横須賀・三浦版【12月12日(金)号】
竣工当時の写真。当時のトレンドである「ブルータリズム」の名建築

横須賀市文化会館 文化の時代を牽引 開館60周年の記念イベント

 地域の文化振興と交流拠点としての役割を担う横須賀市文化会館(深田台50)の開館60周年を記念した特別企画が12月19日(金)・20日(土)の2日間、同会館で開かれる。施設を設計した建築家と建物のデザインに焦点を当てたトークイベントを行うほか、市民から募った会館での思い出エピソードなどを展示する。これまでの歩みを市民とともに振り返る趣向だ。

 開館は東京五輪開催翌年の1965年5月。戦後復興を経て、高度成長時代に突入すると市民の間で芸術文化に親しむ拠点を求める声が高まり、かつて旧日本軍の砲台や演習地だった深田台の高台の「文化ゾーン」に施設が建設された。前後して市自然・人文博物館(54年)と平和中央公園(70年)が整備されている。

 同会館の設計を担当したのは建築家の松本陽一氏。当時の建築トレンドだった「ブルータリズム(打ち放しコンクリートの力強い表現)」の影響を受けた彫刻的なデザインであり、近代モダニズム建築として高い評価を得た。大ホールはコンサート、演劇、市民発表会、成人式など半世紀以上にわたり多目的に使用されてきた。国民的人気番組の「8時だョ!全員集合」の公開収録が行われたこともあった。中小ホールは、婚礼会場としても盛んに利用され、71年には結婚式場として1166件の利用があったという。

 60周年記念イベントを企画した同館の岡田典一館長は、「時代時代の空気を感じるとともに過去と現在の繋がり、建物の建築的価値や文化が果たす役割を再認識する機会にしたい」と話している。両日に実施されるプログラムは以下の内容。

【マイコレクション2025】ジャンル横断の市民作家による合同作品展示会/19日・20日の午前10時から午後4時

【BUNKA思い出ギャラリー総集編〜文化がつむぐ60年の物語〜】市民に呼びかけて集めた文化会館の思い出エピソードを掲出。時代を共にした上町商店街の貴重な写真も展示/19日・20日の午前10時から午後4時

【タウンニュース「人物風土記」展】2006年創刊のタウンニュース横須賀版(現横須賀・三浦版)のコーナー「人物風土記」を最新号まで一挙公開。19日・20日の午前10時から午後4時

【記念対談〜文化会館建築茶話〜】文化会館の誕生秘話を設計や建築の視点で振り返る企画。建築史家の二村悟氏と川合健太氏が対談/20日午後1時から2時
息を合わせたコンビプレーを見せる結俐さん(左)と絆俐さん

公郷小佐藤兄弟 打て 阿吽(あうん)のスマッシュ 双子でバドミントン全国へ

 公郷小学校4年生で厚木市のバドミントンチームに所属する佐藤絆俐(ばんり)さん・結俐(ゆうり)さんの"双子ダブルス"は、12月19日(金)から広島県で開幕する「第34回全国小学生選手権大会」(4年生以下男子ダブルス)へ出場する。「全国1位」を目標に掲げ、目下練習に励んでいる。

 2人がダブルスを組み、全国大会に出場するのは、初戦敗退した昨年に続き2度目。今年10月に行われた関東予選会では、決勝までの試合をすべて2―0のストレート勝ちで駒を進め、決勝で惜しくも敗れたものの準優勝という好成績を収め、全国への切符を手にした。

鏡像が生む強打

 2人のダブルスの強さは、右利き(弟・結俐さん)と左利き(兄・絆俐さん)の「鏡合わせ」ペアである点だ。特に、右利き選手はコート右奥から左クロスへ、左利き選手はコート左奥から右クロスへと、互いの得意なフォアハンドを活かした強力なクロス攻撃を両サイドから展開できる。これにより、相手コートのサイドライン際を鋭く攻める攻撃が可能に。ここに、双子の「阿吽の呼吸」が加わることで、隙のない強力な攻撃力を生み出している。

 バドミントンは、すでに競技を始めていた姉の影響で、幼稚園年長からスタート。みるみる内に競技にのめり込み、絆俐さんは、今年8月に開催された「第26回ダイハツ全国小学生ABC大会」の3・4年生部門で3位に輝くなど、実力をつけてきた。

