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厚木医師会 すこやか通信【1】 胃がん検診について 高橋内科医院 副院長 高橋正信
厚木市では、国が定める健診(特定健診、長寿健診)の他にがん検診(胃、肺、大腸、前立腺、乳がん、子宮がんなど)を行っています。この項では「胃がん検診」について御紹介していきます。
【1】厚木市胃がん検診の現状について
集団検診と施設検診に分かれて40歳以上の方を対象に行われています。集団検診はX線直接撮影(バリウム)検査で平成28年度は3137人の方が受診されています。施設検診とは、医療機関で個別に受診するがん検診です。リスク検診、内視鏡、X線直接撮影(バリウム)検査の3種類方法があります。施設検診全体で平成28年度は1万1803人受診されています。
【2】どんなときに受けたらよいか
がん検診を受診する方はさまざまな理由で受診されていると思います。知り合いや親類にがんを患った方がいて心配になったから、がん検診が受診できるのでこの機会に受診したい、自分ががんに罹っていないか心配だから。など、どのような理由でもがん検診を受診することは、胃がんの早期発見につながります。
ただし、一つだけ注意することがあります。「今のところ胃の調子が良いので検診を受ける必要がない、調子が悪くなってから受ければ良いのではないか」と言われる方がいます。
胃がん検診に限ったことではありませんが、がん検診の目的は早期発見して早期治療をすることです。
それでは胃がん初期症状にはどのような症状があるのでしょうか。
一般的に胃がんの初期症状は症状がないことが多く、がんが進行しても無症状なこともあります。また、胃の痛み、不快感、吐き気、胸やけ、げっぷなどの症状がみられることもありますが、普段胃の調子の悪い時や、胃炎などの症状でも経験する症状のためにがんの症状と気づかないことも少なくありません。
がんの進行が進むと、吐き気、食欲不振、体重減少、貧血などの症状がでてきます。
つまり、早期胃がんは症状がないことが多いため「症状がないため検診を受ける必要がない」と考えるのは早期発見、早期治療の機会を逃し、がんが進行してから発見されることになりかねません。以上の理由から、胃がん検診は症状のない方が受診することが早期発見につながるため一番おすすめいたします。
もうひとつ、早期胃がんと進行胃がんを治療した場合にどのくらいの治療結果に差が出るかも御紹介しようと思います。
(図1)のグラフはもっとも早期胃がんのStageIAからもっとも進行胃がんのStageIVまで、5年後に生存している割合をグラフにしたものです。もっとも早期のStageIAのグループが5年後に93・4%生存しているのに対して、もっとも進行したStageIVのグループは5年後に16・6%の生存となっています。このグラフを見ていただければ胃がんに関しては早期発見することがもっとも重要となることは一目瞭然です。
【3】胃がん検診の方法と選択
集団検診、施設検診(医療機関で行う)を合わせて3種類の検診があります。
i)X線直接撮影(バリウム)
造影剤であるバリウムと、胃を膨らませる発泡剤を飲んで行うレントゲン検査です。病変が見つかった場合は後日精密検査として、内視鏡検査を受けることになります。
)胃内視鏡検査
胃内視鏡検査は、胃カメラを口もしくは鼻から挿入し、直接、消化器粘膜を観察する検査です。以前、国は死亡率減少のデータがないとして内視鏡検査を推奨していませんでしたが、死亡率を減少させると判断されたため28年度よりX線直接撮影に加えて正式に推奨されることとなりました。
)胃がんリスク検診
リスク検診は血液検査でピロリ菌の有無とピロリ菌が原因となる胃粘膜の萎縮があるかどうかを判定し、胃がんになりやすさ(胃の健康度)を判定する検査です。
注意していただきたいのは、この検査はがんを見つける検査ではないことです。
胃がんになりやすい状態かどうかを判定するものの、がんそのものを見つける検査ではありませんので、精密検査が不要と判定されても、がんがないとは言えませんので注意が必要です。
またこの検査は一度受診したら最低でも5年経過するまでは受診の必要がありません。
ピロリ菌の有無は自然に変化することはなく、胃粘膜萎縮は非常にゆっくり進行するために複数回受診する意義はあまりないとされています。
精密検査が必要と判定された場合は内視鏡検査を行い、必要に応じてピロリ菌の除菌を行います。
日本人の死亡原因のうち悪性新生物(がん)が一番多く、そのがんのうち胃がんが男性の2位、女性の3位となっております。(図2・3参照)
私達の健康、寿命に大きくかかわる胃がんという疾病に対して一人でも多くの皆さまに胃がん検診を受けていただきたいと思っております。
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