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磯子区 人物風土記

公開日:2016.04.14

磯子消防署の新署長として地域防災を指揮する
増田 豊さん
泉区在住 58歳

消防士のやりがい胸に

 ○…4月1日付で磯子消防署の新署長に着任した。約20年ぶりに戻ってきた磯子の街。杉田臨海部にあった水上消防出張所での日々に思いを馳せ「今度は地域防災の責任者の立場。身の引き締まる思い」と背筋を正す。「訓練のためでなく、いつ起こるかわからない災害のために地域で防災と継続的に向き合わなければならない」。そのためにも、行政や企業、地域が連携し、災害時の自助・共助・公助精神の醸成をめざす。

 ○…119番通報を受ける司令課で消防人生の3分の1を過ごす。一瞬で命や財産を奪う災害に「一秒でも早く正確に部隊を出動させなければ」と使命感を燃やす。時には情報が少なく、係員総出で現場を探すことも。一方で「出動させるまでを請け負うので現場がその後どうなったかまでは知らないんです」と裏方仕事に苦笑い。だからこそ手元にお礼の手紙が届くと「本当に嬉しい」。喜びを噛み締め、やりがいを実感する。

 ○…川崎出身で小4のときに横浜へ。戸塚区や緑区で学生時代を過ごし、海の生物への関心から東海大学海洋学部に進学。乗り物好きが高じ、ヨットやボートも楽しむ。当時、東海大地震が騒がれていたことから「地元で役に立ちたい」と横浜市消防局へ。早く現場で貢献するため資格も積極的に取得。雪が降れば消火栓が隠れないよう雪掻きに回った。様子を見守る住民から労いの言葉をかけられることも。「『ありがとう』って言われると嬉しくて。天職ですよね」と笑う。

 ○…母と妻と泉区で暮らす。熱帯魚を飼うのが趣味。離れて暮らす息子も「昔は一緒に楽しんでいたけれど、今は水草の観賞が好きみたい」と笑う。季節や街の変化が感じられると、通勤中も歩くことを楽しんでいる。「自分の経験を職員に伝えていくことも大切」という思いは、消防のやりがいを深く実感してきた立場だからこそ。「地域の役に立てるように」。署長としての日々は始まったばかりだ。

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