素振り1000回

 週末と平日1日の週3回、厚木市のクラブチームまで通い一日中練習漬け。帰宅時間は午後10時を回ることもあるという。それ以外の日は、市内の運動施設などを利用し、母親と協力して鍛錬を積む。母親を相手にダブルスでラリーをしたり、何度もスマッシュを打ち込んだりと、実践的な練習を重ねている。

 自宅での空き時間も無駄にしない。強い球を打つための筋力アップとフォームの定着を図るため、素振りを1000回欠かさず実行する。地道な努力を積み重ね、全国の舞台で戦い抜くための力をつけてきた。

 今回の全国大会は、昨年1回戦で敗退した、雪辱を晴らす戦いという意味も併せ持つ。「必ず優勝したい」。2人は熱意を燃やし、来る大舞台に備えている。

バイオリニストとしてヨコスカ・ベイサイド・ポケットで初のリサイタルを行った 栗原 壱成さん 横須賀市出身 29歳

横須賀の記憶音色に乗せ

 ○…幼少の頃、クラシック音楽が好きな両親に連れられて何度も足を運んだ馴染みのホールに立った。「どこか現実の話と思えなかった」という初の凱旋リサイタル。故郷で演奏した実感がわいたのは、万雷の拍手に地元ならではの温もりを感じた瞬間だった。横須賀で過ごしたのは中学卒業まで。「随分と時間を経て、新しいページにかけがえのない体験が追加された気がする」

 ○…バイオリンを弾き始めたのは3歳の頃。小学2年生の時に初めてコンクールで優勝したことを皮切りに順風満帆な道を歩み、名門・東京芸大付属高校へ進学した。だが、全国から集う才能の渦で挫折。校内試験で最下位になり、「ショックで楽器を校内の草むらに捨てたこともある」。しかし、恩師の励ましで没頭した基礎練習が功を奏し、東京芸術大学は首席で卒業を果たした。

 ○…武山小に通っていた頃、毎日暗くなるまで虫取りや魚釣りに夢中だった。あれから約20年、今や耳の肥えた観客が待つヨーロッパのコンサートホールにも立つ。自然をテーマにした楽曲を弾く時に脳裏に浮かぶのは、あの頃感じた草の匂いや潮の香りだ。音楽家にとって正確な演奏よりも重要なのは、心揺さぶる表現力や研ぎ澄まされた感性。「その資質が育まれた場所は横須賀」と断言する。

 ○…バイオリンは、もはや単なる楽器ではない。弾かない時も肌身離さず持ち歩き、「そばになければ落ち着かないパートナー」だ。寝室でも常に傍らに置くが、「急に本番を迎える悪夢にうなされることが多い」と苦笑。そんなパートナーと成し遂げたい生涯の目標はただ一つ。「その音を聴くだけで『栗原壱成』だと分かるような」唯一無二の音を創り上げることだ。
写真左が長野元市長、右が上地市長

60年前の今昔写真── 同じ場所で何を思う 上地市長と長野元市長

 市文化会館の入口に設置されている定礎プレートを指さす長野正義元市長(第22・23・24・25代=写真左)の姿は、開館時のスナップ写真と思われる。同会館では、これと同じポーズを上地克明市長(第37・38・39代)に依頼して撮影を行った。

 同会館は、軍都・横須賀から文化都市への脱皮を象徴する記念碑的なプロジェクトとして誕生。当時の一流演奏家や人気アーティストに触れる機会を提供した。時が流れてその役割は横須賀芸術劇場が主に担っているが、現在も市民の文化・芸術の発表の場として大きな役割を果たしている。上地市長が掲げる「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」実現の重要拠点のひとつである。
メルキュール横須賀「試験潜水艦たいげいカレー」

「海軍カレー」食べて応援 事業者部会チャリティー企画

 ご当地グルメ「よこすか海軍カレー」の提供店で組織するカレーの街横須賀事業者部会は12月14日(日)、横須賀中央駅Yデッキ下で恒例の「歳末たすけあいチャリティーカレー」を実施する。

 500円以上の募金で「よこすか海軍カレー」「横須賀海自カレー」を1皿提供する。8店が参加し各店約100食(合計約800食)用意。なくなり次第終了となる。地元企業の(株)むらせがカレーと相性の良い米の銘柄である「山形県産雪若丸」を物品協賛する。集まった浄財は神奈川新聞歳末たすけあい募金に全額寄付される。時間は午前11時から午後3時。
カウンターに立つ湊さん

