不育症対策に市も本腰 4月から専門相談開始へ
流産を繰り返すなど、結果的に子どもを持つことのできない「不育症」について、横浜市は専門相談を行う窓口を4月から横浜市立大学附属市民総合医療センター(南区浦舟町)に開設する。神奈川県でも不育症について相談や検査ができる医療機関について実態調査を始めるなど、不育症対策が進みつつある。
不育症は流産や死産などを2回以上繰り返すケースを指す。厚生労働省研究班の調査によると、妊娠歴のある35歳から79歳の女性のうち、2回以上流産した人が4・2%おり、全国的には妊娠する人のうち、毎年3万人は不育症の可能性があるとしている。
同研究班のメンバーで、不育症専門の杉ウイメンズクリニック(港北区)の杉俊隆院長は「1度の妊娠で15%は流産する。そのほとんどは胎児側の染色体異常によるものであり、病的なものではない」とした上で、「流産を繰り返す場合は不育症を疑い、検査することを勧める」と話す。流産のリスク因子としては母体の高年齢のほか、血液凝固異常や子宮形態異常などがあるが、杉院長は「不育症検査の上、治療した場合は85%程度が出産に成功している」と説明している。
自治体も対策に本腰を入れ始めた。横浜市は今年度から各区の福祉保健センターで不育症相談を受け付けているほか、4月からは総合医療センターで不育症専門相談を月に1回実施する予定だ。また、神奈川県でも不育症の相談や検査を実施している医療機関について実態調査を昨年11月に実施しており、取りまとめて今後公表するとしている。一方、相談や調査だけでなく、自治体による助成制度も拡大している。横浜市は現時点で検討していないが、大和市で昨年10月から30万円を上限に助成を始めており、横須賀市や秦野市でも今年4月から開始予定だ。
市民団体「不育症そだってねっと横浜」代表で、自身も不育症治療をし、出産した木村真奈美さんは「続く流産は精神的ダメージが大きい。自治体の相談窓口では精神的ケアも期待したい」と話す。また、不育症治療費として約40万円かかったと話しており、助成制度にも期待を示す。杉院長は「不妊症治療に助成があって、不育症治療に助成がないのは不自然。治療成績も良く、少子化対策になる」と指摘しており、今後の行政の取り組みが注目される。
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