9月27日から30日まで、20年ぶりの個展「ふたたび 四季織々展」を開く 石黒 陽子さん 桂町在住 64歳
創作は生きるエネルギー
○…自宅兼アトリエには、織物や草木染め、陶芸など、さまざまな作品が所狭しと並ぶ。目前に迫った20年ぶりの個展―。「20年前は知人がたくさん来てくれた。また今、みんなに会いたいから」と開催を決めた。知人への招待状を1000枚用意したが、その大半はこの20年間で知り合った人たち。「また新しい出会いがある。アートをきっかけに輪が広がれば」と期待に胸を膨らませる。
○…短大の家政科を卒業後、デザインの専門学校へ。「糸だけあればいつでも織れるところが合っていたと思う」と織物に魅せられた。しばらくして一冊の絵織物の本に出合う。著者の織物教室が横浜や都内で開かれていることを知り、子育ての傍ら10年以上に渡って通った。その後も地区センターの陶芸教室や横浜自然観察の森の雑木林ファンクラブに参加し、森林資源を利用した作品をつくるなど、地域とかかわりをもちながら創作活動を続けてきた。それぞれジャンルは異なるが「子どものころから自然が好きだった」と言い、「自然」が共通のテーマだ。
○…「60歳の節目に一人ではできないものづくりをしたかった」と4年前から栄区の劇団ジーバジーバにも所属している。「みんなでやると楽しさも倍」と笑顔。そこで学んだのは「客を呼ぶのも演劇の一つ」ということ。「見て感動してもらい、つながりができて輪が広がる」それは作品展の際にも共通している。
○…「いつ、何があるかわからない」。東日本大震災や時の流れの中で、やりたいことをやれることへの感謝の気持ちが強まった。招待状にも印刷し、個展のエントランスにも飾る予定という作品「ハートマンダラ」は「好きなものを自分のために織りたい」と2年の歳月をかけた力作。穏やかな日々への願いを込め、四隅に蓮の花の一生を描いた。「好きなものを飾って、人とのつながりで元気になれる」個展を前に、エネルギーに満ち溢れている。