横須賀・三浦版【7月18日(金)号】
答弁する出口市長

三浦市議会 新市長、厳しい船出 答弁巡り空転、SNS動画の謝罪も

 三浦市の出口嘉一市長にとって初めて迎える市議会7月定例会が10日、開会した。一般質問に立った一部議員が「質問と市長の答弁がずれている」として休憩を求め、数時間空転するなど波乱含みの展開となった。

 「誰もが住みやすいまちづくりを進める。情報公開を徹底し、市民が市政に意見を言いやすい環境を作る」――。開会に先立ち、出口市長は壇上で力強く所信を述べた。だが、先の市長選で市議13人のうち10人が前職の吉田英男氏を応援する厳しい状況の中、選挙期間中の自身のSNS運用を巡り謝罪に追い込まれるなど、20年ぶりに誕生した新市長は難しい対応を強いられた。

止まらない追及

 出口眞琴市議(自民)は、一般質問で「選挙公約に学校施設の修繕を行うとあるが、全てを直すのか。一部なのか」と質した。出口市長は「議会閉会後に全ての施設を視察して、優先順位の高いものから順に行う」と答弁。出口市議が「聞いていない。当選するための公約では」と指摘したのに対し、市長は「考えは変わっていない」と反論した。同市議は答弁を整理するよう何度も休憩を要求した。

 再開後は、出口市長が当選前に投稿した動画の事実関係に関する追及が相次いだ。「動画内で、市社会福祉協議会の職員がパワーハラスメントを受けているとの印象を誘導しかねない発言をした」との批判に対し、市長は「誤解が生じる部分があった。政治家の立場として責任を感じる」と謝罪した。吉田氏を支持した無所属議員による新会派「三志会」の溝川幸二市議は、10億円規模の価値があった旧三崎中学校跡地を当時の市当局が約2億円で売却したと非難する動画の根拠を質問。市長は「私自身で調べた結果、取引に問題があるという趣旨の発言をした。ネットの情報をもとに、地価を試算した」と釈明。その上で「(売却計画を議論した)総務経済常任委員会の議事録を網羅できていなかった。一般市民の肌感覚で売却額が安すぎると考えた」とした。3日間の一般質問で計12人の議員が登壇したが、「市長は日本共産党に所属していたのか」(出口市議)などと市政運営と直接関係のない質問が目立った。

傍聴席も混乱

 新市長の船出とあり、定員22人の傍聴席に50人以上が詰めかける異例の事態に。市議会事務局は急きょロビーを開放し、議場の音声を放送する対応をとった。一部の傍聴人が議場でやじを飛ばし、神田眞弓議長が注意する場面もあった。

オーディションのチラシを手にする下里さん

三浦市在住下里さん 歌って踊って魅力発信 市拠点アーティストグループ発足へ

 三浦市を拠点にアーティストを育成するプロジェクト「MiU─La(ミユーラ)」が走り出した。手掛けるのは市内在住の下里真里さん(39)。現在オーディションでメンバーを募っており、年齢や性別は問わない。選出後は、市内でのライブや配信活動などを通して、市の魅力発信、ゆくゆくは全国での活動も視野に入れる。下里さんは「市民に愛されるグループになれば」と話している。

 下里さんは横浜市出身。長年アーティストのマネジメントやイベントの企画・運営に携わってきた経験を持つ。特に、カリブ海諸国の音楽ジャンル「ソカ」のダンスやミュージシャンのプロデュース業を営んできた。2021年に結婚を機に三浦市へ移住して以来、人口減少や少子高齢化など市の課題に触れ、今回のプロジェクトを構想。「三浦市は自然も豊かでポテンシャルがある。活動を見て、『三浦市に来てみたい、移住してみたい』と思ってもらいたい」

