さがみはら中央区版【8月21日(木)号】

上半期速報値 救急出場が過去最多 前年同時期比1455件増

 相模原市消防局は8月13日、2025年上半期の市内における火災と救急の速報値を発表した。救急出場件数が前年同時期と比べて1455件増加し、2万2276件で過去最多を更新。火災は前年同時期比で14件増加して106件発生した。

半数は軽症者

 出場件数に加え、救急搬送人員も前年同時期比1380人増加し、1万8898人で過去最多を大幅に更新した。そのうち約半数の9548人(50・5%)は軽症者が占めた。

 救急出場を種別に見ると、「急病」(1万5180件/68・1%)が最も多く、次いで「一般負傷」(3201件/14・4%)、「転院搬送」(1593件/7・2%)、「交通事故」(1124件/5%)だった。すべての種別で前年同時期よりも出場件数が増加した。

 65歳以上の高齢者の搬送人員数は前年同時期比765人増で1万1160人。全体に占める割合は前年同時期と比べ0・2ポイント減ったものの、59・1%を占めた。

出火原因最多は「たばこ」

 火災は全体で106件。種別ごとに見ると、建物火災は4件増の56件、林野火災は0件、車両火災は3件増で12件、その他の火災は8件増で38件だった。

 出火原因別に見ると、「たばこ」が12件(11・3%)で最も多く、次いで「電気機器」10件(9・4%)だった。その他、「火あそび」が9件(8・5%)、「放火(疑い含む)」が8件(7・5%)、「配線器具」が7件(6・6%)だった。

 火災による死者は4人で、前年同時期と比べて2人増加した。火災による負傷者は25人で、前年同時期と比べると3人増加した。

 同局は「救急車や救急医療は限りある資源」として救急の適正利用を求めている。夜間や休日にどこの医療機関を受診してよいかわからない場合は相模原救急医療情報センター(【電話】042・756・9000)などの利用を呼びかけている。

特設サイトのトップページ(=写真上)と橋本駅に設置されている宇宙看板(=写真下)

相模原市 「宇宙のまち」より広く アート要素で若者へ周知図る

 相模原市はこのほど「宇宙交差天 SAGAMIHARA」という新たなコンセプトをもとに「宇宙のまち」を広く発信する事業の展開を始めた。10月11日(土)・12日(日)にはリニューアルオープンした市立博物館のプラネタリウムで音楽ライブなどを含むリアルイベントを予定している。

 市内に宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスが所在することから、相模原市はこれまで「宇宙を身近に感じられるまち」としてはやぶさ2に関連した事業やJAXA研究員を講師に迎えた特別講演会など多岐にわたる取り組みを実施してきた。

 新たに始動した「宇宙交差天 SAGAMIHARA」は、今年7月16日の市立博物館のプラネタリウムのリニューアルを一つの契機として、より気軽に「宇宙のまち」を感じてもらえるよう、以前よりもアート要素を取り入れたPRに注力していくという。市シティプロモーション戦略課の担当者は「これまでの宇宙関連事業はコアファン向けになっていた印象があった。新たな取り組みで市内外の若い世代の人たちにも身近に興味を持ってもらえたら」と話す。

 同事業に関する情報は特設サイトで随時更新されていく。現在公開されているページには、アーティストのnico itoさんがデザインしたオリジナルキャラクター「ぎゃみみ」が宇宙を浮遊する様子が映し出されている。

グルメにアートに

 10月11日(土)・12日(日)には、市立博物館とJAXA相模原キャンパスで「宇宙交差天」のリアルイベントが開催される。クリエイターによる宇宙をモチーフにした作品の販売や展示が行われるほか、宇宙グルメ、アート展示が予定されている。12日には市立博物館プラネタリウムで音楽ライブが予定されており、8K全天周映像と合わせて楽しむことができる。

 イベント開催に向けて市内の機運を盛り上げる一環として、JR淵野辺駅、橋本駅に現在、各駅からJAXA相模原キャンパスまでの距離を「光年」や「ロケットでの所要時間」など「宇宙スケール」な単位を用いて表記した看板が設置されている。「市内にある宇宙要素を身近に楽しんでもらい、イベントに向けて盛り上げていければ」と担当者は話す。

障害者がオートバイに乗れるよう支援している元世界チャンピオン 青木 治親さん 緑区在住 49歳

「上手くいくかもじゃん」

 ○…オートバイに乗りたい障害者の夢を叶えようと、2019年に公益社団法人SSPを立ち上げた。「パラモトライダー」と呼ばれる障害者ライダーが箱根ターンパイクを走行するイベントを開催するため、8月22日からクラウドファンディングを始める。「障害があるからといって諦める必要はない。周りの人が応援する気持ちも大事。輪を広げていきたい」。静かな語り口の中に確固たる信念を感じさせる。

 ○…ロードレースで名を馳せた「青木3兄弟」の三男。90年代に世界チャンピオンに君臨し、現在はオートレースで活躍している。事故で下半身不随となった兄・拓磨さんをオートバイに乗せたことがきっかけで活動を始めた。「どうせできない」「何で危ないことするの」という雰囲気を感じたが、常に優勝を目指すレーサーが折れるはずがない。「じゃあやってやんよ」

 ○…子どもの頃、父が買ってきたポケットバイクに駐車場で乗ったのが全ての始まり。週末は父に連れられ3兄弟で一日中バイクに乗った。「ずっとバイク」。兄弟の絆が強く、「拓磨がバイクに乗って楽しそうな顔を見たら嬉しいし、一緒にレースできるのも嬉しい。バイクを続けられる環境を作るのが兄弟の役目」。

 ○…年間200日はレース場におり、それ以外の時間はSSPの活動に捧げる。レース場に移動する道中に営業の予定を入れ込むこともある。「健常者がわざわざ隔たりを作っている。あれダメこれダメって言うけど、やってみたら上手くいくかもじゃん。可能性を遮断せず、みんなで解決する方法は絶対あるから」。忙しい日々の息抜きは「レース」。人生という名の道をバイクとともにひた走る。

(左から)樹山優葉さん、坂井友奏さん、行田佐和子さん、平本心愛さん、佐藤栞さん、三浦莉菜さん、中濱歩未さん、樹山優莉さん

中学女子野球 ハイド戦士、全国へ挑む 市内から8人が県選抜に

 全国大会に出場する県選抜チーム「神奈川やまゆりクラブ」に、市内の女子軟式野球チーム「相模原ハイドレンジャーズ」(田野倉利男代表兼監督)の8選手が選出された。京都府内できょう8月21日から行われる「全日本中学女子軟式野球大会」に出場する。選抜メンバーは総勢23人。仲間と共に、日本一を目指す。

