川崎の地酒「田(でん)ゆう」を復活させるプロジェクトが18日、中幸町で始まった。生産に関わった人や市民ら約50人が集まり、復活に向けた課題を解決するアイデアを出し合った。
「田ゆう」は、麻生区で生産された酒米で醸造され、紺屋町のたけくま酒店で販売されていた日本酒。誕生のきっかけは、たけくま酒店代表の宮川大祐さんが2000年頃、「川崎に愛着をもってもらえるような地酒を作りたい」と親交があった宮前区の農家、持田正さんに相談したこと。持田さんは、知り合いの農家に呼びかけて麻生区の畑で酒米を生産することを提案。その後、海老名市の酒蔵、泉橋酒造の協力を得て02年頃から販売を開始した。
田ゆうは、年間2000本売り上げたこともあったが、作り手の農家の高齢化などによって12年頃、生産を中止。幻の地酒となっていた。
復活プロジェクト開始の契機となったのは、川崎の活性化などに取り組む(一社)カワサキノサキ代表の田村寛之さんが昨年の夏頃、持田さんから田ゆうが販売されていた話を聞いたこと。田村さんは「川崎の地酒が無いなら復活させたい」と、同法人のメンバーや知人の農家などに相談。市民に興味を持ってもらえるように、市民の参加を募って復活に向けて動き出すことを決めた。
今年4月には有志で海老名の酒蔵を見学し、9月には同プロジェクトが川崎市の農商工等連携推進事業にも採択された。
キックオフミーティングの18日には、宮川さんや持田さんをはじめ、生産に関わった人らが集合。これまでの経緯や今後のプロジェクトへの思いなどを話した。
その後、資金集めの方法や販売時の告知方法など、同法人が復活に向けて事前に洗い出した課題を解決するアイデアを出し合った。参加者からは「資金はクラウドファンディングで募りたい」「18歳で田植えをして、20歳の成人式で飲めるようにするのはどうか」「昔の田ゆうにとらわれない新しい酒を造りたい」といった意見が挙がった。今回募った意見を基に、同法人が今後のスケジュールなどを検討し、来年5月の田植え開始を目指す。
宮川さんは「農家や酒蔵、酒屋だけでは生まれない様々なアイデアで、新しい形の田ゆうになれば」と話した。持田さんは「酒造りを通して一人一人にドラマが生まれたら面白い。できることは応援したい」と期待を寄せた。田村さんは「予想以上に興味を持ってくれた人が多く、良いスタートができた手応えを感じる」と語った。
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