横須賀・三浦版【11月21日(金)号】
▲「春高」出場を決めた試合直後のインタビュー。マイクを握るのはキャプテンの川尾選手

三浦学苑女子バレー部 決めたぞ「春高」 県予選準優勝、3年ぶり3度目出場

 高校バレーの最高峰、第78回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)の神奈川県予選会が11月15日に平塚市のトッケイセキュリティ平塚総合体育館で開かれ、三浦学苑の女子バレーボール部が準優勝を果たした。来年1月5日(月)から東京都渋谷区の東京体育館で行われる全国大会に出場する。

「打倒橘」対策奏功

 全国大会出場は3年ぶり3度目。この日の午前にあった準決勝で宿敵の川崎市立橘をセットカウント2対1で退けた。

 第1セットは流れを掴めず押されがちな展開となったが、第2・3セットはスタートから持ち前のチームワークを発揮。センター攻撃を使って相手ブロックを翻弄し、サイドからの攻撃を決めやすくするなど勢いのまま勝利を掴み取った。

 市立橘には、関東大会やインターハイ予選で敗れていた。「橘を崩さなければ、先に進めない」とキャプテンの川尾ひなた選手(3年)が語るように、徹底した「橘対策」として、関塚康乃監督の指導のもとで、動画を活用した戦術分析や相手チームを想定した模擬練習を繰り返してきた。「ライバルに次こそは勝つ─」。メンバー全員で共有してきた強い気持ちで挑んだことが結果に繋がった。

 関塚監督は「チームの最大の武器である"ミドルの高さ"を存分に発揮できた。直近で急成長したミドルブロッカーの選手を起用した戦術がうまくはまった」と話し、健闘をたたえた。ミドルの選手たちは中学時代、県大会出場もないレベルだったが、3年間で大きな飛躍を遂げたという。

 決勝は強豪の横浜隼人。対策が不十分であったことに加え、技術も力も相手が一枚上。必死で食らいついたが、ストレート負けを喫した。

 全国の舞台へ向けて、残されたわずかな時間。チームは悔いのない準備で集大成の勝負に挑む。
中休みになると、餌やりに順番待ちの列ができる

豊島小 ヤギの優しさ校舎に満ちる 神奈川県の夢実現プロジェクト

 動物とのふれあいを通じ、児童が楽しく学べる学校づくりを目指す取り組みが横須賀市の豊島小学校で始まった。11月12日から約1カ月間、同校に2頭のヤギが派遣され、児童らは環境委員会を中心に世話に励んでいる。

 この取り組みは、神奈川県が子どもや若者のアイデアを形にしようと実施する「子ども・若者みらい提案実現プロジェクト」の一環。横須賀の市民団体「みちくさラボ」による提案が最優秀賞に選出され、公募により協力校に選ばれた同校で「ヤギが待ってる!学校プロジェクト」の実施が決まった。

 提案内容は、穏やかなヤギとのふれあいを通じて児童の心を和ませ、「行きたくなる」学校づくりに貢献しようというもの。同団体が飼育するヤギを一カ月間小学校に"留学"させ、校庭の一角に小屋を設置して児童が自由にふれあえる環境を整備。教職員の負担を減らすため、同団体が活動支援にあたる。

花道で"留学生"歓迎

 豊島小にやってきたヤギは、「メイ太」と「くり」。初日には校庭で入校式が行われ、花道をつくった児童たちに拍手で迎えられた。

 今回のプロジェクトに関わる活動を担当する環境委員会では、ヤギが来ることが決まった夏休み明けから2頭の名前を紹介するポスター制作のほか、ヤギに関する豆知識をクイズ形式で紹介するラリーイベントなども企画。プロジェクトを学校一体で盛り上げようと準備を進めてきた。

 環境委員の女児は、「動物が好きなので、ヤギが来るのがずっと楽しみだった。皆にも餌やりを楽しんで欲しいから、明るい雰囲気のポスターを描いた」と話す。

ヤギに触れて興奮

 休み時間になると餌をあげながら頭をなでたり、そっと体に触れたりする児童がヤギ小屋の前に集まる。「角がめっちゃ硬い」「歯が人間みたいだった」と、新たな発見を興奮した様子で語り合う姿がみられた。

