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多摩版 公開:2019年1月1日 エリアトップへ

新春インタビュー 「健幸(けんこう)まちづくり」全施策に 阿部市長、抱負を語る

政治

公開:2019年1月1日

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インタビューに答える阿部市長
インタビューに答える阿部市長

 2019年の幕開けにあたり、本紙では阿部裕行多摩市長に新春インタビューを行った。阿部市長は、3期目の市政にあたり、多摩市の現状や課題を率直に語るとともに、さらなる「健幸まちづくり」の推進や、子ども・若者世代への施策などについて言及した。(聞き手=本紙・中島崇雄)

 ――まずは昨年を振り返っての感想をお願いします。

 「あけましておめでとうございます。今年は、東京オリンピック・パラリンピックの前年ということで、多摩市では自転車競技ロードレースのテストイベントも開かれます。日本としてはラグビーW杯の年でもあり、私もわくわくするような一年になるなと思っています。

 昨年を振り返ってみますと、ひとつは、夏の猛暑。気象庁が言うように災害という位の酷暑だったと思います。全国的にみても、西日本の集中豪雨、大阪北部や北海道の地震、台風21号、24号などがありました。特に台風24号については、多摩市内でも倒木が相次ぎましたし、アメリカのハリケーン並みの巨大台風ということで、今までの台風にはない備えをしていかなければならないということも教えられた年でもありました。

 今年、多摩市では、東京都との『合同総合防災訓練』を9月1日に行います。例年、中学校単位で行っていますが、今年は多摩センターの街の中で、パルテノン大通りや多摩中央公園をフィールドとして行うことになっています。地震を想定しての訓練になりますが、危機管理という意味では、今年大きな訓練を行う年になるなと思っています」

 ――冒頭にありましたオリンピックの自転車競技ロードレースでは、多摩市が11・8Kmの東京都内最長コースに決まりました。

 「オリンピックの競技を自分の街で実際に見ることができる。そういう機会に恵まれたことは非常に良かったと思いますし、特に多摩ニュータウン、南多摩尾根幹線を走ることで、全世界の人に日本の街づくりの良さや、選手が多摩ニュータウンの緑の中を疾走する光景を見ていただけることは、素晴らしいと思います。私自身もそうですが、問題はこのロードレースの面白さや、競技自体をもっと知っていただく必要があることです。今年は多摩市内でもキャンペーンや、イベントなども開催したいと思いますし、コースとなっている都内の他市の皆さんと連携して大いに盛り上げていきたいと思っています」

 ――昨年はじめに、健幸まちづくりをさらに前進させ、若者や子育て世代を応援していく施策をという話がありました。

 「健幸まちづくりについては、昨年第1回のライフウェルネス検定を実施し、今年も2月に2回目の検定を実施します。『生き方・老い方応援本』は、一冊500円で今年も市内の書店で販売しています。昨年は、各地域のコミュニティセンターをはじめ、団地の集会所などもお借りして、身近なところで地域介護予防教室や元気アップ体操を広げてまいりました。ご自身の日頃の体力が測定、評価できるだけでなく、今年は健康保険に加入されている皆さんのデータなども生かしながら、さらに健幸まちづくりを進めていきたいと思っています。

 また、4月1日からは、子どもの医療費助成の所得制限を撤廃します。健幸まちづくりは、お年寄りの方だけではなく、子どもたちも含めて全世代の人が対象になっています。医療費助成などを含めて、子どもたちや若者たちへの支援も広げていきたいと思っています。昨年から『子ども・若者に関する施策検討懇談会』を開催しており、今年は、報告書などをまとめていただく予定です。市民の皆さんと一緒に子どもたちや若者たちの声がしっかり響くためには、どのように支援していけばいいのかという議論を大きく広げられる年にしたいと思っています。

 多摩市若者会議では、『未知カフェ― TAMA REVIVAL ―』として2月に拠点がオープンします。拠点で若者、学生だけでなく、企業や地域の皆さんとの交流も深め、若者たち自身がさらに羽ばたける、そんな新しい年にしていきたいなと思っています」

「市民と一緒に多摩の未来を」総合計画第3期がスタート

 ――昨年、3期目を迎えました。選挙を通じて、多摩市の現状、課題について改めて感じたことはありますでしょうか。

 「私にとって3期目に臨む選挙でした。健幸まちづくりや、子ども・若者たちの支援に加え、市民の誇り、まちを愛する心、日頃何気なく地域で行っている活動の中に、実は気づいていなくても、シビックプライドにつながることがいっぱいあるということを呼び掛けてきました。改めて、それを大事にした街づくりを進めていきたいと思っています。

 課題としては、健康寿命が男性83歳、女性86歳と東京都内でもトップで、介護認定率が最も低い街ではありますが、いかにそれを維持していくかということ。そのためには、医療・介護・福祉の顔が見える関係をつくっていくことが極めて大事です。若い方からご高齢の方まで、増えている単身の方々が幸せに生きられる、そういう街をつくっていく必要があります。いざというときに行政だけでなく医療・介護・福祉の皆さんの力によって、支えられる仕組みづくりが課題でもあり、取り組んでいかなければならないと思います。

