港南台駅周辺 「図書館砂漠」脱却 市民訴え 取次サービス求め報告会
市立図書館の図書をインターネットで予約し、図書館以外の場所で受取、返却できる取次サービスの設置を港南台駅周辺に求めている市民団体が、5月29日に活動報告会を開催した。会場の港南台地区センターには栄区・港南区から62人が集まるなど、関心の高さを示した。
報告会は「港南台駅周辺に図書取次サービスの設置を推進する会」が実施。同会は港南台駅近隣に図書館がなく不便だとして2009年に発足以来、取次サービスを駅周辺に設置することを要望している。
当日は呼びかけ人の一人、竹内義裕さんや活動を支援してきた市野太郎市議、市立図書館を所管する教育委員会と港南区役所の担当者が現状を説明した。
栄区民からの希望も
港南台駅最寄りの図書館は栄図書館で約3・1Kmの距離がある。そのため、港南台住民をはじめ、港南台駅を利用する栄区民からも駅の近くに図書館機能を希望する声は根強い。
現在は移動図書館が概ね2週間に1度、港南台中央公園を巡回しているが、滞在時間は1時間と短い。竹内さんはこの状況を「図書館砂漠」と表現し、状況の改善を行政に訴えてきた。しかし、図書館は1区1館が市の方針であり、新設は難しい。そこで次善策として要望しているのが取次サービスだ。
現在、市内では利便性が高い東戸塚駅(戸塚区)と二俣川駅(旭区)の行政サービスコーナーに取次サービスカウンターが設置されている。また、指定管理者が運営する青葉区の山内図書館は地区センターなど7施設で取次サービスを実施している。同会が求めているのは東戸塚や二俣川と同様に、駅近くで行う取次サービスだ。
両駅の取次サービス利用者は、11年度平均で1日あたり東戸塚駅は220人、二俣川駅は130人。特に東戸塚駅は平日の場合、午前7時30分から午後7時まで開館しているため、通勤通学時に利用するケースも多い。週に1度、通勤時に利用するという女性は「戸塚図書館は遠くて利便性が悪い。助かっている」と話す。
両駅の取次サービスについて市教委の担当者は「区から強い要望があり、区局連携事業として実施している。2カ所で年間1300万円かかる費用も戸塚区・旭区・教育委員会の3者で応分負担している」と説明。その上で、市内で取次サービスを新たに設置する場合、現時点では区予算が必要となる区局連携事業であることが条件との見方を示す。これに対し、港南区は「本来、図書館サービスは市教委が考えるべきことで、取次サービスのために継続的に予算を振り分けることは難しい」と話し、両者の見解の違いが取次サービス実現のハードルとなっている。
「図書館砂漠」脱却 市民訴え
サテライト機能整備か
一方で市教委は図書館サービスを充実させる必要を感じており、現在の取次サービスの発展的解消策を模索。鉄道駅など交通拠点で、取次サービスだけに留まらず、情報の提供・発信や情報機器の設置などを含めた図書館のサテライト機能を整備することを検討し、11〜13年度に調査事業を実施している。
調査では市内の駅で乗降者が1日平均5万人を超え、直近図書館との距離が1・5Kmを超える19駅を図書館利用不便地域として設定しており、港南台駅は距離順では鴨居駅(図書館との距離5347m)、日吉駅(同4500m)、東戸塚駅(同3700m)に続いて4番目となっている。
市教委の担当者は市全体で進めている話ではなく、可能性はまだ薄いとしながら「来年度以降にモデル事業を実施できれば」と話し、「港南台駅は図書館利用に関して不便地域の1つ。住民の要望が多いことも認識している。条件や環境が整えばサテライト機能を整備する必要性は高い」と話し、モデル事業の候補地の1つであるとの認識を示した。
報告会参加者からは「年齢を重ね、図書館への移動が億劫になった。早く設置してほしい」「栄区民のためにも駅近がいい」などの声もあり、竹内さんは「駅近で早期に取次サービスを設置してもらえるならば、形にはこだわらない」と話している。また、報告会についても「地元の熱意がストレートに行政に伝わったことが大きな成果」と振り返っていた。
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