小田原・箱根・湯河原・真鶴版【8月9日(土)号】
池を掘るドイツ兵(旅館所蔵)

箱根町芦之湯 独兵が残した阿字ヶ池 戦時下の交流、足跡今も

 国道1号沿い、箱根町芦之湯の温泉旅館・松坂屋本店の東隣にある「阿字ヶ池」は、第二次世界大戦中にドイツ海軍将兵によって掘られた防火用水池だ。戦後80年を迎える中、芦之湯に残るドイツ兵の足跡を追った。

 松坂屋本店にドイツ兵が来たのは、1943年4月。42年11月に横浜港で起きたドイツ海軍仮装巡洋艦の爆発事件により、帰国困難になったドイツ兵約100人の宿舎に指定されたのがきっかけだった。以降ドイツ兵は、47年にGHQにより送還されるまで約4年間、芦之湯に滞在した。

 戦時中の箱根について町の学芸員は、「都心部の児童や在日外国人の疎開先だった」と話す。戦局の悪化で営業困難な旅館は、疎開の受け入れで収入を得ていたという。

 旅館にはドイツ兵の写真やスケッチなどが今も残されており、「阿字ヶ池」もドイツ兵とのゆかりを今に伝える遺物だ。

 阿字ヶ池は左右対称の楕円形に掘られている。設計から採掘までをドイツ兵が行ったとされ、一説では目的もなく逗留するドイツ兵に対し、地元住民が空襲に備えた防火用水池の掘削を依頼したところ、わずか3カ月で作られたという。

 旅館に保存されている写真には、笑顔で作業するドイツ兵たちの姿が写されている。

語り継がれる記憶

 本国に帰ったドイツ兵の中には、数十年後再び芦之湯へ足を運んだ者もいる。今もドイツ兵の親族が度々訪れるといい、旅館の女将である牧野文江さんは、「近年も『祖父がこちらでお世話になった』と、お孫さんが宿泊に来てくれた。芦之湯で過ごした記憶をドイツで語り継いでいるのでは」と話した。

 地元住民の男性(72)は、幼いころ祖母から思い出話を聞いた。「ある日ドイツ兵が訪ねてきて、黒くて酸っぱいパンをくれたそう。芦之湯の人々と交流があったのだろう」と語る。

 阿字ヶ池は今もなお水をたたえ、地元住民により管理されている。旅館裏手にある東光庵には、終戦後帰国がかなわず芦之湯で死去したドイツ兵の墓があり、地元住民の先祖たちと共に眠っている。現在も盆や彼岸、命日に花や線香が手向けられ、交流の記憶が世代を越え生き続けている。
大会に臨むメンバー

パン工房ジョイ 「みんなのパン」で全国へ 福祉施設対象のコンテスト

 生活介護施設「デイセンター永耕」(小田原市永塚)が運営する「パン工房ジョイ」が8月23日(土)、福祉施設の利用者と職員を対象にしたパンと菓子の全国コンテスト「第10回チャレンジドカップ2025」に出場する。

 ジョイは地元の味噌を使用した食パン「お味噌のパン」でパン部門に応募し、一次審査と二次審査を突破。全国から選出された8チームで競う決勝大会に挑む。

 2002年に「デイセンターのパン工房」としてオープン。地域に親しまれ、パン作りを楽しめる店となるようにと思いを込め、16年に改称した。「enjoy」(楽しむ)にちなんでいる。現在同センターの利用者10人が製造を担当、運営施設の給食などで提供するほか、同センターで毎週水曜日に販売している。

 利用者のアイデアを生かしてレシピを考案しており、「コーラあんぱん」や「ちくワニ」といったユニークな商品など、年間100種類近くを作っている。

 「お味噌のパン」は20年に商品化した食パンで、イベント時に販売。加藤兵太郎商店(扇町)の「いいちみそ」を使用し、豊かな香りでチーズやバターとの相性も良いという。今大会のテーマ「原点回帰」に合わせて”勝負パン”に選んだ理由について、生活支援員で製パン担当の三浦昌弘さんは「ほとんどの工程を利用者だけで作ることができる『みんなのパン』だから」と話す。

