あーすぷらざの館長を務める 城島 理子さん 川崎市在住 53歳
肌で感じた世界を発信
○…国際協力や平和、多文化共生などをテーマに、世界各国の生活や文化を紹介しているあーすぷらざ。青年海外協力隊の帰国隊員を中心に構成される青年海外協力協会の一員として勤務し、8月から同所の館長に就任した。「館長は重責。これまでの経験を生かし、ここから全国に発信できるようなことができれば」と気を引き締める。
○…出身は兵庫県西宮市で、小さい頃から少年合唱団で音楽に触れて育ち、大学では「(合唱団で教わった)先生のように自分で曲を作ってみたい」と作曲を専攻。当時は漠然と音楽関係の仕事に就きたいと考えていたが、友人から協力隊には音楽の分野もあるということを聞いて心が動いた。「全く迷いはなかった」と大学4年時に試験を受け、見事に合格。卒業後は3カ月の研修を経て中米のホンジュラスへの派遣が決まった。「教えたことがなかったので不安もあったけど、楽しみや期待が大きかった」
○…ホンジュラスでは教員を育成する音楽実験小学校で勤務した。当初は語学もままならなかったことから「(現地の)主任からスペイン語ができないからあなたはいらない」と言われたこともあったというが、教えることを事前に紙に書き出すなどして対応。また楽譜も手に入らないような状況だったが、「ドレミはどこでもドレミ。作曲を勉強していたので、学生のレベルに合わせた練習曲を作って教えられた」と学んだ技能を生かして奮闘した。
○…すでに同協会での勤務は30年近く。「大学で音楽を専攻したことで、協力隊に参加できたし、協力隊に参加したから協会で様々な人や事業に関われている」と振り返り、様々な形で現地での経験などを伝えてきた。「身近な生活のことでも大きな世界の流れの中で捉えていくことが大切。ここではそういったことを感じるものを提供できると思う」。経験を生かし、今後も肌で感じた世界の状況を発信していく。