区内の風景を集めた写真集を発行した 雨宮 ゆきさん(本名:雨宮 秀幸) 上郷町在住 77歳
身近な風景を後世へ
○…上郷町に移り住んでから45年。栄区に限らず国内各地で、変化していく街並みや風景などを撮影し続けてきた。区制30周年をきっかけに、ここ10年間ほどの区内の風景を収めた写真集を発行し、リリスでは個展を開催している。「緑と水が栄区の大きな特徴。きれいな良い町で、ゆったりと時間が流れている」と地元の良さを語る。
○…出身は横浜市中区。成人学校で写真を学んで以来、写真と向き合ってきた。もともとはアート作品をメインに撮影していたが、30年ほど前から記録写真も撮るように。「写真で人のためにできることを考えた時、記録として残していくことならできると思った」と、近年では記録に力を入れて活動している。撮影時に意識するポイントは「いつ、どこに、何があったのか」が分かるようにすること。「アートと比べると写真としては面白みがないのかもしれない。それでも前の時代の営みは、次世代に残していく必要がある。それが写真の1つの役割」と思いを明かす。
○…10年前には主宰する写真グループ「フォト・フリーダム・A」のメンバーと一緒に、区制20周年記念の写真集を発行。「仲間たちからは記録写真への理解が得られず、なかなか賛同してもらえなかったね」と当時を振り返って苦笑い。メンバーの高齢化などからすでにグループは解散したが、仲間の分もと今回は単独で制作に取り組んだ。
○…「人のために」という気持ちが、長年にわたって撮影を続ける原動力だ。「自己満足であるかもしれないけど、いつか、誰かの役に立てばうれしい」。栄に限らず磯子や港南などでも撮影し、いずれは冊子としてまとめることを思い描いている。「ずっとお世話になっている栄区。この10年では大きく変わっていないけど、この先はどうかな」。次は10年後の区制40周年時に発行することが目標。その日まで栄の風景を収め続ける日々は続く。