泉区 コラム
公開日:2023.08.17
泉の寺院探訪 【4】貯徳山 中田寺(ちゅうでんじ)
「今と繋がる歴史あり」
(中田北・浄土宗)このコーナーでは泉区仏教会の13寺を紹介していきます
中田寺(中田北2の11の41)は江戸時代初期、中田村の領主・石巻康敬が開基となり、1612(慶長17)年に良廓により創建された。当時の中田村は未開の山里で人家も少ない寒村だったが、康敬はこの地の御霊神社を村の鎮守として再興するなど土地の発展に20年以上尽力した。同寺を創建した翌年、80歳の生涯を閉じたと伝えられている。
本殿には仏師・定朝の作と言われる本尊の阿弥陀如来立像、境内には康敬の持仏堂だった十一面観音を置く稲葉堂などがある。
同寺の第20代・香川隆真住職(42歳)は2009年に晋山式を執り行った。香川家は明治初期、尾張国出身の第17代・法隆上人が同寺に移ったの始まり。
経済、学問の中心地
明治中期ころ、中田村では不作が続き、多くの農家が借金を抱え、田畑が人手に渡り、村を後にする者も多かった。その時、法隆上人が「一日一銭貯金(賽銭貯金)」を提唱。肥料などを村全体で購入し、農産物の増産を図り、経済復興をなす一助となった。
同寺駐車場脇には「中田学舎誕生の地」と書かれた碑がある。明治5年に学制が発布され、この地に中田学舎が誕生したことを示すが、それ以前の江戸初期に同寺内で小山三郎兵衛が開いた寺子屋があり、県内で最も古い寺子屋と言われている。「先人たちの活躍で、中田寺は農業や学問の中心地だった。今後も信仰の場として、人々が集う場になれば」と隆真住職。
先祖供養の大切さ
毎年11月3日に行う「十日十夜会」は阿弥陀仏への感謝や人々への現世安穏を祈り、地域住民や多くの信者が集う。露店も出て、賑やかな年中行事だ。「今年はコロナ以前と同じようにできれば」。大施餓鬼会、春・秋季彼岸会など年中行事の機会を中心に隆真住職は「先祖供養の大切さ」を説く。「どなたも先祖の方々がいて、今の自分があることを忘れないで欲しい」と話す。そして「いつでも先祖供養ができる場になれば」。
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