 子どもたちの教育では、『ESD=持続発展教育』に取り組んできましたが、さらに『SDGs』、国連で採択された17の開発目標に向けて、小学校や中学校でも様々な取り組みが始まっています。中学校では、『日本一英語を話せる子どもたちの育成』をスローガンに、オンライン英会話やスピーキング、ヒアリングなど英語の4技能の測定により、自分の英語力がどこまで身についているかを実感し、さらなるスキルアップにつながるような仕組みにもチャレンジしています。

 ニュータウンの再生については、南多摩尾根幹線の工事が進んでいます。都営住宅の建て替えも進行していますし、2月には今年も恒例のニュータウン再生シンポジウムを開催します。東京都、UR都市機構をはじめ、近隣センターでは、団体・企業の皆さんの努力なども実ってきています。都営住宅での移動販売も実現し、地域の皆さんに喜んでいただいています。加えて、住み替えを考えている方に向けて、UR都市機構や地元の京王電鉄、大学との連携などによって様々なイベントも開催していただいていますが、今後もさらに力を入れていきたいと思っています。

 そして、『障がい者差別解消条例』にも、しっかり取り組んでいこうと考えています。これは私自身の公約でもありますが、東京オリンピック・パラリンピックを迎え、地域の中で障害のある人たちが普通に生活できる社会を目指す、それは健幸まちづくりの根本でもあります。誰もが幸せに生きられる、そうしたことをどのように実現していくかを、しっかり議論を重ねながら、取り組んでいきたいと思います。

 また、核廃絶、平和への取り組みも進めていきたいと思います。多摩市では、『被爆地子ども派遣』を行っていますが、今年は長崎に子どもたちを派遣します。今年で7回目になりますが、これまでに派遣した子どもたちが高校生、大学生、社会人になっていく中で、広島、長崎での経験を活かし、世界平和の伝道者のような形で話をされる。そのような試みが広がっていくよう、しっかり後押ししていきたいと思っています」

市制50周年へ

 ――新年度の予算編成の骨格・重点施策についてお聞かせください。

 「重点施策としては、先程もお話しましたが、『健幸まちづくりのさらなる推進』です。新年度から、第5次多摩市総合計画第3期基本計画が動き出しますが、総合計画のベースとなるところは、今まで3本の柱のひとつだった健幸まちづくりが、すべての施策を貫くような方向で検討しています。

 『行財政運営』の面では、将来の世代に負担を先送りせず、時代の変化に柔軟に対応していける持続可能な行財政の確立のために、多摩市行財政刷新計画、および多摩市公共施設の見直し方針と行動プログラムの取り組みを市民の皆さんの理解を得られるよう、引き続き対話を重ねながら、全庁一丸となって着実に進めていきたいと思っています。

 市民の皆さんとの関わりでは、昨年もパルテノン多摩大規模改修、図書館本館再整備、多摩中央公園、旧北貝取小学校の活用検討、受動喫煙防止に向けてなど、様々なワークショップを行ってきました。それ以外にも、多摩市の状況・課題を知っていただこうと実施した『SIMたま2030』には、多くの市民の皆さんにご参加いただき、堅くなりがちな財政の話をゲームを通じて楽しく学んでいただきました。今年は、こうしたワークショップにさらに多くの市民の皆さんに関わっていただくことをベースにしながら、一緒に財政白書などもつくっていきたいと思っています。

 行財政の改革や公共施設の見直しプログラムなどを含めて、これからは、行政だけでプログラムを作り、スケジュールを決めて動かしていくのではなく、この街に住む一人ひとりの方が、自分の街はこれから先、どうあったらいいのか、どうしていくべきなのかということを踏まえて、一緒に議論していく時代です。これから先の多摩の未来を、市民vs行政の関係ではなく、ともに汗を流しながら、この街に住んでいてよかったねと思えるように、市民の皆さんとのワークショップや街づくりを強力に進めていきたいと思っています。

 オリンピック・パラリンピックの翌年の2021年には、市制施行50周年を迎えます。ニュータウンが生まれてからも50周年ということになりますので、いろいろなイベントや行事なども今年あたりから立ち上げていくことになると思います。引き続き市民の皆さんにご支援、ご協力いただき、街づくりに参画していただきたいと思っています」

 ――最後に市民の皆さんにメッセージをお願いします。

 「昨年は日本列島を揺るがすような災害も多く、海洋プラスチック汚染の問題なども話題となりました。地球温暖化だけでなく、私たち人間が今まで築き上げてきたものそのものが問われる時代だと思います。ですので、常に頭の中に地球儀を描きながら、グローバルな視野で日本や世界のことを考えていく年にしたいと思います。

 特に来年は、東京オリンピック・パラリンピックを迎える年になります。私自身はもちろん、市民の皆さんにもアンテナを広げていただき、自分の国だけ豊かになればいいといった流れに身を任せず、人種、宗教、文化を超え、世界の人々と平和で仲良く、市民交流の花吹く年にしていきたいと思います。そのためには、健康が第一ですので、ぜひ皆さんもご自身の健康と幸せに留意していただくとともに、今年一年、風水害なく、地震にも見舞われることのない、災害がない平穏な一年であることを望みます。

 まずは何よりも平和が大切で、一人ひとりが尊厳を持ち、地球環境に思いを馳せる、そのような一年にしていきましょう。本年もよろしくお願いしたいと思います」

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