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泉区 コラム

公開日:2023.05.04

もじゃくん先生の「こどもたちの可能性を、未来に」
vol.8 「不安と希望」

 新年度がはじまりました。こどもたちは様々な不安を抱えています。居場所に元気に通ってきた子、居場所に涙ながらに来た子、学校に行く決意をした子、決意はしたけれど学校には行けなかった子、様々な不安や葛藤から体調を崩した子――。本当に一人ひとりが自分と戦いながら、それぞれのスタートを切ったことに、心からの声援を送りたいです。

 4月は、ひらひらと舞い降りる桜の花びらのように、こどもたちの気持ちもまた揺らめきながら、着地していくように思います。

 

 3月26日。かけはしの居場所では、7名の中学3年生たちが卒業しました。こどもたちが企画した「卒業おめでとうパーティー」では、7人の一人ひとりがその子らしい姿、言葉にならない思いを伝えてくれました。一人の子は、最後に「さよならは、あたたかい」という言葉を残して、自分で決めた高校に向かって、巣立っていきました。

 4月1日。その子から連絡があり、会いに行くと「不安で仕方ない」と話してくれました。「なにが不安なの?」と聞くと「高校に行けるか不安」と返ってきました。私が「そっかー。そうだよね。でも希望もあるでしょ?」と返すと、「あたりまえでしょ。希望があるから不安があるんだよ」と。私は、その子の感性に感動すると同時に、その子からこれまでもたくさんのことを教えてもらってきたことを思って、感謝で胸がいっぱいになりました。

 

 不安と希望は表裏一体。どちらもあるから、前に進もうとしたり、立ち止まったり。だけど、ちゃんとその子自身が自分と向き合えているから、自分で不安を裏返して、希望を表にしていける。うん!きっと大丈夫。別れ際に見せてくれたその子のまなざしは、確かな希望に満ちていました。

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