会員が所属し、消費税など間接税の知識普及や啓発などを目的に活動している。

 式典には来賓や会員あわせて約90人が出席。同会に長年貢献した26人、2団体へ感謝状を贈呈した。続く祝賀会では鏡開きをして盛大に節目を祝った。山岸会長は「皆さまと新しい時代に対応できる間税会を目指していきたい」と話した。

横浜市、下水道管緊急点検で路面下空洞2カ所を発見 埋め戻し完了 八潮市の陥没事故受け

 埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、横浜市は管理する下水道管の緊急点検を2月3日から5日に実施し、その結果を10日に発表した。

 点検は水再生センターへ流入する内径2m以上の汚水幹線と合流幹線の24本。水再生センター直近のマンホールから下水道管内部を目視で点検するとともに、管が布設されている道路表面も点検した。加えて、対象の下水道管が布設されている道路の下に空洞がないか、電磁波地中レーダー方式で調査した。

 その結果、下水道管の点検では緊急対応を要する異常は見つからなかった。空洞調査では、港北区新吉田町と神奈川区入江2丁目の2カ所で緊急対応が必要な空洞を発見。原因は点検した下水道管に起因するものではなかったが、2月10日までに埋戻し作業を終えた。

 市は定期的に行う目視点検やテレビカメラを使った下水道管内部の調査を続けていくという。

登壇した蔵屋館長(前列左)ら

横浜美術館 全館オープン迎え記者会見 記念展「おかえり、ヨコハマ」は6月2日まで

 横浜美術館は、全館リニューアルオープンを翌日に控えた2月7日、記者会見を行った。蔵屋美香館長やリニューアルに関わったクリエイター、リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」の出品作家が出席し、生まれ変わった館内の特徴や記念展について説明した。 

 今回のリニューアルでは、同館のエントランスホール「グランドギャラリー」を中心とした「じゆうエリア」を拡充。展覧会の観覧者以外でも無料でくつろげるスペースを増やした。建物や作品を見ながら併設のカフェの飲み物を座って飲むことができる場所や子どもが靴を脱いで楽しめるエリア、彫刻の近くに座ってくつろげる大階段などが作られた。

 リニューアルオープン記念展「おかえり、よこはま」は、縄文時代から現在までの横浜の歴史を振り返る。蔵屋館長は「いろんな特性を持った人がごちゃっと集まって港を開いて、ゼロからこの街を作ってきた歴史をアートで描き出そうと考えている」と話す。

 見どころの1つが洋画家・松本竣介氏の「Y市の橋」シリーズ。現在も横浜駅の近くに存在する「月見橋」がモデルと言われ、戦前から戦後にかけて起こった変化が描き留められている。横浜では初のまとまった紹介となり、今回、その変化にまつわる新たな説を紹介する。蔵屋館長は、「ローカルの歴史はまだまだ掘り下げていけるし、その上に自分が暮らしていると思うことは誇りの源、タイムトリップというアートならではの経験ではないか」と話した。記念展は6月2日まで。

チャペルでメッセージを贈り合う2人

参加無料 横浜・みなとみらいのチャペルで100輪の花束が彩るバレンタインイベント 2月14日までアニヴェルセルで開催中

 日本では「バレンタイン=チョコレート」のイメージが強いが、海外では大切な人に花を贈る文化があり「世界で一番花を贈る日」ともいわれている。

 昨年オープン10周年を迎えた結婚式場「アニヴェルセル みなとみらい横浜」で2月7日から14日まで、バレンタイン気分を盛り上げるイベント「Yokohama Flower Valentine(ヨコハマフラワーバレンタイン)」が開催されている。

 これは、公益財団法人横浜市観光協会が「カップル・夫婦がアニバーサリーを過ごしたい街・横浜」としてのブランド醸成のため、20〜30代をメインターゲットとして展開している「YOKOHAMA PRECIOUS FLOWERS(ヨコハマプレシャスフラワーズ)」の一環として開催しているもの。

