2015年度のスタートに当たり、本紙では林文子市長に単独インタビューを行った。林市長は新年度を「将来に向け、横浜を成長させていくための年」と位置付け、都市基盤整備などを通じ、横浜を新しいステージにしていきたいとの意欲と決意を示した。
総額1兆4955億円、前年度比5・4%増のプラス予算となった一般会計予算について林市長は「先人が打ち出した6大事業構想も既に50年。作ってもらった都市の骨格を飛躍させていく時が今」との時代認識を念頭に策定に当たったことを明らかにした。その上で「この時期にやらなければならない整備を重点的に進める予算とした」ことを強調した。具体的には、「区庁舎・市立学校の耐震化」「横浜環状道路の整備」「山下埠頭の再開発」「公共建築物の老朽化対策」「米軍基地の跡地利用」などをあげ、これらの推進を通じ横浜の成長を図りたいとの意向を示した。
扶助費も拡充
同時に、「女性、子ども、若者、シニアといったすべての世代の活躍を支援する体制を充実させた」とも述べ、前年比5・2%増となった扶助費関連事業にも力点を置いたことも併せて指摘した。具体施策として「小児医療費助成の小学3年生までの拡大」や「中学校昼食の完全実施」「ウォーキングポイント事業」などをあげ、市民サービスの分野でも投資拡大に踏み切ったことを強調した。
また、横浜経済を支える中小企業や商店街への支援も引き続き積極的に取り組む意向にも言及。県なども進めるライフイノベーション分野をはじめとする成長分野への投資推進も継続して行いたいとした。
財政「心配しないで」
一方、10年来堅持してきた横浜方式のプライマリーバランス(基礎的財政収支)が188億円の赤字に転落したことについては「将来世代に過度な負担を先送りしないよう、持続可能な財政運営を進めるのが市の大原則」との基本姿勢を改めて説明、その上で「中期4か年計画の中で均衡させていくので、市民の皆さんには、どうか心配しないようお願いしたい」と訴えた。
カジノ「有望な選択肢」
市民の中でも賛否の分かれる、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)の誘致問題については「都心臨海部開発という位置づけの中で、非常に有用な政策であり、有望な選択肢の一つ」と明言。観光MICE施策の一環として、誘致に向けた積極的姿勢を改めて示した。
平和の尊さ後世に
今年が戦後70年の節目の年となることについては「私は敗戦の翌年生まれ。直接戦争を体験したわけではないが、戦争は絶対にやってはいけないし、平和の大切さを感じながら成長してきた」と心情を吐露。「平和の尊さを後世に伝えていく役割があると思っている」と語った。市としては戦災関連の所蔵資料の貸し出し展示事業のほか、70周年をテーマとした企画展や講演会の実施を明らかにした。
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