 今回のプロジェクトの実施校として応募した大泉佳子教諭は、「ヤギに触れた子どもたちの笑顔が印象的。心が落ち着き、コミュニケーションが増えているように感じる」とし、「動物を通じ、子どもや地域全体が豊かなつながりをもてるようになれば」と期待を込めた。

 「本物(動物)と出会う機会は教育活動として大事なこと」と取り組みを評価する山形寿美子校長も、「限られた期間だが、たとえば体育や給食のように、ヤギに会うことが学校に来たいと思う選択肢のひとつになれば」と話した。

 人気が少なくなった放課後、校長室と職員室の前に設置されたヤギ小屋から聞こえてくる鳴き声に「なんだか寂しそう」と語る教職員もいるなど、ヤギが心境に変化を与えているのは児童だけではないようだ。周囲の状況を敏感に察知する動物であることから、児童との別れを感じさせないように「退校式は限られた人数で静かに行う予定」だという。

未来につながる体験

 今回のプロジェクトの発案に関わった「みちくさラボ」の飯田眞生さんは、動物が好きだったことで大学卒業後に北海道で酪農の仕事に就いた経歴をもつ。

 その道を志したきっかけは、小学生だった頃に学校でモルモットやウサギを飼育して楽しかった思い出。「小学生の時期に感じたことは、きっと将来の糧になるはず。豊島小の皆さんの記憶に残る一カ月になれば嬉しい」と、自身の体験をもとに語っていた。

小中学生を対象にした職業体験イベントを企画した横須賀市PTA協議会で会長を務める 石井 雄一さん 横須賀市佐野町在住 49歳

未来志向のPTAを実践

 ○…横須賀市内の小・中・特別支援学校69校のPTA組織を束ねる協議会で会長を務める。教育を学校任せにしない実践の場として、企業による出前授業方式の職業体験イベント「キッズジョブ」を初開催する。子どもたちがいつものテリトリーを飛び出して地域の大人たちとふれ合い、楽しみながら仕事や社会の仕組みを学んでいく。「世界観を広げるきっかけの場」になることを目指している。

 ○…保護者と学校だけでなく、近年は地域住民(Community)が加わった「PTCA」で子どもたちの健全な育成を見守る考えが広がっている。一方、共働き世帯の増加や役員のなり手不足を理由に「不要論」もある。そうした声を理解したうえで、変えること・変えないことを未来志向で見極めていく現実派。子どもファーストを実現するために「既存の枠組みを活用する」というのが自身の考え方だ。

 ○…「昔はこうだった」にとらわれない。本業の新聞販売店でもそれを大切にしている。「配達」だけでなく「高齢者の見守り」「遺品整理」「逸品販売」など、地域に寄り添う仕事の形へと変化させている。前向きな態度は「今の子どもたち、今の親たちにとって何がベストか」を常に模索して行動につなげる姿と重なる。

 ○…3人の子どもを持つ父親で、12年以上もPTA活動を続けている。「最初は断り切れずに嫌々だったが、中に入ってみて景色が変わった」。寝る間を惜しんで子どものことを考えてくれている教諭。登下校の見守りを引き受けてくれている地域の年配者。多くの人の支えがあることに気づき、「負担」から「感謝」に気持ちが切り替わった。その思いを原動力に地域と学校をつなぐ架け橋になっていく。

 新交流組織 「横須賀令和会」発足へ  埋もれた功労者に光、平松氏ら設立準備

 政治・経済・スポーツ・文化など、分野の垣根を超えた交流組織「横須賀令和会」が新たに創設される。11月18日に設立準備会が横須賀市内で開かれ、活動方針などが話し合われた。今後、会の趣旨に賛同するメンバーを迎え、来年1月頃に設立総会を開いて正式発足させる。代表幹事には、発起人でかながわ信用金庫会長の平松廣司氏が就いた。同会設立の理由として平松氏は、「真の強さとやさしさを持ち合わせる若い世代が活躍できる横須賀にしたいと願っており、 その実現に向けて賛同いただける会員たちと一緒に動いていく」と話している。この日の準備会には10人の立ち上げメンバーが集まり、「横須賀の活性化」という共通の目標に向けて活動していくことを確認した。

