横浜市建築局は11月4日、優良建築設計者の表彰式を同局会議室で行った。
今回は6者が優秀賞に選定され、区内からはともに西町に会社を構える(株)金子設計(稲毛恒男代表取締役所長)が新・増・改築部門、(株)矢野建築設計事務所(矢野武代表取締役)が改修・改造部門で、それぞれ受賞した。
優良建築設計者表彰は、設計者の技術や創造力などの向上を図り、優良な公共建築物を確保することを目的に、2007年度から毎年実施されている。
8回目となる今回の選定対象は、同局が発注し、13年度に工事が完了した施設のうち、市内の設計者が設計などを担当した142件。新・増・改築、改修・改造、設備の3部門で審査が行われ、今年度はあわせて6者が選ばれた。
砂漠の岩場イメージ
新・増・改築部門で今回唯一選ばれた金子設計。よこはま動物園ズーラシアで来年春に全面開園するアフリカのサバンナゾーン内に新築されるキリン舎の設計を担当した。
設計デザインでは、実際の砂漠の中に点在するコピエと呼ばれる岩場をイメージ。アフリカのサバンナゾーンは、キリンやシマウマといった草食動物と、肉食動物のチーターが同じ環境で生活しているように見せる混合展示を取り入れる予定で、そのコンセプトに合致し、高い創造性を有している点や、ミスのない設計の品質の高さなどが評価された。
1957年に創業し、市内でも老舗の設計事務所となっている同社。区内でも根岸地区センター・ケアプラザや磯子消防署などの設計も担当した。これまでにも3回、この表彰を受けている。稲毛所長は「我々の仕事にスポットを当てていただきありがたい。担当した若い職員も評価され、モチベーションが上がっている。また、ほかの職員にもいい刺激になっている」と話した。
スリットで耐震
六浦住宅の耐震改修工事での設計で、改修・改造部門での選定を受けた矢野建築設計事務所。県の表彰は受けているものの、市からの表彰は今回が初めて。「日頃やっている私たちの仕事を評価してもらえるのは、やはり嬉しい」と矢野代表取締役は笑顔を見せる。
設計を担当した六浦住宅は、4棟約100世帯が暮らす。通常耐震工事では、住居に入っての作業が必要となるほか、補強柱の追加で住空間が狭くなってしまうなどの影響が出る。「住んでいる方の生活になるべく影響が出ないように、そして終わった後も補強が分からないように」をコンセプトに、同社が取り入れたのは、綿密な計算のもと、壁や柱に溝を入れる耐震スリット。外壁などに溝が入っている点以外、工事前との違いはほとんど見られない。室内に入っての工事も1戸だけで済んだ。
矢野取締役は、「建物への評価はあるが、設計への評価はあまりない。苦労の甲斐があった」と話した。
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