屋台風ホルモン焼 ミナト(米が浜通) BARの常識とらわれない

 BARという非日常の空間に、あえて日常の極みであるホルモンを持ち込んだ常識にとらわれない新コンセプトの飲食店。「ありきたりでは勝負できない」とオーナーの湊勢洋さんが際立つ個性を打ち出している。

 カウンター越しに提供するのは、国産牛ホルモンと自家製タレを使った屋台風料理。以前、勤務していた横須賀中央の居酒屋で培った料理の腕を存分に発揮する。

 ゲーム、アニメ、音楽(ロック)と湊さんの趣味が色濃く反映された店内は、コアなファンを呼び込む工夫が随所に。「人気ゲームからヒントを得た看板のデザインを見てもらえれば、わかる人には伝わるはず」と湊さん。夜が深くなると居合わせた客同士がボードゲームに興じる光景も。

■米が浜通1の2のシンエイビル1階
店舗責任者の田辺さん(右)

サクラベーカリー(久里浜) 焼きたてパンで就労支援

 知的・精神などの障害を持つ人の就労支援を行っているNPO法人創英会が運営する「サクラベーカリー」が、久里浜の黒船仲通り商店街の一角にオープンした。

 同法人は隣接する場所で賞味期限が近づいた品を戦略的に仕入れて安価で提供する「さくらマート」、揚げたてコロッケなどを販売する「さくらマート揚げたてや」を展開しており、今回が3店舗目となる。「個々の特性にあった仕事を提供するには職種のバリエーションを増やすことが必須であり、新分野へのチャレンジを決めた」と田辺栄子さん。同商店街にあったパン屋が閉店したこともあり、店舗構成の多様さを維持する狙いもあるという。隣接する惣菜店の商品を用いたパンなどをリーズナブルな価格で提供している。

■久里浜4の7の11

NPO法人ひまわり 食料や日用品募る 年越しへひとり親に支援

 生活困窮するひとり親世帯の年越しを支援するため、食品や日用品の提供を計画しているNPO法人ひまわりは、寄付を呼び掛けている。同法人が「年越しパック」として2021年から毎年実施しており、例年市内外から多くの支援が寄せられる。昨年は約百世帯へ届けた。

 受け付けている物品は米や餅、レトルト食品、乾物、菓子類などの「食料品」や、マスクや生理用品、洗剤、衛生用品、タオルなどの「日用品」、飲食店の割引券、施設招待券、図書カードなどの「チケット類」。すべて未使用未開封で期限内のものに限る。

 提供先は汐入駅近くのよこすかボランティアセンターで12月19日(金)まで、市民活動サポートセンターでは12月20日(土)まで受け付ける。

 提供された品は12月21日(日)にひとり親世帯へ手渡される。

 詳細は同法人【携帯電話】070・6635・7365(佐藤さん)。
それぞれが掲げる目標へ向けてコースを走った

風を切る“車いすレーサー” 日産追浜工場で記録会

 車いすの走行記録を測る「日産カップ追浜チャンピオンシップ2025」が12月7日、日産自動車追浜工場のGRANDRIVEで開かれ、約90人が参加した。

 26回目を迎えた同記録会は、普段車いすを使用しない健常者でも参加できる数少ない大会。今回は、3Km、5Km、数年ぶりに復活したハーフマラソンが行われた。今年は、手でペダルを回す「ハンドサイクル」の出場が5Kmコースに認められた。先頭でゴールテープを切ったパラアスリートの樋口政幸さんは、「このような大会があるのはありがたい。気持ちよく走る事が出来た」と振り返った。

望洋小児童も体験

 同記録会に先立ち、12月5日には望洋小学校4年生の児童約40人に向けた「車椅子体験会」が、北体育会館で行われた。

 2007年から社会貢献の一環として、希望する横須賀市内の小学校1校へ実施しているイベント。今回は、競技用の車椅子でのスピード測定、障害物を交わしながらタイムを競うリレー、ゴールにボールを投げ入れる体験などを日産社員や車椅子のコーチらの助言を受けながら行った。児童らは「もっと速く回して!」など声を掛け合いながら、車椅子に触れていた。