 ハイドレンジャーズから選出されたのは、3年生の三浦莉菜さん(大沢中)、平本心愛さん(田名中)、樹山優葉さん(由野台中)、樹山優莉さん(由野台中)、行田佐和子さん(東海大学付属相模高等学校中等部)、佐藤栞さん(麻溝台中)と、2年生の中濱歩未さん(中央中)、坂井友奏さん(上溝南中)。平本さんと行田さんは3年連続での県代表選出となった。

 大会はトーナメント形式で行われ、全国から49チームが出場する。

「優勝旗を神奈川に」

 出塁率が高いという中濱さんのポジションはセンター。「優勝できるように頑張る」と初選出も気負いはない。キャッチャーの坂井さんも「キャッチングには自信がある。絶対日本一になりたい」と意気込みを語った。

 3年生にとっては中学最後の全国大会。県代表の副主将で、普段はチームの主将として選手をまとめている平本さんは、「選抜とは思えないくらい仲がいいし、皆上手い。優勝を狙えるメンバーが揃っている」と話す。最後の大会に向け「引っ張らなきゃいけないという気持ちもあるし、悔いなくやりたい。優勝旗を神奈川に持ち帰り、監督を胴上げしたい」と自信を見せた。

 昨年に続き姉妹での選出となった樹山優葉さん、優莉さんの持ち味はスピード。優莉さんは「去年はベスト8で悔しい思いをしたので、今年は日本一になれるよう全力プレーで頑張る」と語り、優葉さんは「一戦一戦を大事に、優勝したい」と力を込めた。

 ハイドレンジャーズは2023年3月に相模原市内初の女子軟式野球チームとして発足。現在は29人の選手が所属し、毎週末練習に励んでいる。

氷川神社 8月23日に例祭 午後6時30分から奉納演芸

 氷川神社(清新4の1の5/浅原寛宮司)が8月23日(土)、年間で最も重要な祭祀である例祭を斎行する。午前10時30分から祭典を執り行い、午後6時30分から囃子や踊りなどの奉納演芸を予定している。

 奉納演芸は神と人とが共に祭を楽しむ神人和楽の場として毎年賑わいを見せてきたもので、神社神楽殿を舞台に氏子有志らがさまざまなパフォーマンスを披露する。

 今年は昨年よりもプログラムが充実し、光明学園相模原高等学校の生徒による和太鼓や、清新楽寿会による銭太鼓の演奏のほか、ギター・フルート・サックスの演奏、囃子、よさこいなどの踊りが楽しめる。食べ物やゲームなどの露店も並ぶ。

 浅原宮司は「ご例祭に向けて夜間に和傘のライトアップをしているので、当日だけでなくお参りにお越しください」と話している。

 問い合わせは同社【電話】0042・771・6617へ。

表彰式はけやき会館で行われた

相模原市 優良工事の21社を表彰 安全なインフラ整備へ

 相模原市は8月5日、模範となる優秀な工事を行った21の事業者を表彰した。この表彰は事業者の技術や意欲を高め、工事の品質を向上させることを目的に毎年実施されている。建設業界では今月2日にも埼玉県行田市で下水道調査中の作業員が死亡するなど痛ましい事故が続いており、安全なインフラ整備に向けて自治体や事業者に一層重い責任が課されている中での表彰だった。

 表彰式で本村賢太郎市長は「まちづくりは未来を決める重要事業。ご協力いただきながら安全安心なインフラ整備に努めていきたい」と話した。

 相模原市建設関連団体連絡協議会の入江功会長は「今後もこの表彰を糧に市民の安心安全を常に敬重し、ご尽力していただきたい」と述べた。

 表彰を受けた事業者は以下の通り。

 ▽アヅマ建設株式会社▽稲葉電気興業株式会社▽株式会社井村電気商会▽影山建設株式会社▽株式会社カナコー▽久野建設株式会社▽株式会社小山商会▽株式会社相模エンジ▽株式会社相模土建▽株式会社佐久間電設▽株式会社櫻内工務店▽有限会社仙龍電設▽日栄建設株式会社▽芳賀建設工業株式会社▽株式会社ハギワラ▽平井工業株式会社▽株式会社富士土建▽古木建設株式会社▽穂久斗工業株式会社▽株式会社明真▽株式会社re-フロンティア

 評価は発注者である市の職員が行い、安全に工期内に完成できたかや出来栄え、周辺住民との協調などを採点した。

境内には竹灯籠が灯され(上)本堂ではコンサートが開かれた(右)

水郷田名宗祐寺 送魂の夕べ 「ご先祖様感じて」

 水郷田名の龍澤山宗祐寺(永保貴章住職)で8月16日、先祖の霊を送り出す送り盆の催しが開かれた。「お盆で帰ってきたご先祖様を近くで感じてほしい」。催しには、永保住職のそんな思いが込められている。

 境内には竹灯籠が灯された。「寺は仏の世界の直前にある。火を灯してご先祖様が迷わないように」。永保住職はその意図を参加者に説明した。

 この日、本堂ではミニコンサートを実施。2019年にニューヨークの伝説のアポロシアター・アマチュアナイトで最高得点を記録し、日本人初の年間チャンピオンとなったシンガーソングライター・高橋あず美さんらが出演した。

 また、天国へ旅立った大切な人へ伝えられなかった思い、感謝の気持ちをしたためた手紙を供養。天国の大切な人への思いを届けた。境内へ続く坂道の途中に手紙を投函する「天国へのラブレター」ポストが設置されている。同寺の檀家でなくても手紙を投函することができるという。

篠崎さんの作品「あの凧を越えろ!」

大凧写真コン 「勢いと情熱」収めて最優秀 相武台在住 篠崎さん

 5月に開催された「相模の大凧まつり」の写真コンテストの表彰式が8月5日、相模の大凧センター(新戸)で行われた。

 同コンテストは相模の大凧文化保存会(八木亨会長)が主催し、同会のメンバーらが審査員を務めている。「凧揚げ」と「まつり風景」の2部門があり、今年の応募総数は36点だった。