ロスフラワーを使用

 1組ずつ貸切で体験できるチャペル内では、メッセージカードで愛や感謝の気持ちを伝え合い、100輪の色鮮やかな花束とチョコレートスイーツを交換した後、記念撮影ができる。参加者は、横浜発のクラフトチョコレート専門店「VANILLABEANS(バニラビーンズ)」か式場併設の「アニヴェルセルカフェ」のチョコレートスイーツのどちらか1つ選んで持ち帰ることができる(1組1つ)ほか、全員にミニブーケのプレゼントも。イベントで使われる花はサステナビリティに配慮し、市内のロスフラワーを利用している。

身近な人に想い伝える機会に

 初日に来場し、イベントを体験した河村修二さん(65)・敬子さん(57)夫妻=栄区在住。結婚式さながらの演出で別々にチャペルに入場し、「おいしい料理を作ってくれてありがとう」「人生後半も楽しく過ごしましょう」と、照れながらも互いに感謝の気持ちを伝え合っていた。「恥ずかしかったけれど、日頃の感謝の気持ちを伝えられてよかった」と修二さん。敬子さんは「非日常空間で、ステンドグラスも素敵だった」と話し、「30年前の結婚式や、これまでの家族との出来事を振り返る機会にもなりました」と笑顔を見せていた。

 アニヴェルセル(株)広報室の梁原由寛さんは「ご夫婦やカップルだけでなく、親子や友達同士などでもぜひ参加してもらえたら」と来場を呼びかけた。

 横浜市観光協会の事務局長を務める池田博美さんは、「記念日を横浜で過ごしてもらえるよう、今後も周辺ホテルや企業などと連携しながら、様々な企画を発信していきたい」と話している。

 参加無料(1日先着25組限定)。参加方法は公式インスタグラムアカウント(@Yokohama_precious_flowers)をフォロー。開催時間は、イベント期間中の午後7時から9時まで(受付は午後7時から7時30分まで)。

 問い合わせは、横浜市観光協会【電話】 045・221・2111まで。
救助した芦原さん(中央)と和知署長(右)、飯塚署長

西消防署・戸部警察署 人命救助に感謝状 溺れる女性を衣類で救う

 川でおぼれている女性を衣類でつなぎ止め、消防隊に引継ぎ命を救ったとして、西消防署(和知治署長)と戸部警察署(飯塚博史署長)は2月3日、市内在住の芦原耕さん(52)に感謝状を贈呈した。

 芦原さんは、1月5日の午前7時過ぎ、西区の新田間川の歩道を歩いている際に川から「助けて」という声を聞いた。溺れている女性を発見し、その場に居合わせた男性と身に付けていたベルトをつなぎ、引き上げようした。ベルトが切れてしまったため、今度は上着の袖口を結び、消防隊が駆け付けるまで一時確保を行った。女性はその後、無事に救出、医療機関に搬送された。

 芦原さんは「当時は水温も低く、上半身だけでも水面から出して女性が気を失わないようにと考えた。通報してくれた人、上着を貸してくれた人など、周りの方のおかげで助けることができた」と話した。

 和知署長は、「一刻を争う状況の中で、身の回りの物を活用し、迅速に対応してくださったことが人命の救助につながった」と感謝を示した。

日本睡眠学会 親子で学ぶよい眠り 3月15日 桜木町駅すぐで

 講座「こどもの脳とからだを育てる睡眠とは?」が3月15日(土)、県民共済みらいホール=中区桜木町=で行われる。午後1時から4時まで。日本睡眠学会第48回定期学術集会の主催。乳幼児から小学生と保護者、妊婦と家族が対象。

 第1部は、フリーアナウンサーの中野美奈子さんとお笑い芸人の小島よしおさんが登壇し、睡眠に関するパネルトークを行う。第2部は、各世代を対象に、妊婦と乳幼児の睡眠に関する講演、絵本の読み聞かせ、顔と口の体操の3つのワークショップを開催。第3部は、専門家の全体講演を行う。眠りの大事な働きについて、親子で学ぶことができる。

 参加費は無料で、事前申込制(応募多数は先着順)。全体の定員は200組。申込締切は3月14日(金)。(問)運営事務局【メール】school@curioschool.com

