お手てを貸して
前回の続きです。「すごく楽しいこと」を教えましょう。
今まで声をかけてくれなかった方が「大丈夫ですか?」と声をかけてくれる。あまりにも多いから、私の方から「ありがとうございます」と言って手を握ってすり寄って「かわいそうでしょう?」と言う。肩を抱いて優しくね。もちろん女性ですよ。男は相手にしません(笑)。――障害を持ちましたが、すこし楽しみが増えました。
介護塾で「仙骨をたてて」そっくり返らないようにと教わりました。だんだん正座も長く出来るようになり、手を使わずに立ち上がれるようになって、塾長は喜んでくれました。
健常者は障害者に対して細かい事を聞きにくいものです。でも私は障害者になって、気楽に聞くことができるようになりました。ある日、塾長から「車いすの彼と腕相撲してみて」と言われました。車いすの彼は筋肉隆々。私はほとんど動かない右手。塾長から耳打ちを頂いた。いざ勝負。私が勝った!「そうです。力の配分でどうにでもなるのです」。
――障害者になった途端、大勢の女性から声をかけて頂けるようになり、私も気軽に声をかけて茶会に出られるようになりました。「あぶないところは、お手てを貸して」と。何事も自分に良かったことを探すのが生きるコツです。
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