撮り続けて20年

 「凧揚げ」部門で最優秀賞を受賞したのは、篠崎功さん(相武台在住)の作品「あの凧を越えろ!」。篠崎さんは毎年自転車で会場に駆けつけ、20年間写真を撮り続けている。篠崎さんは「大凧が揚がるときの勢いや情熱が作品に出るといいなと思いシャッターを切っている。見る人が凧が揚がったときは嬉しく、揚がらないときは寂しさを覚える。そうした場を毎年作る皆さんに感謝いたします」と思いを口にした。

 まつり部門で最優秀賞を受賞したのは吉澤公将さん(緑区在住)の「皆のノリがいい阿波おどり」。吉澤さんは「自信がなかったので『まさか』と驚いた。これからも元気に大凧を撮り続け自己研鑽していきたい」と語った。主催する同会副会長を務める西山和秀さんは「作品を見ると、全体的に風が弱かった今年の祭りの様子が表れている」と話した。

上から、ヘリコニア、ミズレモン(キミノトケイソウ)、ハエトリグサ(8月14日撮影)

相模原公園 大温室で南国体験

 県立相模原公園(南区)にある大温室「サカタのタネグリーンハウス」で、色とりどりの南国の植物が鑑賞できる。

 同ハウスには全400種類ほどの植物が育てられており、それぞれのテーマごとに展示を楽しむことができる。メインエリアである「トロピカルガーデン」では、パッションフルーツの仲間であるミズレモン(キミノトケイソウ)やパイナップル、パパイヤ、バナナなどの南国の果実や、ハエトリグサやウツボカズラなど子どもに人気の食虫植物が多く展示されている。

 原色の派手な苞(ほう)が特徴的なヘリコニアも見どころの一つである。ヘリコニアは鮮やかな色でハチドリをおびき寄せて花粉を飛ばしてもらう鳥媒花。苞が垂れ下がっているものと上に伸びているものがあり、同ハウスではいずれも鑑賞できる。また、階段を上った先の2階には、サボテンや多肉植物を集めた「カクタスガーデン」も。

 開館時間は午前9時30分〜午後4時30分(入館は午後4時まで)。毎週月曜日休館。「トロピカルガーデン」と「カクタスガーデン」は入館料大人100円(中学生以下無料)。詳細は同公園管理事務所【電話】042・778・1653へ。

美化活動団体のパネル展 本庁舎ロビーで29日まで

 市役所さくら通りで清掃や花の植え替えなどを行っている「街美化アダプト活動団体」を紹介するパネル展が、市役所本庁舎本館1階ロビーで8月29日(金)まで開催されている。

 街美化アダプト制度とは、公園や緑地、道路などの公共スペースを自発的に美化清掃する5人以上の団体を市が支援する取り組みで、2003年に導入された。制度を活用し自治会やNPO、老人会などが清掃活動を行っている。

 今回の展示では市役所さくら通りで活動する8団体がそれぞれ自作のパネルで団体の概要や活動内容、活動に対する思いなどを紹介する。

 市中央土木事務所の担当者は「日常的に街の美化活動に携わってくれるが市民に向けて紹介する機会があまりなかった。今回の展示で興味を持ってもらって活動する市民や団体が増えれば」と話す。

 市役所さくら通りの活動団体は23年から、秋口に清掃で収集した落ち葉を市民農園や家庭菜園のたい肥として活用してもらおうと、落ち葉の配布を行っている。問い合わせは同事務所【電話】042・769・8262へ。

大会やコースの概要について話し合う各チームの代表者

認知症啓発駅伝 9月に「RUN伴(らんとも)」 過去最多65チーム

 認知症啓発イベント「RUN伴(らんとも)」が9月6日(土)と21日(日)に相模原市内で開かれる。これに先立ち8月8日に市民会館で代表者会議が行われ、過去最多の出場数となる約65チームの代表者がコース概要などを確認した。

 「RUN伴」は、認知症の人と接点がない地域住民や企業、商店などが 認知症の当事者やその家族、医療・福祉関係者などと一緒にタスキをつなぎながら走るイベント。まちづくり活動の一環として始まり、全国的に広がっている。

 市内では2014年に淵野辺エリアを中心に初開催され、年々コースを伸ばしながら、周知されてきた。今年は2日間で6コースを設定。「市内をオレンジ色に染めるべくタスキリレーをしたい」と実行委員会の大島利通さんは話す。

 6日午前10時30分からは市役所本庁舎前広場でオープニングセレモニーを開催。さらに21日には同広場で正午から午後4時までゴールイベントを企画。キッチンカーや各種ブースも出店する。

 大島さんは「一緒に『RUN伴さがみはら2025』を楽しみ、認知症になっても安心して暮らしていける相模原をめざしていきましょう」とコメントしている。

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訓練を積み重ね無駄な動きを修正していくメンバー

消防田名分署3部救助隊 「目標は全国1位」 ロープブリッジ救出競技で

 相模原消防署の田名分署に属する3部救助隊(大泉暁史隊長)が7月18日、県消防学校(厚木市)で開かれた消防救助活動の技術を競う「第53回消防救助技術関東地区指導会」に出場し、「ロープブリッジ救出」種目で6位に入り、全国大会への出場切符を手にした。「全国消防救助技術大会」は8月30日(土)に兵庫県内の消防学校で行われる。今年度の3部救助隊が発足した4月に掲げた目標のひとつが同大会での「全国1位獲得」。4人の隊員が訓練を重ねている。

 3部救助隊の4人が出場する「ロープブリッジ救出」は、隣接する建物や対岸など、通常の方法ではアクセスが困難な場所に要救助者が取り残されている状況を想定した競技。2つの塔に水平に張られた20mのロープを渡り要救助者を保護して戻るまでの安全・確実性と時間が評価される。

無駄あぶり出しタイム削り出す

 メンバーは根岸大輝消防士長(33)・久保田啓介消防副士長(31)・小柳郁弥消防副士長(29)・松井秀介消防士(26)の4人。田名分署は2年前にもロープブリッジ救出で全国大会に出場し4位に入賞した。タイムは47秒7。現メンバーの中で最も若い松井さん以外はこの時のメンバーでもある。

 6月の県大会、今回の関東大会ともに大きなミスはなく48秒台を記録した。しかしメンバーが求めているのは「45秒台」。ロープにたわみはないか、ロープを引く動きに無駄はないか、全国大会まで、徹底的に無駄な動きをなくし、タイムを削り出す作業を重ねている。