アマビエ挟み紙と1月限定御朱印

御朱印探訪【3】 毎月変わる限定御朱印も魅力の栄区上郷町・横浜御嶽神社 記者の参拝レポート

 御朱印(ごしゅいん)とは、神社や寺を参拝した証として押印される印章印影のこと。参拝の記録として集める人も少なくない中、タウンニュース記者が横浜市内の寺社で入手できる御朱印を紹介する「御朱印探訪」。3回目は栄区上郷町にある横浜御嶽(おんたけ)神社を訪れた。

 JR港南台駅、大船駅からバスに揺られること約20分。中島バス停で下車し、すぐ横にある急坂を上がれば目的地、横浜御嶽神社だ。

横浜市内で唯一、木曽御嶽山の神々を祀る

 石段を数段上がると石造りの鳥居があり、その先右手に手水舎が備えられている。手水のすぐ先には、不動明王と稲荷社が。少し変わっているのは、手前に小さな池があり、その奥に二つの社がある点だ。

 「この神社がお祀りしている木曽御嶽山では、滝の下に不動様が祀られているので、それを模しているんです」。そう教えてくれたのは、禰宜(ねぎ)の森沙緒莉さんだ。

 横浜御嶽神社は創建1903(明治36)年と言われている。森さんによると、初代先達の森巳之助(みのすけ)氏はこの地の農家に生まれ、幼少期から信心が篤く、木曽御嶽山で修行。天台寺門教会で法名を授かったのち、生家のある横浜へ戻って自宅で護摩行を続けていたという。

 詳しく書かれた文書が残っているわけではないので、と前置きしたうえで森さんは「明治36年より前に木曽御嶽神社から御分霊されて、巳之助さんの自宅内に創建したと言われています」と話す。 

木曽の山に帰った信者は霊神に

 森さんに案内されて本殿へ。一般の参拝では内部まで入れないが、病気平癒や厄除けなどの各種祈祷は本殿内で行われる。御嶽神社の御祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)、国常立尊(くにとこたちのみこと)、少彦名命(すくなひこなのみこと)の三柱で、総称して「御嶽大神」として祀っている。

 「他の神社ではあまりないのですが」と森さんが教えてくれたのが、内殿左側に設けられた霊神碑(れいじんひ)だ。木曽御嶽神社の信仰において、御嶽山に信仰を尽くした行者や信者は亡くなると木曽の山に帰るとされていて、その後、その魂を霊神として内殿に祀るのだという。

 「この場所で信仰された方々、約40人の霊神がいま、霊神碑に祀られていると記録が残っています」と森さん。

病気平癒を願う人々が訪れる神社

 そんな横浜御嶽神社では定番の3種(御嶽神社、不動明王、稲荷神社)のほかに月替わりの御朱印を授与していて、動植物や雪だるま、花火など、季節感が伝わるデザインになっている。使用する判も御嶽神社のオリジナルだ。

 「よく参拝にいらっしゃる方の励みになれば」と、森さんが月替わり御朱印を始めたのは7〜8年前。その後、コロナ禍があり、御朱印帳に挟む「挟み紙」に疫病退散の伝承がある妖怪、アマビエを描くようになった。コロナ禍が落ち着いた今でも、「健康祈願、病気平癒を願って当社へいらっしゃる方が多いので」アマビエの挟み紙を続けている。ひな祭りや端午などの節句や祭事に合わせた限定御朱印を用意することもあるそう。

 「毎月変わる御朱印を楽しみにしてくださる方も少なくないので、以前と同じような絵柄にならないよう、気を配っています」と森さん。

 御朱印は書き置きが基本だが、公式SNS(Facebook、Instagram、X)で書き入れ対応ができる日を公開しているので、直書きをしてほしい場合はSNSをチェックしてほしい。

■栄区上郷町1314

【電話】045-891-4457

▽参拝は午前8時ごろから日没まで。御朱印授与は午前10時から午後4時

▽御朱印授与1枚500円。初詣限定の切り絵御朱印1500円(なくなり次第終了)