 10年以上パン作りに携わる高木麻衣さんと4年ほど担当する野嶋洋輝さんは、「みんなと一緒に優勝できるように頑張りたい」と意気込んだ。

小田原宿なりわい交流館の館長を務める 平井 丈夫さん 小田原市南町在住 71歳

「小田原愛」原動力に観光振興

 ○…かまぼこ通りに並ぶ個性豊かな商店や、フォトスポットとして人気の海へと続くトンネル―。8月にリニューアルした「小田原宿なりわい交流館」周辺には、歴史と文化に育まれた観光資源が溢れている。「パンフレットを読むだけでは分からない、『へぇ』がつまった面白さを届けたい」。館長、そして長年携わるまち歩きガイドとして、小田原の魅力発信に手腕を振るう。

 ○…南町生まれ。「お小遣いを20円もらい、10円で御幸の浜のプールに入って10円でかき氷を買うのが楽しみでね。夏には海もプールも芋を洗うみたいに人だらけだった」と懐かしむ。交流館周辺は「漁師町ということもあって、ちょっと怖い印象だったかな」というが、幼少期の思い出が刻まれた海辺の下町に今も根を下ろす。

 ○…喫茶店でのアルバイト経験からコーヒーに興味を持ち、大学卒業後は就職先を1年で辞めて当時のバイト仲間と東町に小田原珈琲館を開業。1986年に独立して城山に念願の店を構え、縁あって交流館の目と鼻の先に移転した。「『当時はなんでこんなところに店を出すの』と驚かれた」と笑うが、ジャズの流れる古民家風の喫茶店はかまぼこ通りの風情に溶け込む人気店となった。

 ○…小田原まち歩き実行委員会の委員長を務め、個人でもまち歩きなどの観光イベントを企画する根っからの小田原好き。小田原に別荘を構えた明治の文豪・斎藤緑雨の『山よし海よし天気よし』という賛辞の言葉を引き合いに出し、「田舎と都会がミックスした程よいまち。これ以上のものを望んだら罰が当たるんじゃないか」と破顔一笑。誰よりも小田原を愛するまち歩き案内人は、交流館を拠点にした新たな観光振興のアイデアを巡らせている。

emilyhashimotoさん 楽曲から溢れる地元への愛 「O・DA・WA・LOVE」配信リリース

 小田原出身のシンガーソングライター、emily hashimotoさんがこのほど、配信シングル「O・DA・WA・LOVE」を発表した。シティポップ基調の洗練された楽曲と、自然と口ずさめる可愛らしいメロディのサウンドに仕上がった地元賛歌だ。

 城や梅林、ミカンに金次郎など、馴染みの単語が散りばめられた新曲。制作のきっかけは、闘病していた父の介護や手続きで地元に帰る機会が増えたことだという。

 窓からの富士山や国府津駅に降り立って感じる潮の香りなど、地元の風景と父親との思い出を改めて振り返り、「当たり前だと思っていた日々が特別だったことに気づき、大好きな父や小田原に何かを返したい」と、この曲を制作した。「小田原のイベントでBGMになるような、また市外の人には小田原という場所を知っていただけるような、そんな曲になったらうれしいです」と曲に込めた思いを明かす。

オーディション開催中

 今回は「小田原が好きな人たちと音楽を楽しみたい」と、楽曲のボーカルオーディションも開催中。小田原に縁のある18歳以上は誰でも参加でき、集まった音源から数人を選んで改めてレコーディングを行うものだ(8月末締切)。

 若いころ、音楽業界への進路など分からないことも多かったというemilyさん。「同じような人がいるなら、少しでも力になりたい」とオーディションを企画した。

 「自分の曲が全世界に配信されるのは凄く特別なこと。そんなワクワク感を一緒に楽しみたい」と期待も込める。詳細は特設ページ「O・DA・WA・LOVE Vocal Audition」で確認。

イベントチラシ

外郎売の口上まつり 8月24日 三の丸ホール

 「第21回外郎売の口上まつり」が8月24日(日)、小田原三の丸ホールで開催される。午後0時45分開場、1時30分開演。

 歌舞伎「外郎売」の口上を基調にした演目をはじめ、書道と太鼓、篠笛によるパフォーマンスやゴスペル、日本舞踊など多彩な出し物による創作舞台が楽しめる。

 観覧は全席自由で一般1000円、18歳以下500円。チケットは同ホール窓口とWEBサイトほか、ハルネ小田原街かど案内所、平井書店、外郎売の口上研究会ホームページで販売中。(問)同会【電話】070・2292・6254。

【プレゼント】

 鑑賞チケットを2組4人にプレゼント。希望者は住所、氏名、年齢、電話番号、タウンニュースの感想を明記してはがきまたはメールで応募。

 宛先/〒250―0042小田原市荻窪306タウンニュース社「外郎売」係、【メール】odawara@townnews.co.jp。8月14日(木)締切(必着)。応募多数の場合抽選。