初の女性隊員も

 全国大会には南消防署のチームも地下やマンホール等での災害を想定した訓練「引揚救助」種目に出場する。隊員には初の女性隊員も含まれている。

スクール会場であるボールパーク(中央区宮下)で取材に応じた堀プロ

ゴルフ堀プロ 地元開催 出場に強い意欲 シニアOP 25日最終予選

 市内在住のプロゴルファー、堀貴麿(たかまろ)さん(53)が、9月に相模原ゴルフクラブ(南区大野台)で開催される「2025年度(第35回)日本シニアオープンゴルフ選手権」への出場を目指している。8月25日(月)に千葉県で行われる最終予選を突破すれば、念願の初出場となる。

 堀さんは7月、栃木県で行われた地区予選を通過。最終予選には約80人が出場予定で、そのうち上位20人前後に本戦への切符が与えられる。

 堀さんの父親はかつて国体のスピードスケート選手で「スポーツに厳しかった」という。堀さん自身は小中学生時代に野球に打ち込み、高校に入ると父の影響でゴルフを始めた。ゴルフ強豪の都内私立高校に進み、3年時の大会では全国27位の成績を収めた。海外留学を経て29歳でプロテストに合格。国内ツアーに参戦する傍ら、ティーチングプロとしても活動し、昨年4月からは母校・日体大ゴルフ部の監督を務めている。

 開催地となる相模原ゴルフクラブは、高校時代に一度ラウンドした思い出の場所。その時の同伴者と約25年後に同所で再会したことをきっかけに、相模原でゴルフスクールを開校することにもつながった。「自分にとってとても思い入れのある会場。なんとかこの舞台に立ちたい」と意気込む。

 シニアオープンへの挑戦は昨年に続き2回目。昨年は1打及ばず、最終予選で涙をのんだ。その悔しさを胸に、この1年は「心・技・体」すべてを磨き続けてきたという。

 選手権は9月18日(木)から21日(日)まで開催される。

 なお、堀さんを支援する後援会が今年3月に発足=関連記事あり。およそ50人が「初出場」へ向けサポートしている。

東関東吹奏楽コンクールに出場する共和キッズ吹奏楽団のメンバー

共和キッズ吹奏楽団 4年連続の最優秀賞 9月に東関東大会進出へ

 共和小学校の児童を中心に活動する「共和キッズ吹奏楽団」が7月、第74回神奈川県吹奏楽コンクール(主催/神奈川県吹奏楽連盟・朝日新聞社)小学生の部に出場し金賞と最優秀賞にあたる朝日新聞社賞を獲得した。

 共和小学校として出場してきた昨年までを含めて4年連続の朝日新聞社賞受賞。9月14日に栃木県内で行われる東関東吹奏楽コンクールへ出場する。

 同楽団には3〜6年生の児童36人が所属している。コンクールメンバー24人で県大会に臨み、ソロパートがあり個々のスキルが発揮できると選曲された「鳴り響く鐘の呼び声〜二つの鐘、二つの運命」(加藤大輝作曲)を熱演した。例年に比べて6年生が少なく不安が残る中でのコンクールだったが、「これまでで一番良い演奏ができた」と児玉理路団長(6年)が振り返った。

 児童や指導者、保護者が固唾をのむ中、迎えた審査結果発表。目標としていたW受賞がホールに響くと関係者は歓喜に包まれた。緊張感から解放されたのか、涙を流す児童もいたという。

学校の柔軟対応

 メンバーを率いる児玉さんは2年前に北海道から相模原市内に引っ越してきた。父がチューバ、母がトロンボーン、兄はトランペット、姉はホルンの担い手として活躍する音楽一家に生まれ、音楽は身近な存在で、北海道時代も吹奏楽に興じてきた。

 転入した大野台小学校には吹奏楽団がなかったため、共和小学校の吹奏楽団に掛け合い練習に参加してきた。しかし、学校単位で出場する大会ではステージに立つことができなかったという。

 6年生になり団長に就いた児玉さんもステージに立てるよう、学校関係者らが柔軟に対応し特例的に「キッズ吹奏楽団」として出場する形をとった。

 金管楽器の一種で吹奏楽で中低音域を担う楽器・ユーフォニアムを担当する児玉さん。今コンクールでは通常、ピッコロで奏でるソロ部分をユーフォニアムで演奏するなど高い能力を発揮した。

 楽団が4年連続で最優秀賞を獲得し、児玉さんは「音程を極めることと、気持ちを曲に乗せることが課題。観客を楽しませる演奏をして、金賞を獲得したい」と次のステージへ向け意気込みを口にした。

相模原市議会 9月定例会議8月25日開会

 相模原市議会9月定例会議が8月25日に開会する。閉会は9月30日。

 主なスケジュールは以下の通り。代表質問・個人質疑は9月2日と3日に行う。9月5日から11日までは各常任委員会と決算特別委員会。一般質問は9月24日・25日・26日。採決は9月30日。各会議のインターネット中継による視聴が可能(予算特別委員会を除く)。

 同市議会では2016年12月定例会議から女子美術大学の協力を得て広報用のポスターを作成している。今回は女子美術大学デザインルーム安井怜奈さんの作品=画像。

歯科を通じた健康を やました歯科医院でイベント

 鹿沼台にある「やました歯科医院」で8月30日(土)、「健康フェスティバル in渕野辺 2nd」が開催される。午前10時から12時、午後1時30分から4時30分の2部制。

 「地域の健康ステーション」を目指す同院が開催する、歯科を通じて健康を考えるイベント。2回目となる今回は、子ども向けの歯科衛生士体験コーナーや歯科技工士による入れ歯相談のほか、オーガニックスイーツや地域の野菜販売も行われる。山下宗院長による子どもの歯並びと健康に関する講演も予定されており、診療内では説明しきれない口腔内の話を聞くことができる(事前予約制)。「楽しみながら健康について考えてもらえたら。」と山下院長は話す。

 参加費は1家族500円(人数制限なし)。問い合わせは同院【電話】042・707・8255へ。

アリオ橋本で販売を行う児童(写真=SIC提供)

児童が起業体験 アリオ橋本で商品販売も

 小学5・6年生の児童が起業体験を行う「さがみはら子どもアントレ」が8月5・8・9・10日の4日間行われ、最終日にはアリオ橋本(緑区大山町)で商品の販売会が行われた。主催は同事業実行委員会(南篤史委員長)。運営・進行は公募で集まった大学生が担当した。

 アントレとは「起業家」を意味する言葉。子どもたちが初めて出会った仲間たちと会社設立、事業計画書の作成、資金調達、仕入れ製造、販売、決算という一連のプロセスを体験できる取り組み。お金やチームワークの大切さを学んでもらおうと2001年から開催されている。今年も48人の児童が集まり、大人さながらの起業プロセスを体験をした。南委員長は「このプログラムを通じて、稼ぐことの難しさを体感しながら、失敗を恐れずに挑戦して仕事をするということについて学んでほしい」と話す。