郷土愛「探究型」で醸成

 単なる芸能活動に留まらない点が特徴だ。参加メンバーは、下里さんによるダンスや歌のレッスンを受けながら、若い世代は地域貢献をテーマにした「探究型学習」にも取り組む。動画投稿サイト「YouTube」などを活用し、自分たちの視点で地域の魅力を発信。三浦市を知ってもらうきっかけ作りや、郷土愛醸成も視野に入れている。

市民の手借りながら

 楽曲制作はAI技術を導入。その音源を三浦市出身の若手クリエイターがブラッシュアップするという、地域と最新技術を融合させたユニークな試みも。

 活動資金は市民からの寄付やグッズ販売、ライブ出演料などを充てる予定で、レッスン料は無料。「市民に愛されるグループを作り、市民は安価でライブを楽しめるような仕組みも考えていきたい」と構想を語る。

 将来的な目標として、ミニアルバムの制作や「うらり」などで大型ライブ開催を掲げる。オーディションは一次が書類審査で、8月10日(日)まで受け付ける。15日(金)までに合格者に連絡し、二次審査は20日(水)に市内のスタジオで対面形式の面接が予定されている。募集人数の規定は無く、三浦市に通える人ならだれでも応募可能。グループ名は公募で決定する。詳細は「MiU─Laプロジェクト」で検索。

墓のもつ役割や意義、大切さを伝える作文コンクール「墓デミー賞」を主催する 大橋 理宏さん 横須賀市平作在住 59歳

語り掛け、向き合う場所

 ○…墓のあり方や捉え方が大きく変わっている。背景にあるのは少子高齢化や核家族化。継承する人が途絶えてしまう現実的な課題から「墓じまい」が増加、言葉そのものも人口に膾炙するようになった。”終活ブーム”の影響で「子どもに迷惑を掛けたくない」という考えが広まり、維持管理を重荷とする風潮も強まっている。社会背景を含めて理解を示すが、「故人と向き合う場所という本来の役割が軽視されていないか」。突き動かすのは危機感だ。

 ○…業界関係者が「お墓は大事」だと訴えても「商売のためだろう」と受け取られてしまう。それならばと市井の声を集めることにした。「故人に語り掛け、向き合う場所を大切にしている人の生の声を発信する」。墓の価値の再認識をめざす「墓デミー賞」を発案。堅苦しくなりがちなテーマをポップなネーミングで間口を広げた。

 ○…家業を継いだ石材店の2代目。大学卒業後はリゾート開発会社に就職して営業を経験。自社でそれを生かすつもりだったが父から「職人になれ」と命じられ、現場に飛び込み一から仕事を覚えた。墓石の将来ニーズを予測して9年前に現代版の墓守として「お墓のみとり」を仕組み化。承継者のいない人の不安に応えるサービスの根底にあるのは「手を合わせる場所をなくさなくていい」という想いだ。

 ○…墓デミー賞に寄せられた過去の作品には、ビッグバンドのリーダーだった夫のために楽器経験のなかった妻がバンジョーを習い、墓前で毎月演奏しているエピソードや「清明(シーミー)祭」と呼ばれる沖縄の墓文化の取材を行った高校生が、一族の宴に招き入れられた体験談などがある。変わりゆく社会で墓が持ち続ける普遍的な価値を問い直して伝えていく。

ジャンプ台を飛び出して後方回転する松本選手

度肝を抜くスゴ技 横須賀市神明小でBMX授業

 若者に人気のアーバンスポーツを地域活性化に取り入れる横須賀市は、BMX競技のプロ選手による訪問授業を小学校で行っている。7月9日には2024年パリ五輪で5位入賞を果たし、先ごろ開かれた「Xゲームズ」で世界の頂点に立った中村輪夢(りむ)選手と新進気鋭の高校生、松本翔海(しょあ)選手が神明小を訪れた。

 グラウンドで大迫力の空中ジャンプや難易度の高い回転技などを披露した。高学年を対象に両選手がチャレンジの意義や一歩を踏み出す勇気を伝える講演も実施。講師を務めた日本代表監督の出口智嗣さんが「目標とは達成を目指すもの。その先にある未来が夢であり、好きなことをみつけて必要な努力を重ねて」と児童らにメッセージを届けた。

