全国図書館協会から感謝状を贈られた「本の修理いそご」の代表を務める 小野田 真さん 中原在住 80歳
本の修理、各地で花開け
○…ボランティアグループ「本の修理いそご」の代表として、図書館にある壊れた本や傷んだ本の修理に携わる。長年の功労に対し、このほど、全国図書館協会から感謝状が贈られた。「良い仲間たちに恵まれ、図書館からの気配りにも支えられた」。感謝の言葉とともに、長いようで短かったというこの10年を振り返る。
○…定年後の第2の人生として、妻の薦めもあり、製本の講座に参加。受講後は「手作り製本の会」というグループで本作りを続ける。技術を身に付けようと活動にのめり込むも、次々とできあがる本の始末に悩むように。作る以外で製本を学ぶ手段として「図書館で壊れた本を直させてもらおう」と磯子図書館に直談判。「素人が頭をひねりながら試行錯誤する姿」を「無謀なことばかり」と恐縮する。一方で、市内初の本の修理ボランティアは、他区の見本となっていく。
○…新宿区牛込の出身。近所には夏目漱石が晩年を過ごした家があったり、出版社に勤める父親の書斎で本を読み漁ったりと、少年時代は本と身近な生活を送る。小学生のころには戦争が激しくなり、親戚のいる愛知県に疎開。「両親や兄弟とばらばらで過ごした子ども時代だった」と寂しげな表情を浮かべる。終戦後東京へ戻り、中学、高校へ進学。経済学を専攻した大学時代は「生涯の伴侶と出会えたことが一番の思い出」と頬を赤らめる。
○…製本や修理といった本の活動以外にも、パソコンの勉強や地域の男性たちとの交流会「お父さんの井戸端会議」にも参加する。「リタイア後の男性が地域活動に参加する、はしりの時代を経験してきたのかも」。そのアクティブさからか、地域の中でも顔が広い。今後の抱負について「年寄が出しゃばってちゃだめだけど」と照れ笑いするも、「いろんな図書館で、修理の活動が深まっていけばいいなと思っているよ」とにっこり。各地で取り組みが花開くのを見守る。
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