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伊勢原 人物風土記

公開日:2012.09.14

福島県や宮城県で復興支援活動を続けている
塚越 慈徳さん
日向在住 61歳

善の支援 これからも



 ○…東日本大震災から1年6カ月、日向にある浄発願寺の本堂には檀家、関係者から寄せられた支援物資が並ぶ。「被災地のために、と皆様がこうして預けてくださる。責任をもってしっかり届けます」。震災発生直後の3月15日に福島県南相馬市を訪れて以来、時間を見つけては被災地に足を運んできた。福島、宮城の各地を30回以上にわたり訪れ、物資を笑顔で手渡してきた。「思い立って始めた活動も、今や大勢の方が力を分けてくださる。それがうれしい」と語る。



 ○…静岡県に生まれ、すぐに大磯町へ移り住んだ。小学校では勉強が苦手で、授業について行けなかった。いつしか友だちとの間にも距離ができ、孤独な心に両親の離婚も影を落とした。「大人を信じられない、毎日けんかばかり」の日々を過ごした。転機は中学生の時。「少年院で出会った恩師が、電気工事の資格を取るための訓練をしてくれたんです」。恩師は「勉強に必要だから」とハンマーなどの工具を手渡してくれ「お前を信じている」と言った。「その一言が善の心を引き出してくれました」



 ○…その後、一念発起し仕事にまい進、21歳で電気会社を設立した。だが、29歳の時に父が他界。迷惑をかけ続けても、最後まで信じてくれた父に「毎日お経をあげよう」とその年、仏教の道に進もうと決意。35歳で浄発願寺の住職となり、今は妻や息子と暮らす。



 ○…今年8月には、いまだ交通機関が復旧していない被災地に軽自動車5台を無償で贈った。今も被災地の人たちの目線に立ってその声に耳を傾ける。「苦ではないです。被災された方に少しでも希望を届け続けたいですから」。支援活動には息子たちを連れて行く。「現地の状況を見ると、復興はまだこれからだと思います。私の代だけで終わってはだめ」。次の世代にも善の支援をつないでいく決意だ。

 

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