 同月18日(金)から21日(祝)にヴェルニー公園で開かれるジャパンカップに両選手が出場する。

横須賀市自然・人文博物館 戦争と復興の足跡たどる

 横須賀市自然・人文博物館(深田台95)で特別展「横須賀の歩んだ昭和」が、7月19日(土)から同館3階特別展示室で開かれる。昭和100年を記念した、市立中央図書館、教育研究所との連携企画。同館の展示は第二次世界大戦中と戦後の横須賀を主眼に置いており、市民から寄贈された「千人針」や、市内で出土した旧日本軍の銃など、貴重な展示品が一堂に会する=写真。

 展示会を担当する藤井明広学芸員が「特に注目してほしい」と呼びかけるのは、日本ビクター(現JVCケンウッド社)が製造した初代VHS。同社は久里浜の元軍用地に工場を建て、戦後の一大発明である機器の開発に成功した。藤井学芸員は「旧日本軍が横須賀を軍事的な拠点と位置付け、海軍工廠(こうしょう)や軍港を置いた。戦争との関係は意外なところで深い」と語る。

 戦後、引き揚げ地に指定された浦賀港で復員兵が予防接種を受けている場面や、駐留軍の兵士が市内を歩く様子など、戦後の復興期の様子を収めた写真の数々も展示し、時代の流れが一目でわかる構成になっている。

 実物のカラーテレビなどを置いた、高度経済成長期の一般家庭の一室を再現したスペースも設け、実際に入ることができる。

 藤井学芸員は「大人は昔を懐かしんで、子どもは様々なイメージをふくらませ、現代との違いを学んでほしい」と話す。

 期間は12月28日(日)まで。開館時間は午前9時から午後5時。入場無料。問い合わせは同館【電話】046・824・3688。

ゲストの登坂さん(提供)

シティサポートよこすか 自分に合うスポーツ探る 小学生向け測定会

 横須賀市内の小学4年生から6年生を対象にしたスポーツ能力測定会が8月5日(火)、不入斗町の市総合体育会館で開かれる。(一財)シティサポートよこすかの主催。ゲストに2016年リオ五輪のレスリング女子48kg級金メダリストの登坂絵莉さんを迎える。

 最新の測定機器を用いて、児童の運動能力を測定する。その結果から一人ひとりに適したスポーツを発見したり、自信を持って取り組むためのアドバイスを行う企画。測定は約50分。

 参加費500円。同法人は全額を横須賀市社会福祉協議会に寄付する。定員200人。開始時間は組み分けによる。1組目は午前9時30分から。7月24日(木)までに主管する(一社)スポーツ能力発見協会のHPから申し込む。

段ボール製の灯ろうが置かれたうわまち病院跡地

上町地区商店街 夏夜を彩る灯ろう 段ボール製の手作り

 横須賀市上町地区の上町商盛会商店街振興組合の夏の風物詩イベント「灯ろう夜市」が7月11日・12日に開かれ、付近の園児などがデザインした段ボール製の灯ろうが商店街の歩道を明るく照らした。3月に移転した市立うわまち病院跡地のスペースも利用。手持ち花火の無料配布やフードトラックの出店もあり、夏の夜を盛り上げた。

 横須賀市は、8月から同病院跡地をイベントスペースとして無償で貸し出す方針を打ち出している。同病院が久里浜に移転してから、商店街を訪れる人が減少傾向にあり、にぎわいの創出につなげる。今回の灯ろう夜市は、プレイベントの位置づけで、フリーマーケットやコーヒーフェスなど市民発案の企画を歓迎する。解体工事が始まる2027年までの暫定利用となる。

海南神社で例大祭

 夏の三崎を代表する祭礼「海南神社夏例大祭」が7月19日(土)・20日(日)に挙行される。

 三崎地区で江戸時代から続く祭礼。当初は海上渡御だったが、明治中期に現在の形に変更された。1992年に市重要無形民俗文化財に指定された「行道獅子」を先頭に、勇壮な神輿と山車が2日間にわたり下町一帯を巡行。木遣り師の唄に受け声を出しながら練り歩くことで、家内安全や商売繁盛を願う。獅子や神輿などを務める地区が毎年交代する「祭礼輪番制度(年番)」があるのも特徴だ。今年は「獅子番」を花暮、「神輿番」を宮城が担当する。

 宮出しは19日の午後0時30分、20日午後11時30分に宮入りする。

ミサキマーケットも

 同神社では、夏詣期間中の8月10日(日)に境内で「ミサキマーケット」が開かれる。午後4時から7時。物販などが楽しめるほか、5時からは海南神社巫女舞とフラダンスが奉納される。

「墓デミー賞」 故人との向き合い方 作文・エッセイ募集

 故人を弔い、先祖との絆を感じる場所の一つである「墓」をテーマにした作文・エッセイのコンクール「墓デミー賞」が開かれる。今回で6回目。主催する墓デミー賞実行委員会(大橋理宏実行委員長=人物風土記で紹介)では、作品の応募を呼びかけている。

 核家族化が進み、親戚づきあいも以前と比べて薄れつつある中で、若い世代を中心に墓離れが増加傾向にあるという。墓石事業者らで組織する同実行委員会では、「大切な人と深く向き合う場である墓の役割を見直して欲しい」と同賞を企画した。全国規模で実施しており、昨年は表彰式を京都市で開催。今年は11月に福岡県博多市で行う予定となっている。

 募集内容は、墓と墓参りの大切さを伝える心温まるエピソード。墓参りで感じたこと、対話したこと、故人に対してあなたの対峙の仕方などを1200文字以内の文章と写真1枚で表現する。

 最優秀作品賞1人に5万円の金券、優秀賞3人に1万円の金券を進呈する。応募はメール(goto.ohakamairi@gmail.com)で受付。10月10日(金)締め切り。選考結果は10月下旬に墓デミー賞ホームページ(https://www.gotograve.com/)で発表。開催概要と過去の受賞作品は同HPに掲載されている。

 問い合わせは同事務局【電話】046・852・3970。

講演会「義足と歩む」 技師が実態語る

 アフリカのルワンダで義足の製作所を運営するガテラ・ルダシングワさんとパートナーの吉田真美さんによる講演会「義足と歩む」が7月24日(木)の午後3時30分から、三浦市民交流センターで開かれる。

 同国で義肢の提供を無償で行っている2人が、自身の活動や100万人が虐殺された同国での紛争の実態について解説する。参加費1000円。

 問い合わせは【携帯電話】090・5803・6710(蛭田さん)。

バリアフリーのコンサート 「音を楽しむ」に垣根なし 市文化会館で8月11日

 誰もが自分らしく音楽を楽しむことを目指すクラシック演奏会「みんなで楽しむコンサート2025」が8月11日(月)、横須賀市文化会館で開かれる。

 コンサートが初めての人や障害の有無に関わらず、すべての人が垣根なく音楽に触れられる場を提供。「楽しみ方の表現も感じることも人それぞれ。一人でも多くの方に音楽が届けられたら」と主催者。

 当日は、ピアノや箏、歌いながら三線を弾く歌三線、舞など様々な音色が披露されるほか、横須賀市武出身のソプラノ歌手・松永知史(ちふみ)さんの歌声が会場を包む。

 18歳以下の高校生を対象に、出演者と一緒にステージで歌うワークショップもある(要予約・定員30人)。

 午後0時15分開場、1時開演。入場料1000円。中学生以下の子どもと、障害者手帳・療育手帳を持つ人、その介助者は無料。チケットは【URL】https://minnanomusic.amebaownd.co

m/もしくは同会館ほかで販売中。無料来場者も入場券の申込が必要となる。締切は7月31日(木)。

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軟式野球県選抜「やまゆりクラブ」 日本一、導くは”横須賀リレー” 市内女子中学生2人が選出

 神奈川県中学生女子軟式野球の選抜チーム「神奈川やまゆりクラブ」に横須賀市から佐藤海空(みそら)さん(鴨居中・3年)と、七里妃咲(しちりきさ)さん(長沢中・3年)が選ばれている。佐藤さんは2年連続の選出。8月21日(木)に開幕する「第10回全日本中学女子軟式野球大会」へ向けて、目下練習に励んでいる。「めざすは日本一」と熱意は十分だ。

 5月に行われたセレクションを勝ち抜き、23人のメンバーに選ばれた。七里さんは「うれしくて1mくらいジャンプした」と当時を振り返る。女子野球の普及にも力点を置く神奈川県選抜チーム。2人は「女の子に『野球をやってみたい』と思うきっかけになる活躍をしたい」と意気込む。

投げても打っても

 佐藤さんの武器は、投打での貢献。投げては最速100キロ超えの直球に、カーブやスライダー、チェンジアップ、今年になり覚えたというツーシームを交えた多彩な球種で巧みに打ち取っていく。打者としては長打力が光る。中学では通算3本の本塁打を数え、外野の頭を越す大飛球もしばしば。投打でチームを勝利へ導く。

 七里さんは、100キロ前後の直球と大きく曲がるカーブを持ち球に打者のタイミングを崩し翻弄する右腕。「課題は制球力」と話し、リリースポイントを安定させるため、一定の距離から箱に球を投げ入れるユニークな練習に取り組むなど、向上心を欠かさない。

「横須賀継投」で頂点を

 選抜チームには投手が5人以上。2人は、先発の佐藤さんから中継ぎの七里さんへの継投での勝利をイメージしており、「”横須賀リレー”で勝ち進められたらうれしい」と話している。

ウェルシティ誕生を知る 住民が企画、25周年写真展

 横須賀市西逸見町のウェルシティ横須賀内にある集合住宅「ポートバレーヌ団地」では、自治会と管理組合の共催で誕生25周年を記念した写真展を開催している。会期は7月27日(日)まで。

 ウェルシティは、横須賀駅貨物ヤード跡地を再開発して、2000年3月に集合住宅と公共施設の複合建築としてオープンした場所。名称は市民公募で選ばれた。

 主な展示内容は、ポートバレーヌの開発概要や全景写真、航空写真で見る同地区の変遷など。横須賀駅周辺や逸見の商店街の今昔写真、道路拡張で消えた風景なども紹介している。

 同団地は横須賀市の高層住宅として直結増圧給水方式の切り替え第1号という。

 会場は同団地内の元受水槽・ポンプ室を改修して設けた多目的スペース。期間中の午前9時から午後6時まで扉を開放しており、誰でも自由に入室できる。

講師はウインドサーフィン部に所属している大学生が担当。非日常な体験

風と一体 野比小でウインド体験

 ウインドサーフィンのメッカとして知られる北下浦地区の野比小学校で7月10日、プールで同スポーツに親しむ体験授業が開かれた。6年生の児童約90人が参加。安心・安全な環境でセイルに風をはらんで走る感覚を味わった。

 NPO法人津久井浜マリンスポーツ連盟が、毎年夏に小学校プールで体育の授業として実施している取り組み。ワールドカップ会場となっている津久井浜海岸で活動しているプロ選手や大学生らが講師を務めた。

 この日は、盛夏の夏空に心地よい風が吹き抜ける絶好のコンディション。ボードの上に立ちバランスを取りながらセイルに風を入れるとゆっくり進み始める。コツをつかんだ児童らは25mプールを所狭しと動き回っていた。

校庭の一角に置かれている金次郎像

金属供出の事実伝える  旧走水小の陶製「二宮金次郎像」

 戦時下の資源不足を補うため、政府が金属供出の運動を展開したことは広く知られている。寺院の梵鐘など、鉄・銅・青銅が集められ兵器に姿を変えた。

 1900年代に入って全国各地の小学校で盛んに建てられた二宮金次郎像もその対象となった。軍国主義に利用された教育勅語を拠りどころとする「修身教育」の手本として、薪を背負って歩きながら勉学に励む姿がもてはやされたが、それすらも必要とするほど戦局は悪化した。1941年頃から金属回収の強制力が一層強まり、多くの金次郎像が供出された。43年には学生服の金属ボタンまで対象となり、教育現場から金属製品が姿を消したという。

 創立151年の歴史を持ち、2025年3月に閉校した横須賀市の旧走水小学校の校庭の一角には、現在も金次郎像が残されている。台座には「昭和十二年十月十五日達之 寄附者横濱 細川平蔵」と刻まれているが、42年9月ごろの記録写真に日の丸の旗を掲げた金次郎の銅像が校長の引くリアカーで運び出される姿があり=右下写真、その後に再建されたものであることがわかる。年代は不明だが、陶製のため戦時中と推察される。三浦半島の戦争遺跡に詳しい東京湾要塞研究家のデビット佐藤さんによれば「逸見小、豊島小にある金次郎像は石造で走水小と同じく置き換えられた。逸見小には像が2体あり、ひとつは彩色が施され木箱の中に保管されている」と話す。

 旧走水小では、跡地活用の議論が今後本格化していく。「陶製の金次郎像は貴重であり、戦時中の出来事を後世に伝える貴重なモニュメント」と佐藤さん。適切に保存活用されることを願っている。
甲板から夕日を眺める(同社提供)

サンセットと一杯いかが 東京湾フェリーの納涼船

 久里浜港と千葉県金谷を結ぶ「東京湾フェリー」は、夏限定のサンセットクルーズ・船上ビアガーデン「東京湾納涼船」を7月19日(土)から9月7日(日)まで運航する。

 夕日を眺めながら生ビールやソフトドリンクの飲み放題が楽しめる人気企画。飲み放題プランは1往復3500円(20歳未満は2100円・小学生1500円)。土日祝のみの2往復は5500円(20歳未満は3500円・小学生2300円)。

 1杯だけ楽しみたいという人には、乗船代とワンドリンクがセットになった「ワンショットクルーズ」がおすすめだ。価格は1600円。

 出港時刻などの詳細は同社HPまたは【電話】046・835・0241

横須賀シニア劇団「よっしゃ‼」 昔話を舞台で楽しむ

 演者も裏方も60歳以上のメンバーで構成する、よこすかシニア劇団「よっしゃ‼」は7月26日(土)・27日(日)の両日、10回目を数える公演を行う。

 世代を超えて楽しめる泣き笑いの懐かしい昔話2本立て。座長の横田和弘さんの演出・脚本(脚色)で「竹取物語よりかぐや姫」「泣いた赤鬼」を届ける。

 会場は横須賀市青少年会館ホール(深田台37)。両日ともに午後1時30分開演。チケットは全席自由で一般前売2000円(2500円)、高校生以下1000円(1500円)※カッコ内は当日料金。

 問い合わせは同劇団【携帯電話】080・9882・0832。

横須賀商議所SNSセミナー 心を射抜く発信とは 元ペニシリンの近藤さん講師に

 店舗への集客や事業のPRにSNSやWEB発信が欠かせない昨今。

 横須賀商工会議所では7月25日(金)、エンタメ的視点を取り入れた効果的なSNSの運用方法を学ぶセミナーを実施する。

 ビジュアル系ロックバンド「PENICILIN(ペニシリン)」の元ベーシストで現在はWEB戦略会社の経営者である近藤宣彰氏(GISHO)=写真=を講師に迎える。エンタメの世界に長く身を置いてきた近藤氏が人の心を射抜く発信を指南。InstagramやX、YouTube、TikTokなどそれぞれの特性を生かした活用の仕方もわかりやすく解説する。

 会場は平成町の横須賀商工会議所2階特別会議室。時間は午後2時から4時。対象は横須賀市内の事業者。事前申込制で参加無料。同商議所のホーページ(https://www.yokosukacci.com/)に詳細情報。

中島三郎助父子最後之地碑

三郎助を追う〜もうひとりのラストサムライ〜 第3回文・写真 藤野浩章

 三郎助が最期を迎えた千代ヶ岡陣屋があった辺りは、明治に入ってから監獄、後に軍の練兵場や刑務所が置かれたそうで、陣屋の正確な位置は分からないという。

 そして1930(昭和5)年に刑務所が移転して住宅地となり、翌年には「中島町」と名付けられる。

 当時は北洋漁業が最盛期を迎え、函館の人口が急増していた時代。工業も発達して繁栄を謳歌する一方で住宅問題も発生し、市域が拡大していたという。その中で大規模な町名と地番の改変が行われ「史実に因(ちな)む新名称」が各所に付けられた。一覧を見ると、人名は中島町と、日露戦争で活躍した乃木希典(まれすけ)から取った乃木町だけ。戦前だけに意図的なものもあるかと思うが、ここに彼の名前が仲間入りする。

 その後、戦争によって函館の運命は一変するが、今でもその名は使われていて、あちこちに中島の文字が書かれた標識や看板が見える。

 その一角”中島町36”にあるのが「中島三郎助父子最後之地」の碑。今でも、毎年5月の箱館五稜郭祭で碑前祭が行われているという。

 蝦夷(えぞ)共和国と称した旧幕府脱走軍による箱館政権で、三郎助は箱館奉行並に選出された。副知事的な役割だが、軍事の専門家だった彼にとって民政を担当するのは相当な苦労があったろう。箱館での動きについては、後半で取り上げたい。

 浦賀から7百キロ以上離れた地で最期を迎え、箱館政権関係者で唯一、地名になった三郎助。どんな人物だったのかますます興味深くなってきたが、彼から学ぶことはとても多そうだ。まずは浦賀に戻って、彼のルーツを見ていこう。

わたしのまちでいきる きょうだいの想い 編 【3】新しい命、ありのままに「一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛」

 この連載では、障がいを持って生まれたうららの兄、蓮から見た妹の姿やきょうだい児として感じてきたことなど、さまざまなエピソードを紹介します。

 2010年6月。子ども達が通う幼稚園のバザー準備で忙しくしていた時、体調不良が続いていました。まさかと思い受診すると原因は妊娠でした。

 末の息子が幼稚園に入り、やっと少し自分の時間が持てるようになった矢先の事で、さらに妊娠は6回目。4、5回目は切迫早産で、子宮口を縛るシロッカー手術を受けていた私。子育てで安静にする時間など全くない中で、無事に出産までたどり着けるだろうか。不安がよぎり「どうしよう...」。これが妊娠が判明した時の本音でした。

 夫に報告した時も、まず私の体の心配が先に立ち「楽しみだね」とすぐにはなりませんでした。それから数日。「もしこの子に障害があっても、絶対に産み、育てなければならない」。なぜこの時特別な感情が芽生え、こんなにも強く思ったのか分かりません。しかし結果的に後に生まれた娘が私の人生を大きく変える存在となった事は、紛れもない事実です。それから私は自分の気持ちを夫に伝え、家族へ報告する事を決めました。

 兄姉たちが新しい命をどんな思いで受け止めるか─。あの時の私は、そこまで想像できてはいませんでした。ただ、きっと喜んでくれるだろう。「弟かな?妹かな?」と心待ちにしてくれるに違いない。そして、生まれてくる子が兄姉たちにとってもかけがえのない存在になる。そう思い込み、まるで"お楽しみの発表"をするかのように、夕食の時間に子どもたちへ伝えたのでした。

-次回に続く