歩いて知る三浦の田園 ウォーキングツアー

 三浦半島南部に広がる田園風景を楽しみながら歩く「三浦半島さきっ歩ウォーク」が、1月15日(木)に開催される。みうらガイド協会の主催。

 コースは、ベイシアを出発し、松輪入口、岩堂山、宮川公園、宮川大橋を経て、宮川町バス停(希望者のみ解散)、三崎下町、そしてうらりへと続く。午後0時30分ごろ解散予定。

 岩堂山は三浦市で最も高い山であり、頂上からは三浦市ならではの田園風景を一望できる。晴れた日には、房総半島、伊豆大島、そして富士山を望むことができる合計7キロメートルの行程だ。

 集合場所はベイシア三浦店正面入口で、午前9時30分集合(受付開始は9時15分)。

 参加費は一人500円(保険・資料代含む)で、定員30人程度(先着順)。みうらガイド協会ホームページ(https://miuraguide.jimdofree.com/)から申し込む。申込締切は1月10日(土)。

 雨天中止。中止の場合は前日までにメールで連絡がある。参加者は、歩きやすい靴で参加する。

 (問)同協会【電話】046・888・0588
初出場ながら、60歳以上のレジェンドクラスで優勝した安川さん

横須賀市議安川健人さん 限界挑戦、掴んだ栄冠 健康美競う全国大会で優勝

 「健康美」をテーマに、鍛え上げた均整な肉体と知性、品格、表現力などを総合的に競う「ベストボディ・ジャパン」。11月23日に両国国技館で開催された全国大会で、横須賀市議会議員の安川健人氏(65)がレジェンドクラス(60歳以上)で31選手の頂点に立った。「優勝は予想外で、妻も友人も会場に誘わなかった。努力が報われ嬉しい」と初出場での快挙を喜んだ。

地元開催がきっかけ

 今年初め、予選にあたる神奈川・横浜大会が横須賀市文化会館で開催されると知り、「地元なら出てみるか」と出場を決意。3月から本格的な減量を始め、8月の大会までに78kgあった体重を67kgに、体脂肪も11%から3%にまで落とした。

 トレーニングは仕事終わりにジムへ通うのが日課だ。3日間鍛えて1日休むリズムで、1日1時間。鍛える部位を日ごとに変え、大好きなロック音楽を聴きながら励む。

 「仕事終わりに『一杯飲んで行こう』が、『(バーベルを)一回上げていこう』という感覚」というほど、トレーニングはリフレッシュの時間。食事も低カロリー・高たんぱく質を心がけ、栄養学を学ぶほど熱心だ。

 トレーニングの魅力は、「昨日より今日、今日より明日と、毎日自分の限界にチャレンジし、成長を実感できること」。厳しい鍛錬も「体の大掃除」と表現し、「余分なぜい肉をそげ落とすとスッキリする」と楽しそうだ。

スタローンに憧れ

 筋力トレーニングを本格的に始めたのは、大学時代のこと。俳優を志し、学業と並行して文学座附属演劇研究所に通っていた頃、映画『ロッキー3』で目にしたシルベスター・スタローンの見事な肉体美に魅了された。「俳優として大成するのは難しいかもしれないが、せめてこの体だけは誰にも負けないほど鍛え上げよう」

 それから44年、トレーニングはずっと欠かすことはなかった。継続できた理由は、肉体的な強さだけでなく、精神力も同時に鍛えられていることを実感したから。自分自身の成長を毎日感じられ、「どんなことも前向きに捉えられるようになった」という。料理、バイク、シーカヤックなど、年齢を重ねても新しい世界に次々と挑戦しているのも、こうしたポジティブな姿勢があってこそだ。

 「コンテストは、あくまで今の自分の現在地を確認するためのもの」とし、今後の出場については未定である。しかし、「トレーニングは生涯、続けていく」と力強く宣言した。
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いきいき市民塾 地域課題に挑む4団体

 市民活動に取り組む人から始めたきっかけやノウハウを聞く「いきいき市民塾」が12月20日(土)、横須賀市本町の市民活動サポートセンターで開かれる。市民公益活動団体の魅力を発信する横須賀市の広報紙「Yokosuka Link」の創刊を記念して実施される今回は4氏をゲストスピーカーに招く。参加無料。

