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戸塚区・泉区 スポーツ

公開日:2025.11.06

戸塚町の双子・齊藤兄弟
知的障害背負うもサッカーで活躍
国際大会にも出場

  • 齊藤光汰さん(左)と壮汰さん

 戸塚町に在住する、双子の齊藤光汰さん(兄)と壮汰さん(弟)。二人はASD(自閉スペクトラム症)を背負いながらも仕事とサッカーの両立に励んでいる。今夏には知的・発達障害者による国際大会で活躍した。

個性で歩んだ道のり

 現在20歳となる2人のサッカー人生は、下郷小学校1年生のとき、ともに地元「日の出キッカーズ」入団から始まる。

 現在は高い評価を得る光汰さんも当初は試合に出られない日々が続き、「何度も辞めたいと思った」と振り返る。それでも持ち前の負けず嫌いな性格と、「中途半端に終わりたくない」という強い意志で、南戸塚中学校でもサッカー部に入部、3年間ゴールキーパーを務めた。2年生ではチームの12年ぶりの県大会出場に貢献するなど、着実に実力をつけていく。

 一方「辛いことがあるとすぐに落ち込んでしまった」と話す壮汰さんは、小中学校ではサッカーから離れていた。だが、「兄が憧れで自慢の存在だった」と明かす。

 光汰さんは、日野中央高等特別支援学校に進学。中学の顧問の先生から知的障害者のサッカーチーム「横浜F・マリノス フトゥーロ」の存在を知らされ、高校入学と同時に加入。部活動とクラブチームの掛け持ちに。高校の監督からフィールドプレーヤーへの転向を勧められ、新たな才能を開花させていく。フトゥーロでは加入後すぐにトップチームに昇格し、攻撃的なポジションで活躍の場を広げていった。その努力が実を結び、知的障害者のフットサル日本代表に選出。11月28日〜12月7日にスペインで開かれる世界選手権に出場する。

 壮汰さんに転機が訪れたのは、鎌倉支援学校高等部への進学後。サッカー部があったことから、「もう一度やってみよう」と決意。3年生の時には、その真面目な姿勢が評価され、キャプテンに任命された。そして学校の先輩から誘われたことをきっかけに、フトゥーロの体験会に参加。正式に加入した。

感動的な瞬間を創出

 横浜F・マリノス フトゥーロが、今夏米国で開催された知的障害などのある選手のための国際大会「GENUINE WORLD CUP 2025」に参加。2人は代表選手として同じピッチに立った。ASローマ戦で、光汰さんが右サイドから上げた鋭いクロスに、壮汰さんが利き足の左足でダイレクトに合わせ、ゴールネットを揺らす感動的な瞬間が生まれた。

 光汰さんは「トップチームの選手に合わせるくらいの、かなり速いボールだったのに」と驚きを隠さない。壮汰さんは「絶対に決めてやろうと思った」と語気を強めた。「会話をしなくても、お互いのことが何となく分かる」と二人は笑顔を見せる。

 現在光汰さんは、事務職として働き、壮汰さんは仕事の基礎を学ぶため、就労継続支援B型事業所に通う。

 「サッカーをずっと続けていきたい」。ともに生涯現役を誓っている。

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