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東急建設 上郷開発計画ふたたび 市に都市計画提案

公開:2014年1月30日

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 東急建設(株)は1月17日、瀬上市民の森に隣接する栄区上郷猿田地区約31・9haについて都市計画提案を横浜市に申請した。約12・5haの市街化調整区域を市街化区域に変更して開発することなどが柱だが、約7割を緑地とするなど、緑地保全に配慮した姿勢を示している。一方、21日に行われた提案説明会では自然破壊や周辺の影響を懸念する住民や市民活動団体から反対意見が多数出されるなど、開発行為への理解は深まっていない。

開発計画

 都市計画提案がなされている約31・9haは、ほとんどが市街化調整区域。このうち緑地は樹林地を保全する特別緑地保全地区約11・2haと都市施設の公園約7・9haなど計21・89haで、総面積の68・6%を占める。市街化区域へと変更するのは約12・5haで、このうち宅地面積は低層住宅用地約2・04ha、事務所店舗用地約1・66haなど計5・2ha。

 提案によると、計画地区の中心を縦断する舞岡上郷線の北西側を「地域の活性化に資する持続可能な市街地のエリア」、小川アメニティを中心とした「自然的環境の保全を図るエリア」、両エリアをつなぎ、舞岡上郷線の南西に接する「グリーン・ゲート・ゾーン」の3エリアに分けている。このうち、市街地エリアとグリーン・ゲート・ゾーンを市街化区域に変更する。

 市街地エリアは、舞岡上郷線沿いにホームセンターや内科・整形外科など3、4診療科が入居するクリニックモールを誘致するほか、店舗・事務所・共同住宅を配置する。また、ホームセンターに備蓄庫機能を持った地域防災支援施設も併設する。それらを囲うように戸建住宅地と現存する樹木を保全する。計画人口は1000人弱となる。

 自然保全エリアは、基本的に開発を行わず、「上郷町石原特別緑地保全地区」として樹林地を保全するほか、農地を中心とした区域を都市施設の公園「瀬上自然公園」約3・8ha、「上郷里山公園」約4・1haとする(名称はいずれも仮称)。

 グリーン・ゲート・ゾーンは、瀬上市民の森など円海山周辺緑地への玄関口として緑の利用を高める公益的な施設の設置場所とするほか、市街地エリアを整備するために必要な調整池を、ビオトープをイメージした多自然型雨水調整池とし、現存する水路を南側に移設。新しい水路流域を親水広場となるようにする。

 一方、2車線の暫定供用となっている舞岡上郷線についても拡幅整備と「神奈中車庫前」交差点改良による渋滞緩和を計画する。

 計画地内の都市施設の公園2カ所などは横浜市へ無償で譲渡を提案している。また、特別緑地保全地区については無償か有償か明らかにしていないが、譲渡の方針を示している。

自然への影響は

 同社は自然保全エリアの蛍をはじめとした現存する動植物の生息環境を保全するように最大限配慮する。また、市街地エリアとグリーン・ゲート・ゾーンの整備では、各エリアで現在生息する希少な動植物や大径木などについて、環境アセスメントにのっとり、自然保全エリアへの移植を徹底するとしている。

今後の予定

 横浜市は同社の提案を受け、3月に説明会、5月に公聴会を予定する。その後、夏ごろを目途に建築局長を委員長とする横浜市都市計画提案評価委員会が、都市計画の決定・変更をする必要があるか判断する。決定・変更が必要と判断された場合は市が素案を作成し、説明会などの都市計画手続きが進み、都市計画審議会が都市計画とするか審議する。市街化調整区域から市街化区域に変更するなど、区域区分の変更(第7回線引き見直し)は、2016年度に行われる見込みで、同社もこのタイミングでの変更を希望している。

前計画は頓挫

 同社は07年にも同地域の都市計画提案を行っているが、前回は地域住民の賛同が得られないなどとして08年に白紙となった経緯がある。前回は総面積33・4haに対し、緑地面積16・92ha、宅地面積11・7haだったため、今回の提案は緑地を増加し、宅地を減少させた内容となっている。

反対意見多く

 21日には本郷地区センターで「上郷・瀬上の自然を守る会」(山仲章介代表)による説明会が行われ、同社の今井博史プロジェクトリーダーが約50人の参加者に提案内容を説明した。

 参加者からは「人口が減る中、自然を破壊して、市街化地域を作らなければならないのか」などの反対意見や質問が相次いだ。

 今井氏は本紙の取材に対し、子孫に宅地を残したい地権者の思いや緑地保全への思いを踏まえ、同社が仮登記分を含めて約65%の権利を持っていながら、緑地を7割返すという「会社としてぎりぎりの選択」をしたと説明している。

 一方、守る会の山仲代表は「開発予定地の中の説明や、周辺地域に対する影響などについて、非常にずさんな計画という印象を受けた」と話しており、緑地と自然の保全を求める10万7000筆以上の署名を2月上旬に林文子市長と横浜市会に提出する意向だ。

 今井氏は「まだまだ私たちの説明が足りていない。自分たちだけではなく、地権者の思いを含めて説明していきたい」と話している。

開発する市街地エリア
開発する市街地エリア

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