 会員の情報交換や親睦の場としていくほか、スポーツ・文化・経済等で顕著な成果を収めた市内の個人・団体を表彰する。目立たないところでさりげなく善い行いをしている団体や市井の人にも光を当てて顕彰する。専門家を招いた経済講演会など、地域の活性化に資する内容をテーマにした市民参加型の勉強会の開催も計画している。

 平松代表幹事は「横須賀を愛する人たちが集まり、行政や商工会議所の手が届かない部分を補完する組織として機能させていく。埋もれた功労者を表彰するような会にしていきたい」と意欲を見せた。

横須賀市自然・人文博物館 民俗学視点で横須賀の昭和 特別展示の解説講演

 横須賀市自然・人文博物館(深田台95)では11月30日(日)、会期中の特別展示「横須賀の歩んだ昭和」の関連特別講演を開く。民俗学の視点で横須賀の昭和を捉え、市井の人の暮らしぶりや景観、儀礼などを今の時代とも比較しながらひも解いていく。和洋女子大学の加藤紫識准教授を講師に迎える。昭和期の写真を用いて同館学芸員を交えたクロストークも行う。

 会場は同館人文館1階講座室。時間は午後1時30分から3時30分。先着60人で参加無料。

 同展は昭和100年に合わせて戦争と平和、成長と変革を横須賀の事象と重ねながら、その歩みを振り返る企画。歴史的公文書を含む当時の資料や映像で紹介している。
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武石氏描画のミリエ灯台油絵を仏国側に贈呈した

観音埼灯台 仏灯台と姉妹提携 相互展示などで人的交流促進

 海上保安庁は11月15日、横須賀市鴨居にある観音埼灯台と仏国・ミリエ灯台との間で「姉妹灯台提携」を結んだ。同日、汐入町のヴェルニー公園で行われた提携式に両国関係者や上地克明市長らが出席し、覚書に署名した。今後両灯台に関する相互展示などを行っていく。今回の提携は世界で2例目の取り組み。

 観音埼灯台は日本最初の洋式灯台として1868年、フランス人技師ヴェルニーやフロラン兄弟の指導のもと建設され、ミリエ灯台も同様にフランス人技師により設計された。また、ミリエ灯台はフロラン兄弟の地元にある。このように起源や地理的特徴などが類似することなどから、今回の提携に至った。提携式には画家・武石尭氏が描いたミリエ灯台のスケッチが仏国に贈られた。

 今後、両灯台の歴史に関する写真やビデオなどの相互展示、人的交流や情報交換を目的に灯台の相互訪問などが予定されている。

横須賀法人会「税」PR

 横須賀法人会は11月12日、「税を考える週間」に合わせて横須賀中央駅周辺で啓発キャンペーンを実施した。

 同会の会員と東京国税局芝税務署広報大使で女優の佐藤なおみさんらが街頭に立ち、税務広報物を配布して納税意識の向上を呼びかけた=写真。年末調整の早期周知や、国税電子申告・納税システム「e-Tax」の普及促進が主な目的。近年、利便性の高さから推奨されている「キャッシュレス納付」の浸透にも取り組んでいる。
目録を手渡す織茂さん(右)

横須賀総合高校 人形修復に感謝状

 横須賀市は11月12日、市役所本庁舎前にあった高さ10mの時計塔の中に備え付けられていた銅像と人形を修復した横須賀総合高校ものつくり研究部に感謝状を贈呈した。

 経年劣化で三浦大介義明の銅像と横須賀の郷土芸能の虎踊り、飴屋踊り、とっぴきぴー踊りをモチーフにしたからくり人形が動かなくなっていた。時計塔のリニューアルに合わせて同部のメンバーが約4カ月を費やして作業を行った。人形は同市役所の1階市民ホールで展示されている。

 からくり人形を寄贈した遺族の織茂明彦さんからも部の活動応援として目録が手渡された。

歴史講座 三浦半島海岸線の変遷

 三浦半島の文化を考える会は12月6日(土)、三浦半島の海岸線350年の変遷を理解するおもしろ講座を開く。

 絵図や地図、絵葉書、写真などの比較検討から明らかにしていく。講師は同会幹事の久保木実氏。会場はヴェルクよこすか6階で午後1時30分開始。参加費600円。定員50人。

