伊勢原 人物風土記
公開日:2025.04.25
3月21日付で伊勢原警察署長に就任した
高橋 章(あきら)さん
警視 53歳
悲しい事件を胸に刻んで
○…初の署長職に就き署員には、一人で抱え込まず相談するよう呼び掛けた。「自分に不安があれば、地に足がつかず仕事が疎かになり、市民に寄り添えない。皆が力を発揮できるような警察署にすることで、治安が良くなり、市民に還元できるはず」と話す。
○…南足柄市出身。社会に役立つ仕事がしたいと高校を卒業後、警察官に。最初の赴任地は多摩署。その後、機動隊などを経て戸部署へ。交番勤務の後、刑事課に配属され、強行犯係で殺人や強盗など凶悪犯罪に対峙してきた。今でも忘れないのが、母親が子どもを手にかけてしまった事件。その時逮捕した犯人の両親と共に「一言相談してくれれば」と3人で泣いた。調書を取るのが精一杯で、何もできなかったことを今も悔やむ。以来、こうした人を出してはいけないと心に誓った。「困った時は警察に相談してほしい。全て解決できるとは限らないが、解決の糸口になるアドバイスはできるかもしれないので」と訴える。
○…その後も県警本部少年課、捜査一課、警視庁捜査一課、幹部養成学校の教官などを歴任。刑事畑を主にキャリアを形成してきた。新人の頃、「雨の中ご苦労様」と声をかけられ、感謝される良い仕事なんだと実感した。新人の頃の経験を今も教訓に、「もっとこうすれば良かったのでは」と常に反省を忘れない。
○…旅行が好きで、観光客が少ない場所が落ち着く。「奈良でも飛鳥寺方面は静かで良い。家族は共感してくれないけれど」と笑う。歴史が好きで伊勢原に赴任してからは道灌ゆかりの地を巡っている。「取材されるような人間じゃない。ただのおじさんなんだが」と謙遜するも、逮捕した受刑者宛てに手紙を書くなど、人に寄り添う温かさが笑顔から伝わる。
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