急斜面で草刈りをする参加者

箱根・強羅 「大文字焼」準備進む 観光事業者ら伝統継承

 夏の風物詩「箱根強羅温泉 大文字焼」の開催を8月16日(土)に控え、地元の観光協会や観光事業者らが協力して準備作業を進めている。

 大文字焼は1921年に始まり、今年で104年目。標高924mの明星ヶ岳の山腹に描かれた「大」の字は、一画が約108m、二画が約162m、三画が約81mあり、斜度40度の急斜面に広がる。これまで宮城野青年会が準備から本番の点火まで担ってきたが、人手不足のため、4年前から強羅観光協会が地元有志に協力を呼び掛けて実施してきた。

 準備は6月から始まり、125人が参加。大の文字周辺の草刈りや松明作りなどを行った。初めて作業に参加した津田宏輝さんは「ボランティアで伝統を守っていることを知り、紡いできているありがたみを感じた」と話した。

 当日の大文字焼の点火は午後7時30分からで、荒天時は17日(日)に延期される。また、強羅駅前では午後2時から「宮城野子供ばやし」や箱根中学校吹奏楽部の演奏などが行われるほか、「箱根・強羅佳ら久」では6時10分からフラワーアーティストの前谷裕一さんのパフォーマンスも行われる。

ガイド(右)の説明を聞く参加者ら

なりわい交流館 まち歩きで歴史散策 リニューアルで新事業

 「小田原宿なりわい交流館」(小田原市本町)が耐震改修工事を終え、8月1日にリニューアルオープンした。これまでの休憩処や市民活動の場といった役割に加え、新たにガイドスタッフによるまち歩きツアーを開始。観光拠点としての役割も担っていく。

 1日から3日まではリニューアルを記念し、「東海道小田原宿まち歩きツアー」と題した無料イベントを実施した。午前と午後の2部制で、交流館周辺の寺社や史跡、商店などを40分ほどかけて巡った。

 1日の午後は5人ほどが参加し、NPO法人小田原ガイド協会のスタッフが松原神社や籠淸本店、御幸の浜プールなどを案内。参加者は、北条氏が敷設した日本最古の上水道として知られる「小田原用水」の歴史について説明を受けたほか、徳川家康と縁由のある無量寺では本堂に祭られた家康の夫婦像なども見学した。

 横浜市から友人と訪れた60代の女性は、「小田原には何度も来たことがあるが、このようなツアーに参加したのは始めて。知らないことばかりで勉強になる」と話していた。

 通常のまち歩きツアーの参加費は1回500円で、午後1時30分から毎日実施する。予約不要。

 問い合わせは同館【電話】0465・20・0515。

パラ卓球体験会 真鶴町で8月27日

 真鶴町立体育館で8月27日(水)、パラ卓球体験会が行われる。午前9時〜正午。

 対象は小学生から高齢者(障害の有無は不問)。持ち物は体育館シューズ、飲み物。卓球道具は持参可、無い人には貸し出す。申し込みは町役場【電話】0465・68・1131から町民センター受付(内線4150)へ。

 パラ卓球は、「肢体不自由者」「知的障害者」「聴覚障害者」の3カテゴリーで国際大会なども開催されている。真鶴町では、日本肢体不自由者卓球協会からの要請で、真鶴ピンポンクラブの協力のもとパラ卓球の普及活動に取り組んでいる。

 体験会は9月以降も順次開催。詳細が決まり次第、町のホームページや広報誌などで周知する。

県内の交付・不交付団体(県ホームページより抜粋)

県普通交付税 小田原は約36億9千万円 不交付は9団体

 神奈川県は7月29日、市町村に配分される2025年度の普通交付税額を発表した。交付対象は24団体(13市10町1村)で、交付税に頼らず自前の税収により財政運営が可能な不交付団体は前年度より2団体増えて9団体だった。

 小田原市は、2010年以来16年連続の交付団体となった。決定額は36億8700万円で、前年より3億6300万円(10・9%)増加。湯河原町の交付額は20億5700万円、真鶴町は14億6900万円だった。

 箱根町は、1957年の交付を最後に不交付が続いている。

 県内ではほかに川崎市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、厚木市、海老名市、寒川町、愛川町の6市2町が不交付団体となった。交付税の不足分を地方債として借り入れる臨時財政対策債の発行可能額は、01年度の制度創設以来初めてゼロとなった。