 6人一組の班に大学生が1人加わり、合計8の会社を設立。初めて会う人とのコミュニケーションに戸惑いながらも、役職の任命や販売する商品の選定、疑似の銀行への融資交渉など実際の会社と同様の体験に力を合わせて取り組んだ。体験最終日の10日には、アリオ橋本1階で販売会を実施。多くの来場客でにぎわう中、それぞれが店頭での販促に努め、全社完売となった。参加した児童からは「皆と努力と協力で苦手だと感じたこともやり遂げることができた」などの感想が聞かれた。

「ロボスポ」も体験できる

ロボフェス 目玉は「ロボスポ」体験 市産業会館で22日

 さがみロボット産業特区の構成自治体として「ロボットと共生する社会」の実現を目指す相模原市が、8月22日(金)に体験型イベント「さがみロボットフェスタ」を産業会館で開く。午前11時から午後4時まで。

 会場にはドローンの操縦やプログラミングの体験コーナーが設けられるほか、市トライアル発注認定を受けた「メイドインさがみはら」の新製品などの展示ブースも設けられる。

 目玉はロボットを使った新スポーツ「ロボスポ」体験。フィールドに置かれたボールをロボットが拾い、ゴールへ持ち込む数を競う。幅広い世代が楽しむことができ、プレイヤーと共に観戦者も一緒に盛り上がれる次世代エンターテインメントとして注目されている。

 問い合わせは市産業支援・雇用対策課【電話】042・707・7154。

標本や写真などが並ぶ

あじさい会館 昆虫文化を紹介 31日まで 入場無料

 子どもたちの自然・環境に対する興味、学習を増大させることを目指して活動する市民団体「昆虫文化を子供たちに伝える会」(三宅潔代表)があじさい会館(富士見6の1の20)1階ロビーで現在、「第1回昆虫文化展」を開催している。8月31日(日)まで。午前9時〜午後5時。入場無料。

 カブトムシの飼育や採取を中心に活動する同会が、「昆虫文化」を市民に知ってもらおうと開催。カブトムシやセミ、チョウなどの貴重な標本のほか、工芸品や写真、児童らによる研究発表など昆虫にまつわるさまざまなものが展示されている。問い合わせは三宅代表【携帯電話】090・3219・2805へ。

過去開催時の様子

公社SSP 障害者と箱根でバイク 8月22日からクラファン

 障害者がバイクに乗れるよう支援している公益社団法人SSP(青木治親代表=人物風土記で紹介=)が10月18日(土)、障害者のライダー(パラモトライダー)たちと箱根ターンパイクの走行を楽しむイベントを開催する。実施にあたり、あす22日からクラウドファンディングでの支援を求める。

 同法人は2019年に設立され、障害者向けに無料体験走行会などを開催している。車椅子で生活している人や全盲の人など、これまで多くのパラモトライダーを誕生させてきた。

 青木代表の人柄や信念、活動に心動かされた人も多く、これまでに延べ2000人近い人がボランティアとして関わってきた。

 イベント当日は箱根ターンパイクを貸し切り、息つく暇なく変わる風景など公道でしか味わえない経験を参加者同士で共有する。健常者にとっては当たり前な「仲間と公道を走る」ことに社会的な障壁が作られているパラモトライダー16人、聴覚障害者と夢を叶えようという企画だ。

 運営には多額の資金が必要なため、クラウドファンディングを活用して資金を集める。

理解広げる

 同法人は活動の楽しさや意義をより広く広めようと、多くの人が集まるショッピングモールでの体験走行会を今年から始めた。8月5日にはアリオ橋本でイベントを行い、1歳から大人まで70人以上をバイクに乗せた。スタッフが押しながら進むが、エンジンをかける動作や音、振動を楽しむことができる。

 乗車した小山結愛さん(小学3年)と小山未結さん(小学1年)は「もいう1回乗りたい。良い音だった」と感想を話した。青木代表は「子どもが普段体験できないことをさせることができた。家に帰って『乗ったよ』とおじいちゃんやおばあちゃんに話してもらって認知を広げたい」と話す。

ライダーの声

 この日はボランティアスタッフ15人が運営に携わり、その中にはパラモトライダーもいた。

 弱視でバイクの免許を持っていなかったという渡辺美知子さんは2年ほど前、視覚障害者のメーリングリストで同法人の存在を知った。「絶対乗りたいと思った」と当時のことを話す。「バイクは憧れ。カッコいい。初めて乗った時は嬉しくてたまらなかった。感動が体中をみなぎった」と満面の笑みを見せた。

 義足で生活し、同法人の設立初期から関わってきた丸野飛路志さんは、テレビで青木代表の活動を知り連絡を取った。「そしたら、青木さんが自ら私の家に来てくれた。夢みたいだった」。バイクの楽しさだけでなく青木代表の人柄に惚れて人が集まっている様子がうかがえた。

投票を呼び掛けるポスター

「お店大賞」投票受付開始 あなたの「推し店」教えて

 市内の「好きなお店」への投票を受け付け、多くの支持を集めた店舗を表彰する恒例企画「相模原お店大賞」の投票が8月20日から始まった。主催は相模原商工会議所「相模原お店大賞」実行委員会。

 投票期間は10月20日(月)までで、受賞店舗は来年1月上旬に発表される。募集しているのは飲食業部門、小売・サービス業部門の2つ。投票方法は公式HP、投票用紙だけでなく、インスタグラム、XといったSNSからも可能(これまでの大賞受賞店は投票の「対象外」。歴代大賞受賞店はお店大賞のチラシ、HPで確認できる)。

 受賞店の決定は、投票で多くの支持を受けた店舗の中から審査、選考を経て決定する。投票した人の中から抽選で、デジタルギフトや宿泊ギフト券などのプレゼントも用意されている。(問)実行委員会【電話】042・753・8135

講演を行う西倉さん(左)と丸山さん(右)

戦争の記憶、未来へ継承 8月30日 体験者語る講演会

 相模原市は戦後80年事業として8月30日(土)に講演会「戦争体験・記憶の継承」を開催する。会場はあじさい会館(中央区富士見)で入場無料。

 市は核兵器廃絶平和都市宣言を行った翌年の1985年から毎年11月に「市民平和のつどい」を開催している。今年は戦後80年にあたるため、終戦記念日のある8月に実施されることとなった。

