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泉区 コラム

公開日:2023.06.01

泉の寺院探訪 【2】南竺山 密藏院 正覚寺 
「花・緑あふれる寺院」
(和泉町・真言宗)このコーナーでは泉区仏教会の13寺を紹介していきます

  • 田中住職=本堂内で撮影

  • 本堂そばに立つ弘法大師像。巡拝後に受付で新申請すると「結願之証」がもらえる。

  • 茅葺屋根の鐘楼堂と梵鐘

  • 以前の境内の様子(模型)。環状4号を越えたところに門前のイチョウが残る

 密蔵院(和泉町727)の開創は年代不明だが、古文書には戦国時代末の1545(天文14)年に没した祐海法印が開山と記されている。鎌倉青蓮寺の末寺として、本尊は願行作とされる不動明王。江戸末期に本堂、庫裡は焼失したが1835(天保6)年に本堂が再建され、現在に至る。梵鐘は1795(寛政7)年に完成したが、第二次世界大戦末期に軍に供出し、現在あるものは1966(昭和41)年に奉納されたもの。

 「以前は木々で鬱蒼とした境内でね」と懐かしむ田中龍彰住職(71)。門前を通る道からは木々に遮られて本堂が見えず、「お寺がどこにあるか分からず、通り過ぎてしまったよ」という声をよく聞いたという。幹線道路環状4号線の開通に伴って境内の多くを提供し、様相が大きく変わった。

 本堂の脇にあったハクモクレンが大きく沢山の花をつけることで有名で、県外からも多くの人が撮影に訪れていた。だが、境内を提供した際に環境が変わってしまったため、枯れてしまったという。田中住職は「残しておいた幹から新しい枝が伸びてきている。数年後には花を楽しめるかも」と期待を寄せる。

四国八十八カ所巡り

 境内には弘法大師像が立ち、足元には四国八十八カ所霊場の名が並ぶ。名が入ったプレートの下には田中住職が各寺から持ち帰った砂が納められている。「お砂踏み」という昔からある風習で、実際に遍路するのと同じご利益があるという。「現地に行けない人も気軽に参拝していただければ」と田中住職。

 「『来る者は拒まず』が本院の精神。参拝しやすいように境内には緑や花が絶えないようにしています」と話し、年中行事はもちろん、地域の人たちとの交流を大切にする。「コロナ禍もあり、停滞していたさまざまなことが再開しつつある。多くの人の心の拠り所になれば」と話した。

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