 普通交付税は自治体間の財源不均衡を調整するため、各自治体の財政需要額に対する自主財源の不足分を国が交付するもの。今年度県に配分された交付額は、前年度比3・5%減となる1155億4098万円だった。

ダイヤモンド富士撮影スポット=渋谷義一さん作成

夏のダイヤモンド富士 小田原周辺で観測シーズン

 富士山頂に沈む太陽が重なる自然現象「ダイヤモンド富士」。1年に2回観測でき、小田原市内では8月11日(月)から8月末にかけて観測できる。

 市内中里で写真教室を開講している渋谷義一さん(72・秦野市在住)は、「小田原でのダイヤモンド富士は前後1日、3日間観測できます。撮影は一眼レフで50mm〜300mmぐらいのレンズが適しています。撮影は安全を確保し、私有地などへ立ち入らない、交通の妨げになるところでは撮影しないで」と話す。

 撮影スポットと観測時間の目安(渋谷さん調べ)。▽酒匂橋東側 8月11日午後6時7分、▽小田原大橋東側12日(火)6時5分、▽南鴨宮13日(水)6時4分、▽飯泉橋東 14日(木)6時2分、▽富士見大橋東側19日(火)5時56分、▽富士道橋東側 21日(木)5時53分、▽千代 21日5時55分、▽高田23日(土)5時53分、▽田島石橋 23日5時53分、▽田島 24日(日)5時53分、▽東大友26日(火)5時48分、▽報徳橋東側27日(水)5時45分、▽曽我岸27日5時47分、▽上曽我29日(金)5時44分、▽曽我大沢30日(土)5時43分

ヤングケアラー題材の映画 三の丸ホールで上映会

 ヤングケアラーと保護猫をテーマにした映画「猫と私と、もう1人のネコ」の上映会=写真=が、8月17日(日)に小田原三の丸ホールの小ホールで開かれる。正午から午後4時30分。入場無料で定員280人。

 若者が家事や家族の世話に追われる「ヤングケアラー」の問題にスポットを当て、主人公の女子高生が母親の介護や進学に悩みながらも、家族や学校以外の社会と関わりながら自分らしさを取り戻していく姿を描く。出演は吉名莉瑠さん、一青窈さんら。

 1部(正午〜)は主催する(一社)Milky Wayの紹介やヤングケアラーに関する説明、2部(1時〜)は映画上映、祝大輔監督と医師の西智弘さんによる対談を行う。申し込み、問い合わせはMilky Wayのホームページ(http://www.luana-milkyway.com)からできる。

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講演に耳を傾ける参加者

「観光客の防災対策」検討中 公民連携し第2回会議

 災害時に帰宅困難となる観光客などの安全確保や帰宅支援体制の構築などを考える会議「小田原箱根エリア観光客の防災対策を考える会」の第2回が、7月28日に小田原合同庁舎で開かれた。

 地域連携DMOの(一社)かながわ西観光コンベンション・ビューローが主催し、自治体や観光、交通などの企業、団体らが参加している。

 この日は、県危機管理防災課応急対策グループの担当者が、「地震被害想定調査結果に基づく小田原箱根エリアの被害の様相について」をテーマに講演。地震発生時の建物の倒壊数分布や液状化危険度、地盤沈下量などを解説した。

 また、大規模地震発生時の119番通報については指令センターの回線が小田原消防管内で16回線、箱根消防管内は2回線のみでほぼつながらないこと、救急車の台数にも限りがあり搬送手段も足りないとして、自身で身を守り、けがをしないことの重要性を説いた。

 県の「地震被害想定調査」によると、地震発生時に帰宅困難となる観光客数は、小田原市で1万9900人、箱根町で4万7560人と推定されている。

3月に続いて全国に出場する舘野さん

柔道81kg級 ライバル破り全国へ 相洋 舘野隆ノ介さん

 相洋高校柔道部の舘野隆ノ介さん(2年)が8月13日(水)から岡山県で行われるインターハイの81kg級で出場する。

 県予選では順調に勝ち進み、決勝ではこれまで一度も勝てていなかった因縁のライバルと対戦。両者は1月に行われた全国選手権大会の県予選決勝でも顔を合わせ、舘野さんは惜しくも指導の差で敗れていた。

 再戦を前に「一本を取ることだけを考えていた」と強い覚悟で挑んだ舘野さん。試合開始2分、得意の組み手に持ち込むと「袖釣り込み腰」で技ありを先取。その後、相手に有効を取られたものの、逃げ切り悲願の初勝利と優勝を果たした。試合を振り返り「全国に行けることより、ライバルに勝てたのがうれしかった」と話した。