 講演者はシベリア抑留体験者の西倉勝さん(南区在住・100歳)と相模原原爆被災者の会会長の丸山進さん(85歳・南区在住)。西倉さんは平和祈念展示資料館(東京都新宿区)で語り部として活動するほか、映画『ラーゲリより愛を込めて』にはアドバイザーとして関わった。丸山さんが会長を務める被災者の会はノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会の構成団体。自身の被爆体験などを各地で講演する、平和のための活動に取り組んでいる。

 講演会は第1部(午後2時から2時55分)に西倉さん、第2部(午後3時5分から4時)に丸山さんが登壇する。

 市の担当者は「戦争体験者が少なくなっていく今、若い方や子育て中の方などに参加してもらい、貴重な肉声による経験談を次世代につないでほしい」と話す。

 定員280人(申込順)。8月27日(水)まで市コールセンター【電話】042・770・7777で申込受付。問い合わせは市国際課【電話】042・707・1569。

(左から)加藤さん、高橋さん、小林さん、奥野さん

語り合う あの頃の日本 座談会「戦争体験と当時の暮らし」

 終戦から80年が経った今、戦中戦後を生きてきた人たちは過去をどう捉え、未来に何を思うのか。千代田にある「社会福祉法人悠朋会千代田7丁目センター」でのつながりをきっかけに1931〜47年(昭和6〜22年)生まれの4人に集まってもらい、話を聞いた。

 参加者は、同法人理事の小林功さん(81)、緑区根小屋在住の高橋知夫さん(94)、星が丘在住の画家・加藤忠一さん(84)、そして千代田在住の奥野ミドリさん(78)。長年相模原市に暮らす4人が、同法人や小林さんを縁につながり、一堂に会した。

「軍国少年」

 満州事変が起きた31年に横須賀市で生まれた高橋さんは、数枚だけ残っているという幼少期の写真を手に、「いわゆる軍国少年として育った。当時横須賀はスパイ行為になるというのでカメラが持てなかった」と話す。

 「生まれた時から日本が正義、勝つんだと」。「欲しがりません勝つまでは」「月月火水木金金」「ぜいたくは敵だ」――学校や街中に掲示されたさまざまな標語を、今も鮮明に覚えている。音楽のテストは、戦闘機の音を聞いて当てるというもの。木でできた銃をかついだ旧制中学時代は、サーベルで殴られたこともあった。

 幼少期の暮らしはそこまで苦しいものではなかったと記憶している。「食事もそんなに困っていなかったし、皇紀2600年のお祝い(昭和15年に政府の主導で記念行事が行われた)もした。戦争は、日本の兵隊さんが外国でやるものだと思っていた」。しかし太平洋戦争が始まると、生活は徐々に苦しくなってきた。高橋さんが小学6年生の頃だった。

 横須賀では、42年の「ドーリットル空襲」の後、終戦間際の45年に空母艦載機からの機銃掃射が複数回行われたとされている。「横須賀は空襲されなかったという話があるが、実際はあった。何度も防空壕に逃げた」。戦況が悪化すると、14、15歳の少年たちが「海軍特別年少兵」として戦地へ送られた。先輩たちが志願して旅立つ姿に「俺も行きたいと考えて疑わなかった」という。中学2年生の時、高橋さんは「1学年の差」で戦地へ赴くことなく終戦を迎えた。

記憶がある最後の世代

 41年に生まれた加藤さんは「僕は5月生まれで少しだけ覚えているが、同じ学年の11月生まれの人は覚えていない。僕が戦争記憶がギリギリあるちょうど分岐点の年齢」と語る。それゆえ記憶を書き残しておく義務感を抱き、2022年に書籍「絵で見る 幼子の戦争記憶」を発行した。

 本の中には、福井県の立待村(現在の鯖江市)に生まれた加藤さんが4歳の時に目撃した「強烈」な光景が描かれている。45年7月19日の深夜、人口約10万人に対し9万人以上が罹災し、死者約1600人、負傷者約6500人を出した「福井大空襲」。加藤さんが住んでいた現鯖江市は、福井市の隣に位置する。その上空を、大量のB29が飛んでいった。「僕の本当の真上を超低空でね、非常に大きな音だった。隣町が赤くなっていた」。身体が小さかった父は、終戦間近になってついに徴兵されていた―。

 本の挿絵の中に、帰ってきた父を迎える一枚がある。「母の実家の前の道で、歩いて帰ってくる父を迎えた。この場面を今でもよく覚えている。母はおそらく泣いていたんじゃないかと思う」。80年が経っても、決して忘れられない記憶だ。

戦後の相模原「補給廠」の存在

 さくら通りを通る、日本のものとは大きさも頑丈さもパワーも違う米軍のダンプカー、星が丘小学校の校庭を整備する米軍のブルドーザー、街中の火事に駆け付ける補給廠の消防隊――。戦後間もない相模原で生まれ育ち、父親が補給廠の消防隊員だったという小林さんの記憶に残っている「米軍」「アメリカ」は、「頼りになる存在」だった。

 戦後、各地にあった軍施設はその多くが米軍に接収された。多くの軍施設が立地し「軍都」として発展してきた相模原も例外ではなかった。44年生まれの小林さんと47年生まれの奥野さんは、戦時中に相模陸軍造兵廠をはじめとする軍関連の施設や工場で働く労働者とその家族のために作られ、戦後は相模総合補給廠に勤める人たちが暮らした「星が丘住宅」で育った。共に戦争の記憶はないが、当時の相模原の様子はよく覚えている。「補給廠にはすごく大勢の雇用があった。さくら通りを自転車で行き来する人がすごく多かった」

 「星が丘にガスを引いたのも父、消防団を作ったのも父」。奥野さんの父は長年地域の発展に尽力し、1990年に発行された星が丘公民館地区の『地域史』編纂にも携わった石井伍郎さん。戦時下は徴兵によって北朝鮮にいたこともあったという。終戦後は補給廠や厚木基地に勤めていた。

 米軍の施設から珍しいものが手に入ることもあった。「衝撃を受けたのが、コカ・コーラ。甘いものがそんなにない時代だったし、次元が違う味に圧倒的なショックを受けた」と小林さん。奥野さんは「父がお土産でカステラや顔につけるクリームを貰ってきたりしてくれた」と思い返す。

