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横須賀・三浦 トップニュース教育

公開日:2025.11.21

豊島小
ヤギの優しさ校舎に満ちる
神奈川県の夢実現プロジェクト

  • 中休みになると、餌やりに順番待ちの列ができる

  • 校内随所に貼られた環境委員作のポスター

 動物とのふれあいを通じ、児童が楽しく学べる学校づくりを目指す取り組みが横須賀市の豊島小学校で始まった。11月12日から約1カ月間、同校に2頭のヤギが派遣され、児童らは環境委員会を中心に世話に励んでいる。

 この取り組みは、神奈川県が子どもや若者のアイデアを形にしようと実施する「子ども・若者みらい提案実現プロジェクト」の一環。横須賀の市民団体「みちくさラボ」による提案が最優秀賞に選出され、公募により協力校に選ばれた同校で「ヤギが待ってる!学校プロジェクト」の実施が決まった。

 提案内容は、穏やかなヤギとのふれあいを通じて児童の心を和ませ、「行きたくなる」学校づくりに貢献しようというもの。同団体が飼育するヤギを一カ月間小学校に"留学"させ、校庭の一角に小屋を設置して児童が自由にふれあえる環境を整備。教職員の負担を減らすため、同団体が活動支援にあたる。

花道で"留学生"歓迎

 豊島小にやってきたヤギは、「メイ太」と「くり」。初日には校庭で入校式が行われ、花道をつくった児童たちに拍手で迎えられた。

 今回のプロジェクトに関わる活動を担当する環境委員会では、ヤギが来ることが決まった夏休み明けから2頭の名前を紹介するポスター制作のほか、ヤギに関する豆知識をクイズ形式で紹介するラリーイベントなども企画。プロジェクトを学校一体で盛り上げようと準備を進めてきた。

 環境委員の女児は、「動物が好きなので、ヤギが来るのがずっと楽しみだった。皆にも餌やりを楽しんで欲しいから、明るい雰囲気のポスターを描いた」と話す。

ヤギに触れて興奮

 休み時間になると餌をあげながら頭をなでたり、そっと体に触れたりする児童がヤギ小屋の前に集まる。「角がめっちゃ硬い」「歯が人間みたいだった」と、新たな発見を興奮した様子で語り合う姿がみられた。

 今回のプロジェクトの実施校として応募した大泉佳子教諭は、「ヤギに触れた子どもたちの笑顔が印象的。心が落ち着き、コミュニケーションが増えているように感じる」とし、「動物を通じ、子どもや地域全体が豊かなつながりをもてるようになれば」と期待を込めた。

 「本物(動物)と出会う機会は教育活動として大事なこと」と取り組みを評価する山形寿美子校長も、「限られた期間だが、たとえば体育や給食のように、ヤギに会うことが学校に来たいと思う選択肢のひとつになれば」と話した。

 人気が少なくなった放課後、校長室と職員室の前に設置されたヤギ小屋から聞こえてくる鳴き声に「なんだか寂しそう」と語る教職員もいるなど、ヤギが心境に変化を与えているのは児童だけではないようだ。周囲の状況を敏感に察知する動物であることから、児童との別れを感じさせないように「退校式は限られた人数で静かに行う予定」だという。

未来につながる体験

 今回のプロジェクトの発案に関わった「みちくさラボ」の飯田眞生さんは、動物が好きだったことで大学卒業後に北海道で酪農の仕事に就いた経歴をもつ。

 その道を志したきっかけは、小学生だった頃に学校でモルモットやウサギを飼育して楽しかった思い出。「小学生の時期に感じたことは、きっと将来の糧になるはず。豊島小の皆さんの記憶に残る一カ月になれば嬉しい」と、自身の体験をもとに語っていた。

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