 希望者は往復はがきに住所・氏名・電話番号を明記して、〒238─0035 横須賀市池上2の1の5 久保木実 方へ。

久里浜黒船仲通り商店街 マグロ解体ショー

 久里浜黒船仲通り商店街で11月29日(土)、マグロの解体ショーと即売会が行われる。毎月恒例の「戸板市セール」の特別企画。職人の巧みな包丁さばきで巨大なマグロが瞬く間に切り落とされていく圧巻の光景を楽しめる。午前11時と午後3時の2回。会場は同商店街内旧山下商店前。

 購入希望者は各回開始30分前に整理券を配布する。売り切れ次第終了となる。

親子で学んで遊んで サポセンで子育ち応援フェア

 横須賀市立市民活動サポートセンターで11月24日(月)、子育て世代へ向けた「第1回子育ち応援フェア」と題したイベントが行われる。「よこすか子育ち応援ネットワーク」の主催。入場無料。

 同ネットワークは市内で子育て支援に関わる団体や個人が集い、2017年に誕生。現在は38団体が参加している。

 イベント当日は、これらの団体の活動紹介や飲食コーナー、演奏、困りごとなどを市民活動団体に提案するコーナーも設けられる。

 午前10時から午後2時。詳細は同施設【電話】046・828・3130。
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1996年に砕氷艦「しらせ」に乗船していた当時の八木さん(右)=本人提供

帰還の日は「カレー」で数える 海自隊員を食で支えた八木さん

 四方を海に囲まれた閉鎖的な空間で、任務によっては数カ月間陸地から離れて活動する海上自衛隊の艦船。船内での生活は娯楽が少ないこともあり、食事は隊員にとって大きな楽しみのひとつだ。

 横須賀市平作在住の八木秀樹さん(65)は海上自衛隊員の給養員として、2014年に退職するまで調理を担当する任務に従事してきた。エンジンや電力の整備、情報収集や伝達など緻密に役割が分担され、厳格な規則に基づいて行われる艦船の仕事。そんななか、「調理の仕事だけは自由度が高い。だからこそ、『来週はチキンが食べたい』など要望も多かった」と八木さんは振り返る。

困難極めた嵐の調理

 群馬県の高校を卒業後、海上自衛隊へ入隊。横須賀教育隊で隊員の適性を見極める研修を受け、補給科給養員として配属が決まった。

 厚木航空基地隊での勤務を経て、最初に乗艦したのは砕氷艦「ふじ」。147日間におよぶ第22次南極地域観測協力行動の任務で、成人を迎えたのは南極大陸だった。

 すでに補給員として2年間の経験を積んでいたとはいえ、船上での調理は陸上とは違う困難があった。「嵐の時には船が45度も傾き、包丁が飛んだり、せっかくできあがった料理が釜からこぼれたり。船酔いがひどくても任務だから最後まで作りきるけれど、自分は一切口にできないこともあった」。揺れの対策として、作った料理は「バッ缶」と呼ぶ容器に入れて吊るしていたという。

「あと3回で横須賀」

 献立やレシピの考案は調理員長の役割。隊員のリクエストにも臨機応変に対応し、船上での大きな息抜きの時間を満喫してもらおうと日々工夫して調理にあたっていた。

 そのなかで、毎週特定の曜日に提供されるのがカレーライス。サラダ、ゆで卵、コロッケやイカフライなどの揚げ物、牛乳とともに提供するのが通例で、福神漬けやフルーツ缶の汁など、担当する給養員の好みで隠し味を付け足すこともあった。

 曜日が定められているのは日々の生活にリズムをもたせるための工夫で、「カレーの翌日は休日」という安堵感も手伝って多くの隊員が待ち望んでいたメニュー。長い航海となれば陸地が恋しくなり、「あと3回食べたら横須賀だ」と、カレーを帰国までの目安にする隊員もいたという。

