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旭区・瀬谷区 社会

公開日:2013.03.21

ピック病と闘い、自己の道を
元公務員・中村さんが講演

  • 体験談を話す成信さん、左は兄の彰信さん

 旭区認知症啓発講演会が3月13日、旭公会堂で開催され、ピック病の中村成信さんが認知症への理解を深めてもらおうと、兄の彰信さんとともに登壇し、自身の体験について語った。

 茅ヶ崎市の文化推進課長だった成信さん。市の環境事業に奔走していたが、2006年、スーパーでチョコレートを万引きした疑いで現行犯逮捕された。成信さんは身に覚えがなく否認したが、メディアは「万引きした公務員」と実名で報道。やがて、懲戒免職処分となった。後に受けた大学病院の検査で受けた診断名は、「ピック病(前頭側頭型認知症)」。若年性の認知症の一種で、日常生活での異常行動や怒りっぽくなるなどの性格変化が見られる病だ。思い返せば、同じ柄のネクタイを何足も揃えたり、トイレットペーパーを毎日買ってきたりなど以前から異変はあった。「周りの人がもっと早く気付ければ違ったのかな」と彰信さんは当時を振り返った。

 事件の影響から地域で避けられることもあった。しかし、新聞記事で成信さんの病気のことが取り上げられたり、仲間が「支える会」を発足させたこともあり、処分は停職6カ月に軽減。それを機に、趣味の写真やソフトボールに打ち込むようになり、現在はボランティア活動にも励んでいる。

 成信さんは最後に、「認知症は負のイメージがあり、隠す人が多い。でも、家に引きこもっていては、進行を進めてしまう。当事者や家族は認知症であることを公表してほしいし、地域もそれを理解してほしい」と語った。

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