横須賀・三浦 社会
公開日:2025.07.18
金属供出の事実伝える
旧走水小の陶製「二宮金次郎像」
戦時下の資源不足を補うため、政府が金属供出の運動を展開したことは広く知られている。寺院の梵鐘など、鉄・銅・青銅が集められ兵器に姿を変えた。
1900年代に入って全国各地の小学校で盛んに建てられた二宮金次郎像もその対象となった。軍国主義に利用された教育勅語を拠りどころとする「修身教育」の手本として、薪を背負って歩きながら勉学に励む姿がもてはやされたが、それすらも必要とするほど戦局は悪化した。1941年頃から金属回収の強制力が一層強まり、多くの金次郎像が供出された。43年には学生服の金属ボタンまで対象となり、教育現場から金属製品が姿を消したという。
創立151年の歴史を持ち、2025年3月に閉校した横須賀市の旧走水小学校の校庭の一角には、現在も金次郎像が残されている。台座には「昭和十二年十月十五日達之 寄附者横濱 細川平蔵」と刻まれているが、42年9月ごろの記録写真に日の丸の旗を掲げた金次郎の銅像が校長の引くリアカーで運び出される姿があり=右下写真、その後に再建されたものであることがわかる。年代は不明だが、陶製のため戦時中と推察される。三浦半島の戦争遺跡に詳しい東京湾要塞研究家のデビット佐藤さんによれば「逸見小、豊島小にある金次郎像は石造で走水小と同じく置き換えられた。逸見小には像が2体あり、ひとつは彩色が施され木箱の中に保管されている」と話す。
旧走水小では、跡地活用の議論が今後本格化していく。「陶製の金次郎像は貴重であり、戦時中の出来事を後世に伝える貴重なモニュメント」と佐藤さん。適切に保存活用されることを願っている。
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