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サンテオレ能見台店 30年の歴史に幕 学生育てた名物夫婦が引退

社会

公開:2015年3月26日

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 京急線能見台駅前にあるファストフード店「サンテオレ能見台店」が3月18日、30年の営業を終えた。横浜高校をはじめ、近隣校の学生に愛された同店。食だけでなく、彼らの成長も支えてきた。

 最終日の夜11時。閉店時間を迎えても店内は満席だった。「朝から常連客や横高OBなど大勢来て別れを惜しんでくれた」とマネージャーの大塚幸子さん(64)は声を震わせる。品物整理を済ませ、店を引き揚げたのは20日。家に帰ると、二人三脚で歩んできた夫で店長の義雄さん(68)が言った「終わったね。ご苦労様」の言葉に涙が溢れた。「そこではじめて大泣きしました」

愛情を注いだ”子育て”

 「店が狭いため、横高生は自分たちでルールを決め部活ごとに交代制で来ていた」と開店当時の記憶をたどる幸子さん。特に野球部は毎日のように訪れた。明るい笑顔で声をかける幸子さんは「おばちゃん」と親しまれるように。こっそり彼女を連れてくる選手や、ケガをしたと打ち明ける選手――素を見せる場所だった。

 店がにぎわい「最も輝いた時」というのが、松坂大輔投手が甲子園春夏連覇に導いた時代。「松坂くんのチームはよく来てくれた」と嬉しそうに笑う。しかし正月の2日間以外、朝8時から夜11時まで働く日々。一軍メンバーだと気付いたのはテレビに映った彼らをみた時だった。「来る時は一軍全員一緒。チームワークが良かったから勝てたと思っている」と笑顔で話す。

 お腹を空かせた彼らには大盛りを提供していたという幸子さん。「松坂くんは後輩に、ありがたいことなんだぞって教えてたっけ」。メジャー行きが決まり、アメリカで会見を控えた夜に挨拶に来たことがあった。「まだ公表してはいけない段階で、レッドソックスに決まったと伝えに来てくれた。一番嬉しかった」

 見守ってきたのは野球部だけではない。夜中まで営業する同店には”不良”も集まった。喫煙や迷惑行為をする学生も。「だめなものはだめ。店を出なと怒ることもあった」。反発するものの、ほとんどが素直に受け入れたという。「怒ってほしかったのよ」。閉店を知り、その多くが店を訪れたという。母親になり、反省していると手紙にしたためて来る人も。「言って良かったって思うよね」

「今度は会いに行く番」

 レジ後方の壁を埋め尽くすサイン。多くがプロ野球選手になった横高OBだ。そこに歴代の甲子園出場メンバーのサインが飾られている。「甲子園に行かないと書かせない約束。それが目標だったみたい」といたずらっぽく笑う。

 そんな高校生との交流も最近では薄れつつあった。「今の子はシャイ。コンビニもでき、流れてしまった」と目線を落とす。「時代の流れ」。店を閉める理由のひとつだという。だが「幸せでした」と微笑む。「どこにも出かけられないけど、いろんな人が会いにきてくれた。今度はみんなのところに出ていく番」
 

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