「食」が隊員の関心事

 「昨日の飯は硬かった」「みそ汁がしょっぱかった」。寄港地で与えられる自由時間に隊員と連れ立って銭湯や居酒屋に出掛けると、話題は決まって食事のこと。小言も言われたが、「それだけ料理に対する関心が高かったということ」。

 「しらせ」「はたかぜ」など8つの護衛艦や砕氷艦に乗艦し、食を司る給養員として隊員の士気を支え続けた36年間。今は離れて住む息子家族を訪問する時、自宅で作ったカレーを持参するという。
金メダルを持つ柏崎さん

西逸見町在住 柏崎さん ケガ顧みず、2種目で頂点に 全国障スポ陸上競技

 横須賀市西逸見町在住の柏崎嘉則選手(55)が、10月に滋賀県で開かれた第24回全国障害者スポーツ大会「わたSHIGA輝く障スポ2025」において、50m走と走幅跳の2種目で優勝を果たした。11月18日に行われた、上地克明横須賀市長への表敬訪問で「トップは取ったが、ベストな状態ではなかったので悔いが残っている。次の大会に向けて地道にトレーニングを積み重ねたい」と次回の大会へ向けて熱意を燃やした。

 柏崎さんは2歳の時、交通事故で左手を失った。柵のない場所から線路に立ち入ってしまい、電車の風圧で線路に叩きつけられたという。

 陸上競技を本格的に始めたのは、2008年ごろ。当時勤めていた障がい者作業所の施設長に勧められ、トラックを駆けるようになった。以来、100m走とソフトボール投げを主としていたが、今大会で初めて50m走と走幅跳に挑戦。今年5月に行われた県予選で記録を残し、派遣選手団に選ばれていた。

「何とか記録をマーク」

 「陸上競技はフォームが重要だが、横須賀には指導者がおらず、独自の練習を積んできた。それを県の強化練習時にコーチとともにブラッシュアップしていった」と大会前の調整を振り返る。

 そうして練習を重ねていたが、左足のふくらはぎに肉離れを起こしてしまう。懸命なリハビリで、何とか本選までこぎつけたが、50m走のレース中に「違和感が生じた」。

 すぐさま、テーピングを巻くなどの処置を施し、続く走幅跳に出場。3回の試技のうち1回目は失敗に終わり、コーチからの「とにかく記録を残せ」という助言を受け、2回目で何とか記録をマークする事に成功。「最後までやり切りたい」と臨んだ3回目だったが、これも失敗に終わり、この2回目の記録によって1位に輝いた。

 「(活躍することで)私と同じように障害を持つ人がスポーツの場に出てきやすい空気や機運を創出していければ」と話している。
CHARA(茶楽)が提供する「護衛艦いずもカレー」

横須賀海自カレー 艦船ごとに際立つ個性 メニューリニューアル19店で展開

 ご当地グルメ「よこすか海軍カレー」の派生メニューとして人気を博している「横須賀海自カレー」がリニューアルされ、新メニューを含む19種類が市内飲食店(認定店)で11月22日(土)から提供開始となる。

 海上自衛隊横須賀地方総監部在籍の艦船に乗り組んでいる給養員長(料理長)からレシピの提供を受け、各店が忠実に味を再現したもの。2015年に16店舗でスタートしたが、すでに退役となっている艦や新型艦の登場などもあり、メニュー化10周年の節目に一新された。艦船と提供店も新たな組み合わせとなっている=下表参照。

 提供店の一つであるCHARA(茶楽)には、海上自衛隊最大を誇るヘリコプター搭載の「護衛艦いずも」で振る舞われているカレーが割り振られた。2日間炊いた鶏ガラスープとサーロイン、すね、すじの3種の牛肉で味のベースをつくり、飴色になるまで炒めた玉ねぎと野菜、スパイス、調味料を合わせた素材のうま味を凝縮した欧風カレー。同店の寺岡芳美さんが艦船内の調理場を訪れ、直接指導を受けてきた。「総調理時間46時間のプレミアムビーフカレー。至極の逸品」と自信をのぞかせる。他の店舗も特別なレシピを再現した創造性に富んだ海自カレーを提供する。
横須賀ドライビングスクールのコースを使用して競われた