 戦中戦後の時代に育った4人は、今の情勢をどう見ているのか。「迎合するというか、流されてしまう人がいっぱいいる状況に感じる。その風潮が、戦争に向かっている感じがする」と加藤さん。奥野さんは「父が入院していた頃、うなされて『撃ちたくて撃ってるんじゃない』って。戦争を思い出していたのかな」と目を伏せた。高橋さんは「自分で体験してきて、やはり戦争はやるべきじゃない」と言葉に力を込める。「そのままにしていれば侵略される世の中、それなりの防御はしないといけないとは思うが、とにかく戦争は反対。反対だけです」。80年が経ち体験者が少なくなった今、この言葉の重みは増している。

アイススケート場 「公設民営」6割超が賛成 市がアンケート結果を公表

 相模原市は8月6日、一部公費負担のある「公設民営」での新たなアイススケート場整備について実施した市民アンケート調査の結果を公表した。公費負担をともなう整備に賛成の意思を示した人はWebアンケートで回答者の6割超、オープンハウス型説明会では9割以上に上り、多くの市民がアイススケート場の存続を希望していることが明らかになった。

 調査は淵野辺公園内にあるアイススケート場「銀河アリーナ」が2026年度末に廃止されることに伴う新たなアイススケート場の検討の方向性について市が7月に実施した。市内在住者を対象にWebフォームで実施した「市民アンケート調査」、小学校の児童を対象に実施したスケート教室に関する調査のほか、オープンハウス型説明会でも意見を求めた。

 「市民アンケート調査」では、6歳以上の市内在住者3000人を無作為抽出し、654人から回答を得た。市内にアイススケート場があることを「良いことだと思う」と回答した人484件(74%)のうち、新たなスケート場の整備にあたり市が経費の一部を負担することに「賛成」「やや賛成」とした回答は410件(84%)で、全回答者の約63%を占めた。賛成の理由は「子どもの教育やスポーツへの関心、興味につながるから」が188件で最も多く、反対の理由は「利用する人が限られているため」が11件で最も多かった。

 一方で、アイススケート場が市内にあると利用する可能性があると答えた人は、全体の52%(338件)と約半数に留まった。自由意見では、教育機会としての重要性に関する意見が46件で最も多かった一方、財政の優先順位が違うとする意見(42件)もあった。

児童84%が「作って欲しい」

 スケート教室に関するアンケート調査は、市内の小学校8校(中央区2校、南区3校、緑区3校)の小学5年生約800人を対象に実施し、774人の回答を得た。

 相模原市では、同アリーナで長年にわたり小学生を対象としたスケート教室を実施している。調査では、スケート教室が「とても楽しかった」「楽しかった」とする回答が709件(92%)に上り、新しいスケート場を「作って欲しい」「どちらかというと作って欲しい」とする声も全体の84%を占めた。

 相模原イッツ(中央区)、アリオ橋本(緑区)、相模大野ステーションスクエア(南区)で実施された市職員によるオープンハウス型説明会では、合計582人(市外在住者110人含む)の回答を得た。調査は回答者が「賛成」「反対」の該当する位置にシールを貼る方法で実施され、「民間事業者の活力を最大限活用した『公設民営』によるアイススケート場の方向性で検討している相模原市の方針についてどう思うか」という質問に対し、全体の95%(市内442人、市外108人)が「賛成」と回答した。

 同アリーナの廃止を受けて市民や団体から存続や新たなスケート場設置を求める声が上がる中、市は24年9月から25年3月にかけて民間事業者に委託して「民間アイススケート場実現可能性等調査」を実施。敷地規模の条件や法令上の制約に加え、独立採算型の事業としては実現のハードルが高いことが示されたため、市は一部公費負担での「公設民営」による整備の方向性で検討するとしていた。市はアンケート調査の結果を踏まえ、引き続き新たなアイススケート場の整備を検討していくとしている。

熱心に紙漉きを体験する児童

千羽鶴で紙漉き体験 親子で平和学習

 サン・エールさがみはら(緑区)で8月16日、「戦後80年親子平和学習会 平和の紙漉き&広島被爆体験伝承のお話withランチ会」が開催された。主催はさがみ生活クラブ生協緑さがみはらコモンズ。

 参加者は広島県に集まった千羽鶴を用いて紙漉き体験を行い、ハガキを作成した。講師は原爆投下後に親族を探すべく広島市に入った「入市被爆者」の荒谷輝正さん。千羽鶴にまつわる絵本の読み聞かせや、市内の食材を使った戦時中の食事メニューの再現、被爆体験伝承者である歌玲子さんによる講話なども実施され、平和について多角的に学ぶ一日となった。

 参加した児童は「思ったよりも難しくなかった」と感想を述べた。荒谷さんは「この機会を通じて子どもたちにも平和について考えてほしい。若い世代に語り継いでいってほしい」と呼びかけた。

佐々木さん宅の庭に咲くリュウゼツラン(8月6日撮影)

半世紀待ちわびた「昇竜」 田名塩田 リュウゼツランが咲いた

 田名塩田2丁目に住む佐々木泰喜さんの自宅の庭で、7月下旬、50年の時を経てリュウゼツランの花が咲いた。

 リュウゼツランは開花後に枯れる一回結実性の植物。「1975年に奥さんの実家にあった鉢植えを分けてもらい、ずっと庭で育ててきた」。6月下旬に急激に伸び始めた茎は2カ月間で3メートル近く成長し、7月上旬につぼみがついた。5メートルほどにまで伸びた茎の先に黄色い花が咲く様はまさに圧巻。花が咲くのに数十年かかるため、一般家庭ではなかなか目にかかれないというリュウゼツラン。数カ月で急に伸びた茎を見て、道行く人も思わずカメラを向けていた。

 リュウゼツランはテキーラの原料。メキシコの特産品であり、栽培地やテキーラ醸造所群の景観は世界遺産に認定されている。アロエのような大きな葉が竜の舌に似ていることからその名がついた。また、数十年に一度花を咲かせることから英語では「Century Plant」、日本名でも「万年蘭」と呼ばれることがある。

 撮影日の8月6日時点では満開だった花も数週間で役目を終え、その後は株全体が枯れていく。「50年育てたけれど、枯れたらもう処分するしかない」。その一方で、庭には佐々木さんが以前に株分けしたという子株の葉が茂っている。「こっちが咲くのはまだまだ何十年か先だな」。佐々木さんは笑顔を見せた。

「はだしのゲン」上映 市民会館で8月23日

 ノーベル平和賞に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が選ばれたことなどもあってか、原爆の恐ろしさと悲惨な被爆者の体験が戦後80年の節目に改めてクローズアップされている。

