駅からいずみ遊歩シリーズ【12】 泉(オアシス)探訪 踊場駅から中田方面へ ※協力・オアシス21世紀の会
地下鉄「踊場」駅から地上に出ると、そこは標高58mの峠である。
階段の折り返した所を踊場というが、昔の峠道は険しくちょうどこのような格好になっていた。
この名が各地の峠などにある狐狸怨霊(こりおんりょう)にまつわる話と結びついて、いつしか猫の踊った場所になってしまったようである。
交差点の北西角の路傍に、三界万霊等=写真=と銘する供養塔が今でも残されている。
バス停「東原」の北方の丘に、昔げんばの守り城があり、ある時北側の濠のない方から攻められ滅んでしまった。げんば城址を「げんばあらく」と呼ぶようになった。
ちなみに、あらくとは開墾を意味する。庚申塚にある無数の塚は、当時亡くなった人を葬ったものといわれていた。
現在「鯉ヶ久保」といわれる辺りにある、東から南西にかけてある三日月形の窪地は当時の濠であったらしい。
地下鉄でわずか2分の瞬間的移動も、踊場駅から中田駅までの800m強の下坂は「故(ふる)きを温(たず)ね新しきを知る」を実感できる散歩であった。
(文・写真=村上和治)