基本技能の徹底図る 横須賀南署で初の「運転競技会」

 警察署職員としての基本技能を見直そうと、横須賀南署は11月17日、初の「運転競技会」を横須賀ドライビングスクール(舟倉1の16の1)で実施した。

 「事故防止と安全運転の徹底」を掲げた今大会には、職員15人が選手としてエントリー。小島博署長をはじめとする幹部や大会進行係員ら計22人が参加した。

 競技はパトロールや緊急走行時などあらゆる場面で求められる車両感覚を養うため、運転の基本技術である「縦列駐車」と「車庫入れ」を種目に採用。署員たちは緊張感の中でハンドルを握り、日頃の業務で培った慎重かつ正確な運転技術を披露。制限されたスペース内での操作や、安全確認の手順などの技能を競い合った。

 小島署長は「公用車を扱う我々は絶対に事故を起こしてはいけない。模範運転を示す立場として、確かな技術を身に着けて欲しい」と職員らに伝達した。

JAよこすか葉山 農業の魅力味わって ソレイユの丘で「農フェス」

 JAよこすか葉山は11月29日(土)、長井海の手公園ソレイユの丘で「農フェス!」と題したイベントを開く。同組合の設立30周年を記念して行われるもので、新鮮な野菜の販売や収穫体験など、子どもから大人まで楽しめる様々な体験を通じて農業の魅力を発信する。地域の食や自然の豊かさを再発見できる。

 ニンジン、カブ、ダイコンなどの収穫体験や乳牛の乳しぼり体験など、農業を身近に感じる企画が目白押し。また、トラクターの展示や、自身の野菜摂取状況を測定できるベジメーターによる健康相談ブース、農作業事故防止VR体験といったユニークなコーナーも設けられる。販売コーナーでは、地元で採れた旬の農産物のほか、特産の葉山牛を使用したコロッケやカレー、甘い焼き芋などのグルメ、さらに葉山レモンを用いた加工品も販売される。ステージでは、湘南学院高校吹奏楽部の演奏や地域団体のダンスなどが披露される予定だ。

 入場無料(一部有料)。整理券事前予約あり。午前9時から午後3時。荒天中止。詳細や問合せは同組合組織企画課【電話】046・838・5062もしくは同組合HPを確認する。

「基地問題」若者はどう見る 現役大学生の崎浜さん講演

 原子力空母の配備に否定的な立場を取る市民団体「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」は11月24日(月)、沖縄県出身で基地問題に取り組む慶應義塾大学4年生の崎浜空音さんを迎えて講演を開く。

 テーマは「若者から見た基地と原子力空母─沖縄と横須賀を結んで─」。若者の政治や社会に対する無関心がはびこる風潮の中で、当該世代のリアルな声を聞く。会場の参加者と崎浜さんによる意見交換も行う。

 会場は汐入駅前の横須賀市産業交流プラザ第1研修室。午後1時30分開会。参加費500円(資料代)。問い合わせは同会【電話】046・827・2713。
台紙とシールを手にする青栁さん

"AIシール"で三浦海岸のお店めぐり 市民ら主導で周遊イベント

「シールを集めながら、三浦のまちを楽しく周って」--。

 上宮田にある花屋「Little Bird Flower」(上宮田3340)の青栁日那さんの呼びかけで、三浦海岸駅周辺の店舗を周るシールラリー「みうらキャラめぐり」が11月1日から実施されている。

 同店、BAYSIDE CAFE(同1443)、キミステ(同3257の6)の3店舗でもらえる台紙に、飲食店やカフェなど12の参加店舗に置かれているシールをすべて貼ると、参加賞が獲得できる企画。シールは5cmほどの大きさで、青栁さんが各店の特徴や販売品などをイメージし、AIでイラスト化している。

 イベントの構想を始めたのは今年10月頃。駅前に分譲された大規模新築マンションの入居が始まったが、入居者の中には、まだ地域を知らない人も多く、「『こんなお店もあるんだ』と三浦を知るきっかけにもしてほしかった」と狙いを話す。その後すぐ、近隣店舗に企画の趣旨を伝えると、二つ返事で了承。一人、また一人と協力者が増えていった。

