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栄区 人物風土記

公開日:2016.05.19

「栄こころの健康相談所」で所長を務める
吉田 尚友さん
茅ヶ崎市在住 70歳

人々の「今」と向き合う

 ○…笠間3丁目にある「栄こころの健康相談所」。人々が自由な時間を過ごす場所の提供や1対1での相談などを通じて、地域におけるメンタルヘルスの問題に取り組んでいる。多くの人々と接することで相手を支えるだけでなく「私自身が多くのことに気づき、学ばせてもらっている」。所長として多くの人に寄り添い、その人らしい生き方を二人三脚で模索している。

 ○…人の心に向き合うきっかけとなったのは、大学時代の自身の経験。在学中に自分の生き方で悩んだことから「自分の心を見つめてみよう」と、カウンセリングを学んで人の心に取り組むことと決意した。卒業後に都内で働きながら心理学やカウンセリングについて学び、学校カウンセラー、ホームレスの自立支援、生活保護施設での指導員を経て2007年に小菅ケ谷の栄区生活支援センターで所長に。「人と接する時に大切にしていることが『今』を見ること。生きていることは今のことで、過去や未来ではない。今ここに生きていることを考えることが必要」と真剣な表情で語る。

 ○…「心が揺れ動く弱さを克服したい」という考えから、剣道と空手に取り組んできた。現在も続ける空手は、体の調子を整えるためにも一役。「永遠に続く今に命を燃やし、輝く未来を開け」という流派創始者の言葉のように、自分や人々の「今」と向き合っている。

 ○…現代社会では生活が便利になる一方で人と人との関係が希薄になっており、そのことが心のバランスを崩す1つの原因だと指摘。「人々が抱える心の問題を解決するには、地域とのつながりが必要。そのためにも地域で相談所を作りたかった」と思いを明かし、同センター退職後に現在の相談所を立ち上げた。「困った、悩んだ時は人に話すことが問題解決の第一歩。話せる人から話してみてほしい」。6月中旬からは現在の場所から笠間5丁目に場所を移すが、引き続き人々と一緒に歩んでいく。

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