 8月23日(土)には相模原市民会館でアニメーション映画「はだしのゲン」の上映会が開かれる。映画は中沢啓治さんの被爆体験に基づく漫画作品が原作。原爆投下により焦土と化した広島を舞台に、少年ゲンと家族が必死に生きようとする姿を通して平和と命の尊さを訴える物語。午後2時から4時30分までで観覧無料。(1時30分開場)。

 上映後におやつを囲んで戦争体験者の話を聞いたり、映画の感想を話し合ったりする機会が設けられる。問合せはさがみ九条の会事務局・長野さん【携帯電話】080・3484・0143。

すずらん保育園(上)とエンゼルハウス保育園(下)の保育の様子

相模原市、休日保育を全市で展開 リフレッシュ目的でも利用可能に

 相模原市は、2024年からエンゼルハウス保育園(緑区橋本)で先行して実施していた「さがみはら休日一時保育」を、今年4月にりとせ相模大野保育園(南区相模大野)、7月にすずらん保育園(中央区鹿沼台)で開始した。市内全3区に休日の預かり場所が整備された。

 この事業は利用理由を保護者の就労等に限定せず、リフレッシュ目的でも利用できることが特徴で、全国的にも珍しい取り組みとなっている。

市民アンケートで必要性を確認

 市保育課の担当者によると、この事業は2022年7月25日から8月5日にかけて市が実施した「少子化対策に向けたアンケート」の結果を基に市が実施を進めてきたもの。「子育てで苦労していることは?」という問いに対し、最も多かったのは「教育や保育にかかる費用負担」で、次いで「仕事と家庭の両立」、「自分の時間が持てない」、「保育所等の預け先の確保」と続いた。

 「この時点で休日利用できる保育園は一つもなかった(担当者)」ため、市は休日保育事業の開始を決定。実現にあたって複数回の説明会を開催し、駅から800m以内などの利便性も考慮して公募で決定した。

人材確保の壁

 市内初の休日保育を開始したエンゼルハウス保育園の加藤倫代園長は、保護者との事前面談や市の説明会で「保護者の切実なニーズを感じた」と振り返る。ただ、「休日に保育士を確保するためには従来の勤務体系を見直さなければならず」、人材確保が最大の壁だったと話した。すずらん保育園の青木庸江代表も「平日の人材確保も難しい中で、最初は無理だと思い、引き受ける気はなかった」という。

 それでも休日の受け入れに踏み切ったのは「この少子化時代にこの取組はやるべき」と先代代表が背中を押したからだと青木代表は語る。加藤園長も「親の就労スタイルが多様化する時代に保育もこのままではいけない。安心して子育てできる環境を用意してあげたい」との思いから何度も職員会議を重ね、実現に漕ぎつけたという。

「ありがたい」

 リフレッシュ目的で何度か利用している保護者からは、感謝の声が聞かれた。石川あいさんは「下の子が生まれてから上の子と話ができていない」と危機感を感じていた時に休日保育を知り、エンゼルハウス保育園を月1〜3回ペースで利用しているという。「上の子と動物園やアスレチックに行ったり、パパと二人で男同士のバーベキューに行ってもらったり」と大満足だと話す。

 安達百合香さんも上の子たちへのケアを目的にすずらん保育園で4回、休日保育を利用。「先生たちは優しくて安心して預けられた」と話し、「仕事ではないのに預けるなんてと後ろめたさを感じてしまうかもしれないけど、一歩踏み出してほしい」と子育て中の人へメッセージを送る。

 市の担当者は「今後園や利用者の意見を受け、より良い体制を構築したい」と述べ、「子育てしたいまち 相模原」の実現を目指すとしている。

 問い合わせは同課【電話】042・769・8340。

3Mで高濃度PFAS 市が臨時調査

 相模原市は7月、スリーエムジャパンイノベーション相模原事業所(南橋本)から相談を受け、同所敷地内でPFAS(有機フッ素化合物)の臨時調査を行った。このほど調査結果を公表し、地下水の下流側に当たる敷地南東の井戸から政府暫定指針値100倍超の5100ナノグラム/リットルが検出されたことを明らかにした。

 同所は現在、地下水に含まれるPFASの管理と浄化に役立つ技術の導入を計画しており、市は今後の取り組み状況を注視していく姿勢だ。

 一方で相模原のPFAS問題を巡って活動を展開している市民団体「相模川さがみ地域協議会」は地下水だけでなく土壌の浄化にも関心を寄せている。

南橋本周辺で高濃度

 相模原市では現在、南橋本周辺の河川や地下水のPFAS汚染が問題となっており、継続的な調査が行われている。

入場無料 相模原で戦争体験を語り継ぐ講演会 8月30日 シベリア抑留や被爆の経験者が登壇

 相模原市は戦後80年事業として8月30日(土)に講演会「戦争体験・記憶の継承」を開催する。会場はあじさい会館(中央区富士見)で入場無料。

 市は核兵器廃絶平和都市宣言を行った翌年の1985年から毎年11月に「市民平和のつどい」を開催している。今年は戦後80年にあたる年なので終戦記念日のある8月に実施されることとなった。

 講演者はシベリア抑留体験者の西倉勝さん(南区在住・100歳)と相模原原爆被災者の会会長の丸山進さん。西倉さんは平和祈念展示資料館(東京都新宿区)で語り部として活動するほか、映画『ラーゲリより愛を込めて』にはアドバイザーとして関わった。丸山さんが会長を務める被災者の会はノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会の構成団体。自身の被爆体験などを各地で講演する、平和のための活動に取り組んでいる。

 講演会は第1部(午後2時から2時55分)に西倉さん、第2部(午後3時5分から4時)に丸山さんが登壇する。

 市の担当者は「戦争体験者が少なくなっていく今、若い方や子育て中の方などに参加してもらい、貴重な肉声による経験談を次世代につないでほしい」と話す。

 定員280人(申込順)。8月27日(水)まで市コールセンター【電話】042・770・7777で申込受付。問い合わせは市国際課【電話】042・707・1569。

三菱重工相模原ダイナボアーズの夏Vol. 2 ダイボ君が第73回橋本七夕まつりに出没

 チームのマスコットキャラクター「ダイボ君」が8月1日、第73回橋本七夕まつりのパレードに姿を現した。相模原市特別観光親善大使のたすきをかけ、牙がチャームポイントの笑顔を地域住民に届けた。