栄警察署の25代目署長に就任した 山地 達也さん 57歳
地域に溶け込み、絆強く
○…栄警察署の署長に就任して2ヵ月。「ゴールデンウィーク中も空き巣被害がなく、今年に入ってからひったくりもない。住民が防犯パトロールをやっていて意識が高い」と栄区の印象を語る。本郷台駅ができた1973年、警察学校に入学。39年ぶりに帰ってきた栄区の地、「外に出て地域に溶け込み、より安全なまちに進化させたい」と話す。
○…平塚市出身。高校時代所属していた剣道部の先輩が卒業後、平塚駅前の交番に勤務していたことから、”地域のおまわりさん”に憧れ、警察官を志した。しかし、警察学校卒業後の勤務は、山間部で遭難・滑落した人を発見し、救急に引き渡す第二機動隊山岳レインジャー。その後は語学力を買われ、警察庁の暴力団対策部や県警国際捜査課、繁華街を抱える警察署の刑事課などに勤務。40歳の時にはFBIのロサンゼルス支局に出向、1年間韓国で駐在官を務めるなど、国境を越えて暴力団組織の情報収集や密輸事件の捜査などにあたり、テレビドラマさながらの刑事畑を歩んできた。「みんなそれぞれに面白さがあった」と振り返る。
○…栄署に赴任前の勤務はヘリで警らする警察航空隊。昨年3月10日に着任し、翌日、初のフライト中にあの大地震が起きた。県内を一望できる上空。見渡す限り、山崩れや火災などはなく安心したのもつかの間、津波を警戒し、上空から海岸にいるサーファーに避難を呼びかけた。「機械が停止したコンビナートから上がる黒煙や校庭に避難する子どもたちの様子が印象に残っている」という。
○…料理やテニス、落語など「趣味は広く浅く」。家族のもとを離れて官舎で暮らす今も自炊はお手の物だ。高校時代に身につけた落語は警察学校で披露したこともある。「栄区は高齢化率が高い。ストーリーを考えるのは難しいけど、”振り込め詐欺防止落語”などをやる機会があれば」。安全・安心なまちへ、区民と固い絆を結ぶ。