 舘野さんは3月にも全国大会を経験したが初戦敗退。「緊張からか集中力がなく、隙があった」と悔しさをにじませる。今回は「上を見過ぎずに、目の前の一戦一戦に集中していきたい」と気を引き締め、攻めの柔道で本番に臨む。

県予選で優勝し全国に臨む石井さん

柔道100kg級 階級上げつかんだ全国 静岡学園 石井克明さん

 小田原市東町在住の石井克明さん(静岡学園高校3年)がインターハイ静岡県予選の100kg級で優勝を果たし、8月13日(水)から岡山県で行われる本大会に出場する。

 昨年までは90kg級で県予選に出場し、高校1年で準優勝、2年で3位と惜しくも全国の切符に手が届かなかった石井さん。全国に出場するため、階級を上げる決断をした。筋力トレーニングの時間を増やしたことで、体重の増加とともにパワーも向上。「投げやすくなったし、技の威力も増した」と手応えを感じたという。

 迎えた今年の県予選では、初戦こそ緊張から動きが硬くなるも、技ありで勝利。その後は一本勝ちを重ねた。決勝は小学生から何度も対戦してきた相手。他の階級の仲間たちが次々と全国出場を決めるなど、重圧の中で試合に臨んだ。試合は延長に突入し、3分を超える長期戦に。相手からの技を受け続ける展開だったが「監督や仲間からの声援が聞こえた」と前に出て、渾身の大内刈りで勝利をつかんだ。

 全国では初戦から強敵との対戦になるが「気合い入れて挑みたい」と意気込みを語った。

参加者と収集したごみ

海岸清掃に汗 小田原地区大學校友会

 小田原地区大學校友会がこのほど、小田原市の御幸の浜海岸で清掃ボランティア事業を行った。

 同会はかながわ海岸美化財団の協力のもと清掃活動を実施しており、今年で4回目。

 当日は日大、中大、法大、明大、早大、専大、関東学院大、東農大、立大の9大学の卒業生らのほか、一般の参加者を含めた48人で実施。晴天の下、ごみ拾いに汗を流した。

 日本大学小田原櫻門会の会長として参加した加藤義和さんは、「各大学との交流もあり、絆を構築するための充実した時間を過ごすことができた」と振り返った。

大山阿夫利神社下社を参拝する組合有志

大山で「納め包丁の儀」 鮮魚商や買受人ら有志

 伊勢原市の大山阿夫利神社下社で7月20日、使われた包丁を奉納する「納め包丁の儀」が開かれた。主催者の小田原魚市場買受人組合(古川孝昭代表)をはじめ、伊勢原鮮魚商組合(田中由起組合長)のほか、相模湾の漁業者や鮮魚商などの関係者が参加。食に携わる人々が、日頃の営みでいただく命への感謝と、豊かな自然の恵みへの畏敬の念を新たにする貴重な機会となった。

 この儀式は、鎌倉時代に源頼朝が武運長久と妻・政子の安産を願い、大山に「納め太刀」を奉納した故事に倣い2017年から実施。20年から有志で大山詣りを行うようになったという。参加者は、神聖な社殿で古式にのっとり約50の包丁を奉納。海の幸・山の幸がもたらされたことへの感謝を捧げた。

 古川代表は、この取り組みを食育やSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも捉えている。豊かな漁場である相模湾が、丹沢山系から流れるミネラル豊富な水によって育まれていることを強調し、「山と海の恵みは切り離せない。この地から、命の循環と自然との共存を次世代に伝えることが重要だ」と意義を語った。

 儀式後、参加者たちは山から一望できる相模湾の絶景を前に、改めて自然と食のつながりを感じた。その後、麓の宿坊「東學坊」で直会を行い、互いの労をねぎらうとともに今後の活動について語り合った。

小田原青色申告会 「青色十色」8―9月号を発行

 公益社団法人 小田原青色申告会が、会員や県西地域の住民に向けて発行している広報紙「青色十色」の8―9月号をこのほど発行した。

 同紙は確定申告や税制度などをわかりやすく伝える媒体。今号では個別指導会の情報のほか、地域情報検索サイト「どこどこ」の紹介、所得税の税制改正の解説などが掲載されている。

 また「よりみちこみち」では、小田原市中里の洋食店「キッチンモト」のほか鴨宮エリアの散歩スポットを紹介。「おしごと図鑑」はペーパードライバーの教習スクール「N―Stageドライバーズサポート」を取り上げている。

