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公開日:2020.02.07
“日向石” 復活へ始動
歴史・文化を後世に伝承
市内日向地区で、およそ50年前まで採石されていた「日向石」の産業を復活させ、歴史や文化を後世に伝承する民間のプロジェクトがスタートした。1月19日には、日向石の原石を搬出し、石を割って中心部を調べる作業が行われた。
日向石は日向地区で採掘される凝灰岩。およそ350年前に石切場が開発され、近隣の厚木市七沢地区、清川村煤ヶ谷地区と並んで、大山の東側で採石が盛んに行われてきた。
軟質で加工がしやすかったことから、墓石のほか、かまどなどの生活用品、建物の基礎などに広く用いられるようになり、日向地区では石材の加工が産業として繁栄。およそ50年前からは、他の産地から石材を購入し、加工するようになったことで、日向石は採石されなくなった。
大山模った箸置き
復活プロジェクトは、市内桜台にある(有)小山建築設計事務所の一級建築士、荻野貴文さん(33)が、上粕屋に本社・工場を置く(有)成瀬石材店の代表取締役、成瀬善之さん(41)に「伊勢原の石材を建築資材として利用したい」と、連絡してきたことがきっかけ。かつて採石していた石切場や博物館の視察、研究者との面会を通して日向石を調べ、地域の資源を有効活用して産業を復活させ、観光などにつなげる仕組みづくりを練った。
2人は、日向石が大山の一部を構成している点に着目。日向石を加工した小物の土産品として、大山を模った箸置きの商品化を第一弾として検討。廃材を活用して試作品づくりに着手した。
日向石は別名、「相模青石」とも呼ばれていたほど、中心部が青い石だった。1月19日に行われた調査には2人のほかに、成瀬さんの父・徳春さん(71)や石の研究者らも参加。縦約1・5m、横約1・2m、厚さ約45cmある約1・3tの原石を搬出して割り、芯が青いことを確認した。
今後は石の青い部分を使って、3月末までに箸置きの製品化をめざすという。成瀬善之さんは「伊勢原の歴史や文化、技術を伝える製品として、多くの人の目に触れる機会を作っていきたい」と話した。
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