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泉区 コラム

公開日:2023.06.29

もじゃくん先生の「こどもたちの可能性を、未来に」
vol.9 「本物の体験」

「もう二度とやりたくないけど、一生モノの体験ができた」

 先日、天王森泉公園のご厚意で、田植え体験をさせていただいた後に、かけはしの居場所に来ている子が話した言葉です。その子は、泥の中に足を入れることも好きではなかったのですが、田植え体験をやってみたいという気持ちで参加し、好きではないことに挑戦しました。その後、その子はサツマイモの植え付けにも参加するなど、自分の興味関心を広げながら、新しい世界との発見をしながら、新しい自分も発見しているように思います。

 その子が最初に居場所にやってきたときは、タブレットやゲーム機をもってきて、動画を見たり、好きなゲームをしたりしていました。居場所に慣れてくると、すぐに友達ができて、笑顔で過ごすようになりました。そして元気が出てくると、企画されたイベントにどんどん参加するになりました。

 居場所にとって大事なことは、こども自身の「自己決定」であり、そこに大人の強制はありせん。しかしながら、私たち大人は何もしないわけではありません。こどもたちが「やってみたい」と思うようなイベントや講座を、一人ひとりの子どもを想像しながら考えること、こどもたちの「やってみたい」に繋がるような声を対話の中で拾い上げ、一緒に企画すること、そして泉区の豊かな地域の材や魅力的な方々と、こどもたちを出会わせること。「たった一人のため」に行ってきた企画や講座が、結果的にいろいろなこどもたちにとっての大切な「本物の体験」になっていることを実感しています。

 好きなものもとことんやれる居場所でもあり、好きではないものにも自分から挑戦しようとしてみる居場所としてあり続けられるのは、協力して支えてくださる地域の方々、ボランティアの方々のおかげです。本物の体験を支える大人の存在は、こどもたちにとって『宝者』です。

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