西湘城郭研究会 城を楽しむ基礎講座 8月30日 ウメコで開催

 日本の城郭の基本を知るための講座が8月30日(土)に開催される。主催は西湘城郭研究会。午後5時30分〜7時、会場はおだわら市民交流センターUMECO会議室5・6。

 講演のポイントは「城を今よりもっと知りたい もっと楽しみたい人のために」。城郭の形式や種類、仕組みなどの基本を、地理や歴史に着目しながら解説する。講師は同会の代表で日本城郭史学会会員の湯山尊明さん。「城郭の基本を深く知りたい人など、皆さまのご参加をお待ちしています」と同会。

 参加費は千円(資料代ほか、中学生・高校生は500円)。対象は中学生以上で定員先着50人。申し込みはメールに「第6回講座参加」の文言と氏名、電話番号を記入し送信。難しい場合は同会事務局の留守番電話に名前と連絡先を録音。

 (問)同会事務局【電話】0465・36・0926、【メール】seijouken@jcom.zaq.ne.jp

イベントのチラシ

世界の食虫植物展  箱根湿生花園 8月31日まで

 箱根湿生花園(箱根町仙石原817)では、「世界の食虫植物展」を8月31日(日)まで開催している。

 自生する湿地や岩場を再現した会場に、ハエトリグサやサラセニア、ウツボカズラなど世界の食虫植物を約100種700点展示している。

 特別講演会として8月16日(土)は「食虫植物とは何ぞや?入手から栽培まで」、17日(日)は「ハエトリグサの植え方と育て方」を実施。両日午後1時から2時、定員各日20人で事前申し込み制。参加無料(別途入園料が必要)。

 また両日特設会場で、食虫植物の愛好団体や園芸業者が一堂に集まる展示即売イベントも行う。

 入園料/大人(中学生以上)700円、小学生400円。営業時間午前9時〜午後5時(最終入園4時30分)。講演会の申し込み、問い合わせは同園【電話】0460・84・7293。

emilyhashimotoさん 楽曲から溢れる地元への愛 「O・DA・WA・LOVE」配信リリース

 小田原出身のシンガーソングライター、emily hashimotoさんがこのほど、配信シングル「O・DA・WA・LOVE」を発表した。シティポップ基調の洗練された楽曲と、自然と口ずさめる可愛らしいメロディのサウンドに仕上がった地元賛歌だ。

 城や梅林、ミカンに金次郎など、馴染みの単語が散りばめられた新曲。制作のきっかけは、闘病していた父の介護や手続きで地元に帰る機会が増えたことだという。

 窓からの富士山や国府津駅に降り立って感じる潮の香りなど、地元の風景と父親との思い出を改めて振り返り、「当たり前だと思っていた日々が特別だったことに気づき、大好きな父や小田原に何かを返したい」と、この曲を制作した。「小田原のイベントでBGMになるような、また市外の人には小田原という場所を知っていただけるような、そんな曲になったらうれしいです」と曲に込めた思いを明かす。

オーディション開催中

 今回は「小田原が好きな人たちと音楽を楽しみたい」と、楽曲のボーカルオーディションも開催中。小田原に縁のある18歳以上は誰でも参加でき、集まった音源から数人を選んで改めてレコーディングを行うものだ(8月末締切)。

 若いころ、音楽業界への進路など分からないことも多かったというemilyさん。「同じような人がいるなら、少しでも力になりたい」とオーディションを企画した。

 「自分の曲が全世界に配信されるのは凄く特別なこと。そんなワクワク感を一緒に楽しみたい」と期待も込める。詳細は特設ページ「O・DA・WA・LOVE Vocal Audition」で確認。

核兵器廃絶考える 8月15日 ウメコで講演会

 戦後80年を機に戦争や核兵器の廃絶について考える講演会が、終戦記念日となる8月15日(金)に市民交流センターUMECOの1・2・3会議室で開かれる。午後5時30分(開場5時)から7時30分。

 松田町生まれで長崎大学核兵器廃絶研究センター准教授の中村桂子さんが、「核兵器廃絶への道〜核兵器禁止条約締結から8年の今〜」と題して講演する。

 主催する「8月15日を考える会」は、2005年から非戦の思いを未来につなげようと終戦記念日前後に催しを開催している。これまでに17回の平和イベントを行い、2千人以上の参加者を集めている。

 参加費千円で学生無料。定員は先着100人。

 申し込み、問い合わせは【電話】090・2427・5526。