 地質環境の調査・研究を行い、減災をめざす「三浦半島活断層調査会」(茅野教幸会長)、自然観察や生物調査などを主にする「鷹取山自然観察会」(本多久男代表)、落語や寸劇で悪質商法の危険性を伝える「噺の創造社」(新谷健代表)、高齢者の交流機会創出に努める「えんがわカフェ佐島」(福本幸子代表)が登壇。活動や体験を語る。講演後は参加者とスピーカーとの質疑応答もある。

 午前10時から正午。定員40人。12月19日(金)までに同センター【電話】046・828・3130または【メール】info@yokosuka-supportcenter.jpに申し込む。
店名の由来は豊原さんの飼い犬の名

Eve&Coco(根岸町) 愛犬のための食の相談窓口

 犬の性格や体調にあったドッグフード選びをサポートする専門店を、経験豊富なドッグトレーナーである豊原和秀さんがオープンした。

 犬と飼い主の絆づくりを助け、その行動や心理にも精通している豊原さん。栄養バランスが悪いことで、食事を与えても犬が「体が飢えている」状態となり、気性が荒くなるケースをトレーニングの現場で数多く見てきた。「行動や心理と栄養は密接に関係している」。だからこそ、それぞれの犬に最適なドッグフードを専門知識に基づいて提供したい。この思いが、店を開くきっかけとなった。

 犬連れでの入店も歓迎。散歩コースの休憩場所として、地域の愛犬家同士が自由に交流できるコミュニケーションの場となることも目指す。

■根岸町4の25の10の101/【携帯電話】080・5989・2890
仕入れた旬の魚を調理する樋口さん

鮮魚専門店FishCat(東浦賀) 魚食文化の復権に挑む

 若者を中心に魚離れが進み、大型スーパーの台頭により街中の小売り店は減少。そんな逆風が吹く中、浦賀駅近くに鮮魚店がオープンした。

 今の時代には珍しい対面販売を貫くのは、「おいしいだけでなく、旬があるからこそ季節感も感じられる魚の魅力を直接伝えたい」という樋口光さんのこだわりから。また、処理を面倒に感じて魚料理から遠ざかっている人もいるとみて、店頭には刺身やフライ、煮物などに仕立てた魚を並べている。

 仕入れ状況は日により異なるため、その情報を逐一インスタグラムで公開。SNSの活用は、若者への発信の工夫でもある。ただ、近所づきあいが残る地域とあり、口コミでも情報は拡散。対面販売を通じた交流も生まれつつある。今後は、魚のさばき方などの体験教室も企画予定だ。

■東浦賀1の3の13
3つの空間を運営する鳥山さん(右)

シェアキッチン「TONARI」(佐野町) 「医食住」提供 実験の場

 横須賀市佐野町で鍼灸院と多世代が集うコミュニティ空間「養生カフェ」を開設している鳥山芽衣さんがオープンさせたシェアキッチン「TONARI」。店名は鍼灸院&カフェの横に位置し、みんなのそばにある存在というダブルミーニング。「衣食住の最初の一文字を『医』に置き換えて、すべてを提供することを思い描いていた」と語る鳥山さんの活動の実証実験の場だ。「食は空腹を満たすだけでなく、幸福感とも深く結びつく」。掲げるコンセプトに共感してくれる人たちと共にこの空間を育てていく考え。飲食店の開業を考えている人や隙間時間を有効活用したい人などのチャレンジも後押ししていく。

 シェアキッチンの月額利用料(週1日)は、午前9時から午後6時が1万5千円と安価な設定。

■佐野町1の8の17
10坪の小さな店舗を夫婦で切り盛り

BAKERY Maple(池上) 気さくな夫婦の丁寧な手しごと

 毎日の食卓に並ぶ食パンや惣菜パンを、丁寧な手しごとでつくり出している街なかのパン屋。12月上旬のオープンから連日行列が続いており、地域でちょっとした話題になっている。

 店主の久保悠一郎さんは、葉山町の人気パン屋「ブレドール」ほかで20年にわたり修行を積んだパン職人。長年思い描いてきた独立の夢をこの場所で実現させた。

 フランスパンにクロワッサンなど店頭に並ぶのは40種類ほど。店舗が立地する池上エリアは「高齢者だけでなく、子育て世代も多く住んでいるためどんなニーズがあるのかテストマーケティング中。子どもには『くまちゃんパン』が受けている」と久保さん。イベントなどへの出店も積極姿勢で地域に溶け込むことを最優先にしている。

