道の駅清川で販売中の「苔玉」を製作している 山西 輝雄さん 清川村煤ヶ谷在住 68歳
苔の不思議に魅せられて
○…握りこぶし程の大きさの土玉を、青々とした苔が覆う。土玉の頂点には身近な山野草が植えられ、まさに手のひらサイズの「庭」のよう。道の駅清川で販売されている「苔玉」は、部屋のインテリアとしても人気が高い。「おかげさまで好評をいただいて、よかった」とにこやか。
○…横浜市で生まれ、長く大和市に住んだ。1年半前に清川へ移り住んだとき、隣人に苔玉を見せてもらった瞬間に「作ってみたい」という衝動に駆られた。苔玉を作ったことはなかったが、自宅の庭など身の回りに素材はふんだんにある。図書館で書籍を読み込み、独学で製作を開始した。根の形状など、苔玉にできる苔の種類は限られる。自身で苔を選定。こだわりは一年中楽しめる「常緑」であることと「身近な草花を活用する」こと。「ごく普通の草でも、苔玉と一緒にすることで興味を持ってもらえる」と目を細める。
○…「物づくりは昔から好き」とほほ笑む。馬の蹄鉄を材料に、小さなサイズの蹄鉄をモチーフにした指輪やペンダントを作る「彫金師」として20年以上働いた。彫金から離れてからはトラックのドライバーを10年ほど勤めたが、定年退職した後に清川へ。「自然豊かで環境が整っていて、まるで苔玉を作るためにここへ来たみたい」と、すっかり清川が気に入っている。昔から青々と群生する苔には不思議な魅力を感じていた。「自宅にみっしりと苔むした大きな石があって、眺めているだけでため息がでるよ」というほどの苔好き。「何カ月も水を与えなくても生き延びるし、枯れたように見えても水を与えるとまた蘇る。不思議な植物だよ」と身を乗り出す。
○…苔玉に次ぐ新たな試みとして、防腐・防水処理した切り株に苔や植物をあしらった作品にも取り組んでいる。試作品は順調で、完成も間近だという。「小さなサイズで楽しめる苔庭といったところかな」と瞳を輝かせる。