 今年いっぱいをイベント期間とし限定100枚でスタートしたが、11月13日現在、台紙はすでに残り20枚ほどだという。「想定以上の反響に驚いた。年が明けてから第2弾をやりたい」。次回は三浦海岸だけにとどまらず、三崎方面までエリアを拡げる計画だ。「今後も継続して実施していければ。三浦のお店が盛り上がり、あわよくば『ここに住みたい』という人が増えてほしい」と希望を込める。

 台紙がなくなり次第終了となる。イベントのInstagramに参加店などの詳細情報。

わたしのまちでいきる きょうだいの想い 編 【7】子育てと妊娠と手術「一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛」

 この連載では、障がいを持って生まれたうららの兄、蓮から見た妹の姿やきょうだい児として感じてきたことなど、さまざまなエピソードを紹介します。

 日々子育てに追われながらの慌ただしい妊婦生活。毎日があっという間に過ぎ、気づけば検診で「今回もシロッカー手術をするかどうか」を決める時期がやってきていました。早産の危険性は十分理解していましたが、おそらくこれが最後の妊娠。できるだけ自然な形で迎えたいという気持ちもありました。そこで主治医に、今回は手術をせず様子を見ることができるか、と相談したところ「手術をしなくても大丈夫かもしれませんが、もし7カ月頃にまた子宮口が開いてきたら残りの2〜3カ月は入院が必要になります」という答えが。さすがにそれは...まだまだ手のかかる兄姉たちがいるのに長期入院なんてとても無理!と、今回も2泊3日で済むシロッカー手術を選択。

 そして手術の日。過去2回は下半身麻酔で済みましたが、今回は全身麻酔。点滴を受け、気づいた時には手術が終わっていました。麻酔が切れてくるにつれ、手術で刺激を受けた子宮に陣痛のような激しい痛みが。収縮を抑える点滴を打ってもらい、「お腹の赤ちゃんも頑張ってるから」と自分に言い聞かせ痛みが治まるのをじっと耐えました。「これで無事に生産期まで元気に育ちますように」そう願いながら。

 その後無事に退院し、再び慌ただしい毎日が始まりました。自分の体を労りつつ、家事や上の子たちとの時間も大切にする日々。大変ではありましたが、新しく生まれてくる命を楽しみにしながら過ごす時間はとても幸せでした。

-次回に続く
ペリーの胸像(ペリー記念館蔵)

三郎助を追う 〜もうひとりのラストサムライ〜 第21回 文・写真 藤野浩章

「副奉行は、スパイの仕事もしているのか」(第一章)

     ◇

 三郎助の華々しい外交デビューは、本書で実にスリリングに、細かく描かれている。英語とオランダ語を駆使し、身振り手振りを交えた史上初の本格的な日米交渉。その様子は、目撃者も多いだけに詳細を記した史料が多く残っている。その過程は本書や関連書でじっくり堪能することとして、ここでは、あまり描かれない周辺の出来事を見ていくことにする。

 黒船来航の情報は瞬(またた)く間に各地に伝わったが、恐怖でパニックになったどころか、その姿を一目見ようと浦賀に人が殺到したという。そして人々はそれぞれに情報収集をして、各地に伝えていった。驚くべき事に、米側の発言の詳細に至るまで、様々な階層の人がよく知っていたのだ。

 しかも、交渉が進むにつれてニセ奉行と副奉行、さらにニセ老中まで登場するという展開は、おそらく庶民の興味をそそっただろう。ペリーの肖像が様々な形相で多数描かれていることからも、そんな日米の交わりは武士にも庶民にも、真偽はともかく多様な情報をもたらしたのだ。

 そんな中で、騒動のド真ん中にいた三郎助は軍事の専門家という職分を隠すことなく、黒船を詳細に見分していく。冒頭のセリフは、船に興味津々の様子を米の兵士に疑われた時のものだ。

 しかし後に黒船を彼が操船する機会を得るなど、異色の交流となる。もしこの役目が三郎助以外の役人で杓子定規(しゃくしじょうぎ)の対応をしていたら、まったく違った結果を生んでいたかもしれない。交渉の傍らで彼は、洋式軍艦の建造を夢見ていたのだ。