■池上4の1の3/【電話】046・854・7473

線路下でクリスマス気分 三浦海岸駅で物販や飲食

 三浦海岸駅線路下の地域交流拠点「線路下スぺイスUMICO」で12月14日(日)、クリスマスマーケットが開かれる。BAYSIDE SHAREの主催。同施設は地域活性化を促すイベントや活動に利用できる場として今年7月に開設された。

 ドッグウェア販売の「ViViVi!」や、レディースヴィンテージ古着を中心に取りそろえる「ichiru」、花屋の「Mok.」など6店のほか、カフェやバーなども出店する。

 午前10時から午後4時。入場無料。詳細は「クリスマスマーケット三浦海岸」で検索する。

黒岩県知事「対話の広場」 移住・定住の有効打

 黒岩祐治神奈川県知事と県民が意見交換する「対話の広場」が12月22日(月)、ヴェルクよこすか6階ホール(日の出町1の5)で開かれる。

 テーマは移住・定住促進。都心へのアクセスが良好かつ、豊かな自然を誇る三浦半島に移住者・定住者を呼び込むために必要なことなどを考える。

三浦半島の魅力を高める取り組みを行っている実践者として、農漁業体験事業を展開している(株)シテコベ代表取締役の嘉山淳平氏と三浦半島のご当地ヒーロー「コントラバスヒーロー」の舞台を展開している音楽・映像作家の地代所悠氏が事例発表を行う。

 時間は午後6時から7時30分。参加申し込みは横須賀三浦地域県政総合センター【電話】046・823・0290(平日午前8時30分から午後5時15分)。
メルキュールホテル横須賀「試験潜水艦たいげんカレー」

「海軍カレー」食べて応援 事業者部会チャリティ企画

 ご当地グルメ「よこすか海軍カレー」の提供店で組織するカレーの街横須賀事業者部会は12月14日(日)、横須賀中央駅Yデッキ下で恒例の「歳末たすけあいチャリティカレー」を実施する。

 500円以上の募金で 「よこすか海軍カレー」「横須賀海自カレー」を1皿提供する。8店が参加し各店約100食(合計約800食)用意。なくなり次第終了となる。地元企業の(株)むらせがカレーと相性の良い米の銘柄である「山形県産雪若丸」を物品協賛する。集まった浄財は神奈川新聞歳末たすけあい募金に全額寄付される。時間は午前11時から午後3時。
ペリー上陸記念碑(ペリー公園)

三郎助を追う 〜もうひとりのラストサムライ〜 第24回 文・写真 藤野浩章

 6月9日、久里浜海岸周辺は騒然としていた。陸では川越藩と彦根藩合わせて二千五百名が固め、海上には忍藩と会津藩から二百艘の船がひしめいていた。

 その中で、急遽造られた応接所では井戸弘道(ひろみち)、戸田氏栄(うじよし)の浦賀奉行2名が控えた。両名には阿部正弘から"老中"である信任状が発給され、ご丁寧に将軍の印も捺(お)してあったという。国の行く末を左右する外交の場にニセ者を送るのもすごいが、そのセレモニーの開催を奉行所に丸投げするというのも相当なこと。その奮闘と混乱ぶりは本書でリアルに描かれているが、それを読むと奉行所の結束と責任感、地元の協力が無ければ全く違う結果になっていたかもしれないと思う。

 特に三郎助と"奉行役"の香山栄左衛門は、事実上の政府責任者として、予備交渉から当日の応接まですべてに関わり、完璧なコーディネーターぶりだった。しかもただ"副奉行役"を演じただけでなく、アメリカ船を徹底して見て回ったほか、両国兵士の練度の違いも見逃さなかった。警備の武士の中には武具を慌てて古物商から買ったり、冑(かぶと)の緒の締め方を聞く者までいたという。三郎助は、政治的にも、そして現場の実感としても、日本の未来に暗然たる思いを持ったに違いない。

 ペリー艦隊はその後も江戸湾の測量を続け、猿島にペリー・アイランド、近くの入江にはサスクハンナ湾と勝手に命名するなど、やりたい放題。奉行所は気が気ではなかったろう。

 そしてようやく6月12日に浦賀を出発。三浦半島の沿岸はもちろん、武山の山頂からも、多くの見物人が見送ったという。