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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2025.07.18

墓のもつ役割や意義、大切さを伝える作文コンクール「墓デミー賞」を主催する
大橋 理宏さん
横須賀市平作在住 59歳

語り掛け、向き合う場所

 ○…墓のあり方や捉え方が大きく変わっている。背景にあるのは少子高齢化や核家族化。継承する人が途絶えてしまう現実的な課題から「墓じまい」が増加、言葉そのものも人口に膾炙するようになった。”終活ブーム”の影響で「子どもに迷惑を掛けたくない」という考えが広まり、維持管理を重荷とする風潮も強まっている。社会背景を含めて理解を示すが、「故人と向き合う場所という本来の役割が軽視されていないか」。突き動かすのは危機感だ。

 ○…業界関係者が「お墓は大事」だと訴えても「商売のためだろう」と受け取られてしまう。それならばと市井の声を集めることにした。「故人に語り掛け、向き合う場所を大切にしている人の生の声を発信する」。墓の価値の再認識をめざす「墓デミー賞」を発案。堅苦しくなりがちなテーマをポップなネーミングで間口を広げた。

 ○…家業を継いだ石材店の2代目。大学卒業後はリゾート開発会社に就職して営業を経験。自社でそれを生かすつもりだったが父から「職人になれ」と命じられ、現場に飛び込み一から仕事を覚えた。墓石の将来ニーズを予測して9年前に現代版の墓守として「お墓のみとり」を仕組み化。承継者のいない人の不安に応えるサービスの根底にあるのは「手を合わせる場所をなくさなくていい」という想いだ。

 ○…墓デミー賞に寄せられた過去の作品には、ビッグバンドのリーダーだった夫のために楽器経験のなかった妻がバンジョーを習い、墓前で毎月演奏しているエピソードや「清明(シーミー)祭」と呼ばれる沖縄の墓文化の取材を行った高校生が、一族の宴に招き入れられた体験談などがある。変わりゆく社会で墓が持ち続ける